
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
れんこん、ごぼう、人参、油揚げなどを炒め、だし汁と醤油で煮込み最後に酢を回す煮物である。調味料と野菜の水分のみで仕上げるため、素材本来の食感と出汁の旨味、酢の爽やかな酸味が際立つ。茨城県は霞ヶ浦湖畔を中心に日本一のれんこん生産地を抱え、全国トップクラスの耕地面積を誇る野菜王国であり、地元産の根菜を活かした料理が育まれた。もともとは水戸市周辺の正月や祝い事といった人が集まる「ハレの日」に欠かせないもので、安産祈願の「子安講」でもおもてなし料理として振る舞われた。家庭ごとに具材の組み合わせや味の濃淡が異なり、仏事には人参を抜いて白仕立てにするなど用途に応じたアレンジも伝わる。現代ではスーパーでは入手しづらく、主に家庭で受け継がれる味として残る。
由来・歴史
水戸市東部の下市地方に伝わる古い郷土料理で、茨城県の特産であるれんこんやごぼうを中心に作られる。名称は「煮て和える」ことに由来するとの説が有力。毎月19日に行われる安産祈願の「子安講」など、講中の集まりで来客をもてなす料理として振る舞われる歴史を持つ。
食べ方
いちょう切りのれんこんと千切りのごぼう、人参、油揚げを炒め、だし汁と醤油で煮て最後に酢を加える。白ごまを振って食べることもある。酢を使うことで日持ちがし、正月や祝いの席、冠婚葬祭など人が集まる場面で重宝された。仏事の際は人参を入れず白い仕上がりにするのが慣わしである。
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産地
煮物の名物

煮味噌
八丁味噌を代表とする愛知の豆味噌文化が生んだ「煮味噌」。具材を味噌で煮返すうちに味が染み、翌日さらに美味しくなる「煮返しの楽しみ」が家庭に受け継がれる。

煮菜
明治初期に中国から渡来した体菜を塩漬けにし、打ち豆と共に煮込む新潟の冬の定番。雪に閉ざされる土地ならではの保存食の知恵が詰まった家庭料理である。

煮しめ
煮汁が残らないようじっくり煮る「煮しめる」技法に由来する。おせちの三の重に敷き詰められるほか、高千穂の夜通し神楽奉納では振る舞い料理として提供される、宮崎の祝い事に欠かせない味。

煮あえっこ
下北地方の女性たちが小正月に休みをとって作りおきした、手間ひまかけたおもてなしの煮物。冷害に苦しんだ土地ならではの知恵が詰まった保存食の技法と、人が集まる席にふるまう温かいもてなしの心が息づく。

なすのオランダ煮
「オランダ煮」の名は長崎経由で伝わった西洋料理法に由来する。へた紫なすを使った金沢の夏の定番で、冷やして食べるのが一般的だ。

ナメタガレイの煮つけ
仙台の年越しに欠かせない「ナメタガレイ」。黄金色の卵に商売繁盛の縁起をかけ、実は江戸時代の正月の主役はタラだった。
茨城県の名物

小倉れんこん
「紫峰色」に染まる縁起物。筑波山の別称「紫峰」にちなみ、朝夕に赤く染まる山肌のように小豆とれんこんを煮込む独特の郷土料理である。穴が「先が見通せる」寓意を持ち、正月や慶事に欠かせない。

パイタ焼き
櫂(かい)の板で魚を叩いて焼いた漁師料理が名前の由来。「パイタ」とは舟を漕ぐ櫂のことで、手漕ぎ船時代の船乗りが櫂の平らな部分で叩いて焼いたことから「カイイタ」が訛って生まれた。

ピーナッツ味噌/落花生味噌
規格外の落花生を活用した農家の知恵。市場に出回らない大粒や割れ粒を味噌で味付け、常備菜として重宝されてきた茨城県の味。

みつめのぼたもち
「みつめのぼたもち」は、第1子誕生3日目に食べる巨大なぼたもちである。栄養回復と母乳祈願の思いを込め、親戚や近所へ配る風習が江戸時代から続く。

こも豆腐
藁苞に包んで塩ゆでした豆腐に、わらの跡が美しい模様を描く。納豆のように藁で包むという、茨城県の大豆文化が生んだ知恵の保存食である。

鯉の唐揚げ
骨までそのまま食べられる揚げ方で、子どもから大人まで人気の一品。学校給食にも採用され、霞ヶ浦の養殖コイを身近に味わえる郷土料理である。