
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
愛知県の「たこ飯」は、生タコをぶつ切りにして米とともに炊き込む炊き込みご飯であり、タコの色素で全体が桜色に染まるため「桜飯」とも呼ばれる。主な伝承地域は三河湾に浮かぶ日間賀島で、良質のタコが獲れる「タコの島」として知られ、島内にはタコのモニュメントやマンホール蓋が点在し、安楽寺(通称「たこ阿弥陀」)などタコにまつわる伝説も残る。かつて南知多地域では半夏生(夏至から11日目、田植え終了の目安)に豊作祈願としてタコを神に捧げ食べる風習があり、瀬戸内海地域を中心に広く見られた。家庭では人参や万能ねぎ、木の芽、青のりを添えて彩りを良くすることもあり、生ダコがない場合は蒸しタコや干しタコで代用することもできる。現代では夏バテ予防のタウリン摂取としても親しまれている。
由来・歴史
「たこ飯」の起源は漁師飯に求められ、漁師が釣ったタコを船上でぶつ切りにし米と炊いたものとされる。愛知県以外にも愛媛県、香川県、広島県など瀬戸内海地域で広く食べられるが、愛知県では生タコを炊き込む技法が主流である。日間賀島の安楽寺が「たこ阿弥陀」と呼ばれるのは、地震で沈んだ仏像を引き上げた際に大ダコが仏像を守るように巻きついていたという逸話に由来し、島ではタコの供養と豊漁祈願のたこ祭りも夏に開催される。
食べ方
愛知県では生タコを米と一緒に炊き込むのが主流であり、これによりご飯全体が桜色に染まる。全国では煮タコを混ぜることが多いが、愛知流は生タコから出るダシと色素を活かす技法である。彩りを良くするため人参のみじん切りを炊き込み、茶碗に盛ってから万能ねぎ、木の芽、青のりを散らすこともある。生ダコが入手できない場合は蒸しタコや干しタコで代用可能。かつては半夏生の行事食として豊作祈願の意味を持ち、現代ではタウリンによる疲労回復・夏バテ予防として食される機会も多い。
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産地
ご飯ものの名物

うずめ飯
ごはんの下にタイや野菜が隠れた「うずめ飯」。江戸時代、質素倹約を装うため具材を隠したという説があり、提供時に伏し目がちにする習わしも残る。昭和14年には「日本五大名飯」に選定された名物料理である。

たこ飯
鳥羽市の畦蛸(あだこ)では「多幸めし」とも呼ばれ、縁起の良い名前で親しまれる。伊勢湾の荒波にもまれたプリプリの真ダコを、米とシンプルに炊き込んだ漁師の味である。

たこ飯
「干しダコ」をもどして炊き込む熊本県天草の郷土料理。潮風に揺れる吊るし干しの風景が夏の風物詩となっている。弾力のあるマダコの旨味が凝縮された保存食の知恵が、現代も受け継がれる。

たこ飯
漁船上で獲れたタコをそのままぶつ切りにして炊き込んだのが始まりという、漁師の知恵が詰まった愛媛の郷土料理。春の「木の芽だこ」や梅雨時のタコが特に珍重される。

たけのこご飯
雨上がりに食べきれないほど獲れるたけのこを、田植えの時や行楽に炊きこんだ宮城の春の味。姫皮から根元まで部位を使い分ける知恵が詰まった日常のご飯である。

高津のとり飯
「米1升に飯茶わん1杯の醤油」という分量で代々伝えられる、安産祈願の子安講や豊作願いの八朔に欠かせない千葉の味。肉を小さく切るのは、貴重な食材を皆で分かち合うための知恵である。
愛知県の名物

とうがん汁
「冬瓜」と名付けられた由来は、皮が厚く日持ちが良く冬までもつことから。夏が旬の愛知県の名物汁物で、水分補給にも重宝される。

雑煮
「名を上げる」という縁起担ぎから生まれた、餅と餅菜だけの極めてシンプルな正月料理。尾張藩の質素倹約の精神や、将軍からの叱責説など、成り立ちには複数の伝承が残る。

酢味噌そうめん
八丁味噌の濃厚なコクと酢の酸味が絶妙に調和する、名古屋の夏の知られざる名物。簡単ながら奥深い味わいは、豆味噌文化の粋を体現する一皿である。

れんこんの煮物
「先を見通す」縁起の良さから正月おせちに欠かせない愛知県の煮物。海抜0m地帯の水害を機に稲作から転換した蓮根栽培が生んだ、しみじみとした家庭の味である。

おしもん/おこしもん
「押して作る」から名づけられたとも「起こして外す」からともいわれる、愛知県の桃の節句の菓子。米粉を型に押して色付けし、お雛様に供えた後は焼いて食べる。
ふるさと納税鬼まんじゅう
角切りのさつまいもがゴツゴツと見える様が鬼のツノを連想させ、戦中戦後の食糧難時代に誕生した名古屋の郷土菓子。水っぽく旨味のない「護国芋」をいかに美味しく食べるかという工夫から生まれた。