
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
サバを1ヵ月以上塩漬けし、粘りのある古米で握り、殺菌作用のある芭蕉の葉やアセ(暖竹)などの植物の葉に包んで5日ほど漬け込む乳酸発酵の保存食である。主に旧清水町・日高郡・田辺市龍神村・有田市などの和歌山県沿岸部で作られ、漁業と稲作が営まれる地域の知恵が結実している。秋祭りの夜宮から翌日にかけての食事や、客人へのもてなしとして供され、甘みの出た熟成具合が珍重される。サバのほか串本から新宮にかけてはサンマやアユも使われ、葉の種類も地域・家庭で異なる独自のバリエーションが残る。
由来・歴史
祭りなど地域の行事食として古くから作られ、魚を保存するための発酵技術が約800年以上受け継がれてきた。由来には諸説あるが、塩サバにごはんを詰めて植物の葉に包み、数日後に開けたところ発酵して美味しいすしになっていたことから始まったと伝わる。和歌山の「なれずし」は日本三大なれずしの一つに数えられる。
食べ方
サバを1ヵ月以上塩漬けし、1日がかりで塩抜きした後、粘りのある古米でしっかり握り、芭蕉の葉やアセなどで巻いて紐で縛り、桶に詰めて重石を載せて5日ほど漬け込む。秋祭りの夜宮からその翌日までの食事に家族一人に1本ずつ出され、客人にはよく漬かって甘みの出たものにしょうがと甘酒を添えてもてなす。盆が終わる頃から作り始め、親類へ配る習慣もある。
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産地
寿司の名物

お方ずし
「お方」とは庄屋のこと。農繁期前の「地獄入り」行事で、小作人への労いとして庄屋が振る舞った豪華な鮨が原型。焼きほぐしたアジと甘煮のうずら豆を俵型に握る、大分市竹中地区の郷土鮨である。

押し抜きずし
サワラとそら豆を押し型で整えた讃岐の春の祝いずし。姑が若嫁に持たせる里帰り土産として、実家と婚家の仲を取り持つ縁起物として親しまれた。

押しずし
「おけらずし」という愛称も持つ、金沢の祭りを彩る押しずし。木枠に酢飯と旬の魚を重ね一晩寝かせることで、互いの旨味が調和する。春はタイやアジ、秋はサバやシイラと季節ごとに魚が変わるのも特徴である。

なれずし
「馴れる、熟れる」ことから名付けられた発酵寿司で、三重県では「なまなれ」として飯も一緒に食べる。東紀州では正月に親戚や友人に「やりずし」として配る習慣があり、早く食べきるための心遣いが込められている。

南関あげ巻き寿司
海苔の代わりに油揚げを使う熊本県南関町の巻き寿司。カリカリサクサクの「南関あげ」を甘辛く煮て巻くと、ふっくらジューシーなもちもち食感に変化する。

七とこずし
「七とこさんの日」に近所7軒から分けてもらう、子どもの成長を願う行事食。七草粥とは異なり、餅と里芋・せりなどを炊き込んだ雑炊である。
和歌山県の名物

おかいさん/茶がゆ
「おかいさん」とは和歌山県の茶がゆの愛称で、米の少ない山間部で腹持ちを良くするため芋やむかごを入れて食べられてきた。印南地方の里唄にも「おかいでけんか」と詠まれるほど郷土に深く根付く味である。

尾の身の刺身
熊野の古式捕鯨で大切にされてきたクジラの希少部位「尾の身」。尾びれ付け根のわずかな霜降り肉を刺身で味わう、和歌山・太地の極上鯨料理である。

さんまずし
硬く握った姿から「さえらの鉄砲」とも呼ばれる、熊野灘の寒サンマを使った押し寿司。佐藤春夫も「ふるさとで二番目に美味しい」と絶賛した、山間部の貴重な栄養源だったごちそうである。

みかん餅
荒海を決死で渡った豪商の伝説を持つ有田みかんを、もち米と練り合わせた郷土菓子。蒸し上げた後に皮を剥き、爽やかな酸味と香りを閉じ込めた一品。

めはりずし
「目を見張るほどに美味しい」とか、「おにぎりに目張りをするように包む」から名づけられた、高菜漬けで大きなおにぎりを包む和歌山県南部の郷土寿司。漁や山仕事の合間に手軽に食べられる弁当として広まった。

豆ごはん
米が乏しくなる春、えんどう豆をたっぷり入れて増量したのが始まり。塩だけで炊くシンプルな味わいが、子どもから大人まで親しまれる。