
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
物相ずしは、白身魚・油揚げ・干ししいたけ・ごぼう・人参などを酢飯に混ぜ込み、一辺15cmほどの木製正方形の型「物相」で押し固めた押しずしである。大分県北西端の中津市と隣接する宇佐市を中心に伝承され、米作りが盛んな豊後水道沿岸の農村地帯で発展した。農繁期の嗜好食として食べられるほか、4月の金毘羅祭りや2月の稲荷祭りなどハレの日の行事食として珍重されてきた。家庭や地域によって二合物相・三合物相などサイズを使い分け、稲荷祭りには酢飯ではなくおこわを詰めた「物相おこわ」に変えることもある。現代では大分県内の多様なすし文化の一つとして、宇佐市長洲地区の「かちエビちらしずし」や臼杵市の「茶台ずし」とともに郷土の食遺産として継承されている。
由来・歴史
「物相」とは本来寺院で使われた円筒状の曲げ物を指すが、この地方では木製の真四角な抜型をそう呼ぶ。数百年の歴史があるとされ、米が非常に貴重だった時代に皆が平等に食べられるよう、定量で切り分けるために考案された。型に酢飯を入れて上から押しぶたで圧力をかける際は、力のある男性が押すのが習わしだった。
食べ方
地元で取れた人参・ごぼう・干ししいたけ・油揚げを細かく切り、だし汁で煮て酢飯に混ぜ込む。これを物相に入れて押し固め、仕上げに白身魚と木の芽を添えて食べる。農繁期のほか、4月の金毘羅祭りや2月の稲荷祭りの行事食として供され、稲荷祭りでは酢飯の代わりにおこわを詰めた「物相おこわ」が作られることもある。
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産地
寿司の名物

七とこずし
「七とこさんの日」に近所7軒から分けてもらう、子どもの成長を願う行事食。七草粥とは異なり、餅と里芋・せりなどを炊き込んだ雑炊である。

南関あげ巻き寿司
海苔の代わりに油揚げを使う熊本県南関町の巻き寿司。カリカリサクサクの「南関あげ」を甘辛く煮て巻くと、ふっくらジューシーなもちもち食感に変化する。

なれずし
「馴れる、熟れる」ことから名付けられた発酵寿司で、三重県では「なまなれ」として飯も一緒に食べる。東紀州では正月に親戚や友人に「やりずし」として配る習慣があり、早く食べきるための心遣いが込められている。

もろこずし
モロコを甘辛く煮漬けて斜めに並べる尾張の箱ずし。かつて米が貴重な時代、皆が平等に味わえるよう考えられた斜め配置が特徴である。

みかんずし
「蛇口からミカンジュース」という都市伝説が現実化した愛媛ならではの寿司飯。かぼすやみかんの果汁で炊いたごはんは、米酢が希少だった南部地域で生まれた知恵の結晶である。

めはりずし
「目を見張るほどに美味しい」とか、「おにぎりに目張りをするように包む」から名づけられた、高菜漬けで大きなおにぎりを包む和歌山県南部の郷土寿司。漁や山仕事の合間に手軽に食べられる弁当として広まった。
大分県の名物

鶏汁
鶏肉消費日本一の大分で、かつては縁の下に鶏を飼い、ハレの日に全てを余さず使った知恵の汁。親鳥のしっかりとした肉質と、ガラから取る出汁の深みが特徴である。

黄飯と黄飯かやく
小豆代わりにくちなしで染めた山吹色のごはん。財政難の臼杵藩で贅沢を避けて生まれた知恵の一品で、武家の「黄飯」と商人の「かやく」が組み合わさる。

お方ずし
「お方」とは庄屋のこと。農繁期前の「地獄入り」行事で、小作人への労いとして庄屋が振る舞った豪華な鮨が原型。焼きほぐしたアジと甘煮のうずら豆を俵型に握る、大分市竹中地区の郷土鮨である。

くじゃく
半分に切った断面が孔雀の羽にそっくりなことから名付けられた華やかな郷土料理。ゆで卵を緑色の魚のすり身で包み、祝いの席に彩りを添える。

こねり
なすとにがうりを味噌ととろみでまとめる大分の夏のおかず。国東では「オランダ」――炒め油の音から方言「おらぶ(叫ぶ)」が語源という説も。漫画『美味しんぼ』にも登場した。

きらすまめし
江戸時代の倹約令から生まれた「きらすまめし」は、刺身に大豆の搾りかすをまぶした臼杵の知恵料理。カボスを絞る爽やかな風味が、花見の席を彩る。