
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
鯛めんは、波形に盛ったゆでそうめんの上に鯛の姿煮を載せ、木の芽や錦糸卵、煮しいたけなどを彩りとして添える祝いの料理である。主な伝承地域は尾道市、廿日市市など瀬戸内海沿岸で、岩礁性の起伏に富んだ海底地形と潮流が真鯛の生息に適し、古くから鯛漁が盛んだった土地柄が反映されている。棟上げ、喜寿、米寿、結婚式、船おろしなどのめでたい席や、宮島の嚴島神社に関わる管弦祭(旧暦6月17日)などの行事で振る舞われてきた。近年は酒宴の席でも食されるようになった。祝いの席では「鯛めん」と呼ばれる一方、家庭ではメバルや黒鯛、オコゼなど小魚を使い「鯛そうめん」と呼び分ける習慣があり、現代でも地域の祝祭文化を担う料理として親しまれている。
由来・歴史
鯛めんは「めでたい」鯛と「長く細く続く」そうめんを組み合わせた縁起物として、瀬戸内海沿岸で発展した祝い料理である。鯛を崩れずに煮るため、わらや竹の皮で舟底型の敷物を作り平鍋で煮る技法が生まれた。招かれた客は鯛の大きさや味をほめ合い、このめでたさがそうめんのように長く続くことを祈りながら食する習わしがあった。
食べ方
ゆでそうめんを大皿に波形に盛り、しょうゆ・酒・みりん・砂糖で薄味に煮た鯛の姿煮を載せる。木の芽、きゅうり、錦糸卵、煮しいたけなどを添え、松の小枝を飾ることもある。食べる際は小皿に取り分け、鯛の煮汁をかけて薬味は入れずに食す。棟上げや喜寿・米寿、結婚式、船おろしなどの祝い席、盆や管弦祭などの行事、近年では酒宴の席で供される。
このお祭りで食べられています
嚴島神社の管弦祭などの行事で振る舞われてきた。お祭りの日程や見どころは「わっしょい」で。
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産地
広島県の名物

煮ごめ
親鸞聖人の命日に安芸門徒が作る精進料理。小豆と野菜を煮込み、3日間煮返して食べる温かな行事食である。

イギス豆腐
飛鳥・奈良時代から朝廷に献上された海藻「イギス」を、生大豆粉と煮溶かして固めた寒天風の料理。凝固剤を使わず自然に固まる独特の食感が特徴である。

くわいの甘煮
「田んぼのサファイア」と呼ばれる鮮やかな藍色の球根を、縁起物としておせちに添える。福山市は日本一の生産量を誇り、明治時代に城の堀から始まった栽培が瀬戸内の水郷へと広がった。

ワニの刺身
「ワニ」と呼ばれるのは実はサメのこと。アンモニア臭を生姜醤油で抑えて食べる、広島県北部の山間部に残る古い呼び名と知恵が詰まった珍味。

きなこむすび
「代みて」と呼ばれる田植え終了の合間に振る舞われる丸型のおむすび。秋の豊穣を願い、丸々と実る稲穂に見立てて握られた。

ねぶとの唐揚げ
耳石が大きく頭から丸ごと食べられない「ねぶと」を、頭を取ってスナック感覚で食べる瀬戸内海の知恵。2021年「福つまみ総選挙」で四天王入りした南蛮漬けの仲間である。