
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
小豆と大根、にんじん、ごぼう、れんこん、里芋、油揚げ、こんにゃく、干ししいたけをさいの目に切り、しょうゆで煮込んだ精進料理である。府中町など広島県西部は「安芸の国」と呼ばれ、浄土真宗の門徒が多く「安芸門徒」と呼ばれる地域である。新暦1月16日の親鸞聖人命日「御正忌」の前夜から当日までの3日間「御逮夜」に食される行事食であり、何度も煮返して体を温めてから寺へ参詣するのが習わしだった。家庭によりみりんや味噌を加えるなど味付けに違いがあり、現代でもお寺の法要で朝昼晩と振る舞われている。
由来・歴史
親鸞聖人が重体の際、弟子たちが周りの野菜と聖人の好物である小豆を煮込んで食べたのが起源とされる。その後、新暦1月16日の親鸞聖人命日「御正忌」の前夜から当日までの「御逮夜」期間の精進料理となった。この地域では「おたんやの市止まり」と呼ばれる風習があり、漁業者は漁を休み魚市場も3日間休業した。これは江戸時代から平成8年まで続いた。
食べ方
小豆は前日から水で戻し、野菜類はさいの目に切って多めのだし汁で煮る。しょうゆ味が基本だが家庭によりみりんや味噌を加えることもある。何度も煮返すため薄めの味付けとする。新暦1月16日前後の御逮夜3日間に作り、煮返しながら食べ、体が温まったところで寺へお参りするのが安芸門徒の伝統である。
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産地
煮物の名物

煮菜
「煮」の名に反して炒め物に近い、福山の日常おかず。大根の千切りと油揚げをしょうゆで味付けし、食材の水分だけで旨味を閉じ込める、農家の知恵が詰まった一皿である。

かき雑煮
「福をかき寄せる」縁起物のかきを、すまし汁の雑煮に入れた広島の正月料理。瀬戸内海の恵みと、ぶりの刺身の残りを使う知恵が詰まっている。

しその実の佃煮
美作地方で親しまれる「しその実の佃煮」は、しらす干しを加えたピリ辛のごはんのお供。夏の収穫期に家庭で作られ、醤油とみりんの香りが食欲をそそる郷土の味である。

いいだこの煮つけ
体内に飯粒のような卵を抱えた「飯蛸」は、墨ごと味わうと忘れられない味わいと伝わる。岡山県倉敷市の下津井周辺で冬に水揚げされ、煮付けにして親しまれてきた。

ブリ雑煮
出世魚のブリを使った縁起物。岡山県南部では鰹節と昆布のだし、北部ではスルメだしが特徴的で、根菜類と共に正月の食卓を彩る。
広島県の名物

イギス豆腐
飛鳥・奈良時代から朝廷に献上された海藻「イギス」を、生大豆粉と煮溶かして固めた寒天風の料理。凝固剤を使わず自然に固まる独特の食感が特徴である。

くわいの甘煮
「田んぼのサファイア」と呼ばれる鮮やかな藍色の球根を、縁起物としておせちに添える。福山市は日本一の生産量を誇り、明治時代に城の堀から始まった栽培が瀬戸内の水郷へと広がった。

きなこむすび
「代みて」と呼ばれる田植え終了の合間に振る舞われる丸型のおむすび。秋の豊穣を願い、丸々と実る稲穂に見立てて握られた。

鯛めん/鯛そうめん
「めでたい」鯛と「長く続く」そうめんを組み合わせた縁起物。棟上げや喜寿・米寿の祝い席で、客が鯛の大きさをほめ合いながら長寿を祈る瀬戸内海沿岸の祝い料理である。

ワニの刺身
「ワニ」と呼ばれるのは実はサメのこと。アンモニア臭を生姜醤油で抑えて食べる、広島県北部の山間部に残る古い呼び名と知恵が詰まった珍味。

ねぶとの唐揚げ
耳石が大きく頭から丸ごと食べられない「ねぶと」を、頭を取ってスナック感覚で食べる瀬戸内海の知恵。2021年「福つまみ総選挙」で四天王入りした南蛮漬けの仲間である。