
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
厚揚げの煮たのは、だし汁・酒・みりん・醤油で甘辛く煮込み、仕上げにしょうが汁を加える郷土料理である。福井県でいう「油揚げ」は分厚くずっしりとした「厚揚げ」を指し、大豆生産が盛んな県内では各町に豆腐屋が点在し、大豆と交換する形で身近な食材となった。浄土真宗の信仰が篤い同県では、親鸞の祥月命日に行う報恩講(ほんこさん)の精進料理として発展したが、現在は各家庭や飲食店で通年食べられている。丸ごと煮るか対角線上に4等分に切るかなど、地域や家庭ごとにレシピが異なり、おろししょうがや地がらしを添える食べ方も多様である。
由来・歴史
浄土真宗の開祖・親鸞の祥月命日(旧暦11月28日、新暦1月16日)前後に行われる報恩講(ほんこさん・おこさま)の精進料理として発達した。福井県は浄土真宗の信仰が熱心な地域で、報恩講のお斎にはごちそうであった厚揚げを使った料理が添えられた。各町に豆腐屋があり大豆と交換する習慣があったため、一般家庭にも広まりやすく、油揚げ消費額は50年以上全国1位を維持している。
食べ方
熱湯で湯抜きした厚揚げに十文字の切り目を入れ、だし汁・酒・みりん・醤油で甘辛く弱火で15分ほど煮込む。火を止める寸前にしょうが汁を加え、おろししょうがや地がらしを添えて食べる。報恩講の時期に食されるほか、各家庭や飲食店で通年楽しまれている。丸ごと煮るほか、対角線上に4等分に切るなど、地域や家庭によってレシピが異なる。
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産地
煮物の名物

あわびの煮貝
海のない山梨の内陸で名産となった珍しい煮貝。醤油に漬け込んだアワビを馬で揺らしながら運んだ甲府の食文化が、深い旨味の逸品を生み出した。

小豆雑煮
古来より邪気を払う力があるとされた小豆の赤色を用いた、鳥取の正月の主役。甘い煮汁に柔らかく煮た丸餅を浮かべ、おせちの塩気との絶妙なバランスが特徴である。

小豆雑煮
出雲の神在祭で振る舞われた「神在餅」が「ぜんざい」の語源ともいわれる、あっさり甘さの小豆雑煮。元旦の「すまし雑煮」と並び、島根の正月を彩る二つの雑煮の一つである。

あらめと落花生の煮付
昆布の一種・アラメと落花生を甘辛く煮つめた東三河の常備菜。海と山の恵みを組み合わせた、渥美半島独特の食文化が詰まった一皿である。

あんもち雑煮
砂糖が貴重だった時代、年に一度の正月にだけ味わえた特別な甘味。白味噌の風味とあん入り餅の組み合わせは、讃岐の食文化が生んだ贅沢な一椀である。

あまごの甘露煮
「渓流の女王」と称されるアマゴを、ほうじ茶で煮込んだ奈良のおふくろの味。朱色の斑点が美しい県の魚を、骨まで柔らかく甘辛く仕上げる。
福井県の名物

ぼっかけ
「ぼっかけ」という名は、熱々の汁をご飯に「ぶっかける」ことからとも、美味しさに客人を「ぼっかけて」引き留めたことからともいわれる福井県の名物料理。平皿に盛り付ける独特のスタイルが特徴である。

茶飯
「奈良茶飯」を宿場町・今庄に旅人が伝えた、福井の忘れがたい「故郷の味」。豆入り番茶で炊き、仕上げに酒をふりかける独特の香ばしさが特徴である。

長寿なます
食べると長生きするとされる縁起物。白ごまと厚揚げを練り込んだペーストで野菜を和える、福井県敦賀のお正月定番。一部地域では「こっぱなます」と呼ばれ、千切りの油揚げやねぎが入る。

赤かぶらの酢漬け
戦に敗れた平家の落人が「赤色」のかぶらを後世に残したいと願い、800年以上前から福井市美山地域で伝承された「河内赤かぶら」。酢漬けにすると皮の色が反応して中まで真っ赤に染まり、見た目の美しさと保存性から代表的な郷土料理となった。

でっち羊かん
京都から福井に帰郷した丁稚が持ち帰った羊かんを水で伸ばして生まれた、福井の冬の風物詩。こたつで木べらですくう庶民的な味わいが今も残る。

麩の辛し和え
浄土真宗の最大行事「報恩講」に振る舞われる精進料理。福井県独自の「地からし」が香ばしい芳香を放ち、麩と味噌で貴重なたんぱくを補う知恵が詰まっている。