
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
へぼ飯は、クロスズメバチなどの地蜂の幼虫「へぼ」をから炒りして醤油・砂糖・みりんで甘辛く煮つけ、ごはんと炊き込む郷土料理である。西三河・東三河・奥三河の山間部で伝承され、かつては水田のあぜなどに巣をつくる地蜂を捕獲していたが、農薬の影響で山間部に移行した。秋の収穫期に巣から取り出したへぼを煮て保存し、日常食として親しまれてきた。家庭ごとに佃煮風や五平餅などアレンジが存在し、現在はへぼとりの後継者減少により貴重なごちそうとして位置づけられている。
由来・歴史
「へぼ」とは地蜂の幼虫を指し、信州から奥三河の山間部で貴重なタンパク源として利用されてきた。かつては成虫と幼虫を甘辛く煮てごはんに混ぜる「へぼ飯」や「へぼ五平餅」などが作られた。近年はへぼの重さを競う品評会が開催されるようになり、初夏に巣を見つけて飼育用の巣箱で秋まで育てる文化も生まれた。
食べ方
へぼを潰さないようにから炒りし、醤油・砂糖・みりんで甘辛く煮立たせて佃煮風に仕上げる。これを炊飯器の米とともに炊き、炊き上がりにざっくり混ぜて食べる。成虫と幼虫の異なる食感を楽しむのが特徴で、秋の収穫期に食べられるほか、佃煮や甘露煮、へぼを練り込んだ味噌ダレの五平餅など多様な形で親しまれている。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
ご飯ものの名物

いがい飯
山陰唯一の海女の里・青谷町夏泊で、海女が潜って採るイガイを炊き込んだ夏の風物詩。貝殻ごと炊く豪快な食べ方も残る。

いりこ飯
漁獲から30分で煮沸される伊吹島の新鮮ないりこを使い、濃厚な出汁で炊き上げる香川の炊き込みごはん。瀬戸内海の恵みを丸ごと味わう郷土料理である。

色ご飯
奈良県では醤油味の炊き込みご飯を「色ご飯」と呼ぶ。米が貴重だった時代、具材を混ぜてかさ増しした知恵が現代の家庭料理として親しまれている。

はらこ飯
伊達政宗公に献上された宮城の名物料理。「はらこ」とはサケの腹にいる子=いくらを指す方言で、煮サケといくらの贅沢な共演が特徴である。

ごまご飯
真っ黒な色が「ケの日」の仏壇に供えられたごまご飯は、津軽の「色飯」文化の代表。田植えや祭りでは砂糖を惜しみなく使った甘い「ごままま」が振る舞われ、地域によって栗入りの豪勢なものも親しまれた。

どんどろけ飯
雷鳴に似た豆腐の炒める音が名前の由来。鳥取県東部から中部に伝わる、豆腐と旬の野菜を炊き込んだ郷土料理である。
愛知県の名物

いがまんじゅう
桃の節句に三色のもち米をまぶした「いがまんじゅう」は、西三河地域独自の雛祭り行事食。ピンク・黄・緑の色彩が豊作祈願や生命力を象徴し、1月中旬から店頭に並ぶ春の訪れを告げる菓子である。

じょじょきり
ドジョウに似た細い麺を甘い汁で煮た、明治時代から続く渥美半島の農家の間食。「じょじょ」はドジョウのことで、農作業の疲れを砂糖で癒す知恵が詰まった一皿である。

十六ささげのごま味噌和え
さやに16個の豆が入る縁起の良い伝統野菜を、赤味噌とごまで和える愛知の夏の味。火を通しても割れない豆は武士にも好まれた。

はぜ佃煮
翁に似たハゼの顔が「長寿」の象徴となり、おせち料理に欠かせない一品。三河湾の恵まれた干潟と、豆味噌から生まれた濃厚な「たまり」が、深いコクと旨味の佃煮を育んできた。

箱ずし
四角い木枠で押し固めた愛知の「切りずし」は、具材を斜めに配置する工夫で皆が平等に味わえるよう配慮された祝いの料理である。かつては贅沢品とされ、木枠を持つ家庭も多かった。

五平餅
木こりや狩人が山の講の前夜に食べた携帯食がルーツ。うるち米を潰して串に刺し、味噌ダレを塗って焼く独特の食べ方は、中部山間部に広がる「御幣」の形にちなんだ名物料理である。