
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
米、人参、干ししいたけ、さやえんどう、しめサバ、卵など彩り豊かな5種類の具材を、すし飯と交互に3段または5段に重ねて押し固める押しずしである。東紀州地域は豊かなひのき木材に恵まれ、一升型・五合型・三合型など様々なサイズのすし型が発達した土地柄である。祭りや結婚式、還暦・厄祝いなどの祝い事に多く作られ、親戚や近所に切り分けて配り共に祝い合う風習がある。家庭ごとに具材の組み合わせや段数に違いがあり、近年は少人数向けの小型型や一人用・一段用など多様な型が作られ、尾鷲市須賀利地区では二升半用の大型型も使われている。
由来・歴史
東紀州地域で人寄せ事やおめでたい時に作られる「押しずし」を「こけらずし」と呼ぶ。この名前の由来は、こけら落としの席に出されていたこと、あるいはこけらぶきの屋根のように1枚1枚ずらし重ねて具材を盛り付けたことからと言われる。押しずしが発達した背景には、東紀州の豊かな木材(主にひのき)を利用したすし型の発達がある。材料は5種類の奇数にし、その中に必ず1種は酢の物にした旬の魚を用いるのが伝統である。
食べ方
すし飯の上に具材をのせ、その上に山いちごの葉や花みょうがの葉を敷き、これを3段または5段ほど重ねて押し固める。食べる際は外枠を抜き取り、重なったまま食べやすい大きさに切る。横側から見ると層が美しく、1ブロックごと取り分けて上から葉を外しながら1段ずつ食べる。祭りや結婚式、還暦・厄祝いなどの祝い事に1年中作られ、都会で葉が入手できない場合はからし菜やレタスで代用し、弁当箱を型代わりにすることもできる。
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産地
寿司の名物

このしろの姿寿司
コノシロを背開きにして酢締めし、棒状のすし飯を腹に詰めた縁起物。江戸時代から受け継がれる八代海沿岸の正月の味で、2〜3日経ったら炙って二度楽しむ裏技もある。

めはりずし
「目を見張るほどに美味しい」とか、「おにぎりに目張りをするように包む」から名づけられた、高菜漬けで大きなおにぎりを包む和歌山県南部の郷土寿司。漁や山仕事の合間に手軽に食べられる弁当として広まった。

みかんずし
「蛇口からミカンジュース」という都市伝説が現実化した愛媛ならではの寿司飯。かぼすやみかんの果汁で炊いたごはんは、米酢が希少だった南部地域で生まれた知恵の結晶である。

こけら寿司
屋根材「こけら板」を押し型に使ったこと、あるいは木屑に似た見た目から名付けられた「押しずし」の原型。和歌山の漁港町では、豊漁祈願の夏祭りでヒメジやエソを使った豪華なこけら寿司が振る舞われてきた。

こぶずし
昆布で酢飯を巻く高知の巻きずし。県中央部は白い板昆布、西部は黒い煮昆布と、同じ名で対照的な二つの姿を持つ。芯の具材がないのも特徴で、冠婚葬祭のハレの日に客をもてなした。

カンカンずし
木槌でくさびを打ち込むカンカンの音が名前の由来。「ほらいたずし」の異名を持つ、形が崩れないほど締まったサワラの押し寿司である。
三重県の名物

こうなごのくぎ煮
錆びた釘に似た細長い姿から「くぎ煮」と名付けられた三重県の佃煮。伊勢湾の春の風物詩として親しまれてきたが、資源保護のため近年は禁漁となり、回復を待つ状態にある。

きゅうりの冷や汁
伊賀盆地の蒸し暑さを乗り切る知恵が生んだ、きゅうりと味噌の冷製汁物。全国の冷や汁とは異なり、三重県ではご飯にかけず汁物として楽しむのが特徴である。

まんぼう酢味噌あえ
「海ののんき者」と呼ばれるマンボウは、江戸時代からの珍味。熊野灘沿岸では冬の定置網で水揚げされ、酢味噌和えや肝入り味噌和えで親しまれる。

かきまぜ
冠婚葬祭の「ハレ食」として東紀州に伝わる混ぜずし。二百十日の町内会作業後、子どもが蓮芋の葉に包んだかきまぜを待ち構える風景も。

いわしずし
「祭りずし」とも呼ばれる三重県の秋祭りの名物。木枠で押し固めたイワシと酢飯は、余ればお土産に持ち帰るほどのごちそうであった。海から遠い内陸部ではイワシ自体が珍しい食材だった。

伊勢うどん
昭和47年に名前が決まった「新しい郷土料理」。太く柔らかい麺に黒いたまり醤油のつゆを絡め、伊勢市民のソウルフードとして親しまれている。