
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
煮干し、昆布、かつおだしのすまし汁に、丸もち、かき、ぶり、かぶ、大根、にんじん、ほうれん草、しいたけなどを煮込む雑煮である。主に広島湾沿岸部で伝承され、波静かで潮の流れがあり、中国山地からの栄養が流れ込む瀬戸内海の環境が、身が大きく濃厚な味わいのかきを育む。正月の行事食として食され、年末年始に一尾さばいたぶりの刺身の残りを使う習慣が根付いている。地域や家庭により、味噌仕立て、はまぐり、焼きあなご、ふぐなど具材は異なり、現代でも広島県のかき水揚げが全国の6割を占める中、独自の食品衛生条例による安全性も含めて親しまれている。
由来・歴史
かきは「賀来」と書き、「福をかき取る、かき寄せる」縁起物とされた。広島のかき食の歴史は縄文・弥生時代に遡り、貝塚からの出土が証拠となる。1500〜1600年代には養殖が始まり、現在は広島県のかき水揚げが全国の6割を占める。広島湾は波が静かで潮の流れがあり、河川からの栄養がかきの生育に適した環境を形成している。
食べ方
煮干し、昆布、かつおだしのすまし汁で、輪切りの大根、にんじん、かぶ、しいたけを煮込み、丸もちをやわらかく煮てから下調理したかきやぶりを加える。味噌味で作る場合や、はまぐり、焼きあなご、ふぐなどを入れることもあり、地域や家庭で具材が異なる。正月の行事食として食される。
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産地
煮物の名物

くじらの南蛮煮
大晦日や節分に食べる縁起物。クジラの赤身と皮を味噌で煮込み、「大きなものを食べて良い年に」という願いが込められた、下関・長門の鯨文化が生んだ暖かな家庭料理である。

かぶ雑煮
焼かない丸餅がすまし汁にとろみをつける、山口県のお正月の「かぶ雑煮」。するめを結んで入れると香りと見た目が引き立つ。

筍の味噌煮
岩国の春の名産・タケノコを、味噌と砂糖で甘辛く煮詰めた山口の家庭料理。成長が早く旬の短い「幻の春味」を、水煮でも味わえる保存食文化の知恵が詰まっている。

くわいの甘煮
「田んぼのサファイア」と呼ばれる鮮やかな藍色の球根を、縁起物としておせちに添える。福山市は日本一の生産量を誇り、明治時代に城の堀から始まった栽培が瀬戸内の水郷へと広がった。

煮ごめ
親鸞聖人の命日に安芸門徒が作る精進料理。小豆と野菜を煮込み、3日間煮返して食べる温かな行事食である。
広島県の名物

かき飯
縄文時代から続く広島のかき養殖。全国6割を占める水揚げの背景には、波静かで潮の流れ適度な湾の地形と、中国山地からの豊かな栄養素があった。

いが餅
「胃が治る」という語呂合わせから名付けられたともいわれる、呉の秋祭りの風物詩。蒸し立てのもちもちした皮と、カラフルなもち米の粒々とした食感が特徴の菓子。

八寸
器の大きさか材料の多さにちなむ名の、浄土真宗門徒の伝統煮物。冠婚葬祭で具材の数や色が変わる、海と山の恵みを合わせた広島西部の知恵料理。

煮菜
「煮」の名に反して炒め物に近い、福山の日常おかず。大根の千切りと油揚げをしょうゆで味付けし、食材の水分だけで旨味を閉じ込める、農家の知恵が詰まった一皿である。

大平
大きく平らな器に盛ることから名付けられた、広島県大竹市の縁起煮物。具材を奇数にそろえて祭りや集まりに振る舞われ、鶏肉入りで汁ごと味わうのが特徴である。

魚飯
塩田で富を築いた「浜旦那」が好んだ豪華なちらし飯。骨から取っただしをかけて食べる独特のスタイルで、竹原の町人文化を今に伝える。