
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
煮味噌は、大根・人参・ごぼう・里芋・こんにゃく・油揚げ・長ねぎなどの根菜類を、赤味噌でじっくり煮込んだ愛知県の郷土料理である。八丁味噌に代表される豆味噌文化が根付くこの土地では、濃厚なコクと酸味、独特の渋みを持つ発酵調味料が豊富に産出される。主に冬の根菜が旬を迎える時期に食べられ、体を温める滋養食として親しまれてきた。家庭によって味噌とみりんでの甘辛仕立てや、出汁を利かせた味噌汁風などバリエーションが異なり、汁を多めにして翌日はうどんやご飯を入れた雑炊風にするなど、煮返しながら味を深める食習慣が現代にも息づいている。
由来・歴史
愛知県の食文化の核となるのが、八丁味噌を代表とする豆味噌(赤味噌)である。大豆を原料に豆麹を用い、最低1年、長くは2〜3年かけて発酵・熟成させたこの味噌は、濃厚なコクと酸味、渋みが特徴となる。八丁味噌が生まれた八丁村(現・岡崎市八帖町)は、徳川家康の出生地である岡崎城から八丁の距離にあり、東海道と矢作川が交わる交通の要所として大豆や塩を入手しやすかった。こうした地理的条件が豆味噌文化を育み、味噌煮込みうどんや味噌カツなどと並んで煮味噌も県民に親しまれる名物となった。
食べ方
大根、人参、ごぼう、里芋など季節の食材を味噌で煮込む。味付けは味噌とみりんの組み合わせが基本だが、出汁を加えて味噌汁風にする家庭もある。汁を多めに仕立てれば、残った汁にうどんやご飯を入れて雑炊風にして食べることもできる。一度に多めに作り、翌日また煮返すことを繰り返すうちに味噌の味が具材に染み込み、コクと旨味が増していく。特に根菜が旬を迎える冬に好んで食べられ、体を温める一品として重宝される。
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産地
煮物の名物

煮菜
明治初期に中国から渡来した体菜を塩漬けにし、打ち豆と共に煮込む新潟の冬の定番。雪に閉ざされる土地ならではの保存食の知恵が詰まった家庭料理である。

煮しめ
煮汁が残らないようじっくり煮る「煮しめる」技法に由来する。おせちの三の重に敷き詰められるほか、高千穂の夜通し神楽奉納では振る舞い料理として提供される、宮崎の祝い事に欠かせない味。

隠岐アラメの炒め煮
「デコボコと荒い表面」が名前の由来となった隠岐のアラメは、漁師が「箱めがね」を装着して海中から刈り取る伝統的な漁法で獲られる。春の新芽を乾燥保存し、炒め煮や白和えなど一年中親しまれる海の恵みである。

煮合い
「煮て和える」が語源とされる茨城県下市地方の郷土料理。安産祈願の「子安講」で振る舞われた歴史を持ち、酢を効かせた日持ちする味が特徴。冠婚葬祭で彩りを変えて供される。

煮あえっこ
下北地方の女性たちが小正月に休みをとって作りおきした、手間ひまかけたおもてなしの煮物。冷害に苦しんだ土地ならではの知恵が詰まった保存食の技法と、人が集まる席にふるまう温かいもてなしの心が息づく。

なすのオランダ煮
「オランダ煮」の名は長崎経由で伝わった西洋料理法に由来する。へた紫なすを使った金沢の夏の定番で、冷やして食べるのが一般的だ。
愛知県の名物
ふるさと納税鬼まんじゅう
角切りのさつまいもがゴツゴツと見える様が鬼のツノを連想させ、戦中戦後の食糧難時代に誕生した名古屋の郷土菓子。水っぽく旨味のない「護国芋」をいかに美味しく食べるかという工夫から生まれた。

おしもん/おこしもん
「押して作る」から名づけられたとも「起こして外す」からともいわれる、愛知県の桃の節句の菓子。米粉を型に押して色付けし、お雛様に供えた後は焼いて食べる。

れんこんの煮物
「先を見通す」縁起の良さから正月おせちに欠かせない愛知県の煮物。海抜0m地帯の水害を機に稲作から転換した蓮根栽培が生んだ、しみじみとした家庭の味である。

もろこずし
モロコを甘辛く煮漬けて斜めに並べる尾張の箱ずし。かつて米が貴重な時代、皆が平等に味わえるよう考えられた斜め配置が特徴である。

味噌おでん
土鍋の中央に味噌壺を置き、具をつけて食べる愛知県独自のおでん。江戸時代の味噌田楽がルーツとされ、八丁味噌の濃厚なコクが冬の寒さを染み込ませる。

味噌煮込みうどん
徳川家康の居城・岡崎城から八丁先で生まれた八丁味噌が決め手。土鍋で煮込むことで食べ始めと終わりで麺の食感が変化するのも楽しみの一つ。