
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
コウナゴをザラメ・醤油・清酒・みりん・しょうがで煮詰めた佃煮で、細長い魚体が折れ曲がって錆びた釘のように見えることが名称の由来である。伊勢湾岸沿いの北勢・中南勢・伊勢志摩食文化圏で主に伝承され、神戸発祥の製法が昭和初期に三重県に伝わった。本来は毎年2月下旬の試験引き後に解禁され、春の訪れを告げる味として食べられてきたが、近年は資源量の激減により禁漁が続いている。家庭では釜揚げやちりめんとする場合もあり、10cm程度に成長した成魚は煮物や酢の物としても珍重される。
由来・歴史
コウナゴはイカナゴの別名で、三重県ではこの呼称が定着している。佃煮の製法は1935年に神戸で誕生し、生コウナゴの買付けが三重県に広がることで当地でも生産が始まった。名称は細長い魚体が煮ると折れ曲がり、錆びた釘に似ることに由来する。昭和50年代以降、漁獲量の激減を受けて三重県と愛知県の漁業者が協議して解禁日を設けるなど自主規制を行い、近年は行政・漁業者・加工業者・研究者の連携による資源保護活動が継続されている。
食べ方
鍋に中ザラメ、醤油、清酒、みりんを入れ強火で煮立て、溶けたら洗ったコウナゴと千切りしょうがを少しずつ加える。煮汁の温度を下げぬよう注意しながら煮詰め、最後は弱火で何度も鍋返しして焦がさず煮切る。本来は2月下旬の解禁後、体長3〜4cmの獲れたての稚魚を使って春先に食べるが、近年は資源保護のため禁漁となっている。
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産地
煮物の名物

くきたち干しの煮物
生命力旺盛なアブラナ科野菜「くきたち」を春に天日干しし、冬の貴重な保存食として蓄えてきた郷土料理。干す際に軽く揉むことが美味しさの秘訣である。

暮れの煮物
「大物になるように」という願いを込め、高知県で年越しに欠かさず食べられる縁起物。くじら肉と切り昆布、大根などを煮込み、室戸市の300年続く捕鯨文化が育んだ味である。

黒豆煮
「黒く日焼けするほどマメに働けるように」という願いが込められた、丹波の黒大豆を使ったおせちの定番。大粒で艶やかな黒光りが特徴で、生産者の間では「苦労豆」とも呼ばれる貴重な食材である。

鯉のうま煮
「来い、こい」という縁起の良さから、山形の祝いの席に欠かせない一品。1802年、上杉鷹山公が米沢でコイ養殖を奨励したことが始まりで、厳しい冬の寒さで身が引き締まった「米沢鯉」は牛やりんごと並ぶ名産となった。

小鮒の甘露煮
生きたまま鍋に入れるという荒技が特徴の「小鮒の甘露煮」。跳ねる小フナを素早く蓋で押さえ込む、佐久の母親たちの技が光る秋の味覚である。

小あゆの山椒煮
琵琶湖産の小アユを甘辛く炊き上げた佃煮。体長7cmにしか成長しない小アユは、餌の関係で琵琶湖独自の生態を持つ。1998年には滋賀県選択無形民俗文化財に選定された湖魚の佃煮の代表である。
三重県の名物

きゅうりの冷や汁
伊賀盆地の蒸し暑さを乗り切る知恵が生んだ、きゅうりと味噌の冷製汁物。全国の冷や汁とは異なり、三重県ではご飯にかけず汁物として楽しむのが特徴である。

まんぼう酢味噌あえ
「海ののんき者」と呼ばれるマンボウは、江戸時代からの珍味。熊野灘沿岸では冬の定置網で水揚げされ、酢味噌和えや肝入り味噌和えで親しまれる。

ないしょ餅/なべ餅
杵と臼を使わず鍋の中でこっそりつくる「ないしょ餅」。隣近所に聞こえないようにペッタンペッタンと音を立てずに作ることから、家族だけで内緒で食べる楽しさが名前の由来となった。

こけらずし
「こけら落とし」の席に出されたことや、こけらぶきの屋根のように具材をずらし重ねる盛り付けが名前の由来。東紀州の豊かなひのき木材で作られた押し型が発達し、3〜5段に重ねた美しい層が特徴の祝い料理である。

かきまぜ
冠婚葬祭の「ハレ食」として東紀州に伝わる混ぜずし。二百十日の町内会作業後、子どもが蓮芋の葉に包んだかきまぜを待ち構える風景も。

いわしずし
「祭りずし」とも呼ばれる三重県の秋祭りの名物。木枠で押し固めたイワシと酢飯は、余ればお土産に持ち帰るほどのごちそうであった。海から遠い内陸部ではイワシ自体が珍しい食材だった。