ご当地グルメ
その土地ならではのご当地グルメ。

シューマイ
横浜市のシューマイ消費額は全国平均の2倍以上。崎陽軒の駅売店シウマイと中華街の存在が、神奈川県民の食文化を形作った。

お好み焼き
千利休の茶菓子「フノヤキ」がルーツという意外な歴史を持つ。キャベツと生地を混ぜて鉄板で焼く「混ぜ焼き」スタイルが、なにわの粉食文化を代表する名物として全国に広まった。

梅干し
「一目百万、香り十里」と詠まれる紀州の梅林は、江戸時代に年貢免除のやせ地で始まった農民救済の産物。現在も多くの家庭で「我が家流」の漬け方が受け継がれる。

きりたんぽ鍋
がまの穂に似たご飯を串に刺し焼いた「たんぽ」を鍋に入れた秋田の名物料理。山籠りの炭焼き職人が生み出した知恵が、今も収穫の労をねぎらう味として受け継がれる。

にぎりずし
江戸時代の屋台食から世界へ広まる日本の食文化。具材より飯を食べて小腹を満たした庶民の味が、高級料亭から回転寿司まで多様な形で親しまれている。

ザンギ
運を呼び込むために「炸鶏」の文字間に「ン」を加えたとされる北海道の鶏唐揚げ。醤油ベースの濃い下味が特徴で、骨付きと骨なしの2種類が親しまれている。

てんぷら
江戸時代の屋台から生まれた「てんぷら」は、ポルトガル由来の南蛮料理が江戸前の魚介と出会い、熱々の揚げたてを立ち食いする庶民文化として発展した。関東大震災後に全国へ広まり、現在は家庭惣菜から高級料亭まで幅広く親しまれている。

近江牛の味噌漬
江戸時代に彦根藩が将軍家へ献上した「反本丸」が原型。薬用として始まった近江牛の味噌漬は、国内最古のブランド牛を白味噌に漬け込む贅沢な郷土料理へと発展した。

だまこ鍋
「だまこ」の名は子どもの遊び道具「お手玉」に由来し、ご飯を丸めた団子が鍋の主役となる秋田の冬の味。八郎潟の干拓で魚から鶏へと変化した歴史も興味深い。

芋煮
舟頭たちが河原で始めた宴がルーツの山形県民のソウルフード。庄内では豚肉と味噌、内陸では牛肉と醤油と、地域で味が分かれるのも魅力である。

ラフテー
泡盛の香りが薫る豚の角煮「ラフテー」は、元々は暑い沖縄の保存食として濃い味付けで作られたが、時代とともに味が薄まり、現在は客膳料理や法事の代表格となっている。

サーターアンダーギー
チューリップの花が咲いたような割れた形が特徴の沖縄風ドーナツ。中国から伝わった揚げ菓子が、琉球の職人技と暑い風土に合わせて洗練され、県内で最も愛されるおやつとなった。

干しいも
遭難した薩摩の船を助けた縁から静岡に伝わり、茨城で一大産業となった「干しいも」。海風を利用した製法が全国トップの生産量を生み出す。

串カツ
「2度づけ禁止」の鉄則が有名な大阪のソウルフード。大正末期、新世界で労働者の腹を満たすために考案された安価で早く食べられる揚げ物である。

たこ焼き
「チョボ焼き」から派生した大阪発祥の屋台食。戦後に濃厚ソースとの出会いで現在のスタイルが確立し、国民的ソウルフードへと発展した。

よこすか海軍カレー
明治時代、日本海軍が脚気予防のため導入した「海軍カレー」を現代に再現した横須賀発祥の名物。牛乳・サラダを添える海軍式のスタイルで、レトルトは20種類以上展開される。
ふるさと納税笹かまぼこの磯部揚げ
宮城の「笹かまぼこ」を青のり入りの衣で揚げた一品。伊達家の家紋にちなむ名前を持つ名産を、家庭で手軽にアレンジして楽しめる。

ふく刺し
豊臣秀吉の禁制を伊藤博文が解禁した伝統の味。下関の「ふく刺し」は、透けるほど薄く切った身を菊や鶴の形に盛り付ける芸術的な刺身である。

いぶりがっこ
囲炉裏の煙で燻した大根を漬け込んだ秋田の知恵の結晶。〈いぶり〉は燻製、〈がっこ〉は漬物を意味する方言で、豪雪地の冬越しを支えた保存食が今も親しまれている。

おでん
「おでん」は女房言葉で「田楽」に「お」をつけた名称。拍子木形の豆腐が田楽舞に似たことから生まれた、東京ならではのちくわぶ入りの煮込み料理である。

タレかつ丼
卵とじをせず、甘辛い醤油だれにくぐらせた揚げたてカツをごはんにのせる新潟発祥の丼。1丼にカツが2枚以上という豪快さが特徴で、市民のソウルフードとして定着している。

かつおのたたき
「たたき」は塩やタレをかけて叩いて味を馴染ませる調理法に由来する。漁師の船上まかないから生まれた高知のソウルフードは、今や冠婚葬祭の「皿鉢料理」に欠かせない定番となっている。

ふなずし
骨まで食べられる乳酸菌発酵の珍味。琵琶湖の子持ちニゴロブナを塩と米で長期熟成させ、正月の祝い膳や神社の神撰として古くから重宝されてきた。

宇治金時
抹茶シロップと小倉あんをかけたかき氷「宇治金時」は、日本を代表する高級茶「宇治茶」を使ったスイーツの定番。江戸時代中期に確立された「宇治製法」が生んだ最高級抹茶の風味を、氷菓で気軽に楽しめる。

お好み焼き
「ヘラ」で鉄板から直接かきこむ食べ方が象徴的な、広島のソウルフード。人口10万人あたりの店舗数が全国一位という圧倒的な普及度を誇る。

ちゃんぽん
1899年、長崎・四海楼の創業者が中国人留学生のために考案したボリューム満点の麺料理。中華鍋ひとつで具と麺を煮込む独自の調理法が特徴で、今や長崎を代表する国民食となった。

コロッケ
大正期に「三大洋食」の一角として確立した東京発の洋食文化の象徴。フランスのクロケットとは異なる、じゃがいも主体の日本オリジナルスタイルが誕生した。

野沢菜漬
霜に当たると甘く柔らかくなるという野沢菜の特性を活かし、宝暦6年に野沢温泉村の住職が京都から持ち帰った天王寺かぶが突然変異して生まれた県を代表する漬物。高冷地の厳しい冬を越す知恵が詰まった味である。

味噌だれ餃子
満州からの引き揚げ者が郷愁から味噌をつけて食べ始めた焼餃子。神戸・新開地で誕生した味噌だれは、今や市内有名の名物となった。

生しらす丼
水揚げ当日しか味わえない幻の一品。湘南・茅ヶ崎・鎌倉・江の島で獲れた生しらすを酢飯に豪快に盛り付け、醤油をたらして食す海の幸丼である。

バッテラ
ポルトガル語で「小舟」を意味する名の由来は、創業当初のコノシロを使った舟形の姿にあった。大阪の押し寿司文化と昆布文化が詰まった、府民になじみ深い郷土料理である。

がめ煮
すっぽんを「川亀」と呼んだことに由来する「がめ煮」。豊臣秀吉の朝鮮出兵時に大軍の食糧として誕生したと伝わる、佐賀のハレの日の定番料理である。

明石焼/玉子焼
たこ焼きに似て非なる食べ方が特徴。ソースではなくかつおと昆布のだし汁にひたして食べる、ふんわり卵の明石のソウルフード。元々は「玉子焼」と呼ばれ、昭和63年に市職員が命名した。

かるかん
「軽い羹(羊羹)」の名の通り、蒸すと生地が軽くなるのが特徴。かつては庶民の口に入らない「殿様菓子」だったが、明治以降に広まった鹿児島の銘菓である。

いかめし
米不足の戦時中に生まれた函館本線・森駅の駅弁が、いまも列車到着のたびに長蛇の列を作る人気名物に。イカの胴体に詰めたごはんが、甘辛いタレとイカの旨味にじっくり染み込む。

馬刺し
かつて貢馬の国として知られた山梨で、富士山信仰登山の荷揚げに使われた馬から生まれた馬刺しは、生肉を薬味と醤油で味わうシンプルながら奥深い郷土料理で、現代も高栄養価な食材として親しまれている。

ほうとう
かぼちゃのほうとうは「うまいもんだ」と誰もが知る山梨の味。塩を使わない麺を打ち粉ごと煮込む独特の技法は、嫁入り修行としても受け継がれてきた。

甲州小梅漬
「カリカリ漬」の異名を持つ甲州小梅漬は、卵の殻を使った独自の漬け込み法で歯ごたえのある食感を生む。天日干しせず梅酢に漬けたまま保存する「どぶ漬け」が特徴の山梨の人気加工品である。

白熊
上から見た色とりどりのトッピングが白熊に似たことから名付けられた、鹿児島発祥のかき氷。昭和20年代に創業した老舗飲食店が生み出した、練乳と果物が彩る夏の風物詩である。

ゆで松葉ガニ
「カニを茹でるとき燃料に松の葉を使ったから」「カニの身を水につけると松葉のように広がるから」など、名前の由来には諸説ある。冷めてもほんのりとした甘みが残る、日本海に面した但馬地域の冬の味覚である。

つけあげ
鹿児島の「つけあげ」は、砂糖と地酒「灰持酒」で甘く仕上げるのが特徴。江戸時代に島津斉彬が考案した説や、琉球の「チキアーギ」が由来という説もある、保存性に優れた郷土の味である。

ちゃんこ鍋
四足歩行の肉を避けた縁起担いが、相撲部屋の食文化を形作った。鶏肉を中心に野菜をたっぷり煮込む、力士の体を支える栄養鍋である。

小田原かまぼこ
「蒲(がま)の穂や鉾に似ている」という名前の由来を持つ、白身魚のすり身を木の板に乗せて蒸し上げた小田原の名物。扇形にぷっくりとはみ出した独特の形状が特徴である。

昆布〆
江戸時代、北前船が運んだ北海道の羅臼昆布と富山湾の魚が出会い生まれた「昆布〆」。昆布に挟んだ刺身が一晩で熟成し、旨みが凝縮する保存食が現代の名物料理となった。

阿蘇高菜漬け
「高菜折り」と呼ばれる手折り収穫が今も残る阿蘇の伝統野菜。火山灰大地と寒冷気候が育む太い茎を、新漬けと古漬けの2つの味わいで楽しむ。

おはぎ
「おはぎ」と「ぼたもち」の呼び名は、春の牡丹・秋の萩に見立てた季節の花に由来する。京都の丹波大納言小豆は煮くずれしにくく、切腹の風習がない大納言の位にちなんで名付けられたブランド小豆である。

はらこ飯
伊達政宗公に献上された宮城の名物料理。「はらこ」とはサケの腹にいる子=いくらを指す方言で、煮サケといくらの贅沢な共演が特徴である。

ほたるいかの酢味噌和え
「富山湾の神秘」ホタルイカを、春の訪れとともに酢味噌でいただく。江戸時代から続く漁の歴史と、国の特別天然記念物に指定される群遊の幻想的な光景が、この味を特別なものにしている。

ぶり大根
「ぶり起こし」と呼ばれる嵐の後に最盛期を迎える富山湾の寒ブリ。脂がのった身と大根をじっくり煮込み、一晩置くとさらに味が染み込む。縁起の良い「出世魚」として正月の食卓にも並ぶ。

若鶏の水炊き
博多祇園山笠の直会で必ず食される福岡の鍋料理。外国船がもたらした中国風鶏煮が、長崎から福岡へ渡り西洋スープと融合して生まれた、通年楽しめる郷土の味である。

生しらす丼
鮮度が命の「生しらす」は、漁獲直後の朝しか味わえない贅沢。駿河湾の豊かな恵みをそのまま丼にした、静岡が誇る海の宝石である。

恵方巻き/巻きずし
その年の縁起の良い方角を向き、無言で丸かぶりするという独特な食べ方が特徴の太巻き寿司。大阪に端を発し、のり業界やコンビニの販売促進により全国に広まった節分の風習である。

皿鉢料理
高知の「おきゃく」文化を象徴する、36〜39cmの大皿に山の幸・海の幸を贅沢に盛り付ける宴会料理。伊万里や九谷の高価な皿の枚数が、かつては家の格式を示した。

からし蓮根
藩主を病弱から救った伝説を持つ熊本名物。細川家の家紋「九曜」に似た輪切りの断面が特徴で、明治維新まで門外不出の秘伝味だった。

鶏ちゃん
豚のホルモン焼き「トンチャン」になぞらえて名付けられた、岐阜県飛騨地方の鶏肉炒め。1950年代にジンギスカンを参考に生まれ、各家庭の秘伝のタレが受け継がれている。

かんぴょう巻き
江戸前ずしの定番「かんぴょう巻き」は、元々「のり巻」と呼ばれた細巻きの原点。芯の具が「くたっと」しないよう巻き上げる職人技が特徴である。

煮しめ
身欠きにしんやぜんまい一本煮など、内陸と沿岸で具材が異なる岩手の「煮しめ」。冠婚葬祭や正月に欠かせない集まりの味である。

もんじゃ焼き
「文字焼き」から転じた名前の由来が興味深い、鉄板とヘラで熱々をすくい食べる東東京のソウルフード。戦後の子どもの駄菓子が大人のつまみへと進化した。

いなりずし
酢飯がピンク色で、おはぎのような甘さが特徴の津軽のいなりずし。砂糖をふんだんに使うのは、昔からのおもてなしの心の表れである。

かぶらずし
「かぶらずしがないと正月が始まらない」と地元民が語る、石川県の発酵食文化の結晶。高級寒ブリをかぶらで挟み、糀甘酒で熟成させる「なれずし」の傑作で、江戸時代から正月の行事食として親しまれてきた。

とり天
昭和初期、別府「東洋軒」が女性客の気遣いから生み出した鶏天ぷら。骨なしのもも肉を天ぷら粉でサクッと揚げ、練りからし入り酢醤油で味わう大分県民のソウルフードである。

しそ巻き
伊達政宗公の時代に遡る宮城の名物。仙台味噌に胡桃とごまを練り、青しそで包んで揚げた一品は、おかずからお茶うけ、子どものおやつへと姿を変えて親しまれてきた。

黒豆煮
「黒く日焼けするほどマメに働けるように」という願いが込められた、丹波の黒大豆を使ったおせちの定番。大粒で艶やかな黒光りが特徴で、生産者の間では「苦労豆」とも呼ばれる貴重な食材である。

牛鍋
1862年に横浜「伊勢熊」で誕生した、すき焼きとは異なる「煮る」牛鍋。開港直後の外国人居留地で生まれた和洋折衷の味は、妻の猛反対を押し切って始まったという。

すぐき漬け
京都三大漬物の一つに数えられる「すぐき漬け」は、かつて上賀茂神社の社家のみが作る御所献上の高級品だった。独特の酸味と乳酸発酵による風味が、冬の食卓を彩る。

さばずし
江戸時代に鯖街道の塩漬けサバから生まれた「さばずし」は、京都の祭りに欠かせないハレの日の味。酢でしめた塩サバとすし飯の組み合わせが、庶民に貴重な青魚をもたらした。

せいげ
「子を背負ったカニ」を大根おろしと味噌で煮る漁師飯が、北前船の船員も舌鼓を打った福井の冬の隠れ名物。かつては出荷されなかった雌ガニの庶民的な味わいである。

笹ずし
上杉謙信が戦の保存食として携行した「謙信寿司」。笹の葉の殺菌・防腐効果を活かし、山菜をのせた手づかみの寿司で、長野県飯山市の無形民俗文化財に指定されている。

かぶらずし
武士しか食べられなかったブリを、農民がかぶに隠して食べたのが始まりともいわれる発酵寿司。富山県西部に脈々と伝わる冬のご馳走で、正月のハレの日に欠かせない味である。

玉こんにゃく
山形県民のソウルフード「玉こん」は、平安時代に慈覚大師が中国から持ち帰ったこんにゃくが起源。1015段の階段を登る「山寺」参拝客に「力こんにゃく」として親しまれてきた球状の郷土料理である。

はらこ飯
鮭の卵「はらこ」をご飯にたっぷりとのせる豪快な一膳。かつては鮭漁の季節に地曳網を見る観光客も遠方から訪れた浜通りの味である。

ハタハタの湯上げ
「雷魚」の別名を持つハタハタは、海が荒れて雷鳴が轟くと浅瀬に押し寄せる魚。うろこがないため洗ってそのまま鍋に入れられる手軽さが魅力で、庄内地域の秋の定番料理として親しまれている。

栗きんとん
江戸時代の宿場町・中津川で茶の湯文化とともに生まれた栗きんとん。おせちのイメージとは異なり、ここでは栗そのものの風味を楽しむシンプルな和菓子として親しまれてきた。

とりめし
稲刈りの合間に田んぼの畔で食べた「とりめし」のおむすび。宮崎県はブロイラー飼養羽数全国1位の鶏肉王国であり、農家飯から生まれた庶民の味は、ご当地グルメコンテスト優勝で脚光を浴びた。

鶏刺し
江戸時代の闘鶏文化が生んだ日本屈指の鶏肉生食文化。薩摩地鶏の弾力ある肉質を、醤油と薬味で味わう鹿児島の名物料理である。

紫錦梅
偕楽園の梅を一粒も無駄にしない――徳川斉昭が考案した水戸の保存食「梅びしお」。傷ものの梅を叩いて種を除き、赤しそと塩だけで漬け込む、酸味も色も鮮やかなごはんの友。

めはりずし
「目を見張るほどに美味しい」とか、「おにぎりに目張りをするように包む」から名づけられた、高菜漬けで大きなおにぎりを包む和歌山県南部の郷土寿司。漁や山仕事の合間に手軽に食べられる弁当として広まった。

松前漬
松前藩発祥の保存食が、ニシン漁師の母たちの手で冬の定番へ。数の子が高騰する現代では、スルメイカと昆布が主役となっている。

あなご飯
明治34年に宮島口駅で駅弁として誕生した「あなご飯」。潮流の速い瀬戸で育った脂がのった「瀬戸のあなご」を、かば焼きにしてだし炊きご飯に敷き詰めた宮島名物である。

月の雫
ぶどう一粒一粒に蜜を纏わせた甲州の伝統菓子。江戸時代、煮詰めていた砂糖に偶然落ちたぶどうが起源とされ、ガイドブックにも掲載されるほどの銘菓として親しまれてきた。

豆腐の味噌漬け
800年前の平家落ち武者が伝えたとされる保存食。半年間味噌に漬け込むとチーズのような風味に変化し、山間部の貴重なタンパク源として親しまれた。

長崎ミルクセーキ
大正末期、九州初の喫茶店『ツル茶ん』が長崎の猛暑をしのぐため考案したアイスデザート。砕いた氷を入れた独自の食感が、現在は「食べるミルクセーキ」として全国に知られる。

玉子焼き
江戸庶民のごちそう「玉子ふわふわ」が起源とされ、落語「王子の狐」にも登場する王子扇屋が今も手焼きで守る。関東の甘め厚焼きと関西のだし巻き、東西で味わいが分かれる卵料理の代表。

ぶりしゃぶ
富山湾の王者「寒ブリ」を、刺身のままさっとだし汁にくぐらせる贅沢な食べ方。表面だけに火が通り、中はレアな状態で旨みが閉じ込められる。氷見漁港のブランド「ひみ寒ぶり」で味わう冬のご馳走である。

賀茂なすの田楽
「ナスの女王」と称される賀茂なすを、じっくり焼いて田楽味噌をのせた京の夏の味覚。1kgを超える大きさと煮崩れしない歯応えが特徴だ。

飛鳥鍋
飛鳥時代に唐から伝わった乳製品が起源。奈良の貴族から僧侶、そして庶民へと広がった、牛乳仕立ての鶏鍋。ヤギの乳を使った時代もあったという変遷が興味深い。

かき氷
平安貴族も愛した「削り氷」は、平城京遷都とともに始まった氷室神社の献氷儀式がルーツ。奈良は今も氷の聖地として、全国の製氷業者が集う「献氷祭」が行われる。

黒豆煮
丹波篠山の粘土質の土と寒暖差が育む最高級黒大豆を、江戸時代には篠山藩主が将軍に献上。正月のおせちから健康ブームで年間通じて親しまれる甘煮である。

らっきょう漬け
参勤交代で小石川薬園から持ち帰ったらっきょうが、鳥取砂丘の特産品へと育った。塩漬けと味付けの二刀流で、今や砂丘観光の定番土産となっている。

呉の肉じゃが
東郷平八郎がイギリスのビーフシチューを艦上食にアレンジしたのが始まりとされる。メークインと決まった具材で作る「呉の肉じゃが」は、平成9年に「くれ肉じゃがの会」が設立され発祥の地としてPR活動が続けられている。

ホヤの酢の物
「海のパイナップル」と呼ばれるホヤは、甘味・酸味・塩味・うま味・苦味の五味を持つ三陸の名産。宮城県は全国生産量の8割を占め、初夏の水揚げ直後の新鮮な味わいが特徴である。

まつりずし/ばらずし
江戸時代の節約令を逆手に取った知恵が生んだ、瀬戸内海の恵みを詰め込んだ華やかなちらしずし。具材を十種余りも入れてかき混ぜる「ばらずし」のスタイルは、岡山ならではのハレの食文化である。

がめ煮
「がめくりこむ」(寄せ集める)の博多方言が名前の由来で、文禄の役の兵士がスッポンとありあわせの材料を煮込んだのが始まりとされる。鶏肉に変わりながらも、福岡の正月やお祝い事に欠かせない味として受け継がれている。

しょっつる鍋
雷鳴とともに現れる「霹靂神」のハタハタを、醤油代わりの魚醤で煮る秋田の冬の味。男鹿では具を入れないシンプルな食べ方も残る。

鶏めし
秘伝のたれが決め手の「鶏めし」は、群馬県民と観光客に長年愛される名物。上州地鶏の瑞々しい肉質と、老舗が守り続ける味わいが魅力である。

ゆで落花生
「掘りたてをすぐにゆでないとおいしくならない」という産地ならではの鉄則がある。収穫した生落花生は時とともに硬くなり味も落ちるため、畑のそばで塩ゆでにするこの食べ方は、千葉の秋の風物詩として親しまれている。
ふるさと納税とろろ昆布のおにぎり
海苔ではなくとろろ昆布を巻くのが富山県民の定番。北前船がもたらした昆布文化が生んだ、ふわっと柔らかな黒白のおにぎりである。

しょうゆめし
室町時代から続く「しょうゆめし」は、松山のハレの日に欠かせない炊き込みご飯。冷めてもふっくらとした醤油の香ばしさが特徴で、昭和30年代には駅弁としても全国に広まった。

おやき
信州を代表する「おやき」は、縄文時代から続く小麦文化の結晶。囲炉裏の灰で蒸し焼きにした「灰焼きおやき」が元祖で、今では焼く・蒸す・蒸して焼くなど調理法も千差万別。

朴葉味噌
山仕事の杣人が朴葉を皿代わりにしたのが始まり。抗菌作用のある朴葉に味噌を乗せ、囲炉裏で焼きながら食べる飛騨の冬の味。

静岡おでん
駄菓子屋で1本から買える独特の食文化。黒いだしに青のりとだし粉を振りかける静岡おでんは、子どものおやつとして親しまれてきた。
ふるさと納税山葵漬け
明治22年の静岡駅開業とともに売り出された駅弁発祥の名物。わさびの辛みと酒粕の甘みが絶妙に絡み、日常の食卓からお土産まで静岡人に長く愛されてきた。

湖魚の天ぷら
琵琶湖の小アユ、イサザ、ワカサギを使った天ぷらは、湖魚の旬が異なるため年間を通して楽しめる。体長7cmにしか育たない小アユは、凝縮された旨みと柔らかな食感が特徴だ。

ごま豆腐
弘法大師が中国から持ち帰ったごまを、厳しい修行の栄養補給に活かした高野山の精進料理。生ごまと吉野葛を練り上げる独特な製法で、今も禅寺の食卓に欠かせない名物である。

親ガニのみそ汁
子を背負った姿から「親ガニ」と呼ばれるズワイガニのメスを丸ごと使い、カニ味噌と内外の卵の旨味を最大限に引き出す鳥取の冬の定番味噌汁。具材は最小限に抑えるのがポイントである。

しじみ汁
「シジミは水からヒトクラ」——宍道湖の漁師が伝える、一瞬の火入れで引き出す極上の旨味。日本屈指の漁獲量を誇る大粒のヤマトシジミを、出雲の家庭で日常的に味わう郷土の味噌汁である。

デミかつ丼
東京のホテルで感動したデミグラスソースを、岡山の老舗洋食店がとんかつ丼に昇華させた逸品。グリーンピースを「アラスカ」と呼ぶ郷土色も彩りに加わる。

ゆずごしょう
「こしょう」とは唐辛子のこと。福岡・英彦山の山伏が薬として始めたと伝わる、柚子と青唐辛子の鮮烈な香りが特徴の調味料である。

かしわめし
鶏肉を「かしわ」と呼ぶ九州の言い回しが名前の由来。冷めてもおいしいもちもちの食感が特徴で、駅弁としても長年親しまれてきた福岡の定番家庭料理。

ぶり大根
「鰤王」「ぶり大将」などブランド化された鹿児島の養殖ブリと、煮崩れしにくい桜島大根を組み合わせた冬の定番。縁起物として正月にも重宝された。

あらの姿煮
唐津くんちの「くんち料理」の花形として、第二次世界大戦後に商人たちの見栄がきっかけで誕生した巨大なアラの姿煮。10kg級の魚体に大根を詰め、1日かけて煮込む豪快な郷土料理である。

鮎塩焼き
群馬県の県魚・鮎を、神流川の楢炭で直火焼きする。夏の友釣り解禁期にしか味わえない、香り高く身の引き締まった逸品である。

味噌おでん
土鍋の中央に味噌壺を置き、具をつけて食べる愛知県独自のおでん。江戸時代の味噌田楽がルーツとされ、八丁味噌の濃厚なコクが冬の寒さを染み込ませる。

いかにんじん
雪深い福島で生まれた保存食が、スナック菓子の味まで採用される国民的人気に。するめいかとにんじんの甘辛漬けは、ご飯が止まらないクセになる味わいだ。

へしこ
「圧しこむ」という漁師の作業から名付けられた、塩と糠で半年熟成させたサバの発酵保存食。京都「鯖街道」の起点・若狭で生まれ、現代ではアンチョビ代わりの洋風調理まで幅広く愛される。

仙台雑煮
椀からはみ出すほどの焼きハゼとハラコが特徴的な仙台の正月の味。江戸時代末期から続くハレの日の食事は、近年の不漁により年々高価になっている。

しじみ汁
琵琶湖固有種「セタシジミ」の殻がふっくら開くと、濃厚な出汁が広がる。昭和40年代までは日常の味だったが、環境悪化で激減し、今や春の贅沢となっている滋賀の滋味。

やせうま
貴族の若君が乳母の八瀬に「うま(食べ物)を」とねだったことから名付けられた、薄く伸ばした小麦粉生地をきなこと砂糖で味わう大分の伝統菓子。七夕やお盆の供え物としても使われる。

タルト
ポルトガル伝来の南蛮菓子が、松山藩主の帰郷により柚子を加えた和風スイーツへと変貌した。断面の「の」の字が特徴的なロールケーキ状のお菓子である。

いなりずし
俵型に握った酢飯を油揚げで包み、中央をかんぴょうで結ぶ独特の姿が特徴。全国のかんぴょうのほぼ全てを生産する栃木県ならではの郷土寿司である。

お雑煮
武士の言葉遊びから生まれた角餅が特徴。元禄年間に野田・銚子の醤油文化と出合い、江戸っ子好みの濃口すまし汁が確立された正月の主役料理である。

納豆汁
後三年の役で生まれた納豆が、秋田県南の正月を彩る。すり潰した納豆を味噌汁に溶かし込み、山菜やきのことともに冬の寒さをしのぐ。

みそポテト
秩父の農家で「小昼飯」として親しまれた焼き芋風の郷土料理が、B級グルメ王決定戦優勝で脚光を浴びた。ホクホクのジャガイモに甘辛い味噌だれが絡む、畑作地帯ならではの知恵の味。

おやき
餅米の皮であんこを包んだ秋田独自のおやきは、毎年12月12日に山の神へ供える伝統がある。五城目町の500年続く朝市の名物としても知られる無添加の優しい甘さが特徴。

きんぴら
「きんぴら」の名は、古浄瑠璃「金平浄瑠璃」の主人公・坂田金平に由来する。ごぼうのしっかりした歯ごたえと唐辛子のピリ辛さを、金平の強さに例えて名付けられた。

白味噌雑煮
「角が立たず円満に」という縁起を担い、丸餅と輪切りの野菜を白味噌で煮る大阪の正月名物。元旦は白味噌、二日目は醤油仕立てと味を変える「商いの街」ならではの知恵が込められている。

さつまえび雑煮
椀からはみ出るほどの大きな焼きエビが豪快に載る正月の雑煮。薩摩藩主・島津家に献上されていた出水沖の焼きエビが、庶民の祝い膳へと広まった歴史を持つ。

松茸ごはん
収穫直後の車内が濃厚な香りで満ちる「丹波マツタケ」は、香りの強い「開き」を使って炊き込むのが京都流。戦前年間1200トンあった生産量が現在は数トンに激減し、希少性から高級食材として珍重されるようになった。

鮎の塩焼
1300年の歴史を誇る「鵜飼」で獲れた鮎は皇室や伊勢神宮へ奉納される由緒正しい味。木曽川・長良川・揖斐川の清流で育まれた鮎を、炭火でじっくり焼き上げた夏の風物詩である。

朴葉ずし
手を汚さず食べられる携帯食が華やかな初夏の御馳走へ。朴の葉の殺菌・防カビ効果が、高温多湿の田植え期に重宝された知恵の料理。

赤かぶ漬け
江戸時代から続く塩節約の知恵が生んだ、発酵で白い身が紅く染まる漬物。飛騨の初冬、川で野菜を洗う「菜洗い」の風物詩とともに受け継がれる。

黒糖
江戸時代、奄美群島の島民は年貢を黒糖で代納させられ「黒糖地獄」と呼ばれる過酷な時代を経験した。カラメルのような深いコクと風味を持つ、鹿児島を代表する甘味料である。

ソーキ汁
骨から肉がほろりと落ちるほど煮込んだ豚のあばら肉を、シンプルなすまし汁で味わう。沖縄では「ソーキそば」よりも身近な家庭の味として、お正月の食卓に欠かせない一品である。

ミミガーさしみ
「刺身」とは和え物のこと。豚の耳皮をピーナツ酢で和えた、コリコリとした歯ざわりが魅力の箸休め。沖縄独特の「鳴き声以外すべて食べられる」食文化を体現する一品である。

たこめし
漁師が船の上で食べていたのが発祥とされる「たこめし」。瀬戸内海の潮流が育てた倉敷のたこを炊き込みご飯にし、磯の香り豊かに味わう岡山県倉敷市の名物料理である。

くわいの甘煮
「田んぼのサファイア」と呼ばれる鮮やかな藍色の球根を、縁起物としておせちに添える。福山市は日本一の生産量を誇り、明治時代に城の堀から始まった栽培が瀬戸内の水郷へと広がった。

煮しめ
子孫繁栄を願う縁起物・さといもが主役の「芋煮しめ」。縄文時代から続く栃木の古き食文化が、おせちや祭りを彩る。

りゅうきゅう
「琉球」と書いて「りゅうきゅう」と読む謎の名前。沖縄の漁師から教わった説や、千利休に由来する説など諸説ある、大分県を代表する魚介のごま和えである。

鳥もつ煮
捨てられていた鳥の内臓が、貴重な醤油と砂糖で生まれ変わった戦後のソウルフード。強火短時間の照り煮で旨味を閉じ込める独特の技法が、甲府市民に長く愛され続けている。

吉田のうどん
富士吉田の織物工場で生まれた、驚くほどの歯ごたえと強いコシが特徴の極太うどん。機械を止めず昼食を済ませる女性職人のために、行商の男性が力強く練り上げたのが始まりと伝わる。

柳川なべ
「水の都」柳川の名物は、ドジョウをごぼうと卵でとじた滋味深い鍋料理。江戸の「どぜう鍋」とは別系統として独自の進化を遂げた、暑い夏を乗り切るための滋養食である。

煮しめ
煮汁が残らないようじっくり煮る「煮しめる」技法に由来する。おせちの三の重に敷き詰められるほか、高千穂の夜通し神楽奉納では振る舞い料理として提供される、宮崎の祝い事に欠かせない味。

てこねずし
漁師が船上で魚を手で混ぜあわせたことから「てこねずし」の名が生まれた。熊野灘の新鮮なカツオやマグロを酢飯と合わせる、三重県を代表する郷土料理である。

昆布巻き
「よろこぶ」の語呂から縁起が良い昆布で魚を巻き、正月に食べる富山のハレの日のごちそう。北前船が運んだ北海道の昆布とニシンが出会い、とろけるような煮付け料理に生まれた。

ミズとホヤの水物
「ホヤといったらミズ」という地元の合言葉があるほど相性抜群の組み合わせ。夏の津軽を代表する大人の味で、鮮度が命の天然ホヤは地元へ出向かなければ味わえない。

ぶり大根
「ブリ一本、米一俵」と称された能登の天然寒ブリを、大根とじっくり煮込んだ石川県の冬の味覚。江戸時代は藩主への献上品だった高級魚が、今では家庭の定番料理となっている。

にゅうめん
「にゅうめん」は煮麺がなまった呼び名で、三輪素麺発祥の地・奈良県桜井市三輪で冬に親しまれる温かい麺料理である。素麺を煮込むという意外な食べ方は、1200年以上続く素麺文化が生んだ地元ならではの知恵である。

昆布巻き/棒巻き
「よろこぶ」という縁起の良い名前で呼ばれる昆布巻きは、北前船が運んだ昆布とニシンの出合いが生んだ福井の祝い料理。輪切りにして円満を願い、秋祭りや正月に欠かせない。

しらす丼
「バッチ網」という男性の下着に似た細かい網で漁獲された新鮮なシラスを、天日干しした釜揚げシラスとしてごはんに載せた紀伊水道の港町ならではの味。湯浅醤油や金山寺味噌を添えて食べるのが地元流である。

あごちくわ
「あごがおちるほどおいしい」という言い伝えが残る、トビウオのすり身を焼き上げた鳥取県の名物ちくわ。包丁を入れると「パリッ」と音を立てる香ばしい皮が特徴である。

ママカリの酢漬け
「ご飯を借りに行くほどおいしい」という語源を持つママカリを、酢に漬けて骨まで食べる岡山の伝統保存食。漬かるほどに骨が軟らかくなり、尾びれまで丸ごと味わえる。

ねぎぬた
「殿様ねぎ」と称された下仁田ねぎを酢味噌で和える、群馬の祝い料理。桃の節句や結婚式のもてなしに欠かせない、甘みと酸味の調和が特徴の一皿である。

さばの姿ずし
背開きのサバに酢飯をぎっしり詰め、頭と尾を立てて豪快に盛り付ける「皿鉢料理」の定番。京都とは対照的に酢と塩をきかせた味わいが、ゴマサバの脂の少なさを引き立てる。

ばらずし
全国有数の塩の生産地で塩づくりの労働者に好まれた甘い味付けが特徴。江戸時代から続く宇多津町独自の「ばらずし」は、砂糖が入手しやすかった港町の歴史が色濃く残る郷土料理である。

いものこ汁
里芋の子孫芋「いものこ」を主役に、鶏肉や秋の味覚をふんだんに入れた秋田の鍋料理。横手市では270年の栽培歴を誇る里芋が、独特の粘りと柔らかな歯ごたえを生み出す。

ソースカツ丼
桐生市では「カツ丼」と言えば卵とじではなくソースカツ丼を指すほど定着した郷土料理。元祖は鰻屋で、伝統のタレとウスターソースをブレンドしたオリジナルソースが人気の発端となった。

じゃこ天
元和元年(1615年)に仙台から招いた蒲鉾職人が宇和島藩初代藩主のために作り出した、小魚を丸ごとすり潰したカルシウム満点の揚げ物。名前は「雑魚(ざこ)」からの転訛か、ほたるじゃこに由来するかで諸説ある。

さんまずし
「気骨のある子に育ってほしい」と願いを込めた骨付きの姿ずし。三重県熊野市の産田神社に「さんま寿し発祥の地」の碑が立ち、祝いの席で親しまれてきた東紀州の名物である。

たこめし
兵庫県のマダコ漁で生まれた漁師の知恵。下ごしらえの手間がかからない炊き込みご飯として考案され、今や県の名物駅弁としても親しまれる。

豆ごはん
米が乏しくなる春、えんどう豆をたっぷり入れて増量したのが始まり。塩だけで炊くシンプルな味わいが、子どもから大人まで親しまれる。

たこめし
三原沖の岩場に張り付くたこが足太く育つ環境が生んだ漁師飯。田植え祭りでは豊作祈願の縁起物としても重宝され、今も三原やっさ祭りにちなむブランド名で親しまれている。

せんざんき
鶏を「千のように斬る」という名の由来や、中国語「軟炸鶏」が訛った説など諸説ある、今治発祥の骨付き鶏の唐揚げ。骨から出る旨味と濃厚な下味が特徴である。

いかのかけ和え
佐賀県では「かけ和え」「かけやぁ」と呼ばれる、魚介と野菜を酢味噌で和えた料理。秋祭りには脂がのったサバを使うのが定番で、普段の粗食を補うハレの日の味として親しまれてきた。

具雑煮/島原具雑煮
島原の乱で天草四郎が兵糧として食したと伝わる、土鍋で炊く具だくさんの雑煮。焼きアナゴや卵焼きを入れる家庭もあり、正月や祭礼のめでたい日に親しまれる。

ゆでだご
「ゆでだんご」がなまって「ゆでだご」と呼ばれる、小麦粉と黒砂糖の郷土菓子。武雄地区では田植えの休憩で食べられ、家庭ごとに形が異なる。

長崎天ぷら
南蛮貿易のポルトガル人が食べたフリッターが原型で、衣に味がついた独特の揚げ物。400年の歴史を持ち、天ぷらの起源説も存在する長崎の名物料理である。

しょうが飯
紀の川沿いの砂地で大正初期から栽培される新しょうがを丸ごと炊き込んだ夏の滋味。収穫当日に出荷される瑞々しい白い生姜が、ごはんに爽やかな香りと歯ごたえを与える。

鮎なれずし
1300年続く長良川鵜飼の歴史とともに受け継がれる発酵食品。鵜匠の技が生む「御鮨街道」の名物料理である。

黒はんぺんフライ
鯖や鰯の骨まで丸ごと練り込んだ灰色の練り物を揚げた、静岡県民のソウルフード。白いはんぺんとは別物の、魚のうまみが凝縮された香ばしいお惣菜である。

赤飯
甘納豆を混ぜるだけの手軽な赤飯は、働く母親の思いから誕生した北海道独自の食文化である。昭和20年代、札幌の南部明子先生が考案し、講演を通じて一気に道内に広まった。

切り干しいも
江戸時代、薩摩の遭難船を救った御前崎の大澤権右衛門がサツマイモをもたらしたことが発祥。天日で干す「煮切り干し法」が生み出した、甘さとやわらかさが際立つ保存食である。

瓜の鉄砲漬
砲筒のような瓜に「火薬」見立ての青唐辛子を詰めた成田名物。成田山新勝寺のお土産として知られ、店ごとの味比べが通の楽しみ方である。

ふろふき大根
曹源寺の「大根炊き」で振る舞われる縁起物。愛知県産の大根をだし汁で煮込み、濃厚な豆味噌の練り味噌をのせた、寒い季節に体を温める郷土料理である。

あぶらげずし/いなりずし
歌舞伎『助六』にちなむ「助六」発祥の地でもあり、豊川稲荷の門前町では江戸時代後半から参拝客に振る舞われてきた。油揚げの甘辛い味付けと酢飯の組み合わせが、愛知県内で今日も幅広く親しまれている郷土のすしである。

青菜漬
明治37年に中国・重慶から渡来した山形青菜を使った漬物。シャキシャキの歯ざわりと独特の辛味が白米を何杯でも進ませ、庄内では「弁慶めし」という郷土料理にも欠かせない。

味噌田楽
白い袴に色付きの上着の田楽法師が、一本棒に乗って踊る姿に似たことから名付けられた。豆腐を串に刺して焼き、赤味噌を塗った愛知の味噌文化を象徴する郷土料理である。

煮ぼうとう/ひもかわ
埼玉県を代表する幅広麺の煮込み料理。渋沢栄一が愛した「煮ぼうとう」は、毎年11月11日の命日に「にぼうと会」で供され、地元の食文化を今に伝える。

しょうが味噌おでん
極寒の青函連絡船で旅人の体を温めた、しょうが入り味噌だれのおでん。青森市周辺ではカラシではなくこの味噌で食べるのが常識となり、今やコンビニでも提供されるほど普及した。

じぶ煮
「じぶじぶ煮る」擬声語から名付けられた説もある加賀の名物料理。鴨肉に小麦粉をまぶして煮ることで、寒い冬でも体の芯から温まるとろみ汁が特徴である。

すき昆布の煮物
若い昆布を板状に乾燥させた「すき昆布」を使った煮物。三陸普代村発祥の保存食が、海産物との組み合わせで県内の家庭に広く根付いた郷土料理である。

やしょうま
涅槃会の日に子どもたちが「引き歩いた」米粉団子。箸で凸状にした棒状の形や、色とりどりの模様が特徴的な、長野県北部の伝統菓子である。

すんき漬け
塩を一切使わない無塩の漬物で、貴重な塩を節約する生活知恵から生まれた木曽地域の発酵食品。独特の酸味が特徴で、最近ではヨーグルトに匹敵する乳酸菌含有量が注目されている。

金目の煮付け
伊豆半島の高級魚・地金目鯛を丸ごと甘辛く煮詰めた逸品。1本釣りで水揚げされる稲取キンメは脂の乗りが絶品で、ハレの日には姿煮で振る舞われる。

油麩丼
かつ丼の「かつ」を油麩に置き換えた宮城県登米市の創作郷土料理。明治末期に誕生した油麩の風味を存分に活かし、B-1グランプリ参加で全国的に注目を集めた。
ふるさと納税しば漬け
高倉帝の皇后・建礼門院が「紫葉漬け」と名付けたと伝わる、京都を代表する赤しそ漬け。大原の名刹・三千院発祥の「京都三大漬物」である。

へしこ
「へしこむ」という漁師の言葉が名前の由来。丹後の海で水揚げされたサバやイワシを、米糠と塩で半年以上漬け込んだ発酵保存食である。独特の風味と塩辛さがごはんや酒と好相性。

笹巻き
笹の葉に包まれた秋田の初夏の味覚。田植えを終えた女性たちが里帰りする「さなぶり」の手土産として、嫁家から持たせられた贅沢なハレの食文化である。

なた漬け
枝打ち用のなたで大根をざっくり乱切りにして漬ける、秋田の「生漬け」がっこ。ザラザラの切り口が味を引き立て、麹の自然な甘みが特徴だ。

ばらずし
「バラバラ」と散らすことから名付けられた丹後のばらずしは、鯖街道の歴史が生んだ祝いの華やかな寿司。地元スーパーには他地域では見られない特大サバ缶が並ぶ独特の食文化である。

竹の子汁
サバ缶が入るのが新潟流。「姫たけのこ」は千島笹の若芽で、採れるのは初夏の一時期のみ。山深い上越地方で、貴重な旬を味噌汁で味わう。

ほう葉巻
木曽地域の端午の節句に欠かせない「ほう葉巻」は、平安末期に木曽義仲の兵糧として生まれたと伝わる。柏餅の代わりに朴の葉を使う独自の風習が、標高の高い土地ならではの知恵である。

むつごろうの蒲焼
干潮時に干潟を跳ね回る珍魚・ムツゴロウを、生きたまま串刺しにして素焼きし甘辛く炊く佐賀の夏の味。産卵期のジャンプは全国からカメラマンが集まるほどの名物である。

鶏めし
猟師がお客をもてなすためキジやハトで作ったのが始まり。鶏肉購入量全国トップの大分県で、ハレの場に欠かせない炊き込みご飯である。

大山おこわ
大山山麓の僧兵が戦勝祈願で炊いた米飯が起源。明治の牛馬市で馬喰たちに親しまれ、旧名は「汗入おこわ」。

おび天
江戸時代に飫肥藩領の領民が考案した魚肉練り製品。味噌と黒砂糖を使う甘めの味付けが特徴で、豆腐入りのふわりとした食感は薩摩揚げとは一線を画す。

がね
カニに似た形から名付けられた鹿児島のさつまいも揚げ。甘めの衣に太めの千切り野菜を絡め、冠婚葬祭から日常のおやつまで幅広く親しまれている。

日野菜漬け
蒲生貞秀が約500年前に発見したという伝説を持つ滋賀県の伝統野菜・日野菜を漬けたもの。独特の辛みと苦みが特徴で、桜漬け・えび漬け・ひね漬けなど多様な漬け方が伝わる。

べっこう/えべす
あめ色の寒天に卵がむら雲のように浮かぶ美しい姿が、べっ甲のかんざしに似ていることから「べっこう」と名付けられた富山の伝統料理。昔は卵が贅沢品だったため、お祝いや仏事など特別な日のご馳走として親しまれてきた。

厚揚げの煮たの
福井県の油揚げは「厚揚げ」と呼ばれ、50年以上全国消費1位を記録する名物。報恩講の精進料理として親しまれ、甘辛く煮込んだしょうが風味が特徴である。

赤かぶらの酢漬け
戦に敗れた平家の落人が「赤色」のかぶらを後世に残したいと願い、800年以上前から福井市美山地域で伝承された「河内赤かぶら」。酢漬けにすると皮の色が反応して中まで真っ赤に染まり、見た目の美しさと保存性から代表的な郷土料理となった。

石狩鍋
サケ皮のコラーゲンがたっぷり溶け出す、漁師のご褒美鍋。大漁を祝う石狩の地びき網漁で生まれた味噌仕立ての鍋料理は、観光客の口コミで全国に名を轟かせた。

とろろ汁
松尾芭蕉の俳句にも詠まれた東海道の名物。自然薯をすりおろした粘り気のある汁を麦飯にかけ、旅の疲れを癒すスタミナ食として江戸時代から親しまれた。

ルイベ
アイヌ語「溶ける食料」が語源の氷点下グルメ。凍ったまま薄切りにしたサケが口の中でじわりと溶け出す、北海道沿岸部に伝わる独特の食感体験である。

丹波黒豆ごはん
田植えの祈願行事「さびらき」で田の神に捧げられた、丹波篠山の黒大豆を使ったごはん。大粒で甘みのある黒豆は、あぜ道で栽培されたものや出荷落ちを活用して、子どものおやつやごちそうとして親しまれた。

豚骨
西郷隆盛も愛した薩摩武士の野外料理がルーツ。豚骨を焼酎で炒り、黒砂糖と麦味噌で煮込む鹿児島の味噌煮込み鍋。

ままかりずし
「ママを借りに行くほどおいしい」という名の小魚を酢漬けにし、握りずしに仕立てた岡山の祝い膳の定番。瀬戸内海の秋の味覚が、ハレの日を彩る。

そぼろ納豆/しょぼろ納豆
「しょぼろ」は「そぼろ」の茨城方言。糸引きが悪くなった納豆を、寒干し大根と合わせて漬け込んだ保存食が、現代も水戸の家庭で親しまれている。

いもがら入り太巻き寿司
山梨の保存食「いもがら」を甘辛く煮詰め、かんぴょうの代わりに巻き寿司の具にする郷土のごちそう。冠婚葬祭で長く愛される、シャキシャキとした独特の歯ざわりが魅力。

くじらの竜田揚げ
戦後の学校給食で「給食界のチャンピオン」と呼ばれた、噛むほどに味わい深いクジラ料理。節分に大きなものを食べて邪気を払う山陰の古い風習が、現代の下関の名物として受け継がれている。

かつ丼
山梨県で「かつ丼」と頼むと、卵とじではなく千切りキャベツの上にとんかつが載る丼が出てくる。県外の卵とじタイプは「煮かつ丼」と呼ばれ、まったく別の料理として認識されている。

枯露柿
天日乾燥の際に実を「ころころ」と向きを変えたことで名付けられた「枯露柿」は、甲州の大粒柿を長期間干して白い糖の結晶を吹かせた風味豊かな保存食である。

いもたき
大洲市発祥の350年の歴史を持つ鍋料理。藩主・加藤家の時代に「お籠り」の行事で地元の里芋を持ち寄ったことが始まりで、今も秋の河川敷で月見を兼ねて楽しまれる愛媛の中秋の名物である。
ふるさと納税外郎
ワラビ粉で「おっとり」としたなめらかさを生む山口県の外郎は、名古屋とはまったく異なる食感の伝統銘菓。室町時代から親しまれ、日常のお茶菓子から贈答品まで幅広く用いられる。

生湯葉
日蓮聖人の弟子が師を想って創ったとされる精進料理の逸品。豆乳の表面にできた被膜をそのまま味わう、身延町の名産である生湯葉は、わさび醤油でいただくシンプルな食べ方が特徴。

つがに汁
生きたまま石臼で挽くという衝撃の調理法。四万十川のモクズガニを丸ごと粉砕し、濃厚な出汁を搾り取る高知の伝統汁物である。
ふるさと納税瀬高の高菜漬け
1メートルを超える背丈が名前の由来。明治に中国由来の青菜と在来種を掛け合わせ誕生した「三池高菜」は、筑後の豊かな水と土が育む栄養豊富な保存食である。

栗の渋皮煮
砂糖をふんだんに使う贅沢な味わいが特徴。かつてはお祭りやお祝い事にしか食べられなかった、日高市の栗文化が詰まった保存食である。

太巻ずし
戦後に女性の手で華やかに進化した、断面の図柄を楽しむ上総・下総の祝い寿司。かつては男性の名誉職だった巻き寿司が、家庭のイベントを彩る名物となった。

ハモすき
鳴門海峡の激しい潮流が育む淡路島ハモと、甘み豊かな島のタマネギを合わせた夏の鍋料理。京都祇園祭や大阪天神祭でも欠かせない魚として、江戸時代から商都の食文化を支えてきた。

くじらのたれ
真っ黒な外見から「炭」「海苔」とも呼ばれる南房総の保存食。冷蔵庫のない時代に生まれたクジラの味噌漬け風干しは、今も里帰りの土産として親しまれている。

べったら漬け
「べったり付くぞ」と縄で振り回されたのが名前の由来。江戸時代のえびす講で売られていた大根の浅漬けが発祥の、東京庶民の味。

ねぎま鍋
江戸時代、客には出せない「下品(げぼん)」と呼ばれたまぐろの脂身を、ねぎと醤油で煮た庶民の知恵が「ねぎま鍋」である。七輪の普及で客間で食べる「小鍋たて」として親しまれた。

とん漬け
イノシシを味噌に塗って焼いた武士の知恵が、豚肉の名物へと変貌した。厚木市を中心に神奈川県で親しまれる味噌漬け豚肉は、ご飯のお供として現代も愛される。

茹で落花生
日本初の落花生栽培地・神奈川が誇る「うでピー」。出荷できない未熟豆を農家のおやつとしたのが始まりで、今や冷凍商品として年間を通じ楽しめる名物になった。

飯ずし
村上市に古くから伝わる「飯ずし」は、なれずしの一種で、塩引きサケと数の子、野菜を米と麹に漬け込み低温発酵させた保存食である。毎冬、気温に合わせて重しを変えながら、出来上がりのタイミングを待つ伝統的な技が受け継がれる。

大根ずし
北前船が運んだ身欠ニシンと加賀野菜の源助だいこんを、甘酒で漬けた発酵食品。粗雑な見た目とは裏腹に、大根のシャキシャキとした食感と魚の甘み、発酵の酸味が調和する日常の味である。

はす蒸し
「餅れんこん」と呼ばれる加賀れんこんの粘りを活かした蒸し物。藩政時代から続く歴史ある野菜の、もっちりとした食感が特徴の郷土料理である。

奈良茶飯
東大寺「お水取り」の練行衆に捧げられた神聖な食事が、江戸時代に浅草で大ブームを巻き起こした。旅人が持ち帰った奈良発祥の茶飯は、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」でも名を馳せた。

金山寺味噌
1249年に中国から持ち帰られた製法が、湯浅の水質と出会って生まれた「醤油・味噌の祖」。調味料ではなく「おかず」としてごはんにのせて食べる独特の食文化が、今も和歌山で受け継がれている。

さんまずし
硬く握った姿から「さえらの鉄砲」とも呼ばれる、熊野灘の寒サンマを使った押し寿司。佐藤春夫も「ふるさとで二番目に美味しい」と絶賛した、山間部の貴重な栄養源だったごちそうである。

とうふちくわ
江戸時代、鳥取藩主が「魚の代わりに豆腐を食べよ」と奨励したことに端を発する。魚肉すり身を豆腐でかさ増しした知恵の結晶が、今も酒肴として親しまれる。

鮒めし
「とんとこ飯」の異名を持つ鮒めしは、児島湾干拓の歴史とともに受け継がれた郷土料理である。寒鮒をまな板でトントンと叩いてミンチにし、根菜と炒め煮たコクのある汁を熱いご飯にかけて食べる。

ねぶとの唐揚げ
耳石が大きく頭から丸ごと食べられない「ねぶと」を、頭を取ってスナック感覚で食べる瀬戸内海の知恵。2021年「福つまみ総選挙」で四天王入りした南蛮漬けの仲間である。

いわなの塩焼き
日本で初めてイワナを養殖した宮城県の郷土料理。清らかな水で育った養殖イワナは臭みがなく、皮まで柔らかい身をシンプルに塩焼きで味わう。

たけのこご飯
雨上がりに食べきれないほど獲れるたけのこを、田植えの時や行楽に炊きこんだ宮城の春の味。姫皮から根元まで部位を使い分ける知恵が詰まった日常のご飯である。

大平
直径50cmの大きな蓋付き漆器「大平」に盛り付けることから名付けられた岩国の祝い料理。豪華な岩国寿司と並んで冠婚葬祭の席に欠かせない、汁多めの煮物である。

鯨のハリハリ鍋
水菜を食べるときの「ハリハリッ」という音が名前の由来。1967年創業の徳家が発祥とされる大阪の冬の名物料理で、かつては庶民のタンパク源だった鯨肉と水菜の鍋である。

博多雑煮
串刺しにした具材を椀に盛って出汁を注ぐ、おでんのようなユニークなスタイルが特徴。博多商人の奥方「ごりょんさん」たちが生み出した、忙しい年始の知恵が結実した正月料理である。

しもつかれ/シモツカレ
正月の鮭の頭と節分の大豆を煮込む、縁起物の「残り物料理」。かつては初午にしか作れない禁忌の神饌だったが、今は冬の味覚として親しまれる。

かんずり
「寒造里」とも書く新潟・妙高の発酵調味料。上杉謙信が唐辛子を持ち込んだという伝承があり、大寒の「寒ざらし」で雪上に赤い唐辛子を並べる風景は冬の風物詩となっている。

緋の蕪漬/緋のかぶ漬
正岡子規も詠んだ愛媛の伝統漬物。鮮やかな緋色はアントシアニンと酢の化学反応によるもので、かぶの緋色が冴えればその年は良い年になるという縁起物として、松山のおせちに欠かせない。

いしる鍋
「魚汁(うおしる)」が訛って生まれたという能登の魚醤「いしる」を使う鍋。スルメイカの内臓を数年熟成させた独特の香りと旨味が、冬の食卓を彩る。

からすみ
桃の節句に東濃の母親が作る「からすみ」は、富士山を模した山型の断面が特徴の蒸し菓子。高級珍味とは別物だが、わが子の幸せを願う名に由来する。

ところてん
突き器で押し出した細長い形状が特徴的な伊豆のソウルフード。天草の日本一の産地である伊豆半島で、子どものおやつとして親しまれてきた。西伊豆のマクサは柔らかく、東伊豆のオオブサはしっかりとした食感になる。

たこ飯
鳥羽市の畦蛸(あだこ)では「多幸めし」とも呼ばれ、縁起の良い名前で親しまれる。伊勢湾の荒波にもまれたプリプリの真ダコを、米とシンプルに炊き込んだ漁師の味である。
ふるさと納税千枚漬け
御所の料理人が考案した「京都三大漬物」の一つ。聖護院かぶを薄く千枚に切った繊細な酢漬けで、長期保存を目的としない、まさに「食べるための漬物」である。

えびいもと棒だらの炊いたん
海老のような形をした京の伝統野菜「えびいも」と北海道の棒ダラが出合う、京都の「であいもん」文化を体現した正月料理。両食材が互いを引き立て合う工夫が光る。

ふろふき大根
「ふろふき」の名は、湯に浸かるように大根をじっくり煮込む調理法に由来する。緻密で煮崩れしにくい聖護院だいこんを使い、白味噌や柚子味噌をつけて食べる京都の冬の定番料理である。

泉州水なすの浅漬
ぎゅっと絞れば水が滴るほど水分豊富な泉州水なすを、ぬかや調味液に短期間漬け込んだ浅漬。江戸時代から続く地元の味が、1994年の関西国際空港開港を機に全国へ広まった。

おかいさん/茶がゆ
「おかいさん」とは和歌山県の茶がゆの愛称で、米の少ない山間部で腹持ちを良くするため芋やむかごを入れて食べられてきた。印南地方の里唄にも「おかいでけんか」と詠まれるほど郷土に深く根付く味である。

いもべらあずき
「へら」とは土佐・伊野町の干しいもの呼称。砂糖が希少だった時代は黒砂糖を使い、真っ黒な見た目だったという「いもべらあずき」は、ねっとりほくほくの素朴な甘さが特徴の郷土菓子である。

たこ飯
「干しダコ」をもどして炊き込む熊本県天草の郷土料理。潮風に揺れる吊るし干しの風景が夏の風物詩となっている。弾力のあるマダコの旨味が凝縮された保存食の知恵が、現代も受け継がれる。

パパイヤ漬け
戦後の食糧難を支えた青パパイヤの保存食。奄美がアメリカ統治下だった頃に沖縄から伝わり、味噌や醤油で漬けて親しまれてきた。鶏飯の薬味としても欠かせない。

クファジューシー
「クファ(堅い)」と「ヤファラ(軟らかい)」の2系統を持つ沖縄の炊き込みご飯。お盆の「ウンケー」には葉ショウガ入りの特別なジューシーが供され、ハレとケの境界を映し出す。

ジーマーミ豆腐
落花生の搾り汁を練り上げた琉球王朝からの精進料理。かつてはハレの日だけの貴重な味だったが、近年は日常食として親しまれている。

ハトシ
「蝦多士(ハートーシー)」が訛って「ハトシ」と呼ばれるようになった、長崎発祥の中華風揚げ物。明治時代に清国から伝わり、卓袱料理から市民の味へと進化した。

だご汁
熊本弁で「だんご」を意味する「だご」が名の由来。国道57号線沿いには「だご汁街道」と呼ばれる店舗群があり、地元では農作業の合間に親しまれる腹持ちの良い郷土料理である。

寒漬け
大根を二度干して「あめ色」に仕上げる、芦北・水俣の冬の風物詩。軒先に吊るされた干し大根の光景は、古くから親しまれた郷土の原風景である。

じり焼き
「じりい(ゆるい)」という方言が名前の由来とされる豊後大野市の粉食。薄く焼いた地粉の生地に黒砂糖やかぼちゃのあんを巻き、子どものおやつから農作業の差し入れまで幅広く親しまれてきた。

昆布巻き
「よろこぶ」の語呂合わせで縁起を担ぎ、正月のおせちに欠かせない北海道の昆布巻き。日高昆布の柔らかな食感と、サケやニシンの旨味が調和する。

鮎ぞうすい
傷ついて市場性を失った鮎を惜しみなく味わう知恵から生まれた「鮎ぞうすい」。素焼きの香ばしさとだしの旨みが溶け合う、岐阜の夏の風物詩である。

くじゃく
半分に切った断面が孔雀の羽にそっくりなことから名付けられた華やかな郷土料理。ゆで卵を緑色の魚のすり身で包み、祝いの席に彩りを添える。

ゆずの皮煮
日田市の柚子は寒暖差が大きい土地で香り豊かに育つ。その皮を砂糖で煮詰めた「ゆずの皮煮」は、かつては大釜で薪炊きし、今もお節やお茶うけに欠かせない保存食である。

ゼリーフライ
「銭フライ」がなまって「ゼリーフライ」となった小判型の揚げ物。おからとジャガイモを主材に、ウスターソースの味付けとモチモチ食感が特徴の行田市民のソウルフードである。

つみっこ
「つみとる」という本庄地方の方言が名前の由来。小麦粉の生地を手でちぎって鍋に入れる手軽さから、養蚕や機織りの合間に重宝された埼玉の郷土料理。

白味噌の雑煮
平安時代から貴族の間で食された白味噌を使い、丸餅や頭芋、金時人参を入れた京都の正月の風物詩。円満や子孫繁栄を願う縁起物の具材が特徴である。

くわいの含め煮
慈母が乳を授ける姿に似た芽の形から「子孫繁栄」の縁起物とされ、お正月のおせちに欠かせない「くわいの含め煮」。くちなしの実で鮮やかな黄色に染める埼玉の伝統料理である。

貝焼き味噌
津軽湾の漁師がホタテの大きな貝殻を鍋代わりにして考案した、海の香り漂う素朴な料理。太宰治も「津軽」で憧れを綴った、卵と味噌のとろりとした味わいが特徴である。

赤かぶ漬け
雪深い山間部で焼畑栽培された鮮やかな赤かぶを漬けた保存食。山北地域独特の土壌と気候が生み出す鮮烈な紅色が特徴である。

くるみ雑煮
「くるみあじ」と呼ばれる深い味わいが特徴の三陸の正月料理。鬼ぐるみをねっとりすった「くるみだれ」で焼きもちをいただき、汁ものと和え物の2通りの味を楽しむ。

めった汁
「やたらめったら」具を入れる名の由来が語り継がれる、石川県の具だくさん豚汁。文豪・徳田秋声の小説『黴』にも登場し、明治から親しまれてきた郷土の味である。

いもの子汁
秋の北上川流域で「芋煮会」「いもの子会」と呼ばれる集いの中心となる汁物。皮をこそぐようにむいた「二子さといも」のみで作る地域もあり、さといも本来の味わいを楽しむ食文化が残る。

どんこ汁
三陸沿岸で獲れるエゾイソアイナメの「どんこ」を使った味噌汁。肝の濃厚な脂と淡泊な白身が特徴で、産後の体力回復や恵比寿講の縁起物として重宝されてきた。

天然ほやの酢の物
「海のパイナップル」と呼ばれるほやの天然物は、100年以上続く「南部潜り」という特殊な潜水技術でしか採れない貴重な味。五味を備えた独特の風味を酢の物で楽しむ岩手の夏の味覚である。

ひゅうが丼
風が「ヒューヒュー」吹く船上でも火を使わず食べられるよう生まれた漁師飯。マグロを甘めのごま醤油だれに漬け、卵黄のコクで仕上げる大分県津久見市の名物料理である。

赤こんにゃく煮
織田信長が赤く染めさせたという伝説を持つ、滋賀県の名物こんにゃく。三二酸化鉄で染められた鮮やかな赤色は煮ても褪せず、冠婚葬祭や学校給食で欠かせない存在となった。

めひかりの唐揚げ
青く輝く大きな目が特徴の深海魚「メヒカリ」を丸ごと揚げた一品。かつては雑魚として捨てられていたが、延岡市の料理店が開発したことで脚光を浴び、今や地元の人々が解禁を待ちわびる名物となった。

法楽焼
室町時代の海賊が勝利の宴で味わった「海賊料理」がルーツ。焙烙鍋で旬の魚介を蒸し焼きにする、見た目豪華な今治の名物料理である。

日向黒皮かぼちゃの煮物
明治40年から宮崎で栽培が始まった黒皮かぼちゃは、縦に伸びる立体栽培で育つ伝統野菜。京都の日本料理店でも高級素材として重宝される上品な甘みが特徴である。

干瓢のごま酢あえ
かんぴょうの産地・栃木県で生まれた、ゴマ酢でさっぱりと和える定番家庭料理。淡白な干瓢が季節の野菜を引き立て、夏バテ予防にも重宝される。

冷や汁
素焼きの魚を炙った味噌でとった汁を冷やして麦飯にかける、宮崎の知恵の食。農民が夏の重労働で時間のない時に栄養補給として食べた即席かけ汁が原点である。

仙台白菜の漬物
日清・日露戦争の凱旋時に中国から持ち帰った種が起源。塩害に強い特性から東日本大震災後に復活した「仙台白菜」は、漬けるほど味が深まり長持ちする特異な性質を持つ。

栗ごはん
平安時代から貴族に献上された「丹波くり」を使い、塩味のごはんに栗の甘さが際立つ秋の味覚。鮮度が命のため、栗の収穫直後にしか味わえない限定のごちそうである。

てんこ小豆の赤飯
紫がかった色合いが秋田の証。「てんこ小豆」という黒ささげを使い、砂糖を入れるのが特徴的な赤飯で、冠婚葬祭から大往生の祝いまで人生の節目に欠かせない。

塩引きずし
紅白の彩りが祝いを彩る米沢発祥の押しずし。内陸の盆地で鮮魚が手に入らない時代、塩引きザケを使って誕生したハレの日の名物料理である。

なすの花ずし
紫色のなすに黄色の菊、赤とうがらしを重ねた華やかな漬け物。秋田の漬け物の芸術品と呼ばれ、正月の食卓を彩る。

冷や汁
上杉謙信の陣中料理とも伝わる米沢の「冷や汁」は、実は汁物ではなく冷たいだしに季節の野菜を浸したおひたし。大鉢から小鉢に盛り分ける本来の供し方が、城下町の食文化を今に伝える。

丁字麩のからしあえ
6面を焼いた四角い麩「丁字麩」を使った滋賀の定番郷土料理。きゅうりと辛子酢味噌で和え、口当たりの良いさっぱりとした味わいが残暑の食欲不振に効果的である。
ふるさと納税豚汁
鹿児島県の豚汁は、全国1位の飼育頭数を誇るかごしま黒豚と、甘みの強い麦味噌が決め手。江戸時代に琉球から伝来した黒豚と、薩摩藩独特の食文化が生んだ、体の芯から温まる郷土料理である。

はっとう
「ご法度」の粉食をこっそり食べたことが名前の由来ともいわれる、檜枝岐村の菱形の麺料理。もち米粉とそば粉を練り、じゅうねんをまぶして味わう。

あくまき
灰汁で煮たもち米を竹の皮で包んだ鹿児島の戦陣食。島津義弘が関ヶ原の陣に携行したと伝わり、男子の健やかな成長を願う端午の節句の定番である。

どて焼き
鍋のふちに味噌を土手のように盛ることから名付けられた、牛すじの甘辛煮込み料理。安価で酒に合う味わいは、大阪・新世界の下町グルメとして長く親しまれている。

中身汁
「鳴き声以外は全て食べ尽くす」沖縄の食文化を体現する、豚の内臓をすまし汁仕立てにした逸品。丁寧な下処理による驚くほどさっぱりとした味わいが特徴である。

たちの味噌汁/スケソウダラの白子の味噌汁
「たち」とはタラの白子の北海道方言。丸ごと入れた味噌汁は、武士に「切腹を連想させない縁起の良い食べ物」として喜ばれた歴史を持つ。

カーサームーチー
「鬼餅」の異名を持つカーサームーチーは、月桃の香りが家中を浄める沖縄の伝統餅。妹が鬼と化した兄を餅で退治した民話が名前の由来となっている。

五目いなりずし
笠間稲荷神社の参詣客に振る舞われた華やかないなりずし。人参やごぼう、しいたけのほか、常陸秋そばやくるみなど地場産食材を使うのが茨城流。色とりどりの具材が見えるよう、口を上にして並べるのが特徴。

どんどろけ飯
雷鳴に似た豆腐の炒める音が名前の由来。鳥取県東部から中部に伝わる、豆腐と旬の野菜を炊き込んだ郷土料理である。

はまぐりごはん
産卵前の大ぶりな「鹿島灘はまぐり」を贅沢に使った炊き込みご飯。貝殻が「夫婦和合」の象徴とされ、縁起物としても重宝されてきた。

あけぼの大豆の枝豆
「十六寸(とうろくすん)」の異名を持つあけぼの大豆は、通常の1.6倍もの大粒で、かつては「幻の大豆」と呼ばれるほど入手困難だった。山梨県身延町の寒暖差と霧深い気候が極上の糖度と大粒を育む。

黄ニラのおひたし
明治5年に岡山市牟佐・玉柏地区で始まった遮光栽培の技術が生み出す、華やかなパステルイエローのブランド野菜。繊維が柔らかく生でも食べられる黄ニラを、シンプルにおひたしで味わう岡山の名物である。

広島菜漬けのおにぎり/広島菜むすび
江戸時代に参勤交代で京都から種子を持ち帰ったのが始まりとされる「広島菜」。その浅漬けをおにぎりに巻いた庶民の味は、かき船の食事から戦後の贈答品へと価値を変えながら、今も県民の日常に溶け込む。

柚子大根
天日干しの大根に柚子と昆布を巻き、酢で漬けた茨城の冬の定番。正月のおせちや箸休めとして親しまれる、保存食の知恵が詰まった郷土料理である。

鮎めし
「西の四万十川、東の那珂川」と謳われる清流の恵み。素焼きの鮎を丸ごと炊き込み、頭と骨を取ってほぐした身をご飯と絡める、内陸の貴重なたんぱく源を味わう郷土料理である。

姫路おでん
生姜醤油をかけて食べるのが特徴の姫路おでん。2006年に有志が命名し、ご当地グルメとして観光客を魅了する。辛子ではなく生姜醤油を使うのは、姫路が生姜と醤油の生産地だったことに由来する。
ふるさと納税からいもごはん
「からいも」はさつまいもの鹿児島方言。土壌が痩せたシラス台地でも育ち、台風被害も受けにくい頼もしい作物を、角切りにして米と一緒に炊いた質素ながら深い味わいのごはんである。

つぼん汁
「壺の汁」が訛って「つぼん汁」となった、熊本県人吉球磨の祝い料理。秋祭りの会席膳から発展し、具材は7種類や9種類の奇数でそろえるのが慣わしである。

金山寺みそ
空海や心地覚心が唐・宋より伝えたとされる製法で、江戸時代には徳川吉宗が幕府に献上。醤油の起源ともいわれる歴史ある味噌である。

さわらの昆布じめ
石川県ではカジキマグロを「サワラ」と呼ぶ独特の方言が残る。北前船が運んだ昆布で締めた、能登半島発祥の郷土料理。淡白な身が昆布の旨味を吸い、ねっとりとした食感に変わる。

深川めし/深川丼
江戸時代から続く「ぶっかけ」と「炊き込み」の2種類があるアサリ飯。かつては殻から外した「ぬきみ」を使った汁かけ飯として庶民に親しまれた。

しょうゆおこわ
新潟県長岡市で「赤飯」と呼ばれるのは、醤油で色付けした茶色のおこわ。全国的な赤飯のイメージを覆す、地元だけの独特な食文化が息づく。

たら汁
富山県朝日町発祥の漁師の汁物。漁に出た男たちを温かく出迎えようと、女房たちが流木を集め大鍋を沸かして作ったのが始まり。現在は国道8号沿いに「たら汁街道」が形成されている。

おきりこみ/おっきりこみ
麺の生地を麺棒に巻いて包丁で「切り込み」入れることから名付けられた群馬の粉食文化の代表。無塩で下ゆでなしの幅広麺を野菜と煮込む独特の製法は、全国でも類を見ない。

雑煮
富山県の雑煮は東西で全く異なる顔を持つ。海沿いではフクラギなどの魚介を贅沢に、内陸では根付き白ネギで長寿を願うシンプルな一杯。どちらも欠かせないのは、昆布巻きかまぼこである。

えびす / べろべろ
「べろべろ」「はやべし」など、つるつるの見た目や柚餅子に由来する愛称が各地で親しまれる。甘じょっぱい味わいは「おかずかお菓子かわからない」と地元民を悩ませる。

すり身揚げ
富山湾の新鮮な魚のすり身を揚げた一品。氷見市では「ととぼち揚げ」と呼ばれ、おでんや鍋の具材としても親しまれる。外カリ中ふわの食感が子供から大人まで好まれる。

奈良和え
酒粕漬けの代名詞・奈良漬を使った和え物。冷めて味がなじんだ頃にいただく、奈良の家庭で親しまれる日常の味。

さざえめし/さざえべし
400年続く海女の技が生んだ「輪島海女採りさざえ」。磯の香りとコリコリの食感が染み込む炊き込みごはんは、能登の夏の味覚を象徴する名物料理である。

押しずし
「おけらずし」という愛称も持つ、金沢の祭りを彩る押しずし。木枠に酢飯と旬の魚を重ね一晩寝かせることで、互いの旨味が調和する。春はタイやアジ、秋はサバやシイラと季節ごとに魚が変わるのも特徴である。

さばぬた
鯖街道の出発点・小浜で生まれた「さばぬた」は、塩と酢でしめたサバを味噌やからし、ねぎと和える郷土料理である。地元では「のた」「どろず」とも呼ばれ、古くから親しまれてきた。

ぼっかけ
「ぼっかけ」という名は、熱々の汁をご飯に「ぶっかける」ことからとも、美味しさに客人を「ぼっかけて」引き留めたことからともいわれる福井県の名物料理。平皿に盛り付ける独特のスタイルが特徴である。

すこ
「古い血を流す」と言われる赤ずいきの酢漬け。浄土真宗の報恩講に集まる人々へ振る舞われる福井県随一のポピュラーな精進料理である。

揚げまき湯波の煮物
日光では「湯葉」を「湯波」と書く。金串ですくい上げた厚みのあるゆばを巻いて揚げ、薄味で煮込んだ、東照宮のお供えにも使われる伝統の味。
ふるさと納税がんづき
満月に向かって飛ぶ雁の姿に似せた形が名前の由来。もっちりとした素朴な味わいの蒸し菓子で、岩手県南を中心に農作業の間食として親しまれてきた。

なれずし
約800年以上の歴史を持つ日本三大なれずしの一つ。塩サバと古米を植物の葉に包み発酵させ、秋祭りの夜宮からその翌日まで家族一人に1本ずつ振る舞われる。

へか
農具の「犂(すき)」の先端が鍋になったという、島根県石見地方の個性的な魚介鍋。新鮮な一日漁の獲物を豪快にぶつ切りにして、甘辛い割り下ですき焼き風に味わう。

さざえ飯
隠岐の島で人が集まる席に欠かせない「さざえ飯」。サザエのゆで汁で炊き込むシンプルな釜飯は、岩のりで巻いたのり巻きとしてお正月や祭りに振る舞われる。

しし鍋
美作の猟師から一般家庭まで広く親しまれる冬の味。イノシシの深い旨みを味噌ベースのだしで煮込み、古くから貴重なタンパク源として食されてきた鍋料理である。

ハタハタ寿し
雷光の古語「霹靂神」にちなむ名を持つハタハタを、米どころ秋田の麹と米飯で発酵させた伝統の鮨。大みそかや正月のお供えに欠かせない、県民生活に深く根づいた味である。
ふるさと納税阿波ういろ
江戸時代、阿波和三盆の完成を祝って生まれた「日本三大ういろう」の一つ。もちもちの食感と素朴な甘さが特徴で、旧暦3月3日の節句に食べる習わしが今も残る。

阿波のいとこ煮
戦時中は砂糖なしで作られた甘煮が、今や徳島の冬の風物詩に。干し芋の凝縮された甘みと小豆の優しい味わいが、寒い季節の体と心を温める。

大山の豆腐料理
江戸時代、ひと夏に20万人が訪れた大山詣りで参拝客がすすり歩いた名物豆腐。丹沢の清水と奉納された大豆で作る、水分多めのやわらかな味わいが特徴である。

松山鮓
夏目漱石が一粒もこぼさぬほど気に入った、愛媛・松山のばら寿司。地元では「もぶり鮓」とも呼ばれ、瀬戸内の幸を贅沢に散りばめた祝いの味である。

黒づくり
黒く光るイカスミ塩辛は、参勤交代で将軍家に献上された由緒ある富山の珍味。深みのある味わいとまろやかな塩味がクセになる。

なまこの酢の物
8世紀の木簡に記された能登の名産。平城宮跡出土の文書に「能登からなまこ6斤を都へ」とあり、延喜式にも記録が残る歴史ある冬の味覚である。

雑煮
「株を上げる」縁起かつぎのかぶと、北前船が運んだ黒砂糖の二つの物語が交差する福井の正月の味。日常の汁椀に盛る素朴な雑煮は、昆布敷きの鍋で丸餅を味噌仕立てに煮込む。

野菜の漬物
本居宣長が「香の物」として愛した「松阪赤菜」や、300年前に蒲生氏郷が近江から伝えたとされる歴史を持つ。三重県内には日野菜漬け、伊勢たくあん、白瓜の鉄砲漬けなど、各地域の風土が生んだ多種多様な野菜の漬物が存在する。

小あゆの山椒煮
琵琶湖産の小アユを甘辛く炊き上げた佃煮。体長7cmにしか成長しない小アユは、餌の関係で琵琶湖独自の生態を持つ。1998年には滋賀県選択無形民俗文化財に選定された湖魚の佃煮の代表である。

ぼたん鍋
丹波篠山の冬の名物「ぼたん鍋」は、陸軍駐屯地時代のイノシシ汁が起源。牡丹の花びらを模した華やかな盛り付けで、昭和に名前が定着した郷土料理である。

わかめずし
輪切りにするとわかめが美しい縞模様になる「わかめずし」は、大量に獲れるわかめを焼いてごはんにのせた漁師飯が起源。地元の人が漬物を入れて巻き始めたことで現在の形になった。

ばくだんおにぎり
丸く大きく握ったおにぎりを岩のりが覆う「ばくだん」の名の由来は、その見た目にあった。隠岐の島で冬に収穫される香り高い岩のりを贅沢に使った、地元民に親しまれる郷土の味である。

柚子味噌
ゆずの皮と果汁を味噌に練り込んだ万能調味料。井原市の豊かなゆず産地ならではの、秋から冬にかけて作られる風味豊かな保存食である。

祖谷のでこまわし
阿波人形浄瑠璃の「木偶」が頭を回す姿に似た、囲炉裏で串を回しながら焼く独特の郷土料理。祖谷の小ぶりな「ごうしゅいも」や岩豆腐、そば団子を味噌だれで焼き上げる。

でんぶ
「まめに働いて暮らせるように」という願いを込めて正月に食べられる金時豆の煮物。高価な食材を使わない貧しさを越えた祝いの知恵が詰まっている。

地鶏の味噌ころばかし
「ころばかし」は宮崎県西地方の方言で、鍋の中で煮転がすことを指す。水を使わず地鶏と味噌を焦がさず煮詰める独特の調理法が、地頭鶏の濃厚な旨みを引き出す。

栗おこわ
「ごっくうさん」と呼ばれる三角の形で神に捧げ、秋の「くんち」で客人をもてなす佐賀の味。勝ち戦を願う「かち栗」を使う地域もある。

骨かじり
骨の髄まで吸って楽しむ豪快な郷土料理。猪狩りの猟師料理が起源で、手づかみでかぶりつく食べ方が名前の由来となった。

鮒味噌
「東海の赤味噌」が鮒の臭みを和らげ、骨までほろほろに煮込む西濃の保存食。木曽三川の恵みを閉じ込めた、寒い季節の味覚である。

ごまだし
漁師の妻が出汁の手間を省くために生まれたという大分県佐伯市の伝統調味料。焼いたエソとごま、みりんを混ぜた保存の利く「ごまだし」は、かけうどんとしてファーストフード感覚で親しまれている。

干し大根漬け
「はりはり」と音を立てて食べることから名付けられた新潟の保存食。酢を使わず醤油ベースで昆布とスルメの旨味を閉じ込め、寝かせるほどに味が深まる。

あらめ巻き
伊勢神宮に献上されてきた高級海藻「アラメ」を、旬の魚で巻いた三重県の伝統料理。正月には欠かせないごちそうとして、伊勢志摩の各家庭で受け継がれている。

孟宗汁
直木賞作家・藤沢周平が「毎年5月になると思い出す季節の味」と語った、鶴岡市の初夏を告ける名物料理。朝採りの孟宗筍と酒粕のコクが特徴の汁物である。

干しかぼちゃのえごま和え
「干す」ことでおいしさを閉じ込めた鬼無里の保存食。かぼちゃをカラカラに干し、煎ったえごまと和えると、肉のような食感と風味が楽しめる。

焼きもろこのどろ酢
琵琶湖固有種「ホンモロコ」を串焼きにし、味噌・砂糖・辛子・酢を混ぜた「どろ酢」をかけて食べる滋賀の名物料理。絶滅危惧種でありながら養殖技術で今も味わえる貴重な味。

いさざ豆
琵琶湖固有種の小魚「イサザ」と「畑の肉」大豆を合わせた佃煮。冠婚葬祭に欠かせない湖北の味で、照りのある煮汁が特徴的である。

えび豆
「エビのように腰が曲がるまでまめにくらせますように」という長寿への願いを込めた滋賀県の郷土料理。琵琶湖のスジエビと大豆を甘辛く煮込み、カルシウムとタンパクが豊富な保存食として親しまれている。

葉にんにくのぬた
ブリの刺身には醤油ではなくぬたをかけるのが高知県の常識。朝鮮渡来と伝わる葉にんにくを味噌・酢・ごまで和えた伝統調味料で、生魚やこんにゃくに添えて食べる。

たこ飯
漁船上で獲れたタコをそのままぶつ切りにして炊き込んだのが始まりという、漁師の知恵が詰まった愛媛の郷土料理。春の「木の芽だこ」や梅雨時のタコが特に珍重される。

ほっきめし
「貝の王様」と呼ばれるホッキ貝を贅沢に使った宮城県山元町の郷土料理。生の貝を醤油で煮込み、その煮汁で炊いたご飯の上にのせる、漁師町ならではの豪快な一皿である。
ふるさと納税千切り大根(切り干し大根)のまだか漬け
「まだかぁ~」と待ちきれず声が上がるほどの美味しさが名前の由来。宮崎県産の千切り大根を使った、体に良い具材が詰まった健康的な漬物である。

げんげの味噌汁
「下の下の魚」と蔑まれた深海魚が、コラーゲン豊富な幻の高級魚へ。富山の漁村で密かに愛されてきたゲンゲの味噌汁は、鮮度保持技術の向上により今や県内外で注目を集める。

おせずし
「押しずし」が訛った名前の由来を持つ、富山県新川地区の押し寿司。焼きサバのほぐし身を酢飯で挟み、海苔をのせて一晩重石で押し固める。四角く切り分けるのが特徴で、春祭りや「たてもん祭り」などの伝統行事で大皿に豪快に盛られる。

寒干大根煮
マイナス20度の夜と太陽の日差しを繰り返し、大根が飴色に変化する。飛騨・山之村の「天空の里」で生まれた、厳冬の知恵が詰まった保存食である。

こづゆ
「こじゅうのつゆ」がなまって生まれた名前の、会津塗の赤い「手塩皿」に盛りつけられる祝いの汁物。貝柱のだしで山と海の幸を煮込み、婚礼などの席で何杯でもおかわりして楽しまれた。
ふるさと納税水無月
氷の形を模した三角形の和菓子で、6月30日の「夏越しの祓」で無病息災を願って食べられる。小豆の赤は邪気払いの意味を込め、京都の伝統行事食として今も親しまれている。

ほっきめし
漁師たちが船内で食べた漁師飯がルーツ。福島県相馬市の米と松川浦のほっき貝を組み合わせた、だしが染み込む炊き込みご飯である。

豆数の子
「ひやし豆」と数の子を合わせた福島の正月料理。青大豆の一種であるひやし豆の平たい食感と、醤油漬け数の子の歯ごたえが絶妙にマッチする。

三五八漬け
「三・五・八」の名は塩3・こうじ5・米8の割合に由来するが、実際は1:1:1だったという説もある。江戸時代から続く二本松の米こうじ漬物で、野菜を余さず使い切れる保存食として長く親しまれている。

さつま汁
闘鶏で負けた鶏をその場で調理したのが始まりという、鹿児島の武士の食文化が息づく具だくさんの味噌汁。鶏の出汁が染み出した滋味深い一杯は、今も冬の定番として親しまれている。

おすわい/すばい
「お酢和え」が訛った名前を持つ富山県民のソウルフード。紅白の千切り野菜に甘酢を和え、正月の重箱から日常の常備菜まで幅広く親しまれている。

がっちょの唐揚げ
エサにがつがつ食らいつく姿から名付けられた「がっちょ」は、骨まで丸ごと食べられるカリカリの唐揚げに。カルシウム豊富で子どものおやつとしても親しまれてきた泉州の味である。

豚味噌
黒い島豚を丸ごと活用する知恵が生んだ保存食。味噌と豚肉に落花生・カツオ節を合わせ、ごはんやおにぎりの具として幅広く親しまれる。

折戸なすの田楽
「一富士、二鷹、三茄子」の縁起物として徳川家康も愛した、濃厚な甘みが特徴の在来種茄子を田楽で味わう。明治以降途絶えたが、平成17年に種子から復活を遂げた貴重な郷土料理である。

酒ずし
島津藩主の花見の残りごちそうが発酵して生まれた、鹿児島の押しずし。地酒「灰持酒」に漬けた米と山海の幸を重ね、半日寝かせる贅沢な春の味。

クーブイリチー
昆布と「よろこぶ」をかけた縁起物。沖縄の結婚式など祝い事に欠かせない、こってり甘辛い炒め煮だ。

豆腐田楽
白い袴に色の上着を着けた田楽法師の姿に似たことから名付けられた。串に刺した豆腐にねぎ味噌を塗って炙る滋賀の伝統料理で、寺院の多い土地で精進料理として発展した。

紅しょうが天
昭和初期の小説に登場するほど大阪庶民に浸透した、鮮やかな赤色が特徴の天ぷら。梅干しの副産物である紅しょうがを揚げた、近畿地方の定番惣菜である。

ターンムディンガク
「サーターダーンム」とも呼ばれるターンムディンガクは、子孫繁栄の縁起を担う沖縄の田芋をきんとん状に練り上げた甘味。脂っこい豚肉料理の後にデザート的に食されることもある。

小倉れんこん
「紫峰色」に染まる縁起物。筑波山の別称「紫峰」にちなみ、朝夕に赤く染まる山肌のように小豆とれんこんを煮込む独特の郷土料理である。穴が「先が見通せる」寓意を持ち、正月や慶事に欠かせない。

足ティビチ
「以類補類」の思想に基づき、脚の健康を願って食べられる豚足煮込み料理。かつては宮廷料理で、今は美容と長寿を願う女性や高齢者に人気の庶民食となった。

ヒラヤーチー
「平たく焼く」という意味の名前を持つ、沖縄の小麦粉焼き。台風停電時の非常食として生まれた知恵が、今やソースやマヨネーズをかけるお好み焼き風の間食へと進化している。

煮ごめ
親鸞聖人の命日に安芸門徒が作る精進料理。小豆と野菜を煮込み、3日間煮返して食べる温かな行事食である。

しょうゆ豆
お遍路さんの接待豆が醤油壺に転がり込んだという逸話を持つ香川の名物。煎ったそら豆を醤油に漬け込むことで、ポロッとくだける独特の食感が楽しめる。

おざら
夏バテを防ぐ冷たい麺の郷土料理。細く切った麺を冷やして温かい醤油つゆに浸し、暑い山梨の夏に親しまれてきた。

なまずの天ぷら
全国最大規模の利根川・渡良瀬川が流れる「群馬の水郷」板倉町の名物。泥抜きに1週間かける丁寧な下ごしらえで、クセのない白身がふっくらとサクサクの衣に包まれる。県外から食べに来る観光客も多い川魚料理の代表格である。

まぜ飯
祭りと祝いの日の熊本のごちそう「具飯(ぐめし)」。六嘉神社の秋の例大祭では馬肉入りを各家庭で炊き、親戚や隣人に振る舞う。豆腐が"びりんびりん"と鳴る「びりん飯」も仲間だ。

夕顔のみそ汁
夕方に花を咲かせることから名付けられた夕顔は、富士北麓の夏を彩る伝統的な野菜。朝顔とは別種で、ひょうたんのような細長いナガユウガオが用いられ、味噌汁にするとトロンとした独特の食感が楽しめる。

ゆず巻き
大根にゆずの皮を巻き込んだ埼玉の漬物。正月料理として愛される一方、酒の肴やお茶請けにもなる保存食で、甘酢や三杯酢に漬け込む家庭ごとの違いがある。

魚ずし
江戸時代、天領地・門川町に赴任する役人が待ち望んだという「魚ずし」。宮崎県沿岸部に伝わる姿ずしは、四国から渡った人々がもたらしたとされ、今も祭りで即完売する人気の一品である。

聖天ずし
江戸時代から変わらぬ姿で受け継がれる、熊谷・妻沼のハレの日の味。大きな油揚げに酢飯を詰めた稲荷ずし3本と巻きずし4切れのボリュームが、農作業の合間の腹持ちの良さとして親しまれてきた。

みき
「神酒」と書く奄美の発酵飲料は、口噛み酒がルーツという意外な歴史を持つ。米とさつまいも、砂糖を発酵させた甘酸っぱい味わいで、夏の栄養補給に重宝される。

がね
カニに似た形から名付けられた南九州の郷土料理。さつまいもを主材にした揚げ物で、甘めのおやつにも塩辛いおかずにもなる家庭ごとの味わいが魅力。

奈良茶飯
東海道の宿場・川崎で旅人を魅了した「ファーストフード」。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』に登場し、大名も立ち寄る人気店となった万年屋の名物料理が、現代に復活した。

しめ豆腐
かまぼこのような独特の歯ごたえが魅力の豆腐加工食品。かつては群馬の祭りや節句に欠かせない行事食として、近隣の主婦たちが集まって手作りしていた。

まめぶ汁
「忠実忠実しく健康で」と願いを込めた名前の由来を持つ、くるみ入り団子が特徴の汁物。江戸時代の凶作を乗り越えた知恵が、今も岩手・久慈の冬を温める。

たけのこ山椒煮
長さ1mを超える金棒で掘る「島田たけのこ」は、粘土質の赤土で育ち肉質が柔らかい。山椒の香りが効いた煮物は、春の味覚として地元で親しまれる。

豆腐田楽
炭火であぶった豆腐に、にんにく味噌やばっけ、山椒を付けて食べる岩手県北の郷土料理。串にははじぎ(ミツバウツギ)の枝を使い、季節ごとに味噌の味わいが変化する。

いもぼた
弓浜半島の砂地が生んだ「もち米代用」の知恵。さつまいもでかさ増ししたぼたもちは、あんの隙間から覗く黄色い中身が目印。口に入れると芋の甘みが広がる、一見ぼたもちに似て非なる郷土菓子である。

アカガレイの子まぶり
「フナの子まぶり」が伝わって生まれた鳥取の逸品。抱卵したアカガレイの卵を刺身にまぶし、濃厚なコクと淡泊な白身の絶妙なハーモニーを楽しむ。冬のハレの日にふさわしい特別な味わいである。

さばずし
山深い岡山県北部で、海辺から遠い山村が生んだ知恵。塩漬けのさばを使った棒寿司は、秋祭りのごちそうとして親類や知人に配られ、稲刈りの合間の労働食としても重宝された。

黒豆入りちらしずし
酢を加えると桜のようなピンク色に変化する、黒豆入りちらしずし。勝英地域のブランド豆「作州黒」をふんだんに使い、見た目の美しさと香ばしい味わいが特徴である。

江波巻き
酢飯を使わない異色ののり巻き。両端を閉じて櫹を漕ぎながら片手で食べられるよう、沖に出るのり漁師が生み出した携行食がルーツである。

わかめむすび
江戸時代、参勤交代の侍が刻みわかめをご飯にふりかけた姿を、宿の女中が「茶殻をかけて食べる」と驚いたという逸話を持つ。日本海の春の風物詩・干しわかめをまとわせた朴訥なおむすびは、今も山口の故郷の味として親しまれる。

茶がゆ
江戸時代に岩国藩主・吉川公が米の節約のために奨励した「茶がゆ」。ほうじた番茶を専用の鉄釜「鑵子」で煮出し、サラリとした口当たりに仕上げる。夏は冷やして、冬は温かく食べる風流な庶民食である。

出世いも
「出世」した芋という縁起のいい名前が付いた徳島県南部の郷土料理。米のかわりに食べられたさといもをこしあんで包み、輪切りにしてお祝い事に供される。

とんぶりの長芋和え
「畑のキャビア」と称されるとんぶりは、唐ぶりこ(ハタハタの卵)に似ることから名付けられた。大館市の伝統技法で作られる緑色の小粒を、長芋と和えて食す秋田の郷土料理である。

ゆずかん
国のGI保護制度に登録された「木頭ゆず」を丸ごと味わうゼリー。皮・実・果汁を余さず使い、半分に切ったゆずを器にする華やかなデザートである。

てっぱい
「鉄砲和え」が訛って生まれた名の由来を持つ、香川のため池文化が生んだ郷土料理。冬の「寒ブナ」を酢味噌で和え、酒の肴として重宝されてきた。

島ずし
江戸前の「ヅケ」技法のルーツともいわれる、伊豆諸島の島ずし。ワサビの代わりに練りがらしや島唐辛子の「島とう醤油」を使う独特の食文化が、各島で独自に発展した。

けんちん汁
鎌倉・建長寺で700年以上続く精進料理。落とした豆腐をくずして入れた逸話があり、野菜くずを無駄なく使う知恵が詰まった温かい汁物である。

えび天
えび天は、殻ごとすりつぶしたジャコエビの「ジャリッとした歯触り」が通の嗜みである、愛媛県新居浜から川之江にかけての燧灘の名物練り天。カルシウムたっぷりで子どもからお年寄りまで親しまれてきた。

たけのこの味噌煮
昆布のうま味を利かせた富山ならではの「たけのこの味噌煮」。射水市黒河の黒土が生む独特のほろ苦さと、高岡市西田のやわらかな歯ごたえが、春の訪れを告げる。

たけのこ昆布
北前船が運んだ北海道の昆布と、藩政時代に江戸から伝来した加賀の孟宗竹が出会った料理。「たけのこ昆布」は、金沢の歴史が生んだ二大食材の融合である。

葉っぱずし
アブラギリの薄紅色の葉で包む、九頭竜川流域の祝いの寿司。箸を使わず葉を剥いて手で食べる独特のスタイルが、祭りやお盆の席に華を添える。

沖あがり
「沖から上がった」漁師が漁の反省会で味わった鍋料理。駿河湾産の生桜エビを豆腐・葉ねぎとすき焼き風に煮込み、酒の肴として親しまれた漁師めしである。

かつめし
ナイフとフォークがなくても箸で食べられる洋食として戦後間もなく考案された、加古川の名物かつめし。デミグラスソースがかかった平たいビーフカツが、薄めに盛ったご飯の上に鎮座する。

いがみの煮付け
「殿さまはタイ、庶民はせめてタイという名がついた魚を」という言い伝えから生まれた、和歌山県南部の縁起物。正月に尾頭付きで煮付け、タイの代わりに食べる風習がある。

はたごんぼずし
「はたごんぼ」は急斜面の硬い赤土で育ち、直径10cm・長さ1mにもなる橋本市西畑地区の特産ごぼう。輪切りにして中心をくり抜き酢飯を詰めた「はたごんぼずし」は、地元組合が生み出したオリジナルメニューである。

蒜山おこわ
ちらし寿司の具を誤って入れた「失敗」から生まれた、大山おこわがルーツの豪華な郷土おこわ。昭和30年代に蒜山の地元素材を活かして再創造され、祭りや祝事の定番となった。

いりこ飯
漁獲から30分で煮沸される伊吹島の新鮮ないりこを使い、濃厚な出汁で炊き上げる香川の炊き込みごはん。瀬戸内海の恵みを丸ごと味わう郷土料理である。

ふなんこぐい
「鮒のこぐい」とも呼ばれる佐賀の伝統料理。昆布で巻いたフナを10時間煮込み、骨まで食べられるほどやわらかく仕上げる。恵比寿様への供物として300年以上続く「ふな市」で材料が売られる。

かんざらし
年貢米を納めた庶民がくず米から生み出した知恵のスイーツ。島原の湧水で冷やした団子に蜜をかける、シンプルながら奥深い夏の味覚である。

赤ど漬け
「阿蘇の馬刺し」と呼ばれる鮮やかな赤色の漬物は、里芋の茎を塩と酢で漬けたもの。中秋の名月に収穫されたものほど色が美しく出るとされ、女性たちは漬け方に気を使ったという。

てっぽう汁
箸でカニの足をつつく仕草が鉄砲に弾を込めるように見えたことから名付けられた、根室発祥の漁師汁。花咲ガニの濃厚な出汁が決め手の味噌汁は、かつて夏から秋の漁期に漁師たちが海で作って食べた手軽な一品である。

カスベの煮付け
「煮ても焼いても食べれない“かす”にしかならない魚」という蔑称から名づけられたカスベは、今や冬の北海道を代表する煮付けに。骨まで食べられる軟骨魚で、冷めると煮こごりになるのも特徴である。

氷頭なます
鮭の頭の軟骨「氷頭」を酢でしめた正月の珍味。一匹からわずかしか取れない貴重な部位は、平安時代から朝廷に奉納されるほど古くから食されてきた。

もろこずし
木曽三川の水郷が育んだ押し寿司。小さな淡水魚「もろこ」を甘辛く煮詰め、酢飯と重ねた正月のもてなし料理で、西濃地域に今も息づく素朴な味わいである。

うす焼き
桜えびと紅しょうがの香りが際立つ、もちもちの薄焼き。盛岡八幡宮のお祭りでしか味わえない幻の屋台グルメとして、地元で半世紀以上愛され続けている。

なまり節と白玉葱のサラダ
全国シェア51%の静岡県産「なまり節」を、刺身のように薄く切ってサラダに。明治時代に知多半島から伝わった浜松の白玉葱と合わせ、旬の味をシンプルに味わう郷土料理である。

こんにゃくのみそおでん
生のこんにゃく芋を手作りした三角形のこんにゃくに、ごまやゆずを混ぜたみそだれを付けて食べる秩父・寄居の名物。熱々の串揚げスタイルで、子どものおやつから観光客の味わいまで幅広く親しまれる。

かてめし
醤油を使うハレの日の飯物として、五目ちらしよりも重宝されたという秩父の名物料理。米のかさを増やす工夫から生まれた庶民の知恵が、現代も家庭で受け継がれる。

たこ飯
「桜飯」とも呼ばれる美しいピンク色は、生タコを米と一緒に炊き込む愛知県独特の技法によるもの。漁師が船で即興で作った「漁師飯」が起源とされる。

じゅんさい鍋
沼に縄のように生える「ヌナワ(沼縄)」と呼ばれた水草が、箱舟で手摘みされる三種町の夏の風物詩。鶏肉との相性抜群の鍋料理として、現代では「夏の鍋」として親しまれている。

落花生味噌
規格外の落花生を活用するため農家が考案した常備菜で、千葉県産の8割を占める国産落花生の知恵が詰まっている。味噌と砂糖、みりんで練り上げ、ごはんのおかずから酒のつまみまで幅広く親しまれる。

高津のとり飯
「米1升に飯茶わん1杯の醤油」という分量で代々伝えられる、安産祈願の子安講や豊作願いの八朔に欠かせない千葉の味。肉を小さく切るのは、貴重な食材を皆で分かち合うための知恵である。

塩漬けタケノコの天ぷら
首都圏一の生産量を誇る千葉県の「白たけのこ」を塩漬け保存し、通年楽しむ知恵が詰まった天ぷら。アク抜き不要の良質な筍が、シンプルな調理で際立つ。

モロの煮付
海のない栃木県で親しまれる「モロ」は、尿酸を蓄えるサメの特性を活かし内陸部に届いた貴重な海の幸。醤油と砂糖でやわらかく煮付けた家庭の味は、今もスーパーで気軽に手に入る。

上州きんぴら
ごぼうを太く切るのは上毛三山をイメージしたもの。1983年「あかぎ国体」で誕生した群馬の新しい郷土料理で、豚肉と特産野菜の旨味が詰まった甘辛炒め煮である。

長寿なます
食べると長生きするとされる縁起物。白ごまと厚揚げを練り込んだペーストで野菜を和える、福井県敦賀のお正月定番。一部地域では「こっぱなます」と呼ばれ、千切りの油揚げやねぎが入る。

いさざの卵とじ
「春告げ魚」と呼ばれるイサザを、生きたまま丸ごと卵とじにする能登の旬の味。透き通った小魚が踊るような姿から「踊り食い」も有名だが、身が大きくなる春先には卵とじが定番となる。

ひねずし
「すしの元祖」と呼ばれる奥能登の発酵食品。桶の中身は食べる直前まで確認できないという、運命の一瞬をともにする郷土料理である。

柳ばっと
江戸時代、南部藩が細切りそばを禁じた際、農民は「これは柳ばっとだ」と称してそば粉の団子を食べ続けた。名前の「ばっと」は禁を犯した「法度」から由来する、岩手県北部の知恵と抵抗の郷土料理である。

みそかんぷら
オランダ語が訛って生まれた「かんぷら」という呼び名。出荷できない小さな馬鈴薯を味噌と砂糖で炒めた、農家のアイデア料理である。

水かけ菜の漬物
「水をかける」という名の由来通り、富士山の湧水を流して栽培される早春の特産野菜。明治時代に越後から伝わった漬物は、鉄道工事の労働者たちに広まった。

くるみ豆腐
鬼ぐるみの渋皮を丁寧に取り除いて作る「くるみ豆腐」は、ごま豆腐より手間暇がかかる江刺地方の精進料理である。地元では「おいしい味」を「くるみあじ」と呼ぶほど、くるみが食文化に深く根付いている。

ハモ鍋
骨切りした淡白なハモに、甘み豊かな泉州玉ねぎが絶妙に合う大阪湾の郷土鍋。玉ねぎ栽培発祥の地ならではの組み合わせが、家庭の味として親しまれてきた。

黄飯と黄飯かやく
小豆代わりにくちなしで染めた山吹色のごはん。財政難の臼杵藩で贅沢を避けて生まれた知恵の一品で、武家の「黄飯」と商人の「かやく」が組み合わさる。

まなめはり
幻の野菜「下北春まな」を使った奈良県下北山村限定のめはりずし。寒さで甘みが凝縮した肉厚の葉が、山仕事のお弁当として古くから親しまれてきた。

粕汁
正月の鮭や鰤の残りを使い、酒粕と野菜を煮込む「二十日正月」のけじめの食。灘五郷の酒造文化が生んだ、冬の山間部を温める滋養の味噌汁である。

一文字のぐるぐる
白根を軸に青い葉をぐるぐる巻いた、熊本の春の味覚。6代目藩主・細川重賢の倹約令から生まれた、酒のつまみとして考案された知恵の料理である。

歳とり膳/年取り膳/年越し料理
大晦日の夜、家族揃って「歳を一つ取る」ことを祝う豪華な膳。旧暦の日没から始まる新年を、高膳に盛られた縁起物と共に迎える古い風習である。
ふるさと納税からいもねったぼ
「練ったぼたもち」が縮まった名の餅料理。鹿児島県では年末年始の餅つきの際、蒸したさつまいもと餅を混ぜ合わせ、きなこと砂糖で味付けして食べる風習が残る。

いぎす豆腐
愛媛県今治市周辺の海岸で7・8月に採れる海藻「いぎす」を、生大豆粉と煮溶かして寒天のように固めた夏の名物。冷や奴のようなひんやりとした舌ざわりが、暑い季節の食欲をそそる。

打ち豆汁
雪深い湖北地域で冬に欠かせない「打ち豆汁」。大豆を木づちで花型に潰して乾燥させた打ち豆を、かぶや里芋と共に煮込む味噌汁で、お寺の報恩講ではお講汁として振る舞われる。

ヒージャー汁
山羊の強い臭みをよもぎと苦菜で包み込む、沖縄の「薬膳鍋」。「ヒージャーグスイ」と呼ばれ傷の回復薬として珍重されてきた、好き嫌いが分かれる名物料理である。

ぼうたら煮
骨までやわらかく煮込む「ぼうたら煮」は、戻しと煮込みに一週間かかる手間暇を惜しまない、会津の冬の特別な味。正月や祝い事に欠かせない一品である。

たけのことふき・生節の炊いたん
海から遠い京都ならではの「生節」という鰹節を使った春のおばんざい。たけのこ農家が繁忙期に備えてふきを常備したという実用的な由来を持つ。

かて飯
「かて」は米に加える具材のことで、もともとは米不足時代のかさ増し料理だった。群馬県では天神講の日に供されるほか、忙しい日の手軽なごちそうとしても重宝される。

甘露梅
関東三大梅林の一つ・越生梅林の「べに梅」を使い、青梅を赤ジソで包んで砂糖漬けにする甘露梅。南北朝時代に太宰府から伝わった梅の里の伝統菓子である。

かすべ煮
冷めても美味しく傷みにくいことから、魚の少ない夏の貴重なごちそうとなったエイの煮物。土崎港曳山まつりでは「かすべ祭り」の通称で親しまれ、各家庭が代々伝える伝統の味を来客に振る舞う。

とろろまんま
魔除けの力があると信じられ、秋田では正月元旦に必ず食べる縁起物。やまのいもの粘りと濃い味噌汁が絡む、精のつく一膳である。

卵寒天/醤油寒天
貴重だった卵と寒天が結びついた山形県庄内の祝い菓子。甘じょっぱい醤油味で冷やして固め、祭りや正月に親しまれてきた。

おかひじきのからし和え
海岸の野草が山形の内陸砂地で開花した伝統野菜。おかひじきは見た目がひじきに似ることから名付けられ、江戸時代に庄内から米沢へ伝わり、今も南陽市が誇る名産となっている。シャキシャキの食感を辛子醤油で引き立てるからし和えが定番の食べ方である。

ねずし
「ねずしがないと正月が来ない」と言われる飛騨の発酵寿司。厳寒の土地で生まれた甘酸っぱくマイルドな味わいは、全国のなれずしの中でも食べやすいと評判である。

れんこんのすり流し汁/れんこんのごりごり汁
「水神さんの糸引きれんこん」と呼ばれる水沼神社の池のれんこんを、鬼おろしですりおろして味噌汁にした滋養食。江戸時代、藩主が財政再建のために導入した高鍋藩の名産を、真冬の泥の中から掘り出す貴重な食材で味わう。

かに巻き汁
カニを丸ごとすりつぶして味噌汁にするという驚きの調理法。臼と杵で砕いた「山太郎ガニ」が、おぼろ豆腐のようにふわふわと浮かぶ北郷町の秋の味覚である。

あけびの味噌詰め焼き/あけびの油焼き
山形県ではあけびの皮を食べるという全国でも珍しい食文化がある。ほろ苦い皮に味噌を詰めて焼く「あけびの味噌詰め焼き」は、秋の味覚として内陸部の家庭に親しまれてきた郷土料理である。

七とこずし
「七とこさんの日」に近所7軒から分けてもらう、子どもの成長を願う行事食。七草粥とは異なり、餅と里芋・せりなどを炊き込んだ雑炊である。

ずいきの炊いたん
里芋の葉柄「ずいき」を使った京の夏のおばんざい。北野天満宮の「ずいき祭り」では、太い赤ずいきで葺いた神輿が五穀豊穣を祝う。シャキシャキとした食感とさっぱりとした味わいが特徴である。

車麩の煮物
ドーナツ型の独特な形状が名の由来。室町時代に中国から伝来し、北前船で新潟に渡った加工技術が生んだ、一週間近くかけて仕上げる手間ひまのかかる伝統食材である。

鶏飯
薩摩藩の役人をもてなすために考案された、奄美群島の知恵と技が詰まった郷土料理。鶏を余すことなく使い、鶏ガラのコク深いスープをかけてさらさらと頂く。

こも豆腐
藁編みのむしろ「こも」で豆腐を包んで茹でると、表面に無数の気泡が立ち、ワラの香りと美しい模様が生まれる。飛騨のおもてなし料理として、盆や正月に振る舞われてきた。

いとこ煮/にざい
親鸞聖人の命日に供される浄土真宗の法要料理。小豆と根菜を煮込む「いとこ煮」は、いとこのように近しい食材が集まることから名付けられたともいわれる。

半助豆腐
鰻の頭「半助」を豆腐と煮込む大阪名物。1円に対して半値の50銭で売られたことから「半助」と呼ばれるようになった捨て身が、濃厚なだしの主役となる「始末の料理」である。

具だくさん味噌汁
「味噌は医者いらず」の言葉通り、長野県民の活力源として一日一杯が欠かせない具だくさん味噌汁。すいとんを入れた「ひんのべ・とっちゃなげ」など、地域ごとの呼び名も豊富である。

いかと里いもの煮もの
富山湾の鮮度抜群スルメイカと、江戸時代から続く伝統野菜サトイモを煮込む冬の定番。プリッとした食感とねっとりとしたやわらかさの対比が魅力の、ご飯にも酒にも合う家庭的な味わいである。

豆腐でんがく
高足の舞を舞う田楽法師の姿に似せて名付けられた、伊賀の伝統的な豆腐料理。炭火で焼いた木綿豆腐に甘辛い田楽味噌を塗り、炙り焼きで仕上げる。

こけらずし
「こけら」の名は、木の削り片を瓦のように並べた屋根に由来する。淡路島西浦海岸で秋の収穫祭や冠婚葬祭に振る舞われ、干し魚のそぼろを酢飯にのせた押し寿司である。

ソーミンタシヤー
「チャンプルー」ではなく「タシヤー」と呼ばれる由来が興味深い、沖縄のそうめん炒め。豆腐を含まない炒め物の正しい呼称として、地元で親しまれている。

うずめ飯
ごはんの下にタイや野菜が隠れた「うずめ飯」。江戸時代、質素倹約を装うため具材を隠したという説があり、提供時に伏し目がちにする習わしも残る。昭和14年には「日本五大名飯」に選定された名物料理である。

うずみ
ごはんを具材の下に「埋める」法事料理。京都の茶懐石に由来する贅沢な味わいと、平家落人が白米を隠して食べたという二つの起源伝承が残る、東牟婁郡平井集落独自の郷土料理である。

こも豆腐
藁苞に包んで塩ゆでした豆腐に、わらの跡が美しい模様を描く。納豆のように藁で包むという、茨城県の大豆文化が生んだ知恵の保存食である。

もずく丼
学校給食で人気爆発した沖縄のソウルフード。ショウガ汁で臭みを抑えた甘辛炒めをご飯に乗せ、老若男女に愛される。

さわらのこうこずし
「こうこ」とは秋に漬けたたくあんの古漬けのこと。明治の中頃、寿司の端に添えていた小皿がいつの間にか混ざり込み、今や欠かせない名脇役となった。

すもじ
「生き腐れ」と呼ばれる傷みやすいサバを、内陸まで運ぶ知恵として生まれた焼きサバのちらし寿司。交通の要衝・雲南市で名物となった、海と山を結ぶ食文化である。

あずま
米を節約するため酢飯の代わりに卯の花を使う、広島の知恵が詰まった握り寿司。秋祭りや正月に大勢で囲む酒の肴として親しまれてきた。

こうなごのくぎ煮
錆びた釘に似た細長い姿から「くぎ煮」と名付けられた三重県の佃煮。伊勢湾の春の風物詩として親しまれてきたが、資源保護のため近年は禁漁となり、回復を待つ状態にある。

甘納豆のお赤飯
甘納豆を入れた甘口の赤飯は、山梨県で長く親しまれてきた珍しい郷土食である。ささげや小豆を使わず、食紅で赤く染めたもち米に甘納豆を加え、ごま塩を振って甘じょっぱく味わう。

じゅうねん冷やだれ
えごまの種が「十年」保存できることに由来する「じゅうねん」を使った、福島の夏の名物。炒り潰したえごまの香り豊かなたれに、冷たいうどんをつけて食べる。

海藻よせ
琴柱に似た海藻を煮詰めて固めた、鹿行地域の正月の箸休め。磯の香りが際立つさっぱりとした味わいで、濃厚なおせち料理の口直しとして親しまれてきた。

あわびの煮貝
海のない山梨の内陸で名産となった珍しい煮貝。醤油に漬け込んだアワビを馬で揺らしながら運んだ甲府の食文化が、深い旨味の逸品を生み出した。

れんこんのきんぴら
国内シェア50%の日本一のれんこん産地・茨城県で、太めに切ったれんこんをシャキシャキと炒め上げた常備菜。収穫時期で食感が変わる旬の味を、いつでも食卓に迎えられる郷土の知恵が詰まっている。

手作りさしみこんにゃく
江戸時代に水戸藩の財政を支えた奥久慈の特産・こんにゃくを、生のまま刺身で味わう贅沢な食べ方。新年や祭りのハレの日に客人をもてなす一品として親しまれてきた。
ふるさと納税干瓢の卵とじ
加工に失敗したかんぴょうを惜しんで生まれた、栃木の農家の知恵料理。溶き卵と絡めた優しい味わいは、今も学校給食で親しまれる。

ゆず巻き
だいこんにゆずの皮を巻いた甘酢漬け。宇都宮市北部の寒冷ゆずは肉厚で香り高く、雑煮の後の口直しとして欠かせないお正月の定番である。

さんまめし
海なし県・山梨で秋に親しまれる、旬のサンマと新米を炊き込んだ祝いのごちそう。稲刈りの終わりに業者が運んだ塩サンマが発祥とされる一皿である。

うすやき
山梨の粉文化が生んだ薄焼きのおやつ。ちりめんじゃこや青じそを混ぜて焼く定番のほか、あんこや煮豆を包む甘い版もあり、農作業の合間に手軽に食べられてきた。

こねり
なすとにがうりを味噌ととろみでまとめる大分の夏のおかず。国東では「オランダ」――炒め油の音から方言「おらぶ(叫ぶ)」が語源という説も。漫画『美味しんぼ』にも登場した。

ぬかみそ炊き
小笠原藩の陣中食「陣立煮」がルーツの保存食。百年もののぬか床を使い、青魚の生臭さを消す「おささじ煮」の別名も持つ北九州の知恵料理である。

のっぺ汁
片栗粉でとろりとした濃度をつける「のっぺ」の名がつく、佐賀の根菜たっぷり汁物。冠婚葬祭で具材を変えて食べられ、祝いには鶏肉やあずき、仏事には花麩を入れる風習がある。

フライ
「フライ」とは揚げ物ではなく焼き物だ。昭和初期、足袋工場の女工たちに大ヒットした行田の名物で、名前の由来には「布来(ふらい)」説など諸説ある。

つがにめし
「がね飯」「かに飯」とも呼ばれるつがにめしは、産卵のために川を下る秋のツガニを丸ごと炊き込んだ佐賀の味。鶏をさばくより手軽だったため、お祝いの席で重宝された。

せぐろいわしのごま漬け
「背黒」と呼ばれるカタクチイワシを、炒りごまと唐辛子で漬け込んだ千葉・九十九里浜の保存食。大量に水揚げされる旬のイワシを、日持ちさせる知恵が生んだごまの香り豊かな郷土料理である。

てんもんどう
千葉県の農家が砂糖で野菜を煮詰めた保存食「てんもんどう」。漢方薬のクサスギカズラに由来する名前は、蜜漬けの滋養効果にちなむ。ごぼうやれんこんなど多様な野菜が使われ、防腐剤なしで10ヵ月保存できる。

柳川鍋/どじょう汁
江戸庶民の夏の滋養食「どじょう汁」には、生きたまま煮る「丸鍋」と骨抜きの「ぬき鍋」、卵とじの「柳川鍋」の3種類がある。1801年創業の「駒形どぜう」は、縁起をかついで四文字から三文字の店名に変えた老舗である。

ゆきのつゆ
有田焼の窯元で寒い夜の窯焚きに欠かせなかった夜食。鬼おろしで粗くおろした大根おろしと焼き餅を味噌汁に浮かべ、体の芯から温める汁物である。

こはだの粟づけ
「シンコ」「コハダ」「ナガスミ」「コノシロ」と成長で名前が変わる出世魚を、クチナシで黄色に染めた粟と漬け込む。五穀豊穣を願う縁起物として、江戸時代から正月のおせちを彩ってきた。

梅ごはん
戦国時代から続く小田原の梅文化が生んだ夏の名物料理。梅干しとちりめんじゃこの相性が、だし炊きごはんに爽やかな風味を添える。

割り干し大根のはりはり漬け
「パリパリ」と歯ごたえを楽しむ三浦の味。日本一大根の産地・三浦市で、古くから親しまれてきた冬の定番漬物である。

いもみそ
絹織物にたとえて名付けられた「帛乙女」という里芋を、だし汁と味噌でコトコト煮た五泉市の郷土料理。秋の収穫期に粒の小さい里芋が出回ると、各家庭の食卓に並んだ。

ふかしなす
新潟県が全国一のなす消費量を誇る背景にある、蒸して冷やした「ふかしなす」。アクが強い巾着なすがふかすとトロリと甘く変化し、夏の暑さをしのぐ郷土の知恵である。

ミヌダル
真っ黒な外見から「黒肉」と呼ばれる沖縄の祝い料理。イカ墨を加えたゴマだれで豚ロースを漬け込み蒸し上げると、見た目に反してあっさりとした味わいに仕上がる。

どじょう汁
栃木県宇都宮周辺の夏の名物で、暑さを乗り切る精力食として親しまれた。丸ごと煮たどじょうに卵を落とし、うどんを加えて食べるのが定番である。

黒豆おこわ/みたま
富山県東部で「みたま」「白ごわい」とも呼ばれる黒豆おこわは、かつて祭りの祝い飯だったが、現在は葬儀・法事の弔事料理として定着。黒部市では秋にイナキビを加えた「きびおこわ」が神仏への供え物となる。

茶粥
「大和の朝は茶粥で明ける」と謳われる奈良の日常食。お水取りの練行衆の献立にも登場する、1200年以上の歴史を持つ朝の名物である。

きしず
「けし酢」が訛って「きしず」となったという名称の由来を持つ、加賀市大聖寺の精進料理。刺身の代わりに山海の珍味を錦皿に盛り、香ばしい胡麻だれで味わう。

ひっつみ/ひっつみ汁
「手でちぎる」という方言「ひっつまむ」が名前の由来。小麦粉を手でちぎって煮る、岩手県央の「しとねもの」文化が生んだ、冷害に備えた知恵の料理である。

ほうばめし
田植えのお祝い「さつきあげ」にふるまわれた、ほう葉の香りがきな粉ご飯にしみ込む携行食。熱々のご飯で葉の色が変わるほど馴染ませるのがコツである。

茶飯
「奈良茶飯」を宿場町・今庄に旅人が伝えた、福井の忘れがたい「故郷の味」。豆入り番茶で炊き、仕上げに酒をふりかける独特の香ばしさが特徴である。

はまなみそ
徳川家康が愛した「浜なっとう」が越前の風土で生まれ変わった冬の保存食。甘酒と豆麹、塩漬なすを発酵させた福井の隠れた名物料理である。

ひたし豆
馬の鞍を掛けたような模様から「鞍掛豆」とも呼ばれる青大豆を、薄味のだし汁に浸したシンプルな郷土料理。独特の海苔のような風味とコリコリとした食感が特徴で、正月のおせちにも欠かせない。

小豆ばっとう
「ほうとう」がなまって生まれた名前の、三陸沿岸の甘味うどん。8月7日に7回食べると無病息災という夏の風習があり、近年はソフトクリームとのコラボも人気。

けんちん汁
小正月に女性を休ませるため大量に作り、温めなおして食べた知恵の汁物。岩手では豆腐を油で炒めてそぼろ状にし、気仙地方では椿油の香りが特徴である。

スルメの麹漬け
鳥取の山間部で生まれた「おふくろの味」——スルメイカを海風で干し、麹に漬け込むことで冬の保存食として長く親しまれてきた。

わさびずし
わさびの葉で包む押しずしは、貴重な葉を冷凍保存してまで現代に受け継がれる有田地方の知恵。田植えやお盆など季節の節目に欠かせない味である。

はっと汁
「法度」に由来する名の郷土料理。400年前、米を献上せざるを得なかった登米の農民が小麦粉で生み出した知恵の食。薄く伸ばした麺はかつて女性の腕前を競う技でもあった。

黒田せりとほうれんそうのおひたし
北大路魯山人が「日本一」と絶賛した島根県松江市の黒田せりは、江戸時代から続く厳寒期の水田栽培で育まれた貴重な郷土野菜。ほうれんそうとのおひたしは、シャキシャキとした歯ごたえと香りを楽しむ冬の定番家庭料理である。

笹巻き
熊笹の芯棒が串代わりになる手軽な食べ方が特徴。旧暦端午の節句に男の子の成長を祈り、島根の家庭で一家総出で作られる伝統の米粉菓子である。

のっぺい
城下町・萩の生活に欠かせない「のっぺい」は、仏事には鶏肉を抜きぎんなんを加えるなど用途で使い分ける知恵が息づく冬の定番汁物料理である。

いいだこの煮つけ
体内に飯粒のような卵を抱えた「飯蛸」は、墨ごと味わうと忘れられない味わいと伝わる。岡山県倉敷市の下津井周辺で冬に水揚げされ、煮付けにして親しまれてきた。

ごぼう巻き
かまぼこ作りの副産物であるエソの皮を、ごぼうに巻いて焼いた山口県萩の名物料理。江戸時代から続く水産加工の知恵が生んだ、捨てるところのない食文化の象徴である。

がんづき
雁の肉に似ていることから名付けられた「がんづき」は、宮城県民にとって馴染み深い素朴な蒸しパン。黒砂糖の風味が特徴的な「黒がん」と、ういろう風の「白がん」があり、日常のおやつとして親しまれてきた。

けんちょう
長崎けんちぇんとも鎌倉建長寺ともつながる、豆腐と根菜の甘辛煮。下関では貿易の歴史から「建長寺説」が有力視され、何日も煮返すほど味が染みる日常の味である。

うの花きずし/唐ずし
おからをシャリ代わりに使う山口県北部の独特な寿司。イワシを酢で締めて巻きつけ、価格が安く保存にも利く庶民の知恵が詰まった名物である。

白味噌雑煮
勝浦では黒砂糖、相生地区では砂糖を入れる徳島の白味噌雑煮。まなというアブラナ科の野菜を加える伝統があり、今は小松菜や春菊で彩り豊かに仕上げる。

ならえ
「奈良漬け」が訛って生まれた名前を持つ、徳島の七色精進料理。甘酸っぱい三杯酢で和えた野菜たちは、物資が乏しかった時代の子どもたちにとって特別なおやつのような存在だった。

鮎ろうすい
鮎が丸ごと一本入った雑炊「鮎ろうすい」。勝浦川の清流で育った鮎はコケを食べて育ち、腹まで食べられるのが特徴。すだちの香りとともに夏の味覚を楽しむ。

いもたこ
子孫繁栄を願う縁起物として正月や婚礼に供された、瀬戸内海のタコと香川の里芋の煮付け。海と里の幸を組み合わせたシンプルながら滋味深い郷土料理である。

三角ちまき
日本最古のちまきとされる三角ちまきは、上杉謙信が戦の携行食と考案したとの言い伝えを持つ。もち米を笹で包みイグサで縛った素朴な味わいで、きな粉をつけて食べる。

つぼ煮
立山信仰の宿坊で振る舞われた精進料理が、朱塗りの「つぼ椀」に盛られたことで名付けられた。春に摘んだ山菜くごみを干して保存し、一年中味わえる具だくさんの煮物である。

ふくめん
こんにゃくがそぼろに「覆面」された見た目が鮮やかな、愛媛県宇和島の祝い料理。四季を表す彩りがハレの席を華やかに彩る。

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。

ほんこさん/報恩講料理
親鸞聖人の好物だった小豆を使った「おつぼ」など、浄土真宗の報恩講で供される精進料理が福井県の家庭料理として定着。秋から新年にかけて地域の女性たちが心を込めて作る「ふるさとの味」である。

麩の辛し和え
浄土真宗の最大行事「報恩講」に振る舞われる精進料理。福井県独自の「地からし」が香ばしい芳香を放ち、麩と味噌で貴重なたんぱくを補う知恵が詰まっている。

でっち羊かん
京都から福井に帰郷した丁稚が持ち帰った羊かんを水で伸ばして生まれた、福井の冬の風物詩。こたつで木べらですくう庶民的な味わいが今も残る。

とうがん汁
「冬瓜」と名付けられた由来は、皮が厚く日持ちが良く冬までもつことから。夏が旬の愛知県の名物汁物で、水分補給にも重宝される。

たけのこの木の芽和え
「木の芽和え」と聞けば京の春を思い出すほど定着した郷土料理。白味噌と卵黄のまろやかな味噌だれが、たけのこの甘みと木の芽の香りを引き立てる。

若桜のおやき
「大」や屋号が刻まれた亀甲形の押し型で型押しする、若桜神社大祭のおもてなし菓子。まきの粉とよもぎの生地に小豆あんを包み、鉄板で焼く香りが町中に漂った。

スズキの奉書焼き
江戸時代、松江藩主が灰だらけの蒸し焼きを「奉書に包んで」所望したことが名前の由来。宍道湖のスズキを和紙に包み蒸し焼きにする、格式高い郷土料理である。

わりご弁当
平安時代から使われる「わりご」という斜めに二つ割りの木箱に詰めた幕の内弁当。小豆島の肥土山農村歌舞伎の席で、20個を黒塗りの木箱に納めて持ち寄り、分け合って食べる独特の食文化が残る。

こんちん
歯ごたえがクセになる大豊町の郷土菓子「こんちん」。ささがきごぼうをふんだんに混ぜた小麦粉生地を焼き上げ、昔は麻の実、今はえごまが香りを添える。山あいの農家が米のとれない時期に中力粉を主食とした暮らしから生まれた素朴な味である。

あぶってかも
「あぶって噛もう」から名付けられた福岡の珍味。小骨だらけのスズメダイを丸ごと焼き、鱗の香ばしさと肝のほろ苦さを酒の肴にする、玄界灘の漁師の知恵が詰まった一皿。

シャクの天ぷら
潮が引いた干潟に筆を入れて一匹ずつ誘い出す「シャク釣り」で捕獲する、熊本ならではの夏のごちそう。殻ごと丸ごと揚げた天ぷらは身も内臓も味わえ、焼酎との相性が抜群だ。

淡竹とエンドウの煮物
お弁当のおかずとしてお年寄りに懐かしまれる、高知の春の定番煮物。淡白な淡竹と甘みのあるエンドウが旬の出会いを果たす。

あじの丸ずし
アジを丸ごと使った大分県佐伯市の郷土寿司。梅酢漬けの魚に赤しそを巻き、祝いの席で重宝された保存効きの手間暇かける一品。

チャーテの和え物
高知県では「ハヤトウリ」を英名のChayoteから「チャーテ」と呼ぶ。1株から200個も実をつける「千成」の異名を持ち、ご近所へのおすそ分けが習慣化した山間部の人気食材である。

鶏汁
鶏肉消費日本一の大分で、かつては縁の下に鶏を飼い、ハレの日に全てを余さず使った知恵の汁。親鳥のしっかりとした肉質と、ガラから取る出汁の深みが特徴である。

こぶずし
昆布で酢飯を巻く高知の巻きずし。県中央部は白い板昆布、西部は黒い煮昆布と、同じ名で対照的な二つの姿を持つ。芯の具材がないのも特徴で、冠婚葬祭のハレの日に客をもてなした。

ヤファラジューシー
「ボロボロ」とも呼ばれる沖縄の雑炊風炊き込みご飯。豚だしで煮込んだ体を温める家庭料理で、冬や体調不良時に重宝されてきた。

エツの南蛮漬け
有明海・筑後川にのみ生息する「幻の魚」エツを、年に一度の解禁期に南蛮漬けに仕立てる福岡の夏の味。銀鱗を振って息絶える儚さが「美人薄命」の異名の由来である。

つんきーだご汁
武雄弁で「ちぎる」を意味する「つんきー」が名の由来。手でちぎった小麦のだんごを、旬の野菜と煮込んだ佐賀の汁物で、寒い日の体を温める郷土料理である。

ひきとおし
「引き通し」がなまって「ひきとおし」となった、壱岐島のもてなし料理。鶏肉と壱州豆腐、そうめんを鍋に入れ、鍋の水に壱岐焼酎を注ぐのが特徴的な食べ方である。

パスティー
パイ生地の蓋を崩してスープに浸す、長崎ならではの和華欄料理。鎖国時代にオランダ人から伝わった洋風パイが、和風の出汁と具材と融合し、独自の進化を遂げた。

山するめのきんぴら
干したけのこがスルメに見えたことから「山するめ」と名付けられた熊本の保存食。シャキシャキとした歯ごたえが酒のつまみにもぴったりの一品である。

がね揚げ
天草の方言で「がね」はカニのこと。揚げた姿がカニの足に似ることから名付けられた精進料理で、仏事には欠かせない一品として長く親しまれてきた。

あゆうるか
「うるか」とは塩辛のことで、大分県ではアユの内臓だけを使った「にがうるか」が主流。独特の苦味・渋味を好む人が多く、昔から腹痛時に重宝された発酵食品である。

落花生なます
炒った落花生をすりつぶして加えることで、酢の物が苦手な人にも食べやすいまろやかな味わいに。静岡県東部の正月の定番「紅白なます」は、落花生のこくがあとをひく郷土の知恵である。

まご茶漬け
「まごまごしないで早く喰え」という漁師の言葉が名前の由来。鮮度抜群のアジを叩いて熱いお茶をかける、伊豆半島の漁師めしが家庭の味に。

黄いないおこわ
端午の節句に愛知県で食べられる「黄いないおこわ」は、かつて高級だった赤飯の代わりに生まれた庶民の知恵。くちなしの実で染めた黄色いもち米に、健康祈願の黒豆を添える。

わらびたたき
「トントン、トントン」という包丁の音が春の訪れを告げた山形の郷土料理。わらびを叩いて繊維を断ち切り、トロトロの食感に仕上げる独特の調理法が特徴である。

おしもん/おこしもん
「押して作る」から名づけられたとも「起こして外す」からともいわれる、愛知県の桃の節句の菓子。米粉を型に押して色付けし、お雛様に供えた後は焼いて食べる。

たらの子つけ
巨大なマダラの真子をまぶした刺身で、黒い皮に覆われた見た目はインパクト抜群。酒と塩で味つけしたいり煮をのせ、いり酒で食べるのが能登の伝統的な味わい方である。

ぜんまいの煮物
「山菜の王様」と称されるぜんまいは、綿毛を取り2〜3日かけて揉み込む手間をかけて乾燥させる。縁起を担いでお正月に「一本煮」として供されることもある新潟の冬の保存食である。

芋ぐし/いも串
焦げた味噌だれが香ばしい「芋ぐし」は、縄文時代から続くさといもの食文化が生んだ儀礼料理。正月や稲荷社の祭りに囲炉裏を囲んで食べる風習が、那須塩原市や日光市山久保に今も残る。

泥亀汁
ごまが泥、なすが亀の甲羅に見えるという遊び心ある命名。近江商人が夏の栄養補給として愛した滋賀県の伝統味噌汁。

豆しとぎ
「しとぎ」は「すりつぶす」という意味で、本来の米粉を青大豆で代用したのが「豆しとぎ」の始まりである。岩手県北部の厳しい風土で、貴重な米を節約しながら生まれた知恵の菓子である。

ちたけとなすの油炒め
裂くと乳白色の汁が染み出す「ちちたけ」の通称で呼ばれるきのこを、夏から秋のなすとともに油で炒めた郷土料理。里山の薪炭林で育まれた貴重な食材の味わいが、盆の時期の食卓を彩ってきた。

しょうゆ豆/しょうゆの実
種麹で発酵させた大豆を生醤油に漬け込み、1ヵ月以上熟成させる「食べる醤油」。北信地域では正月に食べられ、醤油の旨味が凝縮した豆はご飯のお供に最適である。

はたはたの唐あげ
抱卵していない脂ののったハタハタを丸ごと揚げた一品。朝鮮半島から回遊してくる但馬の春の味を、骨まで食べて味わう。

さんまのすり身汁
本州一のさんま漁獲量を誇る岩手県で、60年ほど前から生まれた新しい郷土料理。すり鉢でよくしたさんまのすり身を団子にし、ふわっとした食感が汁に溶け込む素朴な味わいが特徴である。

白菜のたたみ漬け
白菜の葉を1枚ずつはがして重ね漬けにする「たたみ漬け」は、報恩講や冠婚葬祭に欠かせない湖北の格式高い漬物。切っても崩れにくい美しい仕上がりが特徴である。
ふるさと納税きごしょう
「青ト」の愛称で親しまれる伏見とうがらしの若葉が「きごしょう」。ほのかな辛味と独特の苦みが、ごはんと酒をすすむ京の夏の味である。

つゆ煮しめ
わらで包んだ「つと豆腐」が決め手の南会津の郷土料理。冷蔵庫のない時代に生まれた保存食が、冠婚葬祭のご馳走として今も受け継がれる。

ばらずし
江戸時代の質素倹約令に庶民が考えた「一菜」の知恵が結実した、具材をご飯に混ぜ込む関西流の五目ずし。翌日は蒸して「温ずし」に変身する残りもの活用術も魅力。

三杯みそ
味噌を使わないのに「みそ」と呼ばれる謎のある郷土菓子。茶碗で一杯ずつの餅米粉、うるち米粉、小豆を合わせて作る、大曲地方の集まりの定番菓子である。

お茶の葉天ぷら
八十八夜の新茶を揚げた縁起物。新芽の柔らかな食感とほのかな苦味が、地元でしか味わえない春の限定グルメである。

からかい煮
「十把一絡げ」の「からげ」が訛って「からかい」となったエイのヒレ煮込み。海のない山形の内陸部で、正月やお盆のハレの日に赤飯と並ぶ特別な行事食として重んじられてきた。

おみ漬
「おみ漬」は「近江漬」が転化した名前という説もある、山形県の刻み漬物。山形青菜の葉先など余った部分を使い切る知恵が生んだ、ごはんのお供に欠かせない常備菜である。

ふくれ菓子
「ふくれ菓子」は重曹でふっくら膨らませた鹿児島の蒸し菓子で、「黒糖地獄」と呼ばれた過酷な歴史の中で生まれた黒糖文化の象徴である。温かいうちはふんわり、冷めるともっちりと食感が変化する。

なすのオランダ煮
「オランダ煮」の名は長崎経由で伝わった西洋料理法に由来する。へた紫なすを使った金沢の夏の定番で、冷やして食べるのが一般的だ。

じゅんじゅん
鍋の中で「じゅんじゅん」と響く音が名の由来。琵琶湖の旬の湖魚と地元野菜を、すき焼き風に煮込む滋賀の伝統鍋。近江牛や固有種イサザも加え、年節の客寄せから日常まで幅広く親しまれる。

れんこんの煮物
「先を見通す」縁起の良さから正月おせちに欠かせない愛知県の煮物。海抜0m地帯の水害を機に稲作から転換した蓮根栽培が生んだ、しみじみとした家庭の味である。

なれずし
「馴れる、熟れる」ことから名付けられた発酵寿司で、三重県では「なまなれ」として飯も一緒に食べる。東紀州では正月に親戚や友人に「やりずし」として配る習慣があり、早く食べきるための心遣いが込められている。

わかさぎとれんこんの酢漬け
霞ヶ浦の名物ワカサギと日本一の産地・土浦のれんこんを、甘酢に漬け込んだ爽やかな郷土料理。骨まで食べられる小魚とシャキシャキの根菜が、漁師町の食文化を今に伝える。

浦上ソボロ
ポルトガル語「余り物」が名前の由来ともいわれる長崎の郷土料理。宣教師が健康食として広めた豚肉を、野菜たっぷりにアレンジしたのが特徴である。

かぼちゃのいとこ煮
「いとこ煮」という奇妙な名前には、野菜を別々に煮る「姪々(めいめい)」や「甥々(おいおい)」から来たという説がある。茨城県の冬至の定番で、江戸崎かぼちゃと小豆を醤油で煮た保存食として親しまれてきた。

とどめせ
武士が酔っ払って酸っぱくなったどぶろくを炊き込みご飯に入れたのが始まり。「どぶろくめし」がなまって「とどめせ」となった、備前ばら寿司の元祖である。

押し抜きずし
サワラとそら豆を押し型で整えた讃岐の春の祝いずし。姑が若嫁に持たせる里帰り土産として、実家と婚家の仲を取り持つ縁起物として親しまれた。

花いんげんの煮豆
標高900m以上の冷涼な高地でしか育たない「高原花豆」を、乾燥させてからやわらかく煮込んだ吾妻地域の定番保存食。おせちや神棚への供え物としても重宝されてきた。

かんころ
鍋の中で木杓子で練り炊く時の音が名前の由来。「かんころ」という擬音が付いた伊方町の伝統の干し芋菓子である。

つわぶきの油炒め
日南地方で「毒消し」として伝えられたつわぶきを、大正時代には北九州の炭鉱夫へも出荷。春の旬を迎える常緑の山菜を、油揚げとともに醤油で炒めた宮崎の庶民料理である。

おなめ
麦こうじと大豆を発酵させた「おなめ」は、半年以上日持ちする保存食として秩父地域で愛されてきた。塩気の強い味わいが夏の食欲をそそる、ご飯のお供の定番である。

いわしの卯の花漬け
おからの白さが卯の花に見えることから名付けられた、九十九里の海と里が生んだ保存食。冬のイワシを酢漬けにし、食物繊維豊富なおからで漬け込むことで型崩れを防ぎ、長期保存も可能になった。

かて飯
貴重な米をかさ増しするため生まれた相模原の混ぜご飯。農作業の「糧(かて)」として名付けられ、祭りや彼岸にはごちそうとして親しまれた。

豚骨野菜
別名「ウァンフィネヤッセ」は奄美方言で「豚・骨・野菜」を意味する。黒い島豚の骨付き肉とツワブキ、コシャマンなどを大鍋で煮込む、大晦日から正月にかけて欠かせない年越し料理である。

呉汁
浄土真宗の最大行事「報恩講」にふるまわれる精進料理。すりつぶした大豆を味噌汁に溶かした、ふわふわの食感と豊かなたんぱく質が特徴の温かい汁物である。

けんさん焼き
上杉謙信が剣先に刺して焼いたのが由来という、おにぎりに味噌をぬいて焼く新潟の郷土料理。雪道を歩いて里帰りした娘を待つ母の思いが込められた冬の夜食である。

すいとん
水で溶いた小麦粉を「取っては投げる」調理法から「とっちゃなげ汁」の名で親しまれる、群馬の素朴な小麦粉料理。米粉版や「ねじっこ」「つめりっこ」など、地域ごとに呼び名と文化が分かれる。

葉ずし
「すしの葉っぱ」と呼ばれるアブラギリの葉で包む保存食。表面の油気でご飯がつきにくく、独特の香りと日持ちの良さが先人の知恵を物語る。

三平汁
藩主が気に入った漁師の名がついたという説や、三平皿に盛ることからともいわれる。塩漬けのサケやニシンを野菜と煮込む、北海道の冬を代表する郷土料理である。

きりせんしょ
「きりさんしょう」がなまって「きりせんしょ」となった、山椒を使わない山椒菓子。岩手県央の水田地帯で桃の節句に母娘で作る祝い菓子として親しまれ、農作業の「小昼」にも重宝された素朴な米粉菓子である。

たけのこ汁
山へ帰ると言われるほど鮮度が命の根曲がり竹に、海なし長野が愛するサバ缶を合わせた意外な組み合わせ。昭和に広まった缶詰が、山の幸を引き立てる名脇役となった郷土の味噌汁。

こも豆腐
わらのむしろ「こも」に包まれた鳥取の豆腐料理。わらの筋が断面に付く独特な見た目と香りが特徴で、100年以上前から冠婚葬祭のハレの日に欠かせない倉吉の伝承料理である。

ナメタガレイの煮つけ
仙台の年越しに欠かせない「ナメタガレイ」。黄金色の卵に商売繁盛の縁起をかけ、実は江戸時代の正月の主役はタラだった。

赤貝がらん蒸し/赤貝の殻蒸し
「がらん」の名は殻の溝に詰まった砂を洗う際の音に由来する説も。古事記に登場する因幡の白兎の傷を癒したと伝わる赤貝を、殻ごと蒸して味わう島根県の正月名物である。

呉汁
「呉」とは大豆を水に浸してすりつぶしたもの。宮城県で古くから親しまれる大豆の「呉汁」は、畑の肉と呼ばれる大豆の栄養を丸ごと摂れる、冬場の体を温める郷土料理である。

魚飯
塩田で富を築いた「浜旦那」が好んだ豪華なちらし飯。骨から取っただしをかけて食べる独特のスタイルで、竹原の町人文化を今に伝える。

鶏雑炊
骨まで叩いて鶏団子に混ぜ込む「とっどせ」とも呼ばれる知恵の一品。千葉県の農家でニワトリを飼う暮らしから生まれた、正月や祭りの人寄せを彩る郷土料理である。

おみいさん
「おみいさん」は、みそを「みい」と呼んだ時代の敬称が名前の由来。米が貴重だった徳島で、小米や冷や飯を使い野菜をたっぷり加えた腹持ちの良いみそ雑炊として親しまれてきた。

かんこ焼き
雅楽の太鼓「鞨鼓」に似た形が名前の由来。江戸時代から続く相模原・津久井の山間の知恵が詰まった、灰で蒸し焼きにした素朴なおやき。

いごねり
九州の「おきゅうと文化」が北前船で佐渡に渡来したという意外なルーツを持つ海藻加工食品。もっちりとした食感とほんのりとした磯の香りが特徴で、しょうが醤油や酢味噌で味わう。

くじら汁
北前船が運んだ西日本の塩クジラが、新潟の山間地まで届いたスタミナ食。なすとゆうがおを煮込んだ味噌仕立てで、真夏の暑さを乗り切る知恵が詰まる。

いもなます
江戸時代から続く飯山の隠れた名物。豪雪で野菜が入手困難だった北信の知恵が、じゃがいもを酢で締めたシャキシャキの味わいに結実した。池波正太郎の小説にも登場する歴史ある一皿。

あちゃら漬け
南蛮貿易がもたらした異国の風を孕む漬物。ポルトガル語「achar」が名の由来とされ、赤唐辛子の辛味が爽やかな甘酢と絶妙に響き合う。冷蔵なき時代の夏の保存食として博多の台所に根付いた。

大阪しろ菜の辛子和え
江戸時代から続く大阪の伝統野菜「天満菜」が、ピリッと辛子で引き立つ副菜に。平たく白い葉柄がしんなりと柔らかくなる、あっさりとした味わいが特徴である。

とふめし
120年前、長老の機転から生まれた混ぜご飯。山の里ながら鯖を使うのは、鯖街道が通っていたから。丹波篠山・大山地区の集いの象徴的な味である。

いもぼた
里芋の粘りで餅米を節約した農家の知恵が生んだ「いもぼた」。冷めてもやわらかく、亥の日の厄除けとして親しまれる奈良の名物である。

のうさば
「のうさば」は、はえ縄漁で掛かったサメが語源とされる福岡県鐘崎の珍味。正月のおせちに欠かせぬ「鐘崎数の子」の別名でも親しまれ、冬の海岸に吊るされた天日干しの姿は地域の風物詩となっている。

すまし雑煮
白い丸餅は正月三が日まで、四日目からはよもぎ入りのてんこ餅に替わるという古い習わしを持つ雑煮。出雲では朝廷献上の十六島のりを具に使い、磯の風味を堪能する。

あみとだいこんの煮付け
初秋に旬を迎える瀬戸内の小エビ「アミ」を、大根とともに甘辛く煮込む伝統の味。鮮度が命で県外にはほとんど出回らない、瀬戸内海の秋の風物詩である。

美酒鍋
「びしょ鍋」が正式名称だった?酒蔵のまかないから生まれた鍋料理で、杜氏が利き酒に支障のないよう日本酒で仕上げた味付けが特徴。

イギス豆腐
飛鳥・奈良時代から朝廷に献上された海藻「イギス」を、生大豆粉と煮溶かして固めた寒天風の料理。凝固剤を使わず自然に固まる独特の食感が特徴である。

つしま
朝鮮通信使を案内した櫛ヶ浜の漁師が創ったとされる山口県周南市の郷土料理。豆腐と干ししいたけ、野菜を煮て和えた日持ちする保存食で、対馬藩にちなみ「つしま」と名付けられた。

ぐべ汁
「ぐべ」とは「嫁が笠」とも呼ばれる直径2〜3cmのカサガイの仲間で、対馬暖流に恵まれた見島の磯で採れる貴重な食材である。濃厚な磯の風味が堪能できる味噌汁は、島の朝食には欠かせない名物となっている。

ろくべえ/六兵衛
島原と対馬に伝わる「六兵衛」は、飢饉を救ったさつまいもうどん。1792年の眉山崩壊後、深江村の六兵衛が考案した保存食が名の由来となっている。

頭料理
海に遠い内陸の竹田市で、めったに手に入らない貴重な魚を「頭以外」全部使い切るために生まれた知恵の料理。エラやアゴ、内臓まで豪快に盛り付け、三杯酢でさっぱりと味わう。

にいもじ
「にいもじ」はミズイモを酢で漬けた佐賀の夏の定番常備菜。冷蔵庫で1週間保存でき、お盆のお供えやお祭りの接待にも用いられる。シャキシャキの歯ざわりと酸味が暑い季節の食欲をそそる。

イナムドゥチ
イノシシの代わりに豚肉を使うことから「イノシシもどき」と名付けられた沖縄の祝い汁。寒い季節のおめでたい日に、高級なカステラかまぼこを入れてとろりと仕立てる。

きびなごのほおかぶり
「ほおかぶり」の名は、手ぬぐいで頬を包んだ人の頭に見えるすしの姿に由来する。お米の代わりにおからを使った高知の郷土寿司で、ヘルシーながらもほろほろとくずれる独特の食感が特徴である。

しゃっぱの煮付け
「がねしゃっぱ」とも呼ばれるシャコは、有明海で水揚げされる夏の味覚。醤油で炊くとうまみたっぷりのだしが出る煮付けにされ、煮汁はそうめんの漬け汁としても重宝される。

アルマド
切り口がピンク色の縁取りになる、平戸発祥の祝いの練り物。オランダ語やポルトガル語に由来する異国情緒あふれる名称も魅力だ。

ぶたあえ
豚肉の代わりにタコを使ったユニークな「ぶたあえ」。沖縄のゴーヤチャンプルーがルーツであり、天草湾のマダコを貴重な豚肉の代替食材として炒めたことから、この名が残った。

とじこ豆/豆菓子
甘い小麦粉の生地で大豆を「閉じ込めた」という名の由来が興味深い。山鹿市菊鹿地区で年末に必ず作られた郷土菓子で、今はピーナッツ入りが主流となっている。

かすよせ
「かすよせ」は、ごはん代わりにもおかずにもおやつにもなる熊本県山都町の万能料理。大豆と野菜を煮込んだ優しい味わいは、冷めて味が染むと一層美味になる。

冷やし汁みそ仕立て
きゅうり、青じそ、みょうがを刻んで冷たい味噌の汁に――暑さで食欲が落ちる夏も、さらさら食べられる新潟・中越の一杯。そのまま汁物でも、ごはんや麺にかけてもいい。

みょうがぼち
「ぼち」とは小麦粉を練ったものを指す地域の言葉で、そら豆のあんを包みみょうがの葉で蒸した初夏の郷土菓子。冷蔵庫のない時代の携帯食として先人の知恵が息づく。

お茶がい/茶がゆ
幕末、佐賀藩主の質素倹約令が生んだ米節約術。出がらしの番茶で炊く素朴な粥は、茶の味が染み込みさっぱりとした後味が特徴である。

赤漬け/赤ずし
鶏頭の赤い花に似た鮮やかな色が名前の由来「けいとまま」。秋田県北のお盆に欠かせない発酵食品で、疲労回復と消化促進の万能薬として盛夏を乗り切ってきた。

どじょう煮
田んぼのじょうを手ですくって捕獲し、丸ごと煮付けた滋養強壮の味。骨も頭も食べられる「丸鍋」は、埼玉県東部の川の恵みを丸ごと味わう知恵である。

こんにゃくの白和え
群馬の特産・こんにゃく芋を使った白和えは、精進料理として発展し、冠婚葬祭で色使いのルールが設けられるほど地域に深く根付いた。下仁田町の穏やかな気候が育むこんにゃくの食感が特徴である。

じょじょきり
ドジョウに似た細い麺を甘い汁で煮た、明治時代から続く渥美半島の農家の間食。「じょじょ」はドジョウのことで、農作業の疲れを砂糖で癒す知恵が詰まった一皿である。

鉄砲巻き
見た目が鉄砲に似ることから名付けられた富津市の太巻き寿司。カツオ節を醤油で味付けした具をごはんで巻き、漁師の携帯食として親しまれてきた。

ごんじゅう
安房の秋祭りで御輿担ぎの若衆に振る舞われる「ごんじゅう」は、神々への旅路の安全を祈ったおにぎりである。豚バラ肉と油揚げの甘辛い具をご飯に混ぜ、片手で食べられるよう握った姿が特徴的だ。

煮菜
明治初期に中国から渡来した体菜を塩漬けにし、打ち豆と共に煮込む新潟の冬の定番。雪に閉ざされる土地ならではの保存食の知恵が詰まった家庭料理である。

雑煮
「名を上げる」という縁起担ぎから生まれた、餅と餅菜だけの極めてシンプルな正月料理。尾張藩の質素倹約の精神や、将軍からの叱責説など、成り立ちには複数の伝承が残る。

酢ずき
里芋の葉柄を酢漬けにした富山の伝統的な酢の物。赤ずいきの鮮やかな発色が美しく、産後の女性に食べさせる風習も残る。シャキシャキとした歯ごたえが夏の食卓を彩る。

赤かぶの千枚漬け
酢を加えると赤い色素が美しく発色し、単調な冬の食卓を彩る津軽の伝統漬物。雪に包まれる厳寒期にじっくり漬け込まれたまろやかな味わいは、昔から冬の野菜不足を補う大切な保存食であった。

物相ずし
米が貴重だった時代、定量で切り分けて皆が平等に食べられるよう考案された押しずし。農繁期の嗜好食や祭りの行事食として大分県中津・宇佐で親しまれてきた。

おくずかけ
仏前の精進料理から生まれた「おくずかけ」。県南の彼岸やお盆に欠かせない、くず粉でとろみをつけた優しい煮込み麺である。

あかねこ
「猫の丸い背中」に似た褐色のもちから名付けられた大阪の田植え行事食。小麦粉入りのサクサク食感が特徴で、半夏生の頃に豊作を祈って食べられる。

茶ごめ
武家屋敷の食事から農家の労働食へと姿を変えた茶色い甘いごはん。ざらめ糖の甘味が農作業で疲れた体を癒やした。

須古ずし
500年以上前、領民が領主への感謝を込めて献上した「須古ずし」。ムツゴロウのかば焼きを贅沢にのせた箱ずしは、今も佐賀県白石町のお祝い事に欠かせない名物である。

くるみごぼう
「ごんぼ祭り」で供えられる縁起物。枝豆をすりつぶした緑色の餡にごぼうを絡め、1年の健康を願う滋賀・信楽の知られざる郷土料理。

じゃこごうこ
泉州の方言「じゃこ(海老)」と「こうこ(漬物)」が名の由来。水なすの古漬けと小海老を甘辛く炊き、ご飯や酒のお供に親しまれてきた大阪南部の常備菜である。

ざくざく
「ざくざく」とは「細かく切ったもの」が名の由来で、里芋や根菜を角切りにした汁物。慶事には奇数、弔事には偶数の具材を入れるという決まりがあり、冠婚葬祭や祭りの場で長く親しまれてきた。

パイタ焼き
櫂(かい)の板で魚を叩いて焼いた漁師料理が名前の由来。「パイタ」とは舟を漕ぐ櫂のことで、手漕ぎ船時代の船乗りが櫂の平らな部分で叩いて焼いたことから「カイイタ」が訛って生まれた。

壬生菜のからし和え
1804年の文献に「壬生に産する壬生菜」と記された京の伝統野菜。みず菜とは異なるぴりっとした辛みと苦味が特徴で、からし和えは各家庭でアレンジが受け継がれる定番料理となっている。

よごし/ごま味噌和え
「夜越し」の名は、夜に作り置きして翌朝食べる習慣に由来する。砺波平野の散村で世代を超えて親しまれる、味噌とごま油の香ばしさが特徴の炒め物である。

冷や汁/すったて
「すったて」とは、野菜をすりばちですりたてを食べていたことに由来する。四方を川に囲まれた川島町で稲作の農家に親しまれ、夏の農繁期に手間なく栄養を補給できるうどんのつけ汁として重宝された。

かまぶく
魚のすり身を使わない「かまぼこ」が秋田の山間部に生まれた。じゃがいもと餅粉で作るもちもちの口取り菓子で、お祝い事に欠かせない一品である。

くきたち干しの煮物
生命力旺盛なアブラナ科野菜「くきたち」を春に天日干しし、冬の貴重な保存食として蓄えてきた郷土料理。干す際に軽く揉むことが美味しさの秘訣である。

きゃのっこ汁/けの汁
正月の行事を終えた1月15日から食べる「きゃのっこ汁」。青森・津軽の「けの汁」が秋田に伝わり、青豆粉の焼きずんだを入れるのは秋田ならではの特徴である。

うどと凍み大根のどんころ煮
「どんころ」とは丸太のこと。うどを切った断面が丸太に似ていることから名付けられた、海の幸・山の幸が調和する山形の春の味。凍み大根と身欠きニシンをじっくり煮込む郷土料理である。

べか鍋
「今日も食べっか」「明日も食べっか」という庶民の会話が名前の由来となった鍋料理。ぬか漬けのイワシと酒粕を合わせ、能登の寒い冬を乗り切ってきた発酵の知恵が詰まっている。

大歳のごっつぉ
「糸昆布」が必ず入る縁起物。細長く長生きできるようにとの願いを込め、岐阜県の年末年始を彩る鍋物である。地域や家庭で具材や名称が異なるのも特徴。

雪菜のふすべ漬け
「ふすべ(る)」は山形の方言で「さっと湯通しする」こと。雪の中で育つ珍しい軟白野菜「雪菜」を、たった3〜5秒の湯通しを3回繰り返して漬け込むと、独特の辛味が引き出される。密封して3日寝かせるのが美味しさの秘訣である。

酢のしゅい
「しゅい」は「汁」の意。江戸時代から広まった米酢を使い、おろし大根とイワシを煮た温かい酢の汁物。冷たいなますとは対照的に、寒い日の体を温める知恵が詰まった宮崎の郷土料理である。

うこぎの切り和え
「きどい」という方言で表される独特の風味が魅力。米沢藩主・上杉鷹山公が垣根として推奨したうこぎは、防犯と食糧の両面で重宝され、春から秋まで長く味わえる山形置賜の旬の味。

せりのよごし
「よごし」の名は、すり鉢やすりこ木を汚しながらつくることに由来するせりの白和え。奈良時代から続く日本原産の野菜を、豆腐と白ごまのまろやかな和え衣でいただく春の味覚である。

遠山かぶの粕汁
「ぶっかく」と呼ばれる独特の切り方で小さく刻んだ遠山かぶを、前日から煮込んだ粕汁は、雪深い米沢の冬を代表する滋味深い郷土料理である。

あらめと落花生の煮付
昆布の一種・アラメと落花生を甘辛く煮つめた東三河の常備菜。海と山の恵みを組み合わせた、渥美半島独特の食文化が詰まった一皿である。

ピーナッツ味噌/落花生味噌
規格外の落花生を活用した農家の知恵。市場に出回らない大粒や割れ粒を味噌で味付け、常備菜として重宝されてきた茨城県の味。

万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん
唐辛子の名に反して辛くない「万願寺とうがらし」は、大正末期に京都府舞鶴市万願寺地区で自然交雑して誕生した京のブランド野菜。じゃこと炊いた夏のおばんざいは、子どもも安心して食べられる家庭的な味わいである。
ふるさと納税へちま汁
「へちま」とは糸瓜のこと。1802年の百科事典『成形図説』にも記載があるほど古くから鹿児島で食べられ、夏バテ知らずの知恵が詰まった一皿である。

でんがら
端午の節句に男の子の成長を願って作られる、枝付き朴の葉にぶら下げた独特の形状の餅菓子。川上村の寒暖差が生んだ保存食の知恵が息づく。

小田巻き蒸し
うどんが入った大阪発祥の茶碗蒸し。紡いだ麻糸「苧環」に似た麺の姿が名前の由来で、当て字の「小田巻き」で親しまれる。

がわ
味噌を溶かす際の「ガワガワ」という音が名前の由来。漁師が船上で作った冷やし味噌汁が、御前崎の夏の食卓を彩る名物となった。

漬物味噌煮
鯖缶を器にした炭焼き小屋発祥の知恵料理。酸っぱく漬かりすぎた白菜を郡上味噌で煮込み、煮返しながら何日も楽しむ、飛騨の冬の味覚である。

えご
江戸時代後期に新潟から酒の肴として持ち込まれた寒天のような海藻ゼリー。地元では「いご」と呼ばれ、仏事の精進料理として欠かせない一品である。

やたら漬け
「やたら野菜を使って、やたらおいしい」が名の由来。半年かけて漬ける兵庫・宍粟の冬の保存食で、季節ごとに収穫した野菜を漬け物桶に次々と加えていく独特の製法が特徴。

こんにゃくの白和え
冠婚葬祭で重宝された塙町の定番おかず。砂糖がきいた甘味の白和えは、こんにゃくの産地ならではの味わい深い一品である。

茶粥
「おかいさん」の愛称で親しまれる茶粥は、聖武天皇の時代から続く歴史ある郷土料理。伊賀では三食とも茶粥とたくあんで過ごしたという節約食が、今も夏は冷やして味わわれる。

ぜいたく煮
漬物をわざわざ煮物にする手間から「ぜいたく」の名がついた滋賀県の変わり種煮物。湖北の仏事に欠かせない定番として、各家庭が古漬けたくあんを常備してきた。

つけけんちん
「つけけんちん」は、温かいけんちん汁にざるそばをつけて食べる茨城独特の食べ方。江戸時代後期から続くこの風習は、旧暦新年に水戸藩から広がったと伝わる。

小豆雑煮
出雲の神在祭で振る舞われた「神在餅」が「ぜんざい」の語源ともいわれる、あっさり甘さの小豆雑煮。元旦の「すまし雑煮」と並び、島根の正月を彩る二つの雑煮の一つである。

人参シリシリー
「すりすり」という沖縄方言が名の由来。専用の「シリシリ器」で人参をおろし、卵でとじる家庭料理は、ニンジン消費量日本一の県民に長く親しまれてきた。

大和の雑煮
餅を砂糖入りきな粉につけて食べる奈良の雑煮。豆腐は白壁の蔵、里芋の頭芋は「人の上に立つ」願いが込められ、具材一つひとつに縁起物の意味が宿る。

小豆雑煮
古来より邪気を払う力があるとされた小豆の赤色を用いた、鳥取の正月の主役。甘い煮汁に柔らかく煮た丸餅を浮かべ、おせちの塩気との絶妙なバランスが特徴である。

いがい飯
山陰唯一の海女の里・青谷町夏泊で、海女が潜って採るイガイを炊き込んだ夏の風物詩。貝殻ごと炊く豪快な食べ方も残る。

いわしずし
「祭りずし」とも呼ばれる三重県の秋祭りの名物。木枠で押し固めたイワシと酢飯は、余ればお土産に持ち帰るほどのごちそうであった。海から遠い内陸部ではイワシ自体が珍しい食材だった。

牛汁
王朝時代に牛の屠殺が禁じられた沖縄で、特別な存在として伝わる牛肉の滋養食。鮮やかな黄色の島ニンジン「チデークニ」が入る冬の風物詩である。

ドジョウのけんちんじる
「どじょうすくい」の安来節で知られる安来市が、ドジョウ生産量全国第2位の地である。江戸時代から「ウナギ1匹ドジョウ1匹」と精をつける養生食として親しまれ、山の幸と共にけんちん汁に仕立てる。

いわしの卯の花漬け
「卯の花」とはおからのこと。北茨城の豊かな漁場で水揚げされる新鮮なイワシを、酢と合わせたおからに漬け込むことで長期保存を可能にした、知恵の詰まった郷土料理である。

雑煮
伊吹山系と鈴鹿山系が東西文化をブロックし、丸餅・角餅・押し餅が混淆する全国でも特殊な雑煮文化圏。湯炊き・水炊き・焼き餅、澄まし汁・味噌汁と調理法も多彩である。

ごさい漬け
「ごさい」の名は脂肪分の少ない小型イワシ「こさい」が由来ともいわれる、鹿島灘の発酵漬け物。かつては秋のイワシ漁で各家に配られ、庶民の貴重なタンパク源となった冬の保存食である。

小豆ほうとう
本来は餅を入れる汁粉だったが、山梨では麦で代用した小豆ほうとう。赤色のあずきは厄除けの象徴とされ、収穫感謝のハレの日に供えられてきた。

大平
大きく平らな器に盛ることから名付けられた、広島県大竹市の縁起煮物。具材を奇数にそろえて祭りや集まりに振る舞われ、鶏肉入りで汁ごと味わうのが特徴である。

うちがえ雑煮
餅の代わりに硬い豆腐を重ねる、祖谷地方の個性派雑煮。岩豆腐が武士の刀を「打ち違え」たように見えることから名付けられた。

はすのさんばい
「さんばい」の名は三杯酢からとも、田の神様の呼び名からともいわれる謎多い郷土料理。9つの穴を持つ岩国れんこんのシャキシャキとした食感が、さっぱりとした合わせ酢と絶妙に調和する。

凍みこんにゃく
20日間の寒暖差で凍らせ解かす「凍みこんにゃく」は、江戸時代に北方探検家・木村謙次が丹波から持ち帰った製法で作られる茨城県北部の希少な保存食である。

五目飯
日本のかんぴょう生産量の99%以上を占める栃木県が誇る「五目飯」。祭りや農家の休日など特別な日に、色とりどりの具材を炊き込んだハレの日の伝統料理である。

白あえ
葬式では赤い食材を避けるという暗黙のルールを持つ、豆腐をすりつぶして野菜と和える栃木の伝統料理。かつては山間地で貴重なタンパク源だった豆腐を、ハレの日にふんだんに使った名残である。

切干し大根の煮物
冬の空っ風と晴天を活かした乾物文化の結晶。栃木の切干し大根は、天日乾燥で旨みと栄養が凝縮され、カルシウムや鉄分が増えるヘルシー食材である。

ふなやき
「ふな」とは舟のこと。底面が湾曲した大きな鉄鍋で焼き、半分に折ると舟のような形になることから名付けられた。黒砂糖を包めばおやつ、高菜漬けを挟めば軽食と、一つの生地で甘辛両方を楽しめる筑後の知恵がある。

こんにゃく味噌おでん
「ひっぱたきおでん」とも呼ばれる群馬の冬の名物。こんにゃくの水気を布巾で叩き切ってから味噌だれを塗る、全国シェア9割の特産地ならではの食べ方である。

呉豆腐のごま醤油かけ
「呉」とは水に浸した大豆を粉砕・煮詰めた状態を指し、そこから搾った豆乳を葛やでんぷんで固めたのが「呉豆腐」の名の由来。プリンのようなつやつやとした光沢と、柔らかくモチモチとした食感が特徴の佐賀有田の名物料理である。

ヒカド
ポルトガル語「Picado(細かく刻む)」が名前の由来。1600年代に南蛮貿易で伝わったシチューが、長崎の食材で独自の進化を遂げた郷土料理である。

あみめし
豊前海の波打ち際がピンク色に染まる秋、水揚げされるオキアミを干して佃煮風に炊き込んだごはんが「あみめし」である。昔は醤油漬けの干しアミを混ぜるだけの素朴な食べ方だったが、今は県北の代表的郷土料理として学校給食にも採用されている。

ふうかし
江戸時代、将軍家に献上された船橋浦のあさりを蒸かした蒸し汁に貴重な味噌を少し加えた漁師の賄いが「ふうかし」の始まり。冷蔵設備のない時代の知恵が生んだ、貝の出汁のうま味を最大限に引き出すベイエリアの味わいである。

太平燕
燕の巣の代わりに揚げたゆで卵をトッピングする、縁起のよい中華風春雨スープ。明治時代に福建省から熊本へ伝わり、今や県民のソウルフードとして定着している。

イラギムン
実が熟す前の青いパパイヤを味噌でさらっと和える八重山の家庭料理。母乳の出が良くなる効能から、産後の産婦に広く食されてきた。

にくてん
「にくてん」という名は「すじ肉」と「天かす」に由来するという兵庫県高砂市の郷土料理。おでんの残り具材を使った節約食が、戦後の小麦粉輸入で定着した家庭の味である。

おこもじの油炒め
古くなった高菜漬を塩抜きして油で炒める「おこもじの油炒め」は、減塩が期待できるソウルフードとして親しまれている。佐賀県の家庭で簡単に作れるご飯のおともである。

なまぐさこうこ
「なまぐさ」の名は、塩漬けイワシの独特な香りから付いたとされる。新潟市角田浜の家庭で、春に漬けた「しょっからいわし」を煮詰めた汁で大根を漬け込む、和製アンチョビを使った珍しい漬物である。

鯨じゃが
鯨肉を使った長崎版肉じゃが。鯨特有の臭みをじゃがいもやたまねぎがやわらげ、老若男女が楽しめる家庭の味として親しまれてきた。

なすといんげんの油味噌
「天祭」に欠かせない夏の味。内陸の高温気候が育んだなすを、味噌と砂糖でからめた甘じょっぱい炒め煮は、稲の豊作を祈る男たちの手料理として親しまれた。

とろろご飯
正月二日の胃腸休養に欠かせない丹波篠山の知恵。粘り気の強い「山の芋」を使ったとろろご飯は、いりこやかつお節のだし汁で伸ばし、ご飯にかけて食べる。

ばいの煮もの
「めでたいことが倍になる」という縁起の良い語呂から、お祝いの席に欠かせない富山の名物料理。殻ごと煮上げることで、バイ貝の旨みを存分に味わえる。

ごまご飯
真っ黒な色が「ケの日」の仏壇に供えられたごまご飯は、津軽の「色飯」文化の代表。田植えや祭りでは砂糖を惜しみなく使った甘い「ごままま」が振る舞われ、地域によって栗入りの豪勢なものも親しまれた。

エイの煮こごり
ゼラチン質がゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる、奈良のハレの日の定番料理。赤エイを甘辛く煮つけ、冷やして食べる。

半ごろし
「半ごろし」は長野県の「ぼたもち」「おはぎ」の呼び名で、もち米をすりこぎで半つぶしに搗くことに由来する。家事や農作業に忙しい女衆が編み出した、冠婚葬祭に使える手間のかからない知恵の料理である。

がんちゃ汁
石臼でカニを粉々に搗くという荒々しい伝統製法から生まれる、ふわふわと浮かぶカニの身が特徴の汁物。モクズガニの全身を余すところなく味わう鳥取の知恵料理である。

ぬっぺい汁/八杯汁
「八杯」の名は「一丁の豆腐で八杯分できる」または「おかわりが止まらない」という説がある。岩手県央では「八杯豆腐」とも呼ばれ、冠婚葬祭の精進料理として親しまれてきた。

干し大根の煮しめ
石見地方の定番保存食。大根をわらに通して軒先で干し、蒸して再び寒風に晒すという独自の製法で、甘みと旨味が凝縮された干し大根を煮しめる。

どんこ汁
「大きな口から入って小さな尻から出にくい」縁起魚ドンコを、えびす講の日に神棚に吊るして食べる風習がある。宮城県気仙沼地方の冬の味覚で、味噌と相性の良い濃厚な肝が魅力の郷土料理である。

きしゃず炒り
豆腐の搾りかす「きらず」を炒った宮城の伝統料理。食物繊維がごぼうの約2倍というヘルシー食材を、野菜と共に香ばしく仕上げた日常の味である。

くじらの南蛮煮
大晦日や節分に食べる縁起物。クジラの赤身と皮を味噌で煮込み、「大きなものを食べて良い年に」という願いが込められた、下関・長門の鯨文化が生んだ暖かな家庭料理である。

いとこ煮
「遺徳煮」とも書かれる由緒正しい行事料理。萩では澄んだ汁にシイタケやかまぼこを配した冷たい汁物仕立てとなり、祝い事には紅白玉、仏事には白や緑の団子を入れる。

筍の味噌煮
岩国の春の名産・タケノコを、味噌と砂糖で甘辛く煮詰めた山口の家庭料理。成長が早く旬の短い「幻の春味」を、水煮でも味わえる保存食文化の知恵が詰まっている。

ばっけ味噌
宮城の方言「ばっけ」は、地面からふきのとうのつぼみが出てくる様子を「お化け」が現れたように見えたことに由来する。春の訪れを告げる山菜を味噌で練り込んだ郷土の保存食である。

ざく煮
婚礼の膳に供され、夫婦が「水と油にならぬように」と油を使わないという願いが込められた群馬の縁起汁。するめをだしにした独特の風味が特徴である。

ねぎぬた
埼玉・深谷の祝い料理「ねぎぬた」は、酢味噌と絡む冬ネギのとろける甘みが格別。かつては「もうすぐお開き」の合図として配られた縁起物である。

打ち込み汁
打ち立ての麺を別ゆでせずそのまま鍋に「打ち込む」様子から名付けられた、香川の農村冬の日常食。手早く作れる素朴な汁物で、麺の太さはその日の手づくり次第。

佐渡の煮しめ
トビウオの「あご出汁」でじっくり煮込む、汁が残らないほど味を含ませた佐渡の「おふくろの味」。各家の畑の野菜を具にし、季節ごとに味付けが変わる島の祭り料理の主役である。

さつま
「さつま」の名の由来は島津家の家紋に似た盛り付けからとも、薩摩伝来説とも言われる謎多き愛媛の郷土料理。ぱさぱさした麦飯をおいしく食べるため漁師が舟上で考案した工夫料理である。

みたま
火事を連想させる赤飯に代わり、白山市美川の建前引き出物として定着した黒豆おこわ。江戸時代から続く「おかえり祭り」でも振る舞われる、黒と白の縁起物である。

真子の煮つけ
江戸時代から続く能登の冬の珍味。30cm近い巨大なマダラの真子を、醤油とみりんでシンプルに煮つける。黒い皮に包まれた卵は、輪切りにすると花が咲いたように仕上がる。

豆腐の梅酢づけ
梅酢で染まる鮮やかなピンク色が特徴の保存食。津野山のかため豆腐を炭火で焼き、梅酢に漬け込むことで高級品としても取引された山間の知恵が詰まった郷土料理である。

なまぐさ汁
「生臭い」という名に反し、鯖の丸焼きからとる上品なすまし汁。若狭・小浜の新保地域だけに伝わる、精進明けや祝い事の象徴的な一椀。

里芋のころ煮
「上庄さといも」の薄皮を残したまま煮るのが美味しさの秘訣。浄土真宗最大の行事「報恩講」で振る舞われる精進料理として、子孫繁栄の縁起物としても親しまれてきた。

塩いかの酢の物
海のない長野県で、塩の道を通じて運ばれた塩丸イカを酢で和えた郷土料理。夏場の熱中症対策としても重宝された保存食の知恵が息づく。

こうし飯
年越しに欠かせない高知県大月町の「こうし飯」。「越しめし」が訛って生まれた名前の由来と、厳寒の海で採れる「めのり」の風味が特徴だ。

たまごふわふわ
江戸時代の宿場町・袋井で朝食として出された「たまごふわふわ」。卵とだし汁だけで作る泡のような不思議な食感が、現代に復活した。

ふな味噌
骨まで柔らかく煮詰めたフナを、愛知の豆味噌で仕上げる保存食。寒ブナの旬を閉じ込めた、木曽三川流域の冬の味覚である。

幸福豆
「幸福豆」は農作業の合間に食べられた大豆のお菓子で、米粉を使えばもちもちとした食感に変わる。滋賀県の豊かな米文化が生んだ、質素ながら滋味深い郷土菓子である。

肉豆腐
771年に伏見稲荷神社建立の際、秦伊呂具が浪速から取り寄せたねぎが「九条ねぎ」の発祥とされる。霜にあたると甘みが増すこの葉ねぎを、牛肉と豆腐のすき焼き風鍋に入れた冬の定番料理である。

鱧皮ザクザク
「ザクザク」とはきゅうりを切る音か、食べる音か。鱧かまぼこ製造の副産物である皮を、大阪の「始末の精神」で夏の酢の物に仕立てた名残り料理である。

色ご飯
奈良県では醤油味の炊き込みご飯を「色ご飯」と呼ぶ。米が貴重だった時代、具材を混ぜてかさ増しした知恵が現代の家庭料理として親しまれている。

そら豆の粉吹き
鳥取県東中部の保存食。旬が3日で激減するそら豆を、天日干しで長期保存し、ほっこりとしたコクのある味わいに仕立てた郷土料理である。

どじょう汁
酒に酔って動きが止まったドジョウを鍋に入れるという独特の下処理が特徴。香川県の田植え後の集落行事で、男性が大釜を振るった夏のごちそうである。

いずみや
江戸時代、別子銅山の住友家に倣い庶民が考案した「おから寿司」。豪商の屋号「泉屋」に由来し、現在は愛媛県を代表する郷土料理として親しまれる。

ぼて茶
藩政時代、松山藩主の女房たちが質素倹約のおふれに応じて考案した贅沢なお茶漬け。塩をつけた茶せんで番茶を泡立て、ふわふわの泡が消える前にかきこむ独特の食べ方が特徴である。

田芋のころばし
ごまの上で田芋が転がる様子から「ころばし」と名付けられた甘辛煮。下ごしらえに手間がかかるため、昔は暇を見て作る贅沢な子どものおやつだった。

わらすぼのみそ汁
「エイリアン」のような見た目の有明海の珍魚・ワラスボを使った味噌汁。凶暴な性格から「嫁泣かせ」と呼ばれたこの魚は、独特のうまみがクセになる地元の夏の味である。

チムシンジ
「チム(豚レバー)」を「シンジ(煎じ汁)」にした滋養食。貧血や風邪で体力が落ちた時に食される、沖縄の「クスイムン(薬膳)」の代表例である。

煮ごみ
「煮じゃあ」「煮じゃー」とも呼ばれる煮ごみは、くんちの供日料理として欠かせない一品。栗おこわの残りの栗と小豆、煮しめの端材を無駄にしない知恵から生まれた、根菜と鶏肉の甘辛煮込みである。

蛇腹大根(房切り大根)の煮物
「蛇腹」の名は、独特の切り方で3倍に伸びた大根が蛇の腹のように連なることに由来する。南阿蘇の冬の風物詩として、軒下に白い花のように吊るされる保存食である。

鯨汁
「大物になるように」と縁起を担いで正月に食べられる道南の伝統汁。ニシン漁の豊漁祈願の意味も込められ、何度も温め直して味を深める食べ方が特徴である。

ぼくめし
「ぼくめし」の名は太い杭「木杭(ぼっくい)」に由来し、売り物にならなかった太いウナギを養鰻場のまかない飯として食べ始めたのが始まりである。吉田町の家庭で親しまれた混ぜごはんは、近年のウナギ高騰で作られる機会が減っている。

十六ささげのごま味噌和え
さやに16個の豆が入る縁起の良い伝統野菜を、赤味噌とごまで和える愛知の夏の味。火を通しても割れない豆は武士にも好まれた。

しょうゆの実
「あまびしょ」「あまぴちょ」とも呼ばれる万能調味料。江戸時代から続く庄内地域の発酵食は、麹の量で甘みや塩気が変わり、つくり手ごとの個性が楽しめる。

けの汁
津軽の方言で「粥」を「け」と呼ぶことから名付けられた、小正月の精進料理。米が貴重だった時代、刻んだ具材を米に見立てて食べた知恵が詰まった保存食である。

笹巻き
笹の葉で粒もち米を巻き、端午の節句に子どもの成長を願って食べる山形の伝統菓子。鶴岡市南部では灰汁水で煮る独特の製法が残り、戊辰戦争をきっかけに保存食として伝わったという説がある。

報恩講料理
朱塗りの御膳に山盛りの郷土料理が並ぶ、浄土真宗の報恩講に欠かせない「ほんこさま」の食。五箇山では春に摘んだ山菜や堅い五箇山豆腐の煮物が供えられ、膳に収まらない料理は「オトシ」と呼ばれる。

落花生の煮豆
東紀州では正月の黒豆代わりに落花生の煮豆が供される。日照豊かな土地で育った落花生を、だし汁と醤油でじっくり煮込んだ栄養満点の郷土料理である。

お方ずし
「お方」とは庄屋のこと。農繁期前の「地獄入り」行事で、小作人への労いとして庄屋が振る舞った豪華な鮨が原型。焼きほぐしたアジと甘煮のうずら豆を俵型に握る、大分市竹中地区の郷土鮨である。

かっぽ鶏
「かっぽ」は竹を指す高千穂の方言。水を注ぐ「かっぽかっぽ」という音が名前の由来で、青竹を器にして鶏肉や野菜を蒸し焼きにする、竹の香りと瀝青油のまろやかな味わいが特徴の郷土料理である。

みずたたき(とろろ)
大蛇が棲む湿地に生える山菜「みず」を、根元の赤い部分をたたいて味噌で和えた郷土料理。独特のぬめりとしゃきしゃきした食感が特徴で、すりつぶすと「みずとろろ」となる。

いり飯/いりこ飯
「いり(いりこ)」はちりめんのこと。100年以上続く徳島の郷土料理は、昔はちりめんのみのシンプルな混ぜご飯として親しまれ、今は具材を加えたバリエーション豊かな逸品に発展した。

ふかの湯ざらし
漁師が売り物にならないサメを酢味噌で酒の肴にしたのが始まり。下ごしらえに手間がかかり朝から夕方までかかる希少な南予の名物料理である。

へそ大根のにしめ
串に刺した穴が「おへそ」に見えることから名付けられた、宮城県丸森町の保存食。冬の寒風にさらし、凍る夜と融ける昼を繰り返して飴色に熟成させた大根を、具だくさんの煮しめで楽しむ。

卵寒天
秋田県南で「良い嫁」の証とされた寒天料理。溶き卵と砂糖を寒天液に混ぜてかため、お茶菓子から冠婚葬祭の「取り回し」まで幅広く親しまれてきた。

やたら
「やたらと刻む」「やたらと入れる」という調理法が名の由来。長野県北信地域の夏の定番ふりかけで、シャキシャキの野菜と青唐辛子の辛みが食欲をそそる。

若ごぼうの炒め煮
早春を告げる八尾の葉ごぼうを丸ごと味わう。根・軸・葉すべてが食材となり、シャキシャキとした食感とさわやかな香りが特徴の炒め煮である。

すだれ麩のごま酢和え
江戸時代後期から続く結城市の貴重な保存食。竹のすだれに広げて天日干しした麩を、ごま酢で和えて食べる独特の食文化が今も残る。

塩くじら汁
山形の夏を乗り切る伝統のスタミナ汁。塩漬けのくじら脂身と新じゃが、旬の野菜を煮込み、暑さに備えてきた内陸の知恵が詰まる。

ひとかわすし
一段ずつ取り分けて食べる豪華な押し寿司。20〜40人分を一度に作れるため、ハレの日の人呼びに欠かせない東近江の名物である。

いとこ煮
「おいおい(順番に)煮える」ことから名付けられたという説がある滋賀県の郷土料理。小豆と里芋またはかぼちゃを煮込み、報恩講や冬至に欠かせない一品として親しまれてきた。

ごより豆/じゃこ豆
「ごより」とは大阪湾の雑魚を天日干ししたもので、その名の由来は「売れ残り(後寄り)」にあり。カルシウム豊富な小魚と大豆を甘辛く炊いた、泉州・河内地域の知恵の保存食である。

ずいきの酢漬け
里芋の一種「八つ頭」の葉柄を酢に漬けた新潟の夏の郷土料理。アントシアニンが酸と反応し、鮮やかな紅色に染まる見た目の美しさから、お正月の食卓にも並ぶ保存食として親しまれてきた。

しんごろう
餅を食べられなかった若者「しんごろう」が考案したという由来を持つ、福島県会津の郷土料理。ご飯をつぶして丸め、えごまの味噌を塗って焼く素朴な味わいが特徴。

天寄せ
諏訪大社御柱祭のおもてなし料理として振舞われる寒天の「寄せもの」。慶弔で色を使い分ける独特の食文化が残る。

美唄のとりめし
明治時代の開拓期、農場主が小作人の健康を気遣って鶏を奨励したことが始まり。鶏と米を炊き込んだ質素ながら滋味深い味わいが、今も中村地区で受け継がれる。

つみれ煮
「サンマにも引けをとらない」と地元民が絶賛する沖ギスのつみれ煮。白身でクセがない沖ギスは、小骨も気にならないようミンチにして、ごぼうやねぎと共に煮込まれる。値段が手ごろなため、島根の家庭で日常的に親しまれてきた郷土料理である。

かしわのひきずり
「引きずる」という名の由来には、皮が切れずにずるずるとくっついてきた説、鍋で引きずるように焼く説、鶏を盗んだ若者が引きずって持ち帰った説などがある。愛知県の鶏肉すき焼きで、大晦日に食べる風習が残る。

どんこ汁
福島県浜通りの沿岸に生息する「どんこ」という魚を使った汁料理。肝を入れることで凝縮したうまみが特徴で、地元では釣りの楽しみとともに親しまれてきた。

奈良のっぺ
平安時代から続く「おん祭」の身清めの儀「大宿所祭」でふるまわれる精進料理。里芋の煮くずれが自然なとろみとなり、昆布と干ししいたけのだしが野菜の旨味を引き立てる。

ナーベーラーンブシー
へちまの甘い汁「ドゥー汁」が絶品の煮物。日本屈指の産地・南風原町で親しまれる夏の味で、調理のコツは汁を適度に出すことにある。

くじらご飯
節分に「大物くじら」にあやかり、子どもの成長を祈る石見の郷土料理。くじらの皮を油抜きして炊き込む、冬の滋味豊かな一膳である。

あんびん
あんを包んだ生地を「びんた」のように叩いて平らに整えることから名付けられた、山梨県峡南地域の蒸し菓子。米作りが難しかった土地で育まれた粉食文化の象徴である。

ぬっぺ
「ぬっぺ」の名は、さといものとろみで「ぬっとり」することに由来する。諫早の法事や祝いの席に欠かせない、保存が効く煮物である。

いのぶた鍋
山梨・三富で戦後に奨励された「いのぶた」は、野生の猪と豚を交配させた珍しい畜産物。獣臭がなく脂に甘みとコクがあり、タンパク質は豚肉より2割多いスタミナ食材として鍋で親しまれる。

めまき
富士登山の安全祈願を込めた三角形の郷土料理。アラメで魚を巻き、10時間以上煮込む保存食で、江戸時代から御師が信者にもてなした。

さつま
鍋の蓋やすり鉢に味噌をぬり七輪で香ばしく焼くという、昔ながらの工夫が詰まった郷土料理。焼き上げた白身魚をほぐし、焼き味噌とだし汁で伸ばして熱々のごはんにかける瀬戸内海の庶民の味である。

にぐい
「二度食う」から名付けられた福岡・筑豊の名物料理。汁物として最初にいただき、汁気がなくなった煮物として二度目を楽しむ、具だくさんの鶏煮込みである。

石花汁
熱した石を投入すると湯気が花のように舞い上がる、今治市大島の石切り場発祥の保温鍋。米のとぎ汁を使う知恵と、職人の賄い食としての歴史が息づく。

げたんは
下駄の歯に似た見た目が名前の由来。「黒糖地獄」と呼ばれた過酷な歴史を経て、鹿児島の庶民に親しまれた黒糖菓子である。

くつぞこの煮つけ
「くつぞこ」の名は、扁平なシタビラメの姿が靴底に似ていることに由来する。有明海の泥質の海底に生息するこの魚は、表皮の色で「クロシタ」「アカシタ」と呼び分けられ、古くから庶民の惣菜魚として親しまれてきた。

ピーナッツ豆腐
小値賀島の赤土と潮風が育む落花生を、葛粉と練り合わせて固めた珍しい豆腐。ご飯のおかずには柚子味噌を添え、甘味としては黒蜜やきな粉をかけて食べ分ける島の知恵が息づく。

チッコ豆腐/牛乳豆腐
「チッコ豆腐」は、産後の牛の初乳を火にかけて固めた日本の伝統的チーズ。千葉県安房鴨川地方の酪農家に代々伝わる、一般には流通しない秘伝の味である。

せんぶきまげ
福岡で「せんぶき」と呼ばれるわけぎを、根元から折り曲げて結び上げた春の縁起物。ひな節句の「たにし寒」に合わせてタニシと供される、緑と白の鮮やかな酢味噌和えである。

のっぺ
雪深い新潟で鍋ごと雪に埋め保存した「冷やしのっぺ」の名残が残る、里芋のぬめりでとろみをつけた煮物料理。正月や婚礼の席に欠かせない母から子へ伝わる味。

きりざい
「きりざい」の名は「切る(きり)」と「野菜(さい)」に由来し、戦国時代には武士の兵糧として携行された記録が残る。納豆に刻んだ漬物を混ぜる雪国の知恵料理である。

えび大根
川エビと大根の赤白配色が縁起物とされ、水神祭の祝いの席に欠かせない冬のごちそう。笹を束ねて誘い込む伝統的な漁法「笹エビ」で獲った新鮮な川エビを、とろけるほど柔らかく煮付ける。

じゃぶ
煮ると豆腐や野菜から水分が出て「じゃぶじゃぶ」音を立てることから名付けられた、兵庫のごちそう鍋。水を使わず具材自身の水分で煮込むのが特徴で、かつては地鶏を使った貴重なおもてなし料理だった。

大和まなと薄揚げの煮もの
「古事記」に記載される「菘(すずな)」をルーツとする大和まなは、霜にあたると甘みが増す奈良の伝統野菜。薄揚げと煮含めた滋味深い家庭料理は、平成21年の品種改良で周年流通するようになった。

じゃぶ
「じゃぶ」とは豆腐や野菜を煮込むうちに「じゃぶじゃぶ」水分が出てくる様子に由来する。余り野菜をごった煮する貧しさから生まれた名物料理が、今も鳥取の家庭に息づく。

いただき
「頂く」という感謝の気持ちが名前になった、あるいは大山の頂に似ていることから名付けられたともいわれる鳥取の郷土料理。大きな油揚げに生米と野菜を詰め、だし汁で炊き上げる豪快な田舎めしである。

くさぎ菜のかけめし
山野に自生するクサギの若芽を乾燥させた「くさぎ菜」を使った岡山のかけ飯。強い香りが特徴で、卵大の芽を5月下旬に摘み取り、ゆでてアク抜きして干す保存食として親しまれてきた。

豆腐飯
仏事の精進料理が生んだ岡山の名物。豆腐を裏ごししたなめらかな食感と、煮干しと昆布のあっさりとしたつゆが特徴で、法事の席で長く親しまれてきた。

わかめの醤油漬け
早春に獲れる萩市のわかめを醤油でもみ込み生で食べる保存食。瀬やグリと呼ばれる海底の岩礁が生む栄養豊かな海で育ったわかめの、香りと歯応えをそのまま味わう。

なすのこうじ漬け
秋田県南で古くから作られる冬支度の漬物。新米の二番米とこうじを贅沢に使い、皮が鮮やかな在来種のなすを長期保存する知恵が詰まっている。

呉汁
田んぼのあぜで育てた「たのくろ豆」をすりつぶした大豆の滋味深い汁物。ご飯にかけて食べる質素な食べ方も、古き埼玉の暮らしを今に伝える。

たらし焼き
生地をたらして焼くことから名付けられた埼玉の小昼飯。うどんほど手間がかからず、畑仕事の合間に重宝された小麦粉のおやつである。

さんが焼き
「山の家で食べた料理」が名前の由来。漁師が山仕事に持参したアワビの殻入りなめろうが、千葉の郷土料理として親しまれている。

島の茶粥
「茶がい」と呼ばれる瀬戸内の島々の朝食。田んぼのない塩飽諸島で、貴重な米を「食い延ばす」ために生まれた知恵の粥である。

カンカンずし
木槌でくさびを打ち込むカンカンの音が名前の由来。「ほらいたずし」の異名を持つ、形が崩れないほど締まったサワラの押し寿司である。

煮たくもじ
平安時代の宮中言葉「くもじ=漬物」を煮た郷土料理。酸っぱくなった春の漬物を捨てずに煮て食べる、食材を大切にする先人の知恵が詰まった一品である。

隠岐アラメの炒め煮
「デコボコと荒い表面」が名前の由来となった隠岐のアラメは、漁師が「箱めがね」を装着して海中から刈り取る伝統的な漁法で獲られる。春の新芽を乾燥保存し、炒め煮や白和えなど一年中親しまれる海の恵みである。

板わかめ
素潜り漁師が採る天然わかめを、収穫後4時間以内に板状に乾燥させた一品。パリパリとした食感を軽く炙ってごはんにかけると、わかめ本来の塩分と旨味が際立つ。

ゆべし
「木頭ゆず」の皮を砂糖と醤油で煮詰めた保存食。甘辛い味わいは酒のつまみやお茶漬けの具にもなる。砂糖が貴重だった時代は贅沢品として秋から春の副菜として重宝された。

まんばのけんちゃん
「万葉」と名付けられた高菜の一種・まんばを、煮干しで香ばしく炒めた冬の郷土料理。西讃では「ひゃっかの雪花」とも呼ばれ、雪に見立てた豆腐が彩りを添える。

きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯
国鳥に指定されるほど高貴なキジの肉と、瀬戸内の陽光で干した大根を合わせた混ぜご飯。里山の恵みと海の幸が織りなす、愛媛の伝統的な味である。

およごし
女性の言葉で「和え物」を意味する「およごし」は、約230年前の火災復興の伝承から生まれた佐賀の郷土料理。豆腐の代わりにサトイモを使う白和えで、各家庭の味が受け継がれる。

油ゾーメン
「八月踊り」で欠かせない集団食の名物。炒め油とだし汁が乳化し、そうめんに絡む独特の喉越しが魅力である。鹿児島県奄美地域で、明治以降一般家庭に広がった郷土料理。

あまぎのかわたけ
江戸時代に将軍へ献上された福岡県朝倉市の幻の天然淡水海苔。水質悪化で絶滅危惧種となり、現在は黄金川の保全活動とともに守られている貴重な食材である。

赤だつの酢ぶて
「だつ」とは里芋の葉柄(ずいき)のこと。山県市周辺では鮮やかな赤紫色の八つ頭のだつを「赤だつ」と呼び、産婦の体力回復を願って古くから食べられてきた。

すったて汁
「どぶ汁」の異名を持つ白川村の名物。豆腐作りの過程で生まれた大豆の搾りかすを使った汁物が、世界遺産の合掌造り集落でハレの日に供されてきた。

けんちゃん
鎌倉・建長寺が発祥とされる汁物が、大分県国東市では「けんちゃん」の名で親しまれている。具材を大きめに切り、汁気少なめの煮物風で食べるのが特徴だ。

呉汁
大豆をすりつぶした「ご」を加えた群馬の味噌汁。新豆が採れる秋から冬にかけて、旬の野菜とともに体を温める郷土料理として親しまれてきた。

ゆず巻き
干した大根でゆずの皮を巻く群馬の冬の行事食。おせちの「紅白なます」に代えて入れる家庭もあり、保存がきくため冬の家庭料理として重宝されてきた。

八ツ頭の茎の炒め煮
「血の道の薬」と呼ばれた八ツ頭の茎は、干して保存した「芋がら」を炒め煮にした埼玉の知恵料理。ごはんのおかずにも酒のつまみにもなるしっかりとした味わいが特徴である。

うこぎのほろほろ
南部藩の武士が箸からほろほろとこぼしたことに由来する名称を持つ、春の山菜ふりかけ。うこぎの新芽に味噌漬け大根とくるみを混ぜ、ご飯にかけて食べる。

だし
「だし」という名の由来は諸説あり、出汁のように食材を引き立てることからとも、包丁で細かく切り「出す」ことからともいわれる。山形・村山地域の夏の定番で、100軒の家があれば100種類の味があると言われるほど家庭ごとにバリエーションが豊かな野菜料理である。

もろこずし
モロコを甘辛く煮漬けて斜めに並べる尾張の箱ずし。かつて米が貴重な時代、皆が平等に味わえるよう考えられた斜め配置が特徴である。

あいまぜ
「あいまぜ」という名の由来は「合い混ぜ」、能登の旬の野菜を千切りにして煮込む正月の伝統料理である。見た目も味も土地ごとに異なる、まさに「その土地の味」を体現する郷土料理。

おざく
「ざくざく切る」という名前の由来が示す通り、野菜を大雑把に切って煮込む静岡の郷土料理。結婚式や葬式、祭りなど人が集まる場で隣近所が畑の野菜を持ち寄って作った、コミュニティの絆を体現する汁物である。

焼き付け
昭和初期の食糧難から生まれた富山の素朴な郷土食。大きな鉄鍋で薄く広げたもち粉生地に味噌ダレを塗り、野良仕事の合間にみんなで食べた腹持ちの良い一皿。

盆汁
お盆に殺生を避けて作られた精進料理がルーツ。カツオ節も煮干しも使わないのに、油揚げと7種類の夏野菜が織りなす深いうま味が特徴の三重県の盆汁。

のらぼう菜のおひたし
江戸時代の大飢饉で多くの人の命を救った伝統野菜・のらぼう菜を、シンプルにおひたしで味わう。花茎のやわらかな食感とほのかな甘みが特徴の春の味覚である。

のっぺい
江戸時代の料理書に「のっぺいとう」の名で登場する歴史ある郷土料理。松尾芭蕉の「月見の会」献立にも記され、伊賀で受け継がれてきた。

きゅうりの冷や汁
伊賀盆地の蒸し暑さを乗り切る知恵が生んだ、きゅうりと味噌の冷製汁物。全国の冷や汁とは異なり、三重県ではご飯にかけず汁物として楽しむのが特徴である。

みょうがの葉焼き
みょうがの葉を包み紙代わりにした素朴な焼き菓子。農作業の休憩時に子どもたちが食べたおやつが、お盆の迎え火と結びついた独特の食文化を持つ。

あいまぜ
具材と豆腐の両方に味付けして混ぜ合わせることから「あいまぜ」の名がついた、大分県竹田市久住地区の郷土料理。白和えに似るが山菜や干ししいたけをたっぷり使い、砂糖を贅沢に使ったごちそうとして親しまれた。

ひょう干しの煮物/ひょう干し煮
「ひょっといいことがありますように」と願いを込めて正月に食べる縁起物。夏に採ったすべりひゆを天日干しし、糸こんにゃくや油揚げと煮込んだ山形の保存食である。

ぬた芋
里芋をぬたぬたと和えることから名付けられた宮崎の郷土料理。小さな「おちこ」里芋を有効活用した先人の知恵が詰まり、焼酎のおつまみから子どものおやつまで幅広く親しまれる。

しもつかれ/すみつかれ
正月の残り物を酒粕で煮込む縁起物。7軒分食べると病気知らずという言い伝えがあり、近所への配りものとしても親しまれた。

がりがりなます
鬼おろしで大根を"ガリガリ"と粗くすりおろす独特の食感が名前の由来。茨城県南部の水田地帯では、正月などのハレの日に欠かせない郷土料理として親しまれている。

煮合い
「煮て和える」が語源とされる茨城県下市地方の郷土料理。安産祈願の「子安講」で振る舞われた歴史を持ち、酢を効かせた日持ちする味が特徴。冠婚葬祭で彩りを変えて供される。

船場汁
鯖のあらまで余さず使う大阪らしい「始末の料理」。明治から大正の船場の商家で、忙しい日々を支えた質素ながら滋味深い潮汁である。

こねつけ
戦国武将・真田幸村が出陣前に腹ごしらえしたと伝わる郷土料理。米が貴重だった時代、小麦粉を混ぜて焼き上げた携行食が、今はおやつとして親しまれている。

桑の木豆煮
明治・大正の養蚕業で台風から桑を守るために桑の木に絡ませた豆が名の由来。「飛騨・美濃伝統野菜」に認定される赤いかすり模様のインゲン豆を、醤油と砂糖で甘辛く煮込んだ郷土料理である。

煮味噌
八丁味噌を代表とする愛知の豆味噌文化が生んだ「煮味噌」。具材を味噌で煮返すうちに味が染み、翌日さらに美味しくなる「煮返しの楽しみ」が家庭に受け継がれる。

ちゃつ
朱漆塗りの木製皿「楪子(ちゃつ)」に盛られた精進料理が名前の由来。醤油を使わず白く仕上げる、三重県北勢地域の甘酸っぱい郷土料理である。

おひら
平たいお椀に盛りつけることから名付けられた「おひら」は、海と山、川の恵みが調和した只見町のご馳走。焼き干しにした赤腹のハヤが出すうまみ深いだしが特徴である。

いもがらの炒め煮/いもがらの五目煮
里芋の葉柄を乾燥させた「いもがら」は、茨城の家庭で長く愛される保存食。シャキシャキとした歯ごたえと味染みの良さから、正月の定番煮物から日常の常備菜まで、幅広く重宝されてきた。

凍豆腐の卵とじ
「吾妻おろし」の寒風で豆腐を凍らせる福島の伝統技法。凍豆腐と地元の「信夫菜」を卵でとじた、冬の味覚の知恵が詰まった一皿。

三献
西郷隆盛が愛加那との祝言で振る舞った正月の儀式食。赤椀・刺身・黒椀の三膳を焼酎とともに献じ、家長の掛け声で始まる奄美ならではの年始行事である。
ふるさと納税さつますもじ
宮中の女房言葉に由来する「すもじ」の一種で、鹿児島の庶民が季節の野菜と地酒で手際よく混ぜる豪快なちらしずし。殿様の「酒ずし」と対をなす祝いの食文化である。

大阪漬
大根やかぶを塩で揉み、数時間で仕上げる浅漬け。大阪地域で広く作られたことから名付けられ、葉茎まで丸ごと使う惜しみない食文化が特徴。

打ち豆と切り昆布の煮物
福島の豪雪地帯で生まれた知恵の結晶。青大豆をつぶして乾燥させた「打ち豆」と、細かく切った昆布を煮込んだ冬の保存食は、かつてお盆や法事の饗応料理として振る舞われた。

紅ずいきと油揚げの炊いたん
「炊いたん」とは関西の言葉で「煮物」のこと。シャキッとした食感の紅ずいきが油揚げと出汁を吸い、夏の定番おばんざいに仕上がる。

さばのじゃう
但馬の漁師が船から帰った朝に囲んだ、サバの寄せ鍋。小さなサバや雑魚を丸ごと使い、骨から取った出汁で煮込む豪快な漁師めしである。

にごみ
「にごみ」は「煮込み」の訛りという名称の通り、落花生の名産地・長崎県大村市のもてなし料理。具材を1cm角に細かく切り、薄皮付きのゆで落花生と共に甘めの味付けで煮込むのが特徴である。

ガラガラおろし
鬼おろし器の音が名の由来とされる三重の郷土料理。江戸時代、年貢米の代わりに献上されたという歴史を持ち、嫁入り道具として母から娘へ受け継がれた。

うずみ
江戸時代に具をご飯の下に埋めて質素に見せかけた「うずみ」。福山市を中心とする瀬戸内の郷土料理で、秋の収穫を祝う食文化として親しまれてきた。

もぶり
広島の方言で「混ぜる」を意味する「もぶる」が名前の由来。干ししいたけや根菜、黒豆などを炊きたてご飯に混ぜ込んだ混ぜご飯で、農作業の携行食から祝い事のちょっとしたごちそうまで、幅広く親しまれてきた。

みみ
三角形の麺が「箕」の形に由来する縁起物。源氏の武将が戦勝祝いに食した伝承があり、今も正月元旦に神様へ供える山梨の珍しい郷土料理。

りゅうきゅうの酢の物
名前の由来は「琉球から伝わった」という説があるが諸説あり、定かではない。シャリシャリとした歯ざわりが特徴のハスイモの茎を、太刀魚やカジキマグロの柚子酢漬けと和えた高知県の夏の定番酢の物である。

わけぎあえ
球根から枝分かれして生える「わけぎ」を、子孫繁栄の縁起物として雛祭りに食べる香川の春の味。白味噌と酢で伸ばした「ぬた」でタコと和え、山と海の旬を一度に味わう。

おしゃかこごり
釈迦のごつごつとした頭を模した「おしゃかこごり」。知恵が授かるとされるほか、謙遜を込めて「お釈迦様の鼻くそ」と呼ばれることもある、山梨の花祭りの行事食である。

せいだのたまじ
江戸時代の代官・中井清太夫が種芋を配り飢饉を救った功績を称え、「清太芋」が転じて「せいだ」と呼ばれるようになった小粒じゃがいもの味噌煮。皮ごと揚げて煮込む、棡原地域の知恵が詰まった一皿である。

じりやき
焼くときに「じりじり」と音が鳴ることから名付けられた群馬の味噌風味お好み焼き。囲炉裏の灰の余熱でじっくり焼き上げる農村部の知恵が詰まった一品である。

いもの茎の炒め煮
「さあ、いもの茎をはごう」——散財のあとに口にされた高知の家計支えの知恵料理。さつまいもの葉柄を炒め煮にした、シャキシャキ食感の夏の味覚である。

ぜんまいの炒め煮
繰り返しの天日干しと揉みほぐしで繊維を柔らかくする独特の製法が特徴。油との相性が良く、田植えの日の腹持ちの良い食事として農家に重用された保存食である。

ぎゅうてん
鉄板に「ぎゅっ」と押し付ける動作が名前の由来。桐生市の庶民食で、小麦粉を薄くといて小判型に焼くお好み焼き風の料理である。

だぶ
「ざぶざぶ」煮ることから名付けられた佐賀・福岡の郷土料理。冠婚葬祭で振る舞われ、慶弔によって具材の切り方や味付けが異なるのが特徴である。

くちぞこの煮付け
靴底の形に似た魚「くちぞこ」を、甘辛く煮含めた有明海沿岸の定番魚料理。夏から秋のふっくらとした身が最高とされ、日常食として親しまれている。

つとっこ
栃の葉に包んだ武士の携帯食が、秩父の新緑の季節を告げる5月の節句の行事食へと姿を変えた。もち米と小豆を包み、わらで縛って炊く古の知恵が今も息づく。

はば雑煮
「1年中幅を利かす」という縁起から、千葉県山武郡の正月に欠かせない「はば雑煮」。房州産の海藻「はばのり」をたっぷりかけ、漁師の間で愛されたご当地食材が華やかな年始の味に昇華した。

いぎりす
「イギリス」とは無関係。「イギス」が転訛した名称の羊羹状の郷土料理で、江戸時代の島原の乱後に四国から移住した農民が有明海のイギス藻を使って作り始めたとされる。

からなます
疱瘡祭の定番料理として受け継がれる「からなます」は、イワシとおからを俵型に握った千葉の郷土酢の物。祝い事にはウサギの形に盛り付け、不祝儀には普通の皿盛りと使い分ける食習が残る。

しょっから汁
「しょっから」は小ぶりのムロアジを丸ごと塩漬け発酵させた魚醤で、アシタバとサトイモを加えて煮込む伊豆諸島の汁物。独特の臭いと濃厚な旨味が特徴で、くさやと並ぶ島の保存食文化を体現している。

かっけ
南部藩の殿様が「庶民は食べるな」と禁じたそばの切れ端が発祥。三角形に切ったそば粉の生地を、にんにく味噌で食べる青森県南部の知恵の料理。

鮫のすくめ
「すくめ」の名は「酢で包む」に由来し、縄文時代から続く津軽のサメ食文化を体現する正月料理。アブラツノザメの頭を湯がいて酢味噌で和え、軟骨のコリコリとした食感が特徴である。

ごんざ/ごんじなます
「ごんざぶろう」という人が作ったから「ごんざ」、おばあちゃんをだまらせるほど美味しいから「ばばころし」——福井県で呼び名が十数種類もある謎多き煮物である。

いぎす
飛鳥・奈良時代から朝廷への献上品だった海藻料理。見た目はようかんのようだが、口に入れると海の豊かな香りが広がる独特の触感が楽しめる。

ふき俵
米俵にそっくりな形が名前の由来。田植えの始まり「さびらき」に、ふきの葉でごはんを包み豊作を祈る。大豆には「大きくまめに育つように」の願いが込められている。

ぼうり
正月の餅つきを600年間禁じた里芋の煮物。護良親王への詫びの気持ちが、独特の年越し食文化を生んだ。

ふきのとう味噌
春の訪れを告げる山菜を味噌で楽しむ島根の定番保存食。ふきのとうの独特な苦みと香りが、ごはんのおともやお酒のつまみにぴったりである。

ぬた
クジラの尻尾「オバイケ」をねぎとあえた山口北浦の郷土料理。江戸時代から続く捕鯨の地ならではの味わいで、桃の節句にも供される春の伝統あえ物である。

なす炒り
伊達政宗の家臣が博多から持ち帰ったナスが、東北の気候で独自の形に変化した「仙台長なす」。皮ごと炒めた常備菜は、宮城の家庭で親しまれてきた。

とうへい鍋
捨てられていたクロアナゴを漁師が鍋にしたのが始まり。骨まで味噌スープに溶かし込む、宗像市大島にだけ残る希少なハレの日の伝統鍋である。

包飯
ご飯をそば米雑炊で「包む」という名の由来通り、別々に炊いたそば米雑炊とご飯を混ぜて食べる徳島県西部の郷土料理。米不足の時代に腹持ちを良くするため考案されたアイデア料理である。

さがんぼの煮つけ
「サガンボ」は紡錘形の氷柱を意味する方言が由来で、北茨城から内陸・栃木へ運ばれたサメの身の部分を指す。海なし県で珍重された保存食は、今も正月の「晴れの日」に食卓を飾る。

ねじ/小豆ぼうとう
秩父の「ねじ」は、螺旋状にねじった短いうどんに小豆あんを絡めた名物。貧しかった時代に餅の代わりとして生まれたという説があり、8月16日の送り盆に食べられる。

治助芋のネギ味噌
100年以上続く奥多摩の名産「治助芋」は、山梨から嫁入りした女性が持参した芋を治助さんが広めたことに由来する。濃厚な味わいの蒸し芋にネギ味噌を添える素朴な郷土料理である。

えびみそ汁
香川県三豊市の「どぶろく祭り」で振る舞われる神事の味噌汁。シバエビを丸ごとミキサーにかけた濃厚な汁は、300年続く古式醸造のどぶろくとともに供される。

すいぜん
輪島の葬儀で供される白い寒天菓子。朱塗りの漆器に菊水や輪花の形で盛り付けられ、男性がすった黒ごまの甘じょっぱいごまだれをつけて食べる。精進料理が刺身の代わりに発展した独特の食文化である。

いとこ汁
「いとこ汁」という謎めいた名前の由来は諸説あり、旧暦12月8日の「御事始」に食べられた「おこと汁」が転じた説や、小豆と豆腐の材料関係から「いとこ」と呼ばれた説などがある。浄土真宗の報恩講で親鸞聖人への御恩を報じる食事として供される。

えごの酢味噌あえ
海のない長野の山間に、日本海から行商人が運んだ海藻「エゴ草」の加工食品が根付いた。盆や冠婚葬祭に欠かせない「えご」は、酢味噌やわさび醤油で刺身のように味わう。

筍のアラメ煮
かつて海岸に流れ着いた海藻を使った春の味。アラメの水揚げが途絶えても、他地域のものを使い今も食卓に並ぶ、静岡中部の知る人ぞ知る郷土料理。

ふきの煮付け
シャキシャキとした太い茎が特徴の「愛知早生ふき」を使った煮付け。明治中頃に東海市で発見されたこの品種は、知多半島を中心に全国トップクラスの生産量を誇り、春の訪れを告げる味として親しまれる。

あいまぜ
葬式料理の端材を活用した「組みもの」がルーツの郷土料理。凍りこんにゃくの肉のような食感と、やや甘めの合わせ酢が特徴的。正月や法事に再び姿を現す、三重県の味の記憶。

ちょぼ汁
子どもの健やかな成長を願い、産後の母へ贈られる淡路島の伝統料理。女の子にはへこませた団子、男の子にはとがらせた団子を入れる命名の工夫も独特である。

高野豆腐粉と野菜の煮物
高野豆腐製造の副産物「とふ粉」を使った、兵庫県多可町の家庭料理。明治期に軍需用乾物として栄えた高野豆腐産業の、今に息づく食文化である。

生節とねぎの煮もの
室町時代、翁の面と共に空から降ってきた伝説の「結崎ネブカ」を使う、奈良の奥深き家庭料理。海なき奈良が育んだ生節の旨味と、甘み豊かなねぎの絶妙な組み合わせである。

煮菜
「煮」の名に反して炒め物に近い、福山の日常おかず。大根の千切りと油揚げをしょうゆで味付けし、食材の水分だけで旨味を閉じ込める、農家の知恵が詰まった一皿である。

うに飯
高価なウニを「炊き込みご飯」にして振舞う萩のもてなし料理。生ウニをのせる丼とは異なり、米と一緒に炊くことで磯の香りとコクがご飯全体に染み渡る。

こんにゃくのはちはい
「八杯おかわりしたほど美味しい」という名前の由来を持つ香川県のこんにゃく煮込み。あっさりとした出汁が具材の旨味を引き立て、寒い日の温もりを運ぶ郷土料理である。

ねぎとさつまいものぬた
イカの代わりにさつまいもを使った酢味噌和え。高知県南国市の生産者が自家製の芋で考案し、ねぎの辛味と甘みのコントラストが特徴の郷土料理。

鼻はじき
辛子酢みその刺激で鼻がツンとするから「鼻はじき」。諫早の法事に欠かせなかった精進料理が、今は家庭の定番おかずに。

イーヤチ
約600年続く「種子取祭」で食べられる保存食。芭蕉の葉に包まれた丸い姿は、多忙な祭期を乗り切る島民の知恵とごちそうの記憶を今に伝える。

茹で干し大根とかんぼこの煮物
断崖の中空干し場で陽光と海風に晒された「茹で干し大根」と、長崎名物の「かんぼこ」が織りなす冬の風物詩。苦み少なくやわらかな食感が特徴の郷土料理である。

銀ぶろうずし
「不老長寿の豆」と伝わる黒いいんげん豆を酢飯に混ぜた祝宴の鮨。艶やかな見た目から「銀」、長寿祈願から「ぶろう」と名付けられた縁起物である。

すみつかれ
節分の豆を残して使う北埼玉の知恵料理。鬼おろしで粗くおろしたダイコンと炒り大豆を煮込み、初午の日にお稲荷様に供える冬の保存食である。

すしこ
もち米を乳酸発酵させた「ごはんの漬物」という異名を持つ珍しい郷土料理。津軽の西北地域で冬の保存食として一斗樽に漬け込まれ、農作業の合間に体力回復の糧とされた。

けいらん
椀の蓋を開けると白い卵形の団子が二つ浮かぶ「けいらん」は、鶏卵に似た姿から名付けられた秋仕舞いのごちそう。元は京都の料理が上方文化とともに旧南部藩に伝来し、現在は冠婚葬祭に欠かせない郷土料理として親しまれている。

あほだき
「あほなことしてるなぁ」が名前の由来ともいわれる、古たくあんを再生する三重県の知恵料理。塩分を抜いて醤油で炊き直す贅沢な調理法から「大名炊き」の別名も持つ。

こけらずし
「こけら落とし」の席に出されたことや、こけらぶきの屋根のように具材をずらし重ねる盛り付けが名前の由来。東紀州の豊かなひのき木材で作られた押し型が発達し、3〜5段に重ねた美しい層が特徴の祝い料理である。

食用ぎくのおひたし
「もってのほか」という名の紫色の食用菊を、おひたしにして食べる山形の郷土料理。筒状の花弁が生むしゃきしゃきとした歯ごたえが特徴で、江戸時代から続く菊食文化の代表格である。

あさづけ
「浅漬け」とは別物。砕け米を煮て練り、砂糖と酢で味付けする秋田の甘酸っぱいデザート。田植え後の女性たちを癒やした農家の知恵が詰まった一品。

かりもりの粕漬け
「カリッとした食感でごはんがもりもり食べられる」という名前の由来を持つ、濃尾平野の伝統的な粕漬け。明治から続くかりもりという硬い白瓜を、知多半島の酒蔵から出る酒粕で漬け込む夏の味である。

しょいめし
「わっしょい」の掛け声から名づけられたか、あるいは「しょうゆめし」が訛ったか。高島市新旭地域の伝統的な醤油炊き込みご飯で、神事「湯立て」に由来する独特の炊き方が特徴である。

いたどりの煮もの
怪我の患部にすりこむと痛みが取れることから「痛取り」と名付けられた山菜。吉野の山間部では「ごんぱち」という別名でも親しまれ、春の訪れを告げる味覚として欠かせない存在である。

血イリチー
貧血予防の薬としても用いられた「以類補類」の思想が息づく、豚の血を使った沖縄のハレの日料理。近年はHACCP管理で豚の血の入手が困難になり、食文化の継承が危ぶまれている。

ちしゃなます
関ヶ原の戦い後の困窮の中で誕生した、下関の縮れ野菜「かきちしゃ」を使った酢味噌和え。葉をもむようにあえる「ちしゃもみ」とも呼ばれる、栄養価の高い知恵の料理である。

じゃがいもとひじきの煮物
海の幸と山の幸を合わせた開山祝いの一品。富士山信仰の宿坊・御師が100年以上前から振る舞い、今も7月1日の山開きに欠かせない郷土の味である。

茂倉瓜の冷や汁
130年前から自家播種で守られてきた幻の瓜を使い、南アルプスの麓で親しまれる夏の冷や汁。冬瓜ほど大きくなるも青臭さがなく、しゃきしゃきとした歯ざわりが麦飯やおかゆに絶妙に合う。

すみつかれ
正月の鮭の頭と節分の豆、食べ頃を過ぎた大根を煮込む「すみつかれ」。江戸時代から初午の日に稲荷神社へ供え、無病息災を願う北関東の行事食である。

鶏飯
男たちが自宅の鶏をさばいてつくった、諫早・目代(めしろ)地区のもてなし飯「といめし」。いまも"男性がつくる最高のおもてなし料理"といわれ、正月や盆、祭りの席で振る舞われる。

しょうゆの実
醤油仕込みの副産物が独自の発酵食品へと昇華した山梨の知恵。高冷地・傾斜地で育った大豆を麹で熟成させ、冬の貴重なたんぱく源として親しまれてきた。

えびざっこ
「ざっこ」とは漁で獲れる雑多な小型エビの総称。豊前海の漁師が新鮮なうちにさっと煮るごちそうとして親しまれ、甘醤油の煮汁でそうめんを食べるのが地元流である。

田舎ずし
山の幸をふんだんに使った高知県の珍しい野菜ずし。昆布やのりが手に入りにくかった山間地で生まれ、四方竹の空洞に酢飯を詰める「四方竹の一口ずし」など、鮮やかな色彩が食卓を彩る。

とうきびめし
米が貴重だった時代、高千穂地方の農家は「割りとうきび」で米のかさを増し、人々の腹を満たした。寒風に晒された乾燥とうきびのひき割りを混ぜ炊く、黄金色の郷土飯である。

あざら
白菜の古漬けとメヌケのアラを酒粕で煮込む宮城県気仙沼市の郷土料理。翌日に煮返すとさらに美味しくなるため、一度炊くと2〜3日は続けて食べたという。

かぶ雑煮
焼かない丸餅がすまし汁にとろみをつける、山口県のお正月の「かぶ雑煮」。するめを結んで入れると香りと見た目が引き立つ。

暮れの煮物
「大物になるように」という願いを込め、高知県で年越しに欠かさず食べられる縁起物。くじら肉と切り昆布、大根などを煮込み、室戸市の300年続く捕鯨文化が育んだ味である。

おきゅうと
太平洋戦争前には「おきゅうと売り」が朝の町を歩き回るほどの人気で、飢饉時代には「御救人」として多くの命を救った福岡の海藻加工食品。

半ごろし
「半分だけすりつぶす」という製法が名前の由来。もち米とうるち米を混ぜた生地にあんを包んだ、徳島県那賀町相生地区の郷土菓子。一時期「草もち」と呼ばれたが、地元学生の要望で元の名が復活した。

こんにゃくの白あえ
「1年の砂おろし」と呼ばれる節分の縁起物。香川の山間部で手づくりされるこんにゃくを、豆腐とごまで白く和えた精進料理の伝統が残る。

ぐる煮
「ぐる」とは土佐の方言で「仲間」という意味。大根、人参、里芋など冬の根菜を一緒くたに煮込む、昔ながらの備蓄菜である。味噌仕立ての地域もあり、家庭ごとの味が受け継がれている。

まんぼう酢味噌あえ
「海ののんき者」と呼ばれるマンボウは、江戸時代からの珍味。熊野灘沿岸では冬の定置網で水揚げされ、酢味噌和えや肝入り味噌和えで親しまれる。

おいり
「炒る(いる)」が名前の由来という、残りごはんを無駄にしない知恵から生まれた因幡地方の菓子。ひな祭りの「流し雛」に添えられ、今も鳥取の春を告げる。

ずきがし
徳島の郷土料理「ずきがし」は、ゆでたずいきを酢で和えると黒かった食材が鮮やかな赤に変化する、見た目も楽しい一品。柚子酢を使った爽やかな味わいが特徴である。

がん汁
「がん」はカニ汁が訛った呼び名。殻ごとすりつぶしたツガニのたんぱく質がふわふわと浮かび上がる、大分県宇佐市の知られざる名物料理である。

へぼ飯
クロスズメバチの幼虫「へぼ」を甘辛く煮てごはんに混ぜる愛知県三河地域の郷土料理。かつては山間部の貴重なタンパク源で、今はごちそうとして客に振る舞われる。

ふき俵
田の神に供える13個の「ふき俵」は、ふきの葉で豆ごはんを俵型に包んだ三重県の知恵の結晶。手を洗わず食べられ、食べ終われば葉は自然に還る。

金山寺味噌
調味料ではなくそのまま食べる「なめ味噌」の一種で、夏野菜を冬まで保存するため寺で生まれた発酵食品。お茶漬けや酒の肴として親しまれ、静岡県各地で作られている。

へぼ飯
江戸時代からの記録がある貴重な高タンパク食。海から離れた山間部で、大切なお客へのご馳走として振る舞われたクロスズメバチの幼虫料理である。

凍み大根のお田植えの煮物
「凍み」の技が生む濃厚な旨み。冬の寒風に何度も凍らせて乾燥させた大根を、田植えの日に煮て食べる信州の知恵。

菜豆腐
平家の落人伝説が残る宮崎県椎葉村に、京料理を思わせる「菜豆腐」が伝わる。大豆を節約しつつ四季の花や青菜を混ぜ込む知恵が、藤の花豆腐など独特の姿に結実した。

きらすまめし
江戸時代の倹約令から生まれた「きらすまめし」は、刺身に大豆の搾りかすをまぶした臼杵の知恵料理。カボスを絞る爽やかな風味が、花見の席を彩る。

納豆汁
糸を引かない納豆を「納豆汁」に仕立てたという山形の知恵。すり鉢で粒が見えなくなるまで潰した納豆のとろみが、冬の体を芯から温める。

おつぼ
浄土真宗の最大行事「報恩講」に欠かせない精進料理。親鸞聖人が愛した小豆と里芋を煮詰めた、福井の信仰と食が交わる名物である。

さめなます
「鮫」に「交わる」の字が入る縁起物。三重県志摩の祝い膳では、さばきたてのネコザメを湯通しして発酵味噌だれで味わう「さめなます」が欠かせない一品となる。

つぎ汁
「きったて」と呼ばれる専用の容器から、箸で混ぜながらお椀に次いで回る独特の供し方が名の由来。辛みと甘みが絶妙に調和した、郡上市明宝寒水地区でしか味わえない希少なお吸い物である。

はす魚田
琵琶湖の固有種・ハスを使った珍しい郷土料理。網にかかるとすぐ死んでしまう性質から、長らく地元でしか食べられなかった幻の魚である。

ずいきの煮もの
天平時代から続く奈良の伝統食材。里芋の葉柄を新聞紙で軟白栽培した「幻の食材」は、東大寺正倉院文書にも記録される歴史ある味である。

クーリジシ
椀に広がる卵が雪に見えるから「クーリ(氷)ジシ(肉)」。旧盆の昼に仏前へ供えられた豚とトウガンの卵とじ汁は、いまではほとんどつくられない貴重な沖縄の味。

けんびき焼き
旧暦6月1日「ロッカッシテェ」に岡山の農家で作られた、みょうがの葉で包んで焼く郷土菓子。農作業で疲れた「腱びき筋」を焼きほぐすという言い伝えが残る。

たらおさ
大分県日田・玖珠地方のお盆のごちそう「たらおさ」は、タラのエラと胃を干した北海道稚内産の珍しい乾物。歯ブラシのような独特の形状と、コリコリ・もっちりの二重の食感がやみつきになる。

いたどりの油いため
竹のように中空の茎を持つ山菜「いたどり」は、高知県では塩漬けや冷凍で長期保存し、年間を通じて食卓に上る身近な食材である。カリカリとした歯ごたえを活かした油炒めは、今も家庭で受け継がれる定番の副菜である。

おばく
山間部で麦が主食となった知恵の結晶。丸麦のぷちぷちとした食感と、ねぎ味噌やカツオ節を添えた実が相性抜群の、山梨のほっこり滋味ごはん。

こしね汁
「こんにゃく」「しいたけ」「ねぎ」の頭文字を取った名前が示す通り、群馬県富岡市の3大特産をふんだんに使った汁物。家庭ごとにアレンジが加わるのも魅力である。

かいそう
琴柱に似た枝の海藻を煮詰めて固めた、九十九里・銚子のおせち名物。味濃い正月料理の「箸休め」として、古くから親しまれている。

つぼ汁
「つぼ」の名はお椀を坪に見立てたことに由来する、長崎県西海市雪浦地区の精進料理。法事の席に欠かせない、シンプルながら奥深い郷土の味である。

おくたまワサビのTOKYO-X巻き
すりおろすのが常識だった奥多摩わさびを刻んで豚肉と巻き焼くという発想の転換が生んだ、2011年のコンクール最優秀賞受賞メニュー。鼻に抜ける辛さとジューシーな肉の旨味が絶妙に調和する。

うどの酢味噌和え
江戸時代から親しまれる「室(むろ)」で白く軟化させた練馬の伝統野菜・うどを、酢味噌でさっぱりと和えた冬の味覚。深さ3〜4メートルの暗い穴の中で手間をかけて育てる独自の栽培法が、柔らかな食感と風味を生み出す。

くじら汁
「鯨一匹七浦うるおう」といわれた八戸の捕鯨文化が生んだ正月の縁起物。背の本皮を何度も湯通しし、凝縮した旨味が日を追うごとに深まる鍋物である。

柏椀
「かしわ」は鶏肉のこと。丁寧に煮た具材を冷ました汁で仕上げる山口のおもてなし料理で、椀に盛った美しい彩りが客人をもてなす心を表す。

まゆ玉
養蚕の神「まゆ」を模したまゆ玉は、小正月に田んぼのどんど焼きで焼き、病気を避ける願いを込めて食べる。神棚へのお供えが先で、食べるのはその後という独特の流儀が群馬の養蚕文化を象徴する。

はすいもの茎の酢の物
しゃきしゃきとした茎の食感が特徴の酢の物。里芋の一種である「はすいも」は実は芋ではなく茎や葉を食べ、沖縄から伝来したことで「りゅうきゅう」とも呼ばれる。

すみつかれ
「下野国の家例」から「しもつかれ」、あるいは「酢み漬け」から「すみつかれ」と呼ばれる由来を持つ、鎌倉時代の説話にも登場する歴史ある料理。鬼おろし器でおろした大根と人参を酒かすと共にじっくり煮込む、千葉県東葛飾地域の味である。

さわさわ
汁気をさらさらと流し込める食感が名前の由来となった、香川県のこんにゃく料理。正月や法事など特別な日に食べられ、「おなかの砂おろし」として重宝されてきた。

いりやき
「いりやきは後食え」という格言が生まれたほどの絶品〆。対馬の冠婚葬祭で受け継がれてきた鍋料理は、椿油で地鶏や魚を炒める「い焼き」の技法が名前の由来である。

ざぶ汁
「ざぶざぶ」と食材を煮る音が名前の由来。宮崎県都農町に伝わる、手軽な根菜の煮物で、家庭ごとに具材を変えて親しまれている。

ンムクジプットゥルー
「プットゥルー」とはでんぷん質がべっとりとしたのり状に仕上げた状態を意味する。1605年に野國總管が中国から芋の苗を持ち帰り、救荒食物として飢えを救ったイモから生まれた、沖縄の知恵の結晶である。

うらじろまんじゅう
葉の裏が白く見えるオヤマボクチから名付けられた山梨の郷土菓子。ヨモギ餅のような食感でありながら、草臭さがほとんどなく食べやすいのが特徴である。

しきしき
戦前から続く奈良の素朴なおやつ。クレープのような薄焼き生地に、甘いあんを巻いたりねぎをかけたりと家庭ごとに食べ方が異なる。

かしきり
朝鮮半島から伝わった救荒食「かしきり」は、高知県安芸市で今も残る貴重な豆腐。かしの実を水と練り、ぬたをつけて食べる山間部の知恵が詰まった一皿である。

もっそうめし
修行僧の精進料理が起源で、丸や扇の木型にごはんを詰めて押し抜く独特の形状が特徴。三豊市の百々手祭りで会食として親しまれ、現在は「肉もっそ」も人気の郷土料理である。

そまげ
「そまげ」の名は「そばのおかゆ」に由来し、椎葉村では煮干し出汁の野菜汁でそば粉を練り上げる。固くなったら囲炉裏で焼く食べ方も、山の知恵が息づく。

くりつぼ
栗を入れることから「くり」、おわんを坪に見立てる「つぼ」が名の由来。甘めの味付けで、昔からおくんちなどのお祭りのごちそうとして親しまれてきた長崎県の伝統煮物料理である。

豆しとぎ
神前に供える青緑色の生菓子。米不足の南部地方で生まれた「豆しとぎ」は、焼くと香ばしく甘みが増し、食感も変わる二通りの楽しみ方がある。

イルカの味噌煮
縄文時代から続く伊豆の伝統漁が生んだ、ごぼうと味噌で煮込む野性味あふれる郷土料理。鮮魚店で皿盛りされていたイルカ肉は、冬の日常食として家庭の味噌煮に変わった。

田にしの味噌煮
春の飯山観音花祭りで「タニシ町」と呼ばれるほどの賑わいを見せた、甘辛味噌に煮込んだ田にしの郷土料理。かつては農家の日常食として親しまれた。

稗ずーしー/稗がゆ
「ずし」は雑炊のこと。貴重なお米の代わりに、外皮が固く長期保存に耐える稗を煮込んだ山間部の知恵である。猪のだし汁で炊く椎葉村の「稗ずーしー」は、今も狩猟の季節に振る舞われる。

はすいもの酢の物
東南アジア原産のはすいもを生のまま酢で和える山口県萩市の夏の名物。シャリシャリとした食感とアジの脂のりが絶妙にマッチする清涼な逸品である。

やこめ
「焼米」が語源とされるやこめは、種もみを煎った古い形から、今は大豆を入れた炊き込みご飯へと姿を変えた。山梨の稲作農家が立春の水口祭りで豊穣を祈る神饌として供えてきた名物料理である。

七色お和え
真言宗の盆供えに欠かせない「七色お和え」。食糧難の時代に7種の野菜を使うことは贅沢の極みであり、精霊への感謝と豊穣を願う心意気が込められている。