
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「くわいの含め煮」は、埼玉県産のくわいを酒・砂糖・みりん・塩とともに、くちなしの実で黄色く染めて煮含めた郷土料理である。主な産地は越谷市・草加市・さいたま市で、綾瀬川流域の稲作に不向きな低湿地で栽培されるくわいは、全国生産量第2位の規模を誇る。お正月のおせち料理や冬の祝い事に欠かせず、芽が慈母の授乳姿に似ることから「子孫繁栄」「立身出世」の縁起物として重宝される。家庭によって味付けの濃淡やくちなしの色付け具合が異なり、産地では学校給食の「くわいご飯」など多様な食文化が受け継がれている。
由来・歴史
くわいの埼玉県での栽培は、1786年(天明6年)の関東大水害で稲作が壊滅した際、くわいが高値で売れて農家を救ったことに端を発する。明治後期に安行・野田村から種子が導入され本格化し、昭和30~40年代に作付け面積が最大となった。戦中・戦後に一時途絶えたものの回復し、現在も越谷・草加・さいたまなどが主要産地である。縁起物としてお正月に食べられる伝統は、芽の生育が子孫繁栄を象徴するという信仰に根ざしている。
食べ方
水洗いしたくわいを底から芽に向かって皮をむき、たっぷりの水で15~20分ゆでる。水を替えて竹串が通るまでゆでこぼした後、酒・砂糖・みりん・塩とガーゼに包んだくちなしの実を加えた煮汁で、芽を上にして煮含める。煮汁に漬けたまま冷まして味を含ませ、お正月や冬の祝い事に供する。埼玉県の学校給食では「くわいご飯」として親しまれている。
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産地
煮物の名物

煮ぼうとう/ひもかわ
埼玉県を代表する幅広麺の煮込み料理。渋沢栄一が愛した「煮ぼうとう」は、毎年11月11日の命日に「にぼうと会」で供され、地元の食文化を今に伝える。

佃煮
徳川家康が摂津の漁師を移住させた佃島が発祥。たまり醤油を使った濃厚な煮付けは、江戸時代からの保存食として全国に広まった東京の味。

お雑煮
武士の言葉遊びから生まれた角餅が特徴。元禄年間に野田・銚子の醤油文化と出合い、江戸っ子好みの濃口すまし汁が確立された正月の主役料理である。

八ツ頭の茎の炒め煮
「血の道の薬」と呼ばれた八ツ頭の茎は、干して保存した「芋がら」を炒め煮にした埼玉の知恵料理。ごはんのおかずにも酒のつまみにもなるしっかりとした味わいが特徴である。

栗の渋皮煮
砂糖をふんだんに使う贅沢な味わいが特徴。かつてはお祭りやお祝い事にしか食べられなかった、日高市の栗文化が詰まった保存食である。
埼玉県の名物

小麦まんじゅう
埼玉県の七夕やお盆に供える、ふんわり柔らかな小麦粉生地の蒸しまんじゅう。所沢の「ゆでまんじゅう」と対をなす、シンプルながら深い味わいの郷土菓子である。

聖天ずし
江戸時代から変わらぬ姿で受け継がれる、熊谷・妻沼のハレの日の味。大きな油揚げに酢飯を詰めた稲荷ずし3本と巻きずし4切れのボリュームが、農作業の合間の腹持ちの良さとして親しまれてきた。

冷や汁/すったて
「すったて」とは、野菜をすりばちですりたてを食べていたことに由来する。四方を川に囲まれた川島町で稲作の農家に親しまれ、夏の農繁期に手間なく栄養を補給できるうどんのつけ汁として重宝された。

どじょう煮
田んぼのじょうを手ですくって捕獲し、丸ごと煮付けた滋養強壮の味。骨も頭も食べられる「丸鍋」は、埼玉県東部の川の恵みを丸ごと味わう知恵である。

おなめ
麦こうじと大豆を発酵させた「おなめ」は、半年以上日持ちする保存食として秩父地域で愛されてきた。塩気の強い味わいが夏の食欲をそそる、ご飯のお供の定番である。

つとっこ
栃の葉に包んだ武士の携帯食が、秩父の新緑の季節を告げる5月の節句の行事食へと姿を変えた。もち米と小豆を包み、わらで縛って炊く古の知恵が今も息づく。