
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
クジラの赤身と皮を味噌仕立てで煮込んだ鍋物で、こんにゃく・さといも・ダイコン・ニンジン・ゴボウ・干しシイタケなどの野菜とともに、ショウガと赤唐辛子で風味をきかせる。山口県下関市と長門市を中心とした日本海側の地域で伝承されており、下関は捕鯨組への資金提供と流通・消費地として、長門は寛文12年(1672年)に「鯨突き組」が藩に取り立てられた捕鯨の歴史を持つ。秋から冬の漁期に獲れたクジラを使い、大晦日や節分など節目の日に「大きなものを食べて良い年にしよう」と食べる風習がある。家庭ではその時にある野菜を使うなどアレンジが広く、現代でも鯨文化を継承する味として親しまれている。
由来・歴史
下関は捕鯨組への資金提供と流通・消費地として、長門は寛文12年(1672年)に仙崎浦の「鯨突き組」が長州藩に取り立てられるなど、江戸時代からクジラと深い関わりを持つ。川尻地域では1698年~1910年に約2800頭を捕獲し、クジラは地域の繁栄と信仰の対象となった。1910年を最後に捕鯨は途絶えたが、向元寺には胎児の墓が建立され、現在も年に一度法要が営まれている。
食べ方
クジラ肉とこんにゃく、さといも・ダイコン・ニンジン・ゴボウなどの野菜、干しシイタケを炒めてから出汁で煮、みりん・酒・砂糖・醤油で調味し、仕上げに味噌と種を取った赤唐辛子を加えて煮込む。大晦日や節分など節目の日に「大きなものを食べて良い年にしよう」と食べる縁起物であり、家庭ではその時にある野菜を使うなど、具材は家庭ごとに異なる。
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産地
煮物の名物

かぶ雑煮
焼かない丸餅がすまし汁にとろみをつける、山口県のお正月の「かぶ雑煮」。するめを結んで入れると香りと見た目が引き立つ。

筍の味噌煮
岩国の春の名産・タケノコを、味噌と砂糖で甘辛く煮詰めた山口の家庭料理。成長が早く旬の短い「幻の春味」を、水煮でも味わえる保存食文化の知恵が詰まっている。

いとこ煮
「遺徳煮」とも書かれる由緒正しい行事料理。萩では澄んだ汁にシイタケやかまぼこを配した冷たい汁物仕立てとなり、祝い事には紅白玉、仏事には白や緑の団子を入れる。

かき雑煮
「福をかき寄せる」縁起物のかきを、すまし汁の雑煮に入れた広島の正月料理。瀬戸内海の恵みと、ぶりの刺身の残りを使う知恵が詰まっている。

煮菜
「煮」の名に反して炒め物に近い、福山の日常おかず。大根の千切りと油揚げをしょうゆで味付けし、食材の水分だけで旨味を閉じ込める、農家の知恵が詰まった一皿である。

くわいの甘煮
「田んぼのサファイア」と呼ばれる鮮やかな藍色の球根を、縁起物としておせちに添える。福山市は日本一の生産量を誇り、明治時代に城の堀から始まった栽培が瀬戸内の水郷へと広がった。
山口県の名物

けんちょう
長崎けんちぇんとも鎌倉建長寺ともつながる、豆腐と根菜の甘辛煮。下関では貿易の歴史から「建長寺説」が有力視され、何日も煮返すほど味が染みる日常の味である。

わかめの醤油漬け
早春に獲れる萩市のわかめを醤油でもみ込み生で食べる保存食。瀬やグリと呼ばれる海底の岩礁が生む栄養豊かな海で育ったわかめの、香りと歯応えをそのまま味わう。

ぐべ汁
「ぐべ」とは「嫁が笠」とも呼ばれる直径2〜3cmのカサガイの仲間で、対馬暖流に恵まれた見島の磯で採れる貴重な食材である。濃厚な磯の風味が堪能できる味噌汁は、島の朝食には欠かせない名物となっている。

ふぐの唐揚げ
シロサバフグを使った庶民的な一品。高級イメージのふぐを、居酒屋や家庭で気軽に味わえるサクサクの唐揚げに仕立てた山口ならではの食文化である。

チキンチキンごぼう
1995年に山口県の小学校給食から生まれた「チキンチキンごぼう」は、リズミカルな名称が子どもを引きつけ、県民のソウルフードへと成長した。鶏の唐揚げとごぼうの甘辛炒めは、給食から家庭、街の飲食店へと広まった。

ふく刺し
豊臣秀吉の禁制を伊藤博文が解禁した伝統の味。下関の「ふく刺し」は、透けるほど薄く切った身を菊や鶴の形に盛り付ける芸術的な刺身である。