
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
醤油と砂糖で甘辛く煮た大きな油揚げに酢飯を詰めた稲荷ずしと、かんぴょうやでんぶを巻いた巻きずしを組み合わせた寿司セットである。埼玉県熊谷市妻沼地域は、江戸時代に利根川の水運で栄え、米や妻沼在来大豆が豊かに実る水田地帯として発展した。祭事や聖天様の例大祭、桃の節句や端午の節句といった祝い事の日に食べられ、彼岸やお盆の来客への手土産としても用いられてきた。調理工程で破れた油揚げはかんぴょうで補強するなど、家庭や店舗によって細部の工夫が見られる。昭和30年代までは農家が重箱の米を持参して交換する形で購入していたが、現在も門前の店でテイクアウトでき、地域の食文化として継承されている。
由来・歴史
妻沼聖天山歓喜院は、大名や豪商ではなく地域住民の寄付で建立された歴史を持ち、聖天様として親しまれてきた。江戸時代より門前で売られていた聖天ずしは、貴重な米と高価な油揚げを用いたハレの日の料理として、講中の参詣時の食事として広まった。稲荷ずし3本と巻きずし4切れの大きな一人前は、江戸の稲荷ずしの姿を今に伝えている。
食べ方
長さ約13〜14cmの大きな油揚げを醤油と砂糖で甘辛く煮込み、酢飯を詰めて稲荷ずしとする。破れた油揚げはかんぴょうで巻き補強する。巻きずしはかんぴょうやでんぶを具とし、稲荷ずし3本と巻きずし4切れを1人前として供する。3月の桃の節句、5月の端午の節句、春秋の例大祭などの祝い事や、彼岸・お盆の来客への手土産として食べられる。
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産地
寿司の名物

穴子寿司
「おいしい鮨屋はあなごでわかる」と言われる江戸前ずしの定番。東京湾の栄養豊かな海で育った穴子を、職人がぬめりを取り除き丁寧に煮上げる技が光る。

島ずし
江戸前の「ヅケ」技法のルーツともいわれる、伊豆諸島の島ずし。ワサビの代わりに練りがらしや島唐辛子の「島とう醤油」を使う独特の食文化が、各島で独自に発展した。

にぎりずし
江戸時代の屋台食から世界へ広まる日本の食文化。具材より飯を食べて小腹を満たした庶民の味が、高級料亭から回転寿司まで多様な形で親しまれている。

かんぴょうのり巻き寿司
全国9割以上を栃木県が占めるかんぴょうを巻いた寿司。江戸時代に滋賀から種が伝来し、壬生を中心に一大産地を築いた歴史ある郷土の味である。

いなりずし
俵型に握った酢飯を油揚げで包み、中央をかんぴょうで結ぶ独特の姿が特徴。全国のかんぴょうのほぼ全てを生産する栃木県ならではの郷土寿司である。

赤漬け/赤ずし
鶏頭の赤い花に似た鮮やかな色が名前の由来「けいとまま」。秋田県北のお盆に欠かせない発酵食品で、疲労回復と消化促進の万能薬として盛夏を乗り切ってきた。
埼玉県の名物

冷や汁/すったて
「すったて」とは、野菜をすりばちですりたてを食べていたことに由来する。四方を川に囲まれた川島町で稲作の農家に親しまれ、夏の農繁期に手間なく栄養を補給できるうどんのつけ汁として重宝された。

いがまんじゅう
赤飯が栗のイガのようにまんじゅうを覆う、埼玉県北東部の縁起菓子。甘じょっぱい味わいともっちり食感が意外な調和を生み、ハレの日に親しまれてきた。

塩あんびん
砂糖が高価だった江戸時代、庶民が生み出した知恵の菓子。塩味のあんをもちで包んだ「塩あんびん」は、埼玉県北部・東部で新米収穫や子どもの成長祝いに欠かせないハレの日の味である。

小麦まんじゅう
埼玉県の七夕やお盆に供える、ふんわり柔らかな小麦粉生地の蒸しまんじゅう。所沢の「ゆでまんじゅう」と対をなす、シンプルながら深い味わいの郷土菓子である。

くわいの含め煮
慈母が乳を授ける姿に似た芽の形から「子孫繁栄」の縁起物とされ、お正月のおせちに欠かせない「くわいの含め煮」。くちなしの実で鮮やかな黄色に染める埼玉の伝統料理である。

どじょう煮
田んぼのじょうを手ですくって捕獲し、丸ごと煮付けた滋養強壮の味。骨も頭も食べられる「丸鍋」は、埼玉県東部の川の恵みを丸ごと味わう知恵である。