
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
三重県の雑煮は、餅の形状から調理法まで地域によって大きく異なる。丸餅・角餅・押し餅のほか、粟餅と白餅を組み合わせた金銀餅もあり、湯炊き・水炊き・焼き餅の三様式が混在する。汁は澄まし汁と味噌汁に分かれ、具材も北勢の正月菜、中南勢の里芋と大根、伊賀の里芋・大根・ねぎ・豆腐、東紀州の根菜や鶏肉など多様である。これらの差異は、伊吹山系と鈴鹿山系が東の簡略化文化の西進をブロックし、伊勢平野に南下させた地形的要因と、律令時代からの四か国の風土差、海の道からの東紀州への文化流入、伊勢神宮の御饌文化の残存などが複雑に絡み合った結果である。年の初めの正月に若水と共に神棚に、福茶と共に仏壇に供え、家族そろって副茶を飲みながら食べる。現代でも各家庭の伝統が守られ、餅なし正月の名残として小豆あんを付けた小餅を食べる家も残っている。
由来・歴史
三重県は畿内を守る伊吹山系・鈴鹿山系の「城壁」と三関止めにより、東の簡略化文化が西進するのをブロックし、南下して伊勢平野に急速に影響を及ぼした特殊な混淆文化圏である。律令時代からの四か国の風土差に加え、海の道から東紀州に文化がもたらされ、伊勢神宮の御饌として古来の文化も志摩国や離島に残った。この複雑さが雑煮に反映され、峠越えの公家文化の丸餅と、武家文化の角餅が山並みで混淆し、さらに昭和初期まで離島に残った餅なし正月の小豆汁文化の名残も受け継がれた。
食べ方
湯炊きの地区は具材が煮えだし汁が沸騰してから餅を入れ、焼餅の地区は椀に両面焼した餅を入れてから汁と具材を注ぐ。汁は澄まし汁か味噌汁で、具材は北勢の正月菜、中南勢の里芋と大根、伊賀の里芋・大根・ねぎ・豆腐、東紀州の根菜や鶏肉など地域により異なる。年の初めの正月に若水と共に神棚に、福茶と共に仏壇に供え、その後家族そろって副茶を飲みながら食べる。昭和初期までの餅なし正月の名残として、湯がいた小餅に小豆あんを付けて食べる風習を今も残す家もある。
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産地
煮物の名物

ずいきの煮もの
天平時代から続く奈良の伝統食材。里芋の葉柄を新聞紙で軟白栽培した「幻の食材」は、東大寺正倉院文書にも記録される歴史ある味である。

雑煮
「株を上げる」縁起かつぎのかぶと、北前船が運んだ黒砂糖の二つの物語が交差する福井の正月の味。日常の汁椀に盛る素朴な雑煮は、昆布敷きの鍋で丸餅を味噌仕立てに煮込む。

雑煮
「名を上げる」という縁起担ぎから生まれた、餅と餅菜だけの極めてシンプルな正月料理。尾張藩の質素倹約の精神や、将軍からの叱責説など、成り立ちには複数の伝承が残る。

ぜんまいの煮物
「山菜の王様」と称されるぜんまいは、綿毛を取り2〜3日かけて揉み込む手間をかけて乾燥させる。縁起を担いでお正月に「一本煮」として供されることもある新潟の冬の保存食である。

ぜんまいの炒め煮
繰り返しの天日干しと揉みほぐしで繊維を柔らかくする独特の製法が特徴。油との相性が良く、田植えの日の腹持ちの良い食事として農家に重用された保存食である。

ぜいたく煮
漬物をわざわざ煮物にする手間から「ぜいたく」の名がついた滋賀県の変わり種煮物。湖北の仏事に欠かせない定番として、各家庭が古漬けたくあんを常備してきた。
三重県の名物

野菜の漬物
本居宣長が「香の物」として愛した「松阪赤菜」や、300年前に蒲生氏郷が近江から伝えたとされる歴史を持つ。三重県内には日野菜漬け、伊勢たくあん、白瓜の鉄砲漬けなど、各地域の風土が生んだ多種多様な野菜の漬物が存在する。

豆腐でんがく
高足の舞を舞う田楽法師の姿に似せて名付けられた、伊賀の伝統的な豆腐料理。炭火で焼いた木綿豆腐に甘辛い田楽味噌を塗り、炙り焼きで仕上げる。

てこねずし
漁師が船上で魚を手で混ぜあわせたことから「てこねずし」の名が生まれた。熊野灘の新鮮なカツオやマグロを酢飯と合わせる、三重県を代表する郷土料理である。

たこ飯
鳥羽市の畦蛸(あだこ)では「多幸めし」とも呼ばれ、縁起の良い名前で親しまれる。伊勢湾の荒波にもまれたプリプリの真ダコを、米とシンプルに炊き込んだ漁師の味である。

さんまずし
「気骨のある子に育ってほしい」と願いを込めた骨付きの姿ずし。三重県熊野市の産田神社に「さんま寿し発祥の地」の碑が立ち、祝いの席で親しまれてきた東紀州の名物である。

さめなます
「鮫」に「交わる」の字が入る縁起物。三重県志摩の祝い膳では、さばきたてのネコザメを湯通しして発酵味噌だれで味わう「さめなます」が欠かせない一品となる。