
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
酒ずしは、地酒の灰持酒をまぶした米に干し大根・干ししいたけ・ゆでたけのこ・つけあげ・タイなど10種類ほどの具材を散らし、2〜3層に重ねて半日ほど発酵させる具だくさんの押しずし風の料理である。鹿児島県は温暖な気候のため昔から清酒造りに不向きで、代わりに灰持酒の製造が盛んとなり、この保存性の高い地酒が酒ずしの深い味わいを引き出している。かつては花見の席で食べられる春のごちそうとして親しまれ、タイやたけのこ、木の芽などの旬の食材を贅沢に用いた。現在は手間がかかるため頻繁には作られないが、祝いの席など人が集まる場面でさまざまな季節の食材を組み合わせて作られ、灰持酒の分量や具材は家庭や店舗によって異なり多彩な味わいが楽しまれている。
由来・歴史
江戸時代からの歴史を持つとされる。薩摩藩主島津の殿様が花見の宴会の残りごちそうと酒を桶に入れておいたところ、翌日発酵して良い香りを放つ料理になっていたのが始まりという。酒ずしに欠かせない灰持酒は、清酒のもろみに灰汁を加えて絞ったもので、「灰汁で日持ちをよくした酒」が名の由来。鹿児島ではみりん代わりやおとそとしても親しまれ、火入れをしない製法によりアミノ酸や有機酸、ミネラルが豊富に残る。
食べ方
具材をしっかり下ごしらえし、灰持酒をまぶしたごはんの上に散らして2〜3層重ね、最後に残りの具を敷き詰めて軽く重石をのせ、半日ほど寝かせて発酵させる。層を崩さずに取り分け、そのまま食べるか、好みでさらに灰持酒をかけて味わう。かつては春の花見の席で食べられ、現在は祝いの席など人が集まる時に作られる。
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産地
寿司の名物

さんま寿司
十津川村で南北で異なる製法が伝わる「さんま寿司」。北部は長期発酵のなれずし、南部は酢で締めた押し寿司と、同じ名で対照的な味わいが楽しめる。

さんまずし
「気骨のある子に育ってほしい」と願いを込めた骨付きの姿ずし。三重県熊野市の産田神社に「さんま寿し発祥の地」の碑が立ち、祝いの席で親しまれてきた東紀州の名物である。

さんまずし
硬く握った姿から「さえらの鉄砲」とも呼ばれる、熊野灘の寒サンマを使った押し寿司。佐藤春夫も「ふるさとで二番目に美味しい」と絶賛した、山間部の貴重な栄養源だったごちそうである。

鮭の飯ずし
紅白の縁起物として正月に欠かせない津軽の保存食。もち米の発酵力で塩サケを熟成させ、笹の葉の香りと乳酸の酸味が織りなす芳醇な味わいが特徴。

魚ずし
江戸時代、天領地・門川町に赴任する役人が待ち望んだという「魚ずし」。宮崎県沿岸部に伝わる姿ずしは、四国から渡った人々がもたらしたとされ、今も祭りで即完売する人気の一品である。

さばずし
江戸時代に鯖街道の塩漬けサバから生まれた「さばずし」は、京都の祭りに欠かせないハレの日の味。酢でしめた塩サバとすし飯の組み合わせが、庶民に貴重な青魚をもたらした。
鹿児島県の名物

三献
西郷隆盛が愛加那との祝言で振る舞った正月の儀式食。赤椀・刺身・黒椀の三膳を焼酎とともに献じ、家長の掛け声で始まる奄美ならではの年始行事である。

さつまえび雑煮
椀からはみ出るほどの大きな焼きエビが豪快に載る正月の雑煮。薩摩藩主・島津家に献上されていた出水沖の焼きエビが、庶民の祝い膳へと広まった歴史を持つ。

さつま汁
闘鶏で負けた鶏をその場で調理したのが始まりという、鹿児島の武士の食文化が息づく具だくさんの味噌汁。鶏の出汁が染み出した滋味深い一杯は、今も冬の定番として親しまれている。

パパイヤ漬け
戦後の食糧難を支えた青パパイヤの保存食。奄美がアメリカ統治下だった頃に沖縄から伝わり、味噌や醤油で漬けて親しまれてきた。鶏飯の薬味としても欠かせない。

ミズイカのマダ汁
イカの墨袋「マダ」を味噌汁に入れる奄美地域ならではの食文化。古くから血圧を下げる薬として重宝され、まろやかな甘みとコクが特徴の郷土料理である。

みき
「神酒」と書く奄美の発酵飲料は、口噛み酒がルーツという意外な歴史を持つ。米とさつまいも、砂糖を発酵させた甘酸っぱい味わいで、夏の栄養補給に重宝される。