
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
皮を剥き種を除いた茂倉瓜とみょうがを千切りにし、冷たい煮干しだし汁に浸して味噌で味付けた冷製汁物である。青臭さがなくくせのない淡い味わいの瓜に、しそを添えてご飯にかける。山梨県南巨摩郡早川町茂倉地域で栽培されるこの瓜は、標高800メートルの南アルプス山麓の冷涼な気候と、きゅうりなどとの交配を防ぐため下部集落で作られるという独特の生産背景を持つ。旬を迎える7月上旬から8月上旬の酷暑期に、簡便な朝食や昼食として食べられてきた。かつては押し麦の麦飯おにぎりや「おばく」と呼ばれる丸麦おかゆにかけるのが一般的だったが、家庭によって味噌の種類や薬味の配分が異なり、現代では地域の食文化継承の象徴として注目されている。
由来・歴史
明治時代初期から130年以上にわたり、早川町茂倉の住民が自家採種を繰り返しながら守り育ててきた伝統的な瓜である。若いうちはきゅうりに似るが成熟すると冬瓜のようにずんぐりと肥大し、濃緑から黄褐色の外皮を持つ。交配しやすい性質のため、集落の下部の畑で他のウリ科作物と隔離して栽培されるという、土地の知恵が息づく名物となった。
食べ方
煮干しのだし汁を冷やしておき、皮と種を取り除いた茂倉瓜とみょうがを千切りにして加え、味噌で調味する。仕上げにしそを千切りにして散らし、ご飯にかけて食べる。夏の暑い時期である7月上旬から8月上旬に旬を迎え、冷蔵庫で十分に冷やして提供される。麦飯おにぎりや丸麦のおかゆ「おばく」と一緒に食べるのがこの地域の好みである。
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産地
汁物の名物

孟宗汁
直木賞作家・藤沢周平が「毎年5月になると思い出す季節の味」と語った、鶴岡市の初夏を告ける名物料理。朝採りの孟宗筍と酒粕のコクが特徴の汁物である。

なまぐさ汁
「生臭い」という名に反し、鯖の丸焼きからとる上品なすまし汁。若狭・小浜の新保地域だけに伝わる、精進明けや祝い事の象徴的な一椀。

納豆汁
糸を引かない納豆を「納豆汁」に仕立てたという山形の知恵。すり鉢で粒が見えなくなるまで潰した納豆のとろみが、冬の体を芯から温める。

ミズイカのマダ汁
イカの墨袋「マダ」を味噌汁に入れる奄美地域ならではの食文化。古くから血圧を下げる薬として重宝され、まろやかな甘みとコクが特徴の郷土料理である。

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。

めった汁
「やたらめったら」具を入れる名の由来が語り継がれる、石川県の具だくさん豚汁。文豪・徳田秋声の小説『黴』にも登場し、明治から親しまれてきた郷土の味である。
山梨県の名物

生湯葉
日蓮聖人の弟子が師を想って創ったとされる精進料理の逸品。豆乳の表面にできた被膜をそのまま味わう、身延町の名産である生湯葉は、わさび醤油でいただくシンプルな食べ方が特徴。

おばく
山間部で麦が主食となった知恵の結晶。丸麦のぷちぷちとした食感と、ねぎ味噌やカツオ節を添えた実が相性抜群の、山梨のほっこり滋味ごはん。

おしゃかこごり
釈迦のごつごつとした頭を模した「おしゃかこごり」。知恵が授かるとされるほか、謙遜を込めて「お釈迦様の鼻くそ」と呼ばれることもある、山梨の花祭りの行事食である。

みみ
三角形の麺が「箕」の形に由来する縁起物。源氏の武将が戦勝祝いに食した伝承があり、今も正月元旦に神様へ供える山梨の珍しい郷土料理。

めまき
富士登山の安全祈願を込めた三角形の郷土料理。アラメで魚を巻き、10時間以上煮込む保存食で、江戸時代から御師が信者にもてなした。

甲州小梅漬
「カリカリ漬」の異名を持つ甲州小梅漬は、卵の殻を使った独自の漬け込み法で歯ごたえのある食感を生む。天日干しせず梅酢に漬けたまま保存する「どぶ漬け」が特徴の山梨の人気加工品である。