
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
小麦粉の皮で黒砂糖・くるみ・味噌の餡を包み、半月状に整えてゆでた郷土料理である。青森県南部地方は古来、やませによる稲作の冷害に悩まされた土地であり、小麦・あわ・ひえ・蕎麦などの雑穀文化が発展した。そのような環境で生まれたこの料理は、盆や年取りのお供えに欠かせない行事食であり、農作業の合間のおやつとしても親しまれた。かつては祖母から母へ、娘へと受け継がれ、餡の味も家庭ごとに個性があったが、現在は手づくりする家庭が減少している。
由来・歴史
古来、やませによる冷害で稲作が困難だった南部地方で雑穀文化の中から生まれた。黒砂糖が高価な贅沢品であったことから「金貨餅」と名付けられたと伝わる。100年以上前から各家庭でつくられ、送り盆の仏壇供えや農神様への年取りに供えた。半月型が「ばほり笠(編み笠)」に似ることから「ばほりもち」、かます袋に似ることから「かますもち」、また「みみっこもち」「かいこもち」などの別名もある。
食べ方
そのままかぶりつくように食べるが、中の餡が熱い「たれ」のようになるため、はじめて食べる人は注意が必要。子どもたちがとろりとはみだした真っ黒の餡を手や服につけるのが定番の風景である。くるみの歯ごたえと黒砂糖のコク、味噌の甘じょっぱさが特徴的な餡は食べ飽きない味わい。盆や年取りの行事食として、また農作業の合間のおやつとして食べられてきた。
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産地
餅の名物

きらずもち
「切らず」に由来する縁起の良い名を持つ餅。豆腐作りの副産物・おからを混ぜ、正月に食べられた高知県佐川町尾川地区の郷土菓子である。

こっぱもち
「こっぱ」とは小さく切るという方言で、輪切りにしたさつまいもを天日干しした保存食を指す。天草の軒先に吊るされた光景は冬の訪れを告げる風物詩であった。

くじら餅
「久しく持つ良い餅」が転じた名前の通り、江戸時代から300年続く保存食。新庄藩の兵糧食が起源とされ、桃の節句の雛菓子として今も親しまれる。

きび餅・あわ餅・とち餅
丹波・丹後の山間部で、米が足りない時代に主食代わりに食べられてきた雑穀餅。きび・あわ・とちの実を使った素朴な味わいが、近年は健康食として再び注目されている。

かしわ餅
柏の葉が自生しない島根では、トゲのある「猿取り茨」の葉を巻いて作る。端午の節句や田植え後の「泥落とし」で農家の女性たちがせっせと蒸した、香り高い郷土の味。

柏餅
枯れ葉になっても落ちないかしわの葉に、子孫繁栄を願う思いを託した縁起餅。福井県若狭地方の「田の神祭り」で、子ども神輿が巡る家々に必ず供えられる。
青森県の名物

くじら汁
「鯨一匹七浦うるおう」といわれた八戸の捕鯨文化が生んだ正月の縁起物。背の本皮を何度も湯通しし、凝縮した旨味が日を追うごとに深まる鍋物である。

キャベツとマスの漬物
津軽の内陸部で生まれた「始末の料理」。マスのアラを余すところなく使い、魚の旨味とキャベツの甘みが調和する、雪国の知恵が詰まった漬物である。

豆しとぎ
神前に供える青緑色の生菓子。米不足の南部地方で生まれた「豆しとぎ」は、焼くと香ばしく甘みが増し、食感も変わる二通りの楽しみ方がある。

けの汁
津軽の方言で「粥」を「け」と呼ぶことから名付けられた、小正月の精進料理。米が貴重だった時代、刻んだ具材を米に見立てて食べた知恵が詰まった保存食である。

けいらん
椀の蓋を開けると白い卵形の団子が二つ浮かぶ「けいらん」は、鶏卵に似た姿から名付けられた秋仕舞いのごちそう。元は京都の料理が上方文化とともに旧南部藩に伝来し、現在は冠婚葬祭に欠かせない郷土料理として親しまれている。

かっけ
南部藩の殿様が「庶民は食べるな」と禁じたそばの切れ端が発祥。三角形に切ったそば粉の生地を、にんにく味噌で食べる青森県南部の知恵の料理。