
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
1cm角に切ったさつまいもを小麦粉と砂糖の生地に入れて蒸し上げた、もっちりと重量感のある蒸し菓子である。名古屋市を中心に愛知県内全域で伝承され、当地はさつまいもの産地としても知られる。本来は秋の収穫期に作られるが、和菓子屋では通年販売されており、日常のおやつとして親しまれている。家庭では素朴に塩と砂糖をまぶすのに対し、店舗では「蜜煮」したさつまいもを用いるなど、作り方に地域差や業態差が見られる。近年はふんわりとした蒸しパン風の生地や、リンゴを入れたアレンジも登場し、進化を続けている。
由来・歴史
戦中・戦後の食糧難の時代に、手軽に入手できたさつまいもと小麦粉を組み合わせて作られ、米の代わりの主食として広まった。角切りのさつまいもがゴツゴツと見える様が鬼のツノや金棒を想起させたことから「鬼まんじゅう」の名がついた。当時は収穫量を重視した「護国芋」という水っぽく旨味のない品種が主流で、これを美味しく食べる工夫から生まれたと考えられている。その後、高度経済成長期に農家で腹持ちの良い安価なおやつとして定着した。地域によって「芋ういろ」「芋まん」など異なる呼び名もある。
食べ方
1cm角に切った皮つきのさつまいもを小麦粉・砂糖の生地に入れて蒸し上げ、温かいまままたは冷やして食べる。ラップに包んでレンジで20〜30秒温め直すと、できたての食感が蘇る。秋の収穫期に多く作られるが、和菓子屋では通年入手可能である。家庭では素朴な味付けで、店舗では蜜煮のさつまいもを用いるのが一般的で、近年は蒸しパン風の生地やリンゴ入りのアレンジも楽しまれている。
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産地
まんじゅうの名物

酒まんじゅう
麹の発酵力だけで生地をふくらませる、豊肥地方のソウルフード。あんなしの「しいら」は宮崎・熊本にも名を変えて伝わる。

うらじろまんじゅう
葉の裏が白く見えるオヤマボクチから名付けられた山梨の郷土菓子。ヨモギ餅のような食感でありながら、草臭さがほとんどなく食べやすいのが特徴である。
ふるさと納税みとり饅頭
「みとり」とは豆のさやから実だけを摘み取ることから名付けられた。夏あずきを包んだ重曹入りの生地は、蒸すとふっくら丸く膨らみ、ほのかな苦みが特徴的な郷土菓子である。

いも饅頭
里芋やじゃがいもを丸ごと小麦粉の皮で包んで蒸す、奥八女・弓掛地区の素朴なおやつ。焼いて醤油をつけて頬張るのが山里の流儀で、腹持ちのよさから冬の食卓に欠かせなかった。

いがまんじゅう
桃の節句に三色のもち米をまぶした「いがまんじゅう」は、西三河地域独自の雛祭り行事食。ピンク・黄・緑の色彩が豊作祈願や生命力を象徴し、1月中旬から店頭に並ぶ春の訪れを告げる菓子である。

がめの葉饅頭
亀の甲羅にそっくりな葉で包むことから「がめの葉饅頭」と名付けられた。福岡県ではかしわの葉がないため、端午の節句にサンキラの葉で代用した郷土菓子である。
愛知県の名物

おしもん/おこしもん
「押して作る」から名づけられたとも「起こして外す」からともいわれる、愛知県の桃の節句の菓子。米粉を型に押して色付けし、お雛様に供えた後は焼いて食べる。

れんこんの煮物
「先を見通す」縁起の良さから正月おせちに欠かせない愛知県の煮物。海抜0m地帯の水害を機に稲作から転換した蓮根栽培が生んだ、しみじみとした家庭の味である。

酢味噌そうめん
八丁味噌の濃厚なコクと酢の酸味が絶妙に調和する、名古屋の夏の知られざる名物。簡単ながら奥深い味わいは、豆味噌文化の粋を体現する一皿である。

煮味噌
八丁味噌を代表とする愛知の豆味噌文化が生んだ「煮味噌」。具材を味噌で煮返すうちに味が染み、翌日さらに美味しくなる「煮返しの楽しみ」が家庭に受け継がれる。

もろこずし
モロコを甘辛く煮漬けて斜めに並べる尾張の箱ずし。かつて米が貴重な時代、皆が平等に味わえるよう考えられた斜め配置が特徴である。

味噌おでん
土鍋の中央に味噌壺を置き、具をつけて食べる愛知県独自のおでん。江戸時代の味噌田楽がルーツとされ、八丁味噌の濃厚なコクが冬の寒さを染み込ませる。