
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
ミズイカ(アオリイカ)の身と墨袋「マダ」を味噌汁に入れた奄美地域の独特な料理である。カツオ節の出汁に豚の三枚肉と味噌を合わせ、イカの身と絞り出した墨を加えることで、まろやかな甘みとコクが生まれる。主な漁場である鹿児島本土南部と奄美群島を中心に、江戸時代中期から伝わるイカ漁の伝統地で親しまれている。1年を通してイカが釣れるため時期を問わず食べられ、ハンダマなどの葉野菜を散らして供される。家庭によって汁の味わいや具材が異なり、イカの身は火を通し過ぎないよう手早く調理するのがポイントとなっている。
由来・歴史
ミズイカはアオリイカの別称で、透き通る姿から鹿児島県ではこの名で呼ばれる。奄美大島が発祥とされるエギングというイカ釣り手法は、江戸時代中期に種子島を経由して薩摩藩に伝わった。古くから奄美地域ではイカ漁が盛んであった。「マダ」とは墨袋のことで、のぼせや血圧を下げる薬として重宝され、薬として買う人も多かったという。
食べ方
カツオ節の出汁に豚の三枚肉と味噌を入れ、下処理したイカを食べやすい大きさに切って加える。最後に墨袋からマダを絞り出して混ぜ、ハンダマなどの葉野菜を散らして食べる。マダに塩分が含まれるため味噌は薄めにし、イカの身はかたくならないよう手早く調理するのがポイントである。1年を通してイカが釣れるため、時期を問わず食べられている。
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産地
汁物の名物

茂倉瓜の冷や汁
130年前から自家播種で守られてきた幻の瓜を使い、南アルプスの麓で親しまれる夏の冷や汁。冬瓜ほど大きくなるも青臭さがなく、しゃきしゃきとした歯ざわりが麦飯やおかゆに絶妙に合う。

孟宗汁
直木賞作家・藤沢周平が「毎年5月になると思い出す季節の味」と語った、鶴岡市の初夏を告ける名物料理。朝採りの孟宗筍と酒粕のコクが特徴の汁物である。

なまぐさ汁
「生臭い」という名に反し、鯖の丸焼きからとる上品なすまし汁。若狭・小浜の新保地域だけに伝わる、精進明けや祝い事の象徴的な一椀。

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。

めった汁
「やたらめったら」具を入れる名の由来が語り継がれる、石川県の具だくさん豚汁。文豪・徳田秋声の小説『黴』にも登場し、明治から親しまれてきた郷土の味である。

メギスのだんご汁
「メギス」は石川県の方言で、ギョロっとした大きな目が由来ともいわれる。鮮度が落ちるのが早く産地以外では刺身も味わえない、この地だけの特権的な魚を使っただんご汁である。
鹿児島県の名物

パパイヤ漬け
戦後の食糧難を支えた青パパイヤの保存食。奄美がアメリカ統治下だった頃に沖縄から伝わり、味噌や醤油で漬けて親しまれてきた。鶏飯の薬味としても欠かせない。

酒ずし
島津藩主の花見の残りごちそうが発酵して生まれた、鹿児島の押しずし。地酒「灰持酒」に漬けた米と山海の幸を重ね、半日寝かせる贅沢な春の味。

三献
西郷隆盛が愛加那との祝言で振る舞った正月の儀式食。赤椀・刺身・黒椀の三膳を焼酎とともに献じ、家長の掛け声で始まる奄美ならではの年始行事である。

みき
「神酒」と書く奄美の発酵飲料は、口噛み酒がルーツという意外な歴史を持つ。米とさつまいも、砂糖を発酵させた甘酸っぱい味わいで、夏の栄養補給に重宝される。

黒糖
江戸時代、奄美群島の島民は年貢を黒糖で代納させられ「黒糖地獄」と呼ばれる過酷な時代を経験した。カラメルのような深いコクと風味を持つ、鹿児島を代表する甘味料である。

きびなごの刺身
帯状の縞模様が名前の由来となったキビナゴを、手開きして菊の花に見立てた華やかな刺身。酢味噌で食べるのが鹿児島流。