
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
八ツ頭の茎を干した「芋がら」を水で戻し、シイタケやさつま揚げ、油揚げ、こんにゃくとともに酒・だし汁・砂糖・醤油で炒め煮にする。茎は独特の歯ごたえがあり、調味料がよく染み込む。埼玉県は全国有数の八ツ頭産地で、深谷市や杉戸町を中心に「丸系八つ頭」が栽培されている。かつては食糧不足時の貴重な保存食として、ごはんと混ぜたり煮付けにしたりして食べられてきた。家庭ごとに具材や味付けに違いがあり、現代では八ツ頭の茎そのものが入手しづらくなり、食べられる機会は減少しているが、郷土の知恵として記憶されている。
由来・歴史
里芋や八ツ頭の茎は「ずいき」と呼ばれ、乾物にした「芋がら」は保存食として広く食べられていた。特に食糧が不足した時期に重宝され、女性の体に良いとされ「血の道の薬」とも言われた。八ツ頭の茎は秋に収穫し、皮をむいて風の強い晴天の日に干すとよく乾き、3〜4cmに切って保存することで一年中持つようにした。
食べ方
干し芋がらを一晩水につけて戻し、水で戻した干しシイタケやさつま揚げ、油揚げ、こんにゃくなどとともに食べやすい大きさに切る。鍋で熱した油で炒め、酒・だし汁・砂糖・醤油を加えて汁気がなくなるまで煮込む。かつては食べ物が不足した時のおかずや酒の肴として食べられ、ごはんと混ぜて食べることもあった。
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産地
煮物の名物

どじょう煮
田んぼのじょうを手ですくって捕獲し、丸ごと煮付けた滋養強壮の味。骨も頭も食べられる「丸鍋」は、埼玉県東部の川の恵みを丸ごと味わう知恵である。

くわいの含め煮
慈母が乳を授ける姿に似た芽の形から「子孫繁栄」の縁起物とされ、お正月のおせちに欠かせない「くわいの含め煮」。くちなしの実で鮮やかな黄色に染める埼玉の伝統料理である。

煮ぼうとう/ひもかわ
埼玉県を代表する幅広麺の煮込み料理。渋沢栄一が愛した「煮ぼうとう」は、毎年11月11日の命日に「にぼうと会」で供され、地元の食文化を今に伝える。

栗の渋皮煮
砂糖をふんだんに使う贅沢な味わいが特徴。かつてはお祭りやお祝い事にしか食べられなかった、日高市の栗文化が詰まった保存食である。

花いんげんの煮豆
標高900m以上の冷涼な高地でしか育たない「高原花豆」を、乾燥させてからやわらかく煮込んだ吾妻地域の定番保存食。おせちや神棚への供え物としても重宝されてきた。

ざく煮
婚礼の膳に供され、夫婦が「水と油にならぬように」と油を使わないという願いが込められた群馬の縁起汁。するめをだしにした独特の風味が特徴である。
埼玉県の名物

たらし焼き
生地をたらして焼くことから名付けられた埼玉の小昼飯。うどんほど手間がかからず、畑仕事の合間に重宝された小麦粉のおやつである。

つとっこ
栃の葉に包んだ武士の携帯食が、秩父の新緑の季節を告げる5月の節句の行事食へと姿を変えた。もち米と小豆を包み、わらで縛って炊く古の知恵が今も息づく。

おなめ
麦こうじと大豆を発酵させた「おなめ」は、半年以上日持ちする保存食として秩父地域で愛されてきた。塩気の強い味わいが夏の食欲をそそる、ご飯のお供の定番である。

飯餅
残り飯を水でといた小麦粉と混ぜて焼く、埼玉県内で呼び名が異なる農家の知恵料理。かつては田んぼまで持ち運べるお弁当代わりとして重宝された。

フライ
「フライ」とは揚げ物ではなく焼き物だ。昭和初期、足袋工場の女工たちに大ヒットした行田の名物で、名前の由来には「布来(ふらい)」説など諸説ある。

呉汁
田んぼのあぜで育てた「たのくろ豆」をすりつぶした大豆の滋味深い汁物。ご飯にかけて食べる質素な食べ方も、古き埼玉の暮らしを今に伝える。