
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
イイダコは直径5~6mmの卵を200~500個抱えた小さなタコで、ぬめりを塩でもみ洗いした後、一度水で煮てから醤油・みりん・砂糖で味付けする煮付けが一般的である。主な産地は岡山県南部の倉敷市児島地域・下津井周辺で、瀬戸内海の漁場が広がるこの地で古くから水揚げされてきた。冬場に卵を抱えたものが旬とされ、一般的な煮付けはこの時期のものを用いる。家庭によっては墨袋を破らずに取り除くか、墨ごと食べるかで分かれており、「墨が値打ち」とされる一方で「のぼせる」とも言われる独特の食文化を持つ。
由来・歴史
イイダコの名は、体の内部に飯粒状の卵を多く抱えていることに由来する。岡山県では南部の倉敷市児島地域にある下津井周辺でよく取られ、イカとタコのいいところを合わせ持つ食材として親しまれてきた。当地では「イイダコは墨が値打ち」と言われ、墨ごと味わうと忘れられない味だと伝えられているが、小さな体の割に多量の墨を持つため、墨袋を取り除いて調理する場合も多い。
食べ方
塩でもみ洗いしてぬめりを落とし、水気を取った後、水だけで弱火で一度煮る。別に醤油・みりん・砂糖・水を沸騰させ、煮たイイダコを入れて一煮立ちしたら中火にし、落とし蓋をして固くならないよう煮詰める。冬場に卵を抱えたものが旬とされ、この時期に煮付けとして食べられる。
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産地
煮物の名物

しその実の佃煮
美作地方で親しまれる「しその実の佃煮」は、しらす干しを加えたピリ辛のごはんのお供。夏の収穫期に家庭で作られ、醤油とみりんの香りが食欲をそそる郷土の味である。

煮ごめ
親鸞聖人の命日に安芸門徒が作る精進料理。小豆と野菜を煮込み、3日間煮返して食べる温かな行事食である。

くわいの甘煮
「田んぼのサファイア」と呼ばれる鮮やかな藍色の球根を、縁起物としておせちに添える。福山市は日本一の生産量を誇り、明治時代に城の堀から始まった栽培が瀬戸内の水郷へと広がった。

ブリ雑煮
出世魚のブリを使った縁起物。岡山県南部では鰹節と昆布のだし、北部ではスルメだしが特徴的で、根菜類と共に正月の食卓を彩る。

あみとだいこんの煮付け
初秋に旬を迎える瀬戸内の小エビ「アミ」を、大根とともに甘辛く煮込む伝統の味。鮮度が命で県外にはほとんど出回らない、瀬戸内海の秋の風物詩である。

黒豆煮
丹波篠山の粘土質の土と寒暖差が育む最高級黒大豆を、江戸時代には篠山藩主が将軍に献上。正月のおせちから健康ブームで年間通じて親しまれる甘煮である。
岡山県の名物

ホルモンうどん
牛馬の流通拠点・津山が誇る「養生喰い」の伝統が生んだ名物。処理から10分で食卓に届く新鮮ホルモンを、味噌や醤油のたれで炒めたB級グルメの傑作である。

さばずし
山深い岡山県北部で、海辺から遠い山村が生んだ知恵。塩漬けのさばを使った棒寿司は、秋祭りのごちそうとして親類や知人に配られ、稲刈りの合間の労働食としても重宝された。

デミかつ丼
東京のホテルで感動したデミグラスソースを、岡山の老舗洋食店がとんかつ丼に昇華させた逸品。グリーンピースを「アラスカ」と呼ぶ郷土色も彩りに加わる。

しし鍋
美作の猟師から一般家庭まで広く親しまれる冬の味。イノシシの深い旨みを味噌ベースのだしで煮込み、古くから貴重なタンパク源として食されてきた鍋料理である。

いしもちじゃこの唐揚げ
頭に大きな「耳石」を持つ小魚を、頭落として骨ごと揚げる瀬戸内の逸品。ほのかな甘みとねばりが特徴の、春から夏の味覚である。

けんちんそば
江戸時代から続く新見市の冬の知恵。「けんちん」とは千切りの材料を油で炒めて巻くことで、鶏がらスープのけんちん汁を手打ちそばにかけて食べる。