
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
豚肉とさつまいも、大根、人参、ごぼうなどの根菜をだし汁で煮込み、味噌を溶き入れた具沢山の汁物料理である。石川県金沢市を中心とする地域で広く食べられ、特に金沢北部の砂丘地ではさつまいもが「加賀野菜」として主力産物となっている。旬の野菜を使い通年食べられ、農家が収穫した大量の野菜を消費するための家庭料理として発展した。味噌や醤油などの味付けは家々で異なり、大根や人参の切り方も工夫される。現代では手軽に作れる家庭の定番として、県内全域の食卓に上がり続けている。
由来・歴史
「めった汁」の名は「やたらめったら具を切る」「やたらめったら具を入れる」などの諸説があり、多様な野菜を手際よく調理することに由来するとされる。農家が大量に採れた野菜を処理するために生まれたともいわれる。明治44年(1894年)、金沢出身の文豪・徳田秋声は処女小説『黴』の中で、主人公たちが「めった汁」を食べる場面を描いた。
食べ方
豚肉と各種根菜をだし汁で煮立て、野菜が柔らかくなったら味噌を溶き入れて食べる。大根や人参はいちょう切り、ごぼうは斜め切りなど、野菜ごとに切り方を変えると食感の違いが楽しめる。こんにゃくや里芋を加える家庭もある。旬の野菜を使い通年食べられ、味噌や醤油など味付けは家庭によってさまざまである。
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産地
汁物の名物

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。

ミズイカのマダ汁
イカの墨袋「マダ」を味噌汁に入れる奄美地域ならではの食文化。古くから血圧を下げる薬として重宝され、まろやかな甘みとコクが特徴の郷土料理である。

茂倉瓜の冷や汁
130年前から自家播種で守られてきた幻の瓜を使い、南アルプスの麓で親しまれる夏の冷や汁。冬瓜ほど大きくなるも青臭さがなく、しゃきしゃきとした歯ざわりが麦飯やおかゆに絶妙に合う。

きゅうりの冷や汁
伊賀盆地の蒸し暑さを乗り切る知恵が生んだ、きゅうりと味噌の冷製汁物。全国の冷や汁とは異なり、三重県ではご飯にかけず汁物として楽しむのが特徴である。

鯨汁
「大物になるように」と縁起を担いで正月に食べられる道南の伝統汁。ニシン漁の豊漁祈願の意味も込められ、何度も温め直して味を深める食べ方が特徴である。
石川県の名物

みたま
火事を連想させる赤飯に代わり、白山市美川の建前引き出物として定着した黒豆おこわ。江戸時代から続く「おかえり祭り」でも振る舞われる、黒と白の縁起物である。

なまこの酢の物
8世紀の木簡に記された能登の名産。平城宮跡出土の文書に「能登からなまこ6斤を都へ」とあり、延喜式にも記録が残る歴史ある冬の味覚である。

なすのオランダ煮
「オランダ煮」の名は長崎経由で伝わった西洋料理法に由来する。へた紫なすを使った金沢の夏の定番で、冷やして食べるのが一般的だ。

メギスのだんご汁
「メギス」は石川県の方言で、ギョロっとした大きな目が由来ともいわれる。鮮度が落ちるのが早く産地以外では刺身も味わえない、この地だけの特権的な魚を使っただんご汁である。

真子の煮つけ
江戸時代から続く能登の冬の珍味。30cm近い巨大なマダラの真子を、醤油とみりんでシンプルに煮つける。黒い皮に包まれた卵は、輪切りにすると花が咲いたように仕上がる。

きしず
「けし酢」が訛って「きしず」となったという名称の由来を持つ、加賀市大聖寺の精進料理。刺身の代わりに山海の珍味を錦皿に盛り、香ばしい胡麻だれで味わう。