
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
きゅうりの冷や汁は、すりごまと味噌をすり鉢で練り、輪切りのきゅうりを加えて煮だし汁で溶いた冷製の味噌汁である。伊賀地域は盆地特有の蒸し暑さに悩まされ、夏場の食欲減退を防ぐための知恵として発達した。主に6〜8月の暑い時期に、夏バテ対策として食べられてきた。家庭ごとに味噌の種類やきゅうりの切り方、ごまの量などが異なり、独自のアレンジが受け継がれている。現代でも簡単な調理法から、手軽な夏の家庭料理として親しまれている。
由来・歴史
伊賀盆地では夏の蒸し暑さにより食欲が落ちるため、冷たい味噌汁を食べる習慣が発達した。宮崎県の冷や汁が鎌倉時代に僧侶によって広まったとされるのに対し、三重県のものは独自の系譜を持ち、原則としてご飯にかけるのではなく冷たい汁物として食べる点が特徴である。簡便な調理法から家庭ごとに味のバリエーションが生まれた。
食べ方
ごまを煎ってすり鉢でよくすり、味噌を加えてさらにすりこむ。輪切りにしたきゅうりを混ぜ、しんなりしたら冷やした煮だし汁を注ぐ。刻みねぎを散らしてもよい。夏場の食欲減退時に冷たい汁物として食べるほか、ご飯にかけて食べる人もいる。
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産地
汁物の名物

メギスのだんご汁
「メギス」は石川県の方言で、ギョロっとした大きな目が由来ともいわれる。鮮度が落ちるのが早く産地以外では刺身も味わえない、この地だけの特権的な魚を使っただんご汁である。

めった汁
「やたらめったら」具を入れる名の由来が語り継がれる、石川県の具だくさん豚汁。文豪・徳田秋声の小説『黴』にも登場し、明治から親しまれてきた郷土の味である。

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。

鯨汁
「大物になるように」と縁起を担いで正月に食べられる道南の伝統汁。ニシン漁の豊漁祈願の意味も込められ、何度も温め直して味を深める食べ方が特徴である。

くじら汁
北前船が運んだ西日本の塩クジラが、新潟の山間地まで届いたスタミナ食。なすとゆうがおを煮込んだ味噌仕立てで、真夏の暑さを乗り切る知恵が詰まる。

くじら汁
「鯨一匹七浦うるおう」といわれた八戸の捕鯨文化が生んだ正月の縁起物。背の本皮を何度も湯通しし、凝縮した旨味が日を追うごとに深まる鍋物である。
三重県の名物

まんぼう酢味噌あえ
「海ののんき者」と呼ばれるマンボウは、江戸時代からの珍味。熊野灘沿岸では冬の定置網で水揚げされ、酢味噌和えや肝入り味噌和えで親しまれる。

ないしょ餅/なべ餅
杵と臼を使わず鍋の中でこっそりつくる「ないしょ餅」。隣近所に聞こえないようにペッタンペッタンと音を立てずに作ることから、家族だけで内緒で食べる楽しさが名前の由来となった。

なれずし
「馴れる、熟れる」ことから名付けられた発酵寿司で、三重県では「なまなれ」として飯も一緒に食べる。東紀州では正月に親戚や友人に「やりずし」として配る習慣があり、早く食べきるための心遣いが込められている。

こうなごのくぎ煮
錆びた釘に似た細長い姿から「くぎ煮」と名付けられた三重県の佃煮。伊勢湾の春の風物詩として親しまれてきたが、資源保護のため近年は禁漁となり、回復を待つ状態にある。

こけらずし
「こけら落とし」の席に出されたことや、こけらぶきの屋根のように具材をずらし重ねる盛り付けが名前の由来。東紀州の豊かなひのき木材で作られた押し型が発達し、3〜5段に重ねた美しい層が特徴の祝い料理である。

かきまぜ
冠婚葬祭の「ハレ食」として東紀州に伝わる混ぜずし。二百十日の町内会作業後、子どもが蓮芋の葉に包んだかきまぜを待ち構える風景も。