
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
愛媛の味噌汁は、大豆とはだか麦の麹に食塩を加えて熟成させた麦味噌を使った汁物である。具材は人参・たまねぎ・里芋・豆腐など季節の野菜を中心に、家庭によって多様なアレンジが見られる。瀬戸内地域を中心に麦の栽培が盛んで、米の裏作として古くから親しまれてきた土地柄が、この味噌文化を育んだ。通年食される定番の家庭料理として、手軽に栄養を補える日常の味である。近年はインスタント製品も登場し、さつまやおでんなど他の郷土料理への応用も広がっている。
由来・歴史
愛媛では古く、米を年貢として納めた農家が自らの食料として麦を味噌に加工したことが始まりとされる。これが「田舎味噌」と呼ばれる麦味噌の原型である。はだか麦を多く用いることで麹歩合が高く、他の味噌とは一線を画す芳醇な香りと上品な甘みを持つ特徴を持つ。
食べ方
具材をだし汁で煮た後、食べる直前に麦味噌を加えるのが鉄則である。煮返しをすると風味と栄養価が低下するため、最後に味噌を溶き入れる工程を欠かさない。甘口の麦味噌は具材の味を引き立て、一年を通して愛媛の食卓に並ぶ。
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産地
汁物の名物

ミズイカのマダ汁
イカの墨袋「マダ」を味噌汁に入れる奄美地域ならではの食文化。古くから血圧を下げる薬として重宝され、まろやかな甘みとコクが特徴の郷土料理である。

茂倉瓜の冷や汁
130年前から自家播種で守られてきた幻の瓜を使い、南アルプスの麓で親しまれる夏の冷や汁。冬瓜ほど大きくなるも青臭さがなく、しゃきしゃきとした歯ざわりが麦飯やおかゆに絶妙に合う。

孟宗汁
直木賞作家・藤沢周平が「毎年5月になると思い出す季節の味」と語った、鶴岡市の初夏を告ける名物料理。朝採りの孟宗筍と酒粕のコクが特徴の汁物である。

めった汁
「やたらめったら」具を入れる名の由来が語り継がれる、石川県の具だくさん豚汁。文豪・徳田秋声の小説『黴』にも登場し、明治から親しまれてきた郷土の味である。

メギスのだんご汁
「メギス」は石川県の方言で、ギョロっとした大きな目が由来ともいわれる。鮮度が落ちるのが早く産地以外では刺身も味わえない、この地だけの特権的な魚を使っただんご汁である。

きゅうりの冷や汁
伊賀盆地の蒸し暑さを乗り切る知恵が生んだ、きゅうりと味噌の冷製汁物。全国の冷や汁とは異なり、三重県ではご飯にかけず汁物として楽しむのが特徴である。
愛媛県の名物

さつま
「さつま」の名の由来は島津家の家紋に似た盛り付けからとも、薩摩伝来説とも言われる謎多き愛媛の郷土料理。ぱさぱさした麦飯をおいしく食べるため漁師が舟上で考案した工夫料理である。

石花汁
熱した石を投入すると湯気が花のように舞い上がる、今治市大島の石切り場発祥の保温鍋。米のとぎ汁を使う知恵と、職人の賄い食としての歴史が息づく。

せんざんき
鶏を「千のように斬る」という名の由来や、中国語「軟炸鶏」が訛った説など諸説ある、今治発祥の骨付き鶏の唐揚げ。骨から出る旨味と濃厚な下味が特徴である。

みかんずし
「蛇口からミカンジュース」という都市伝説が現実化した愛媛ならではの寿司飯。かぼすやみかんの果汁で炊いたごはんは、米酢が希少だった南部地域で生まれた知恵の結晶である。

松山鮓
夏目漱石が一粒もこぼさぬほど気に入った、愛媛・松山のばら寿司。地元では「もぶり鮓」とも呼ばれ、瀬戸内の幸を贅沢に散りばめた祝いの味である。

きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯
国鳥に指定されるほど高貴なキジの肉と、瀬戸内の陽光で干した大根を合わせた混ぜご飯。里山の恵みと海の幸が織りなす、愛媛の伝統的な味である。