
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
酢飯にアナゴや季節の野菜を混ぜ込み、錦糸卵や魚介を飾ったばら寿司で、エソやトラハゼなど瀬戸内の小魚で取った出汁と甘めの酢を用いる。愛媛県松山市を中心とした松山地域で作られ、瀬戸内海に面する地形を活かした豊かな海産物が食材の基盤となっている。祝い事や来客の際、人が集まる場面で振る舞われてきた。家庭によって具材の組み合わせや酢の配合に違いがあり、季節によりエビやしめサバなどが加わるバリエーションも生まれた。現代でも松山を代表する郷土料理として、観光客や地元の人々に親しまれている。
由来・歴史
1892年、夏目漱石が初めて松山を訪れ正岡子規の家を訪ねた際、子規の母・八重がもてなしたのがこの鮓である。漱石は大いに喜び、後に松山中学教師として再赴任した際も最初に所望したほどのお気に入りとなった。子規も「われ愛す わが豫州 松山の鮓」と詠み、郷土の誇りとした。別名「もぶり鮓」は、混ぜ込むことを意味する松山の方言「もぶす」「もぶる」に由来する。
食べ方
瀬戸内の小魚でとった出汁と甘めの酢で炊いた酢飯に、焼きアナゴやごぼう、人参などを刻んで混ぜ込み、最後に錦糸卵や魚介を彩りよく盛り付ける。季節によりエビやしめサバが加わり、具材は変化する。お祝い事や来客時、人が集まる機会に食されるのが一般的である。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
愛媛県の名物

みかんずし
「蛇口からミカンジュース」という都市伝説が現実化した愛媛ならではの寿司飯。かぼすやみかんの果汁で炊いたごはんは、米酢が希少だった南部地域で生まれた知恵の結晶である。

味噌汁(麦味噌)
年貢米の代わりに麦を食べる知恵が生んだ、香り高い麦味噌の味噌汁。はだか麦をふんだんに使った芳醇な甘みが、瀬戸内の家庭を支えてきた。

さつま
「さつま」の名の由来は島津家の家紋に似た盛り付けからとも、薩摩伝来説とも言われる謎多き愛媛の郷土料理。ぱさぱさした麦飯をおいしく食べるため漁師が舟上で考案した工夫料理である。

きじ肉と切り干し大根の混ぜご飯
国鳥に指定されるほど高貴なキジの肉と、瀬戸内の陽光で干した大根を合わせた混ぜご飯。里山の恵みと海の幸が織りなす、愛媛の伝統的な味である。

かんころ
鍋の中で木杓子で練り炊く時の音が名前の由来。「かんころ」という擬音が付いた伊方町の伝統の干し芋菓子である。

じゃこ天
元和元年(1615年)に仙台から招いた蒲鉾職人が宇和島藩初代藩主のために作り出した、小魚を丸ごとすり潰したカルシウム満点の揚げ物。名前は「雑魚(ざこ)」からの転訛か、ほたるじゃこに由来するかで諸説ある。