
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
アマゴのうろこと内臓を取り素焼きし、ほうじ茶で煮込んで調味料を加えた甘辛い煮魚である。骨まで柔らかく仕上がり、くせのない淡白な身の味わいを引き立てる。主に奈良県吉野川流域の山間部で伝承され、清らかな渓流が育む「奈良県のさかな」として親しまれてきた。通年加工品として食べられるが、もとはアマゴが獲れる時期の保存食や、貴重な蛋白源として家庭で作られた。家庭ごとに煮汁の甘辛さや茶の香りの強弱が異なり、現代では土産物や贈答品としても定着している。
由来・歴史
アマゴはサケ科サツキマスの一種で、体長20〜30cm、パーマークと呼ばれる小判状の斑点に朱色の細かい点が特徴的な「渓流の女王」である。「アメノウオ」「アメゴ」とも呼ばれ、「奈良県のさかな」に指定されて県を代表する魚となった。甘露煮は古くから家庭で作られてきた伝統的な保存加工法であり、山間部の貴重な食資源を長く楽しむ知恵が詰まっている。
食べ方
アマゴのうろこと内臓を取り洗って素焼きし、鍋に入れてほうじ茶で煮る。調味料を加えてさらに煮込み、骨まで柔らかく甘辛く仕上げる。生魚は飲食店向けに直接出回ることが多く、一般には加工品として通年入手でき、ご飯のおかずや酒の肴として食べられる。
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産地
煮物の名物

あんもち雑煮
砂糖が貴重だった時代、年に一度の正月にだけ味わえた特別な甘味。白味噌の風味とあん入り餅の組み合わせは、讃岐の食文化が生んだ贅沢な一椀である。

あらめと落花生の煮付
昆布の一種・アラメと落花生を甘辛く煮つめた東三河の常備菜。海と山の恵みを組み合わせた、渥美半島独特の食文化が詰まった一皿である。

厚揚げの煮たの
福井県の油揚げは「厚揚げ」と呼ばれ、50年以上全国消費1位を記録する名物。報恩講の精進料理として親しまれ、甘辛く煮込んだしょうが風味が特徴である。

赤こんにゃく煮
織田信長が赤く染めさせたという伝説を持つ、滋賀県の名物こんにゃく。三二酸化鉄で染められた鮮やかな赤色は煮ても褪せず、冠婚葬祭や学校給食で欠かせない存在となった。
アゴの子旨煮
「アゴが手に入らないと田植えにならん」という言い伝えが残る島根の初夏の味。トビウオの大粒の卵を旨煮にした、酒の肴にぴったりの贅沢な一品である。

茹で干し大根とかんぼこの煮物
断崖の中空干し場で陽光と海風に晒された「茹で干し大根」と、長崎名物の「かんぼこ」が織りなす冬の風物詩。苦み少なくやわらかな食感が特徴の郷土料理である。
奈良県の名物

飛鳥鍋
飛鳥時代に唐から伝わった乳製品が起源。奈良の貴族から僧侶、そして庶民へと広がった、牛乳仕立ての鶏鍋。ヤギの乳を使った時代もあったという変遷が興味深い。

鮎寿司
釣瓶鮨(つるべずし)の名で歌舞伎『義経千本桜』にも登場した、吉野の天然アユを使った姿ずし。室町時代に生まれた「なまなれずし」の技法が現代に受け継がれる。

茶粥
「大和の朝は茶粥で明ける」と謳われる奈良の日常食。お水取りの練行衆の献立にも登場する、1200年以上の歴史を持つ朝の名物である。

でんがら
端午の節句に男の子の成長を願って作られる、枝付き朴の葉にぶら下げた独特の形状の餅菓子。川上村の寒暖差が生んだ保存食の知恵が息づく。

エイの煮こごり
ゼラチン質がゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる、奈良のハレの日の定番料理。赤エイを甘辛く煮つけ、冷やして食べる。

ふき俵
米俵にそっくりな形が名前の由来。田植えの始まり「さびらき」に、ふきの葉でごはんを包み豊作を祈る。大豆には「大きくまめに育つように」の願いが込められている。