
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
木綿豆腐を串に刺し両面を焼き、砂糖とみりんを加えた甘辛い田楽味噌を塗って炙り焼きする料理である。山々に囲まれた伊賀地域の盆地では、魚介類が入りにくい時代に豆腐が重要なタンパク源となり、豆加工文化が発達した。大晦日や正月の山の口講、花見などの行事食として親しまれ、人を招く際のおもてなしの一品としても重宝されてきた。かつては各家庭に田楽専用のコンロがあり炭火で焼くのが常だったが、現在は専用コンロは姿を消し、店舗で味わう機会が多くなっている。季節により春は木の芽味噌、冬は柚子、他の季節は青のり・ごま・ねぎなどを添えるアレンジも見られる。
由来・歴史
豆腐の製法は中国起源で遣唐使が持ち帰ったとされるが、文献上は1183年春日大社の神主日記に「唐符」の字で初出する。平安時代には女房詞で「お壁」と呼ばれ貴族に食べられていたが、庶民へ広まるのは江戸時代以降である。「でんがく」の名は、田植えや祭りで田んぼで踊る田楽舞いの格好、あるいは能楽の高足の舞に串を打った豆腐が似ることに由来する。谷川士清の「倭訓栞」にも「田楽法師の竿に上りて踊る貌に似たるをもて名を得たり」とあり、江戸時代後期から今日まで名称が変わっていないことがわかる。
食べ方
重石で水を抜いた木綿豆腐を食べやすい大きさに切り、串を通して両面を焼く。砂糖を入れた味噌にみりんを少しずつ加えて溶き、火にかけながら練り、濃ければだし汁で調整する。焼いた豆腐に味噌を塗り、さらに少し炙り焼きして仕上げる。季節によって春は木の芽味噌、冬は柚子、その他は青のり・ごま・ねぎなどを添える。大晦日や正月の山の口講、花見などの行事で食べられ、もてなし料理としても用いられる。かつては各家庭で炭火の田楽専用コンロを使っていたが、現在は主に店で提供されている。
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産地
三重県の名物

野菜の漬物
本居宣長が「香の物」として愛した「松阪赤菜」や、300年前に蒲生氏郷が近江から伝えたとされる歴史を持つ。三重県内には日野菜漬け、伊勢たくあん、白瓜の鉄砲漬けなど、各地域の風土が生んだ多種多様な野菜の漬物が存在する。

雑煮
伊吹山系と鈴鹿山系が東西文化をブロックし、丸餅・角餅・押し餅が混淆する全国でも特殊な雑煮文化圏。湯炊き・水炊き・焼き餅、澄まし汁・味噌汁と調理法も多彩である。

てこねずし
漁師が船上で魚を手で混ぜあわせたことから「てこねずし」の名が生まれた。熊野灘の新鮮なカツオやマグロを酢飯と合わせる、三重県を代表する郷土料理である。

たこ飯
鳥羽市の畦蛸(あだこ)では「多幸めし」とも呼ばれ、縁起の良い名前で親しまれる。伊勢湾の荒波にもまれたプリプリの真ダコを、米とシンプルに炊き込んだ漁師の味である。

さんまずし
「気骨のある子に育ってほしい」と願いを込めた骨付きの姿ずし。三重県熊野市の産田神社に「さんま寿し発祥の地」の碑が立ち、祝いの席で親しまれてきた東紀州の名物である。

さめなます
「鮫」に「交わる」の字が入る縁起物。三重県志摩の祝い膳では、さばきたてのネコザメを湯通しして発酵味噌だれで味わう「さめなます」が欠かせない一品となる。