
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
孟宗汁は、孟宗筍を主材に酒粕と味噌で味付けした汁物で、厚揚げ・しいたけ・豚肉などを具に加える。庄内地域では「厚揚げ」を「油揚げ」と呼び、通常の薄い油揚げとは区別して使用するのが特徴である。主な伝承地は山形県鶴岡市で、湯田川温泉周辺の粘土質赤土が「湯田川孟宗」という良質な孟宗筍を育む。孟宗の旬は九州から北上し、鶴岡市で5月中旬にピークを迎えるため、この時期に街中に香りが漂い、家庭で広く作られる。藤沢周平が愛したように、鶴岡市民にとって初夏の風物詩となっている。家庭ごとの味付けの違いがあり、庄内地方の日常的な家庭料理として現代も親しまれている。
由来・歴史
孟宗汁の名は孟宗竹のたけのこ「孟宗筍」に由来する。鶴岡市での孟宗栽培の起源には諸説あるが、修験者が北前船で京都から孟宗を持ち帰り寺社に植えたとされる。湯田川温泉周辺のしっとりとした赤土が良質な孟宗を育て、「湯田川孟宗」として全国に知られた。4月下旬から6月初旬には「孟宗まつり」が開催され、5月の「酒田まつり」「鶴岡天神まつり」でもごちそうとして供される。
食べ方
収穫直後からえぐみが増すため、朝採りの新鮮な孟宗筍が最も珍重され、シーズン中は朝から行列ができるほどである。酒粕と味噌をベースに、厚揚げ・しいたけ・豚肉などを煮込む。庄内地域では「厚揚げ」を「油揚げ」と呼ぶ独特の呼称がある。5月中旬の収穫ピーク時に鶴岡市の家庭で広く作られ、初夏を告げる季節料理として親しまれる。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
汁物の名物

なまぐさ汁
「生臭い」という名に反し、鯖の丸焼きからとる上品なすまし汁。若狭・小浜の新保地域だけに伝わる、精進明けや祝い事の象徴的な一椀。

鶏汁
鶏肉消費日本一の大分で、かつては縁の下に鶏を飼い、ハレの日に全てを余さず使った知恵の汁。親鳥のしっかりとした肉質と、ガラから取る出汁の深みが特徴である。

茂倉瓜の冷や汁
130年前から自家播種で守られてきた幻の瓜を使い、南アルプスの麓で親しまれる夏の冷や汁。冬瓜ほど大きくなるも青臭さがなく、しゃきしゃきとした歯ざわりが麦飯やおかゆに絶妙に合う。

ミズイカのマダ汁
イカの墨袋「マダ」を味噌汁に入れる奄美地域ならではの食文化。古くから血圧を下げる薬として重宝され、まろやかな甘みとコクが特徴の郷土料理である。

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。
山形県の名物

納豆汁
糸を引かない納豆を「納豆汁」に仕立てたという山形の知恵。すり鉢で粒が見えなくなるまで潰した納豆のとろみが、冬の体を芯から温める。

おかひじきのからし和え
海岸の野草が山形の内陸砂地で開花した伝統野菜。おかひじきは見た目がひじきに似ることから名付けられ、江戸時代に庄内から米沢へ伝わり、今も南陽市が誇る名産となっている。シャキシャキの食感を辛子醤油で引き立てるからし和えが定番の食べ方である。

おみ漬
「おみ漬」は「近江漬」が転化した名前という説もある、山形県の刻み漬物。山形青菜の葉先など余った部分を使い切る知恵が生んだ、ごはんのお供に欠かせない常備菜である。

鱒のあんかけ
冷たく甘いあんかけが特徴の春のごちそう。江戸時代に北前船で伝わった西日本の技法が、庄内のサクラマスと出会って生まれたハレの日の定番料理である。

くきたち干しの煮物
生命力旺盛なアブラナ科野菜「くきたち」を春に天日干しし、冬の貴重な保存食として蓄えてきた郷土料理。干す際に軽く揉むことが美味しさの秘訣である。

くじら餅
「久しく持つ良い餅」が転じた名前の通り、江戸時代から300年続く保存食。新庄藩の兵糧食が起源とされ、桃の節句の雛菓子として今も親しまれる。