
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「尾の身」は尾びれの付け根からわずかにしか採れないクジラの希少部位で、細かなサシが入った霜降り肉を薄切りにして刺身で供する。和歌山県太地町を中心とした熊野灘で、江戸時代から継承された網掛け突き取り法による古式捕鯨の伝統が背景にある。主に冬のクジラの渡来期に水揚げされた「六鯨」の一部が地元に配分され、特に霜降りの「尾肉」「脂須子」「鹿子」などは高級品として珍重された。現代でも小型歯クジラの肉が根強く流通しており、部位ごとの特徴を活かした多様な鯨料理文化の中で、最も高価な位置づけを保ち続けている。
由来・歴史
1606年に和田頼元が組織立った捕鯨を始めた熊野の古式捕鯨は、1675年に孫の頼治が網掛け突き取り法を考案することで大規模化した。この方法は土佐や九州にも伝播し、日本各地の捕鯨の基となった。しかし1878年の「脊美流れ」遭難事故で100名以上が犠牲となり、古式捕鯨は終焉を迎えた。熊野の人々はクジラを骨や皮に至るまで無駄なく利用し、中でも希少な「尾の身」は最も高価な部位として重んじられてきた。
食べ方
尾びれ付け根の霜降り肉を薄切りにし、刺身として生食するのが一般的な食べ方である。脂の量や霜降りの具合によって「尾肉」「脂須子」「鹿子」「潮吹鹿子」などに細分化され、それぞれの食感と甘みを堪能する。主に冬のクジラ漁期に水揚げされたものが食され、かつては地元民への配分品として消費され、現在も太地を中心に小型歯クジラの肉が根強く親しまれている。
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産地
和歌山県の名物

さんまずし
硬く握った姿から「さえらの鉄砲」とも呼ばれる、熊野灘の寒サンマを使った押し寿司。佐藤春夫も「ふるさとで二番目に美味しい」と絶賛した、山間部の貴重な栄養源だったごちそうである。

しらす丼
「バッチ網」という男性の下着に似た細かい網で漁獲された新鮮なシラスを、天日干しした釜揚げシラスとしてごはんに載せた紀伊水道の港町ならではの味。湯浅醤油や金山寺味噌を添えて食べるのが地元流である。

しょうが飯
紀の川沿いの砂地で大正初期から栽培される新しょうがを丸ごと炊き込んだ夏の滋味。収穫当日に出荷される瑞々しい白い生姜が、ごはんに爽やかな香りと歯ごたえを与える。

おかいさん/茶がゆ
「おかいさん」とは和歌山県の茶がゆの愛称で、米の少ない山間部で腹持ちを良くするため芋やむかごを入れて食べられてきた。印南地方の里唄にも「おかいでけんか」と詠まれるほど郷土に深く根付く味である。

なれずし
約800年以上の歴史を持つ日本三大なれずしの一つ。塩サバと古米を植物の葉に包み発酵させ、秋祭りの夜宮からその翌日まで家族一人に1本ずつ振る舞われる。

みかん餅
荒海を決死で渡った豪商の伝説を持つ有田みかんを、もち米と練り合わせた郷土菓子。蒸し上げた後に皮を剥き、爽やかな酸味と香りを閉じ込めた一品。