
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
三重県の野菜の漬物は、塩漬けを基本としながら味噌だまり漬けなど技法も多様である。鈴鹿山麓・中南勢・東紀州など県内各地で、日照条件や寒暖差、地形を活かした在来種が用いられる。松阪赤菜や朝熊小菜の漬け時期のように、野菜ごとに旬の時期があり、季節感を伴って食卓に並ぶ。家庭での手作りと市販品が併存し、めはりずしへの応用など現代でも活用の幅を持つ。
由来・歴史
松阪赤菜は約300年前、松阪城を築いた蒲生氏郷が近江(現滋賀県)から伝えたとされ、国学者本居宣長が「香の物」として好んだ記録が残る。一時絶えたが2001年に県科学技術振興センター保管の種から復活した。朝熊小菜は常陸国の秋田氏が伊勢国朝熊に蟄居した際に持参したアブラナ科の在来種であり、朝熊山麓の底冷えと霜が柔らかな食感を生む。
食べ方
塩漬けを基本とし、味噌だまり漬けや赤紫蘇を用いる技法もある。家庭での漬け込みと市販品が併存し、発酵による保存性と栄養価の向上が特徴である。野菜ごとに漬ける時期が異なり、高菜漬けはめはりずしに、茎漬けは夏の暑さ対策としてそれぞれ活用される。
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産地
漬物の名物

雪菜のふすべ漬け
「ふすべ(る)」は山形の方言で「さっと湯通しする」こと。雪の中で育つ珍しい軟白野菜「雪菜」を、たった3〜5秒の湯通しを3回繰り返して漬け込むと、独特の辛味が引き出される。密封して3日寝かせるのが美味しさの秘訣である。

ずいきの酢漬け
里芋の一種「八つ頭」の葉柄を酢に漬けた新潟の夏の郷土料理。アントシアニンが酸と反応し、鮮やかな紅色に染まる見た目の美しさから、お正月の食卓にも並ぶ保存食として親しまれてきた。

わかさぎとれんこんの酢漬け
霞ヶ浦の名物ワカサギと日本一の産地・土浦のれんこんを、甘酢に漬け込んだ爽やかな郷土料理。骨まで食べられる小魚とシャキシャキの根菜が、漁師町の食文化を今に伝える。

瓜の鉄砲漬
砲筒のような瓜に「火薬」見立ての青唐辛子を詰めた成田名物。成田山新勝寺のお土産として知られ、店ごとの味比べが通の楽しみ方である。

豆腐の味噌漬け
800年前の平家落ち武者が伝えたとされる保存食。半年間味噌に漬け込むとチーズのような風味に変化し、山間部の貴重なタンパク源として親しまれた。

トキシラズ/トキ鮭の焼漬け
「時期を知らずにとれる魚」が名前の由来。アムール川生まれの希少な春サケを、脂がのった若いうちに焼いて漬けた北海道の初夏のごちそうである。
三重県の名物

雑煮
伊吹山系と鈴鹿山系が東西文化をブロックし、丸餅・角餅・押し餅が混淆する全国でも特殊な雑煮文化圏。湯炊き・水炊き・焼き餅、澄まし汁・味噌汁と調理法も多彩である。

豆腐でんがく
高足の舞を舞う田楽法師の姿に似せて名付けられた、伊賀の伝統的な豆腐料理。炭火で焼いた木綿豆腐に甘辛い田楽味噌を塗り、炙り焼きで仕上げる。

てこねずし
漁師が船上で魚を手で混ぜあわせたことから「てこねずし」の名が生まれた。熊野灘の新鮮なカツオやマグロを酢飯と合わせる、三重県を代表する郷土料理である。

たこ飯
鳥羽市の畦蛸(あだこ)では「多幸めし」とも呼ばれ、縁起の良い名前で親しまれる。伊勢湾の荒波にもまれたプリプリの真ダコを、米とシンプルに炊き込んだ漁師の味である。

さんまずし
「気骨のある子に育ってほしい」と願いを込めた骨付きの姿ずし。三重県熊野市の産田神社に「さんま寿し発祥の地」の碑が立ち、祝いの席で親しまれてきた東紀州の名物である。

さめなます
「鮫」に「交わる」の字が入る縁起物。三重県志摩の祝い膳では、さばきたてのネコザメを湯通しして発酵味噌だれで味わう「さめなます」が欠かせない一品となる。