
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「なれずし」は塩漬けした魚と米を漬け込み乳酸発酵させた古来の寿司で、三重県では全て発酵期間を短くした「なまなれ」である。使用魚種は地域により異なり、伊勢市ではアユ・タイ・アジ、東紀州ではアユに加えサンマ・サバ・カマス、桑名市など北勢・中南勢・伊賀ではコノシロが用いられる。東紀州では12月上旬から漬け込み正月に食べ、神社の神饌として秋祭りでつくられ各戸に下賜される地域もある。漬け方も津市・伊勢市では麹を、津市・伊賀市では柚子を、桑名市ではしょうがを使用するなど、飯の硬さから副材料まで地域ごとに独自性がみられる。現代では合祀で神社がなくなった地域でも有志で継承され、表面のうらじろ模様で「早ずし」と区別される技も受け継がれている。
由来・歴史
「なれずし」は魚を長期保存するための加工法として生まれ、元々発酵を促す飯は捨てられていた。これを「本なれ」と呼び、滋賀県のふなずしが代表例である。室町時代に発酵期間を短くし飯も食べる「なまなれ」が生まれ、三重県ではこの形で全て受け継がれている。名称は発酵が進むにつれ魚が「馴れる、熟れる」ことに由来し、知人に配る習慣から「やりずし」「もったる」などの別称も持つ。
食べ方
1ヶ月塩漬けした魚を水で洗い塩抜きし、東紀州では柔らかい飯を俵型に握って漬け込む。漬け桶の水面に白いカビが生え、3〜4日で青カビが広がれば完成の目安である。食べる際は「逆押し」と呼ばれる重石を乗せて水気を切る作業を行う。東紀州では12月上旬から3月上旬にかけて約3週間漬け、正月や3月20日前後の口開けで食べ、酸味が増すため早めに食べきるよう親戚友人に配る。「早ずし」とは表面のうらじろ模様で見分ける。
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産地
寿司の名物

なれずし
約800年以上の歴史を持つ日本三大なれずしの一つ。塩サバと古米を植物の葉に包み発酵させ、秋祭りの夜宮からその翌日まで家族一人に1本ずつ振る舞われる。

お方ずし
「お方」とは庄屋のこと。農繁期前の「地獄入り」行事で、小作人への労いとして庄屋が振る舞った豪華な鮨が原型。焼きほぐしたアジと甘煮のうずら豆を俵型に握る、大分市竹中地区の郷土鮨である。

押し抜きずし
サワラとそら豆を押し型で整えた讃岐の春の祝いずし。姑が若嫁に持たせる里帰り土産として、実家と婚家の仲を取り持つ縁起物として親しまれた。

南関あげ巻き寿司
海苔の代わりに油揚げを使う熊本県南関町の巻き寿司。カリカリサクサクの「南関あげ」を甘辛く煮て巻くと、ふっくらジューシーなもちもち食感に変化する。

七とこずし
「七とこさんの日」に近所7軒から分けてもらう、子どもの成長を願う行事食。七草粥とは異なり、餅と里芋・せりなどを炊き込んだ雑炊である。

物相ずし
米が貴重だった時代、定量で切り分けて皆が平等に食べられるよう考案された押しずし。農繁期の嗜好食や祭りの行事食として大分県中津・宇佐で親しまれてきた。
三重県の名物

のっぺい
江戸時代の料理書に「のっぺいとう」の名で登場する歴史ある郷土料理。松尾芭蕉の「月見の会」献立にも記され、伊賀で受け継がれてきた。

落花生の煮豆
東紀州では正月の黒豆代わりに落花生の煮豆が供される。日照豊かな土地で育った落花生を、だし汁と醤油でじっくり煮込んだ栄養満点の郷土料理である。

魚のじふ/魚のすき焼き
熊野灘の漁師たちが「今夜はじふにしようか」と気軽に口にする、背青魚をふんだんに使った鍋料理。尾鷲市が郷土料理として定着させ、東紀州南部では「魚のじふ鍋」と呼ばれる。

ないしょ餅/なべ餅
杵と臼を使わず鍋の中でこっそりつくる「ないしょ餅」。隣近所に聞こえないようにペッタンペッタンと音を立てずに作ることから、家族だけで内緒で食べる楽しさが名前の由来となった。

まんぼう酢味噌あえ
「海ののんき者」と呼ばれるマンボウは、江戸時代からの珍味。熊野灘沿岸では冬の定置網で水揚げされ、酢味噌和えや肝入り味噌和えで親しまれる。

きゅうりの冷や汁
伊賀盆地の蒸し暑さを乗り切る知恵が生んだ、きゅうりと味噌の冷製汁物。全国の冷や汁とは異なり、三重県ではご飯にかけず汁物として楽しむのが特徴である。