
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
小麦の裏作栽培が広く行われた埼玉の「うどん文化」に根ざし、すり鉢でごまとみそを合わせ、キュウリ・大葉・ミョウガなどの夏野菜を加えて冷たい水で仕上げるつけ汁である。主に川島町、入間地域、県北に伝承され、特に川島町では四方を川に囲まれた肥沃な土地で稲作が盛んな環境が「すったて」の発展を支えた。夏の農繁期、稲作の手作業で朝から日暮れまで働く農家にとって、手間がかからずタンパク質と塩分を補給できる貴重な食だった。家庭によってはうどんではなくご飯にかける食べ方もあり、現代では夏の郷土食として親しまれ続けている。
由来・歴史
日本各地で独自に発展した「冷や汁」だが、埼玉では稲作の裏作としての小麦栽培に育まれた「うどん文化」と結びついた。川島町では古くから「すったて」と呼び、具材をすりばちですり「すりたて」を食べていたことに名前の由来がある。「冷やし汁」「つったて」とも呼ばれる。
食べ方
すり鉢でごまとみそを合わせ、キュウリ・大葉・ミョウガなどの清涼感ある野菜をたっぷり加えてすり、最後に冷たい水を注いで混ぜる。川島町の「すったて」では野菜もすり鉢ですり合わせるのが特徴である。うどんのつけ汁として食べるほか、ご飯に豪快にかける食べ方もある。夏の農繁期、収穫したばかりの野菜と冷たい水を使い、暑い日でもさっぱりと食べられる。
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産地
汁物の名物

柳川鍋/どじょう汁
江戸庶民の夏の滋養食「どじょう汁」には、生きたまま煮る「丸鍋」と骨抜きの「ぬき鍋」、卵とじの「柳川鍋」の3種類がある。1801年創業の「駒形どぜう」は、縁起をかついで四文字から三文字の店名に変えた老舗である。

しょっから汁
「しょっから」は小ぶりのムロアジを丸ごと塩漬け発酵させた魚醤で、アシタバとサトイモを加えて煮込む伊豆諸島の汁物。独特の臭いと濃厚な旨味が特徴で、くさやと並ぶ島の保存食文化を体現している。

けんちん汁
鎌倉・建長寺で700年以上続く精進料理。落とした豆腐をくずして入れた逸話があり、野菜くずを無駄なく使う知恵が詰まった温かい汁物である。

呉汁
田んぼのあぜで育てた「たのくろ豆」をすりつぶした大豆の滋味深い汁物。ご飯にかけて食べる質素な食べ方も、古き埼玉の暮らしを今に伝える。

こしね汁
「こんにゃく」「しいたけ」「ねぎ」の頭文字を取った名前が示す通り、群馬県富岡市の3大特産をふんだんに使った汁物。家庭ごとにアレンジが加わるのも魅力である。

呉汁
大豆をすりつぶした「ご」を加えた群馬の味噌汁。新豆が採れる秋から冬にかけて、旬の野菜とともに体を温める郷土料理として親しまれてきた。
埼玉県の名物

いがまんじゅう
赤飯が栗のイガのようにまんじゅうを覆う、埼玉県北東部の縁起菓子。甘じょっぱい味わいともっちり食感が意外な調和を生み、ハレの日に親しまれてきた。

塩あんびん
砂糖が高価だった江戸時代、庶民が生み出した知恵の菓子。塩味のあんをもちで包んだ「塩あんびん」は、埼玉県北部・東部で新米収穫や子どもの成長祝いに欠かせないハレの日の味である。

かてめし
醤油を使うハレの日の飯物として、五目ちらしよりも重宝されたという秩父の名物料理。米のかさを増やす工夫から生まれた庶民の知恵が、現代も家庭で受け継がれる。

聖天ずし
江戸時代から変わらぬ姿で受け継がれる、熊谷・妻沼のハレの日の味。大きな油揚げに酢飯を詰めた稲荷ずし3本と巻きずし4切れのボリュームが、農作業の合間の腹持ちの良さとして親しまれてきた。

小麦まんじゅう
埼玉県の七夕やお盆に供える、ふんわり柔らかな小麦粉生地の蒸しまんじゅう。所沢の「ゆでまんじゅう」と対をなす、シンプルながら深い味わいの郷土菓子である。

くわいの含め煮
慈母が乳を授ける姿に似た芽の形から「子孫繁栄」の縁起物とされ、お正月のおせちに欠かせない「くわいの含め煮」。くちなしの実で鮮やかな黄色に染める埼玉の伝統料理である。