
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
大根・人参・ごぼう・わらび・ふきなどの根菜や山菜を細かく刻み、油揚げ・凍み豆腐・大豆・昆布とともに味噌で煮込んだ汁物料理である。青森県津軽地方を中心に伝承され、イワシの焼き干しと焼き昆布で出汁を取るのが特徴的だ。旧暦正月16日の朝、仏前に供えて拝んだ後に家族で食べる小正月の精進料理として親しまれてきた。大鍋で大量に作り、4〜5日かけて温めなおしながら食べる習慣があり、具材のエキスがしみ込むほど味わいが深まる。家庭ごとに食材や作り方が異なり「おふくろの味」として受け継がれ、地元では女性が集まると「けの汁談義」が始まるほどの郷土料理である。
由来・歴史
津軽地方の代表的な郷土料理で、名称の由来は津軽の方言で「粥(かゆ)」を「け」と呼ぶことから「かゆの汁」となったとされる。諸説あるが、米が貴重だった時代に刻んだ具材を米に見立てて食べたという説や、約400年前の津軽藩祖・為信の時代から受け継がれたとの説がある。もともとは小正月の料理で、正月の来客対応に追われた嫁が里帰りする際、男衆のために作り置きしたものとされる。
食べ方
根菜や山菜を細かいさいの目に刻み、イワシの焼き干しと焼き昆布で出汁を取った大鍋で煮上げる。大豆をすりつぶした「ずんだ」を加えるのも特徴である。保存が利くため大鍋から小鍋に分けて数日かけて温めなおしながら食べるのがならわしで、温めなおすほど具材のエキスがしみこんで味わい深くなる。旧暦正月16日の朝に仏前に供え、一年の無病息災を願って家族そろって食べる精進料理である。
オンラインで買う
ふるさと納税で取り寄せる
産地
汁物の名物

くじら汁
北前船が運んだ西日本の塩クジラが、新潟の山間地まで届いたスタミナ食。なすとゆうがおを煮込んだ味噌仕立てで、真夏の暑さを乗り切る知恵が詰まる。

鯨汁
「大物になるように」と縁起を担いで正月に食べられる道南の伝統汁。ニシン漁の豊漁祈願の意味も込められ、何度も温め直して味を深める食べ方が特徴である。

かに巻き汁
カニを丸ごとすりつぶして味噌汁にするという驚きの調理法。臼と杵で砕いた「山太郎ガニ」が、おぼろ豆腐のようにふわふわと浮かぶ北郷町の秋の味覚である。

かぼちゃのだんご汁
日本最古のかぼちゃ「三毛門かぼちゃ」を丸ごと煮込む、戦前戦後の貧しい時代を生き抜いた命のスープ。トロトロの甘みと小麦粉だんごの素朴な味わいが特徴である。

いわしのだんご汁
イワシのすり身を味噌で味付けただんごを、具沢山の汁に浮かべる北総・九十九里の冬の定番。海の米と謳われた地元イワシの栄養を丸ごと味わう、漁師町ならではの知恵料理である。
青森県の名物

きんかもち
高価な黒砂糖を使ったことから「金貨餅」と名付けられた南部地方の変わり種の郷土料理。半月型の小麦粉の皮に、くるみと味噌・黒砂糖の餡が包まれる。

くじら汁
「鯨一匹七浦うるおう」といわれた八戸の捕鯨文化が生んだ正月の縁起物。背の本皮を何度も湯通しし、凝縮した旨味が日を追うごとに深まる鍋物である。

キャベツとマスの漬物
津軽の内陸部で生まれた「始末の料理」。マスのアラを余すところなく使い、魚の旨味とキャベツの甘みが調和する、雪国の知恵が詰まった漬物である。

けいらん
椀の蓋を開けると白い卵形の団子が二つ浮かぶ「けいらん」は、鶏卵に似た姿から名付けられた秋仕舞いのごちそう。元は京都の料理が上方文化とともに旧南部藩に伝来し、現在は冠婚葬祭に欠かせない郷土料理として親しまれている。

かっけ
南部藩の殿様が「庶民は食べるな」と禁じたそばの切れ端が発祥。三角形に切ったそば粉の生地を、にんにく味噌で食べる青森県南部の知恵の料理。

貝焼き味噌
津軽湾の漁師がホタテの大きな貝殻を鍋代わりにして考案した、海の香り漂う素朴な料理。太宰治も「津軽」で憧れを綴った、卵と味噌のとろりとした味わいが特徴である。