
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
酢飯を俵型に握り、油揚げで包んで中央をかんぴょうで結んだ寿司である。油揚げは熱湯で油抜きし、かんぴょうは戻して味付けして仕込む。全国の約99%以上を生産する栃木県の特産・かんぴょうを補助食材として活用し、どのような味付けにも馴染む特性を活かしている。花見や運動会、遠足などの行楽や行事の際に重箱に入れて持参する機会が多く、酢飯は痛みにくく屋外食に適している。家庭によって酢飯の味付けやかんぴょうの煮方に違いがあり、手づかみで食べられる気軽さから現代でも親しまれている。
由来・歴史
油揚げを用いた寿司が稲荷社の供物に欠かせなかったことから「いなりずし」の名がついた。栃木県ではかんぴょうを巻いて俵型に仕立てる形が発展し、全国のかんぴょうのほぼ全てを産する土地ならではの郷土料理となった。
食べ方
油揚げを熱湯で油抜きし、かんぴょうを戻して味付けしておく。酢飯を50グラム程度俵型に握り、油揚げに詰めてかんぴょうで中心を結ぶ。花見や運動会、遠足などの行楽や行事の際に重箱に入れて持参し、手づかみで食べる。副菜がなくても単品で食べられる。
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産地
寿司の名物

かんぴょうのり巻き寿司
全国9割以上を栃木県が占めるかんぴょうを巻いた寿司。江戸時代に滋賀から種が伝来し、壬生を中心に一大産地を築いた歴史ある郷土の味である。

聖天ずし
江戸時代から変わらぬ姿で受け継がれる、熊谷・妻沼のハレの日の味。大きな油揚げに酢飯を詰めた稲荷ずし3本と巻きずし4切れのボリュームが、農作業の合間の腹持ちの良さとして親しまれてきた。

穴子寿司
「おいしい鮨屋はあなごでわかる」と言われる江戸前ずしの定番。東京湾の栄養豊かな海で育った穴子を、職人がぬめりを取り除き丁寧に煮上げる技が光る。

赤漬け/赤ずし
鶏頭の赤い花に似た鮮やかな色が名前の由来「けいとまま」。秋田県北のお盆に欠かせない発酵食品で、疲労回復と消化促進の万能薬として盛夏を乗り切ってきた。

なすの花ずし
紫色のなすに黄色の菊、赤とうがらしを重ねた華やかな漬け物。秋田の漬け物の芸術品と呼ばれ、正月の食卓を彩る。

島ずし
江戸前の「ヅケ」技法のルーツともいわれる、伊豆諸島の島ずし。ワサビの代わりに練りがらしや島唐辛子の「島とう醤油」を使う独特の食文化が、各島で独自に発展した。
栃木県の名物

あいその甘露煮
春先の産卵期に赤い縞模様を帯びたウグイを「あいそ」と呼び、内陸の栃木で貴重なたんぱく源として親しまれた川魚の甘露煮。骨まで柔らかく煮込む伝統の味は、冷蔵庫普及以前の暮らしの知恵が詰まっている。

揚げまき湯波の煮物
日光では「湯葉」を「湯波」と書く。金串ですくい上げた厚みのあるゆばを巻いて揚げ、薄味で煮込んだ、東照宮のお供えにも使われる伝統の味。

ばっとう汁・だんご汁(すいとん)
「ばっとう汁」「はっとう汁」「だんご汁」「とっちゃなぎ」——同一の料理が栃木県内で4種類の異名を持つ。いずれも「法度汁」が訛ったもので、米不足を補う知恵の食である。

五目飯
日本のかんぴょう生産量の99%以上を占める栃木県が誇る「五目飯」。祭りや農家の休日など特別な日に、色とりどりの具材を炊き込んだハレの日の伝統料理である。

ゆず巻き
だいこんにゆずの皮を巻いた甘酢漬け。宇都宮市北部の寒冷ゆずは肉厚で香り高く、雑煮の後の口直しとして欠かせないお正月の定番である。

干瓢のごま酢あえ
かんぴょうの産地・栃木県で生まれた、ゴマ酢でさっぱりと和える定番家庭料理。淡白な干瓢が季節の野菜を引き立て、夏バテ予防にも重宝される。