
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
アラメと落花生を砂糖・醤油・みりんで甘辛く煮つめた常備菜である。アラメは肉厚で歯応えがあり、落花生はほっくりとした食感で、両者の食感の対比が特徴的である。主な伝承地域は渥美半島を中心とする東三河地域で、北は三河湾、南は太平洋に面し、海の恵みと砂地による落花生栽培が盛んな土地柄である。7月から9月の生アラメの時期によく作られるが、乾燥品も流通しており通年食べられ、つくり置きとして重宝されている。家庭ごとに味付けの濃さや煮詰め具合に違いがあり、温かくしても冷やしても食べられる現代の常備菜として親しまれている。
由来・歴史
渥美半島はかつて干害に悩まされる痩せた土壌だったが、昭和以降の豊川用水整備で日本有数の農業地帯へと発展した。砂地が多い同半島では落花生が栽培され、三河湾・渥美外海の海の恵みからはアラメが豊富に獲れる。伊勢湾産アラメは全国生産量のほとんどを占め、渥美半島でも味噌汁や佃煮にされてきた。海と山の両方の食材を組み合わせたこの煮付は、そうした土地の特性から生まれた東三河地域の郷土料理として定着した。
食べ方
落花生はしっかり浸水させ、アラメは調理30分前に水で戻してから、両者を柔らかくなるまでゆでる。砂糖・醤油・みりんで煮つめ、味が染みたら完成となる。温かくして食べても冷やして食べてもよく、甘辛い味付けのためご飯のおかずや酒の肴に適している。生アラメは7〜9月の時期に使われることが多いが、乾燥加工品が流通しているため通年作られ、つくり置きとして冷蔵保存しながら食べることも多い。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
煮物の名物

厚揚げの煮たの
福井県の油揚げは「厚揚げ」と呼ばれ、50年以上全国消費1位を記録する名物。報恩講の精進料理として親しまれ、甘辛く煮込んだしょうが風味が特徴である。

あわびの煮貝
海のない山梨の内陸で名産となった珍しい煮貝。醤油に漬け込んだアワビを馬で揺らしながら運んだ甲府の食文化が、深い旨味の逸品を生み出した。

小豆雑煮
古来より邪気を払う力があるとされた小豆の赤色を用いた、鳥取の正月の主役。甘い煮汁に柔らかく煮た丸餅を浮かべ、おせちの塩気との絶妙なバランスが特徴である。

あんもち雑煮
砂糖が貴重だった時代、年に一度の正月にだけ味わえた特別な甘味。白味噌の風味とあん入り餅の組み合わせは、讃岐の食文化が生んだ贅沢な一椀である。

あまごの甘露煮
「渓流の女王」と称されるアマゴを、ほうじ茶で煮込んだ奈良のおふくろの味。朱色の斑点が美しい県の魚を、骨まで柔らかく甘辛く仕上げる。

赤こんにゃく煮
織田信長が赤く染めさせたという伝説を持つ、滋賀県の名物こんにゃく。三二酸化鉄で染められた鮮やかな赤色は煮ても褪せず、冠婚葬祭や学校給食で欠かせない存在となった。
愛知県の名物

ふきの煮付け
シャキシャキとした太い茎が特徴の「愛知早生ふき」を使った煮付け。明治中頃に東海市で発見されたこの品種は、知多半島を中心に全国トップクラスの生産量を誇り、春の訪れを告げる味として親しまれる。

ふな味噌
骨まで柔らかく煮詰めたフナを、愛知の豆味噌で仕上げる保存食。寒ブナの旬を閉じ込めた、木曽三川流域の冬の味覚である。

ふろふき大根
曹源寺の「大根炊き」で振る舞われる縁起物。愛知県産の大根をだし汁で煮込み、濃厚な豆味噌の練り味噌をのせた、寒い季節に体を温める郷土料理である。

あぶらげずし/いなりずし
歌舞伎『助六』にちなむ「助六」発祥の地でもあり、豊川稲荷の門前町では江戸時代後半から参拝客に振る舞われてきた。油揚げの甘辛い味付けと酢飯の組み合わせが、愛知県内で今日も幅広く親しまれている郷土のすしである。

五平餅
木こりや狩人が山の講の前夜に食べた携帯食がルーツ。うるち米を潰して串に刺し、味噌ダレを塗って焼く独特の食べ方は、中部山間部に広がる「御幣」の形にちなんだ名物料理である。

箱ずし
四角い木枠で押し固めた愛知の「切りずし」は、具材を斜めに配置する工夫で皆が平等に味わえるよう配慮された祝いの料理である。かつては贅沢品とされ、木枠を持つ家庭も多かった。