
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
古漬けたくあんを塩抜きしてからだし汁と醤油で煮含めた煮物料理である。滋賀県内全域に分布し、特に湖北地域で親しまれてきた。当地は琵琶湖に面した水郷地帯で、野菜の漬物保存が発達した食文化を持つ。主に仏事の際に供されるほか、日常食としても通年食される。家庭ごとに塩抜きの回数や調味の濃淡に差があり、「たくあん炊き」と呼称する地域もある。現代でも湖北の葬儀料理として欠かせない位置づけにあり、高月菜の糠漬け炊いたんなども同様に常備されてきた。
由来・歴史
名前の由来には二説ある。漬物を煮物にする手間のかかる料理であることから「ぜいたく」と名付けられた説と、漬ける際に多量の塩を用い、塩抜き後また塩分を入れて炊く贅沢な工程に由来する説である。湖北地域の仏事では「ぜいたく煮」と「塩切りなすの煮もの」が定番料理として確立し、突然の弔事に備えて各家庭で常備されてきた。「たくあん炊き」とも呼ばれる。
食べ方
古漬けたくあんを切って水に浸け、塩気が強い場合は2〜3回水を換えて塩抜きする。鍋に水とたくあんを入れて煮て柔らかくなったら一度取り出し、だし汁と醤油などの調味料を加えて沸騰させ、たくあんを戻して煮含める。火から下ろし味が染み込むまで冷ます。湖北地域では仏事の際に必ず供されるほか、日常食としても通年食される。
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産地
煮物の名物

ぜんまいの炒め煮
繰り返しの天日干しと揉みほぐしで繊維を柔らかくする独特の製法が特徴。油との相性が良く、田植えの日の腹持ちの良い食事として農家に重用された保存食である。

ぜんまいの煮物
「山菜の王様」と称されるぜんまいは、綿毛を取り2〜3日かけて揉み込む手間をかけて乾燥させる。縁起を担いでお正月に「一本煮」として供されることもある新潟の冬の保存食である。

雑煮
「名を上げる」という縁起担ぎから生まれた、餅と餅菜だけの極めてシンプルな正月料理。尾張藩の質素倹約の精神や、将軍からの叱責説など、成り立ちには複数の伝承が残る。

ゆずの皮煮
日田市の柚子は寒暖差が大きい土地で香り豊かに育つ。その皮を砂糖で煮詰めた「ゆずの皮煮」は、かつては大釜で薪炊きし、今もお節やお茶うけに欠かせない保存食である。

大和まなと薄揚げの煮もの
「古事記」に記載される「菘(すずな)」をルーツとする大和まなは、霜にあたると甘みが増す奈良の伝統野菜。薄揚げと煮含めた滋味深い家庭料理は、平成21年の品種改良で周年流通するようになった。

大和の雑煮
餅を砂糖入りきな粉につけて食べる奈良の雑煮。豆腐は白壁の蔵、里芋の頭芋は「人の上に立つ」願いが込められ、具材一つひとつに縁起物の意味が宿る。
滋賀県の名物

焼きもろこのどろ酢
琵琶湖固有種「ホンモロコ」を串焼きにし、味噌・砂糖・辛子・酢を混ぜた「どろ酢」をかけて食べる滋賀の名物料理。絶滅危惧種でありながら養殖技術で今も味わえる貴重な味。

打ち豆汁
雪深い湖北地域で冬に欠かせない「打ち豆汁」。大豆を木づちで花型に潰して乾燥させた打ち豆を、かぶや里芋と共に煮込む味噌汁で、お寺の報恩講ではお講汁として振る舞われる。

豆腐田楽
白い袴に色の上着を着けた田楽法師の姿に似たことから名付けられた。串に刺した豆腐にねぎ味噌を塗って炙る滋賀の伝統料理で、寺院の多い土地で精進料理として発展した。

しょいめし
「わっしょい」の掛け声から名づけられたか、あるいは「しょうゆめし」が訛ったか。高島市新旭地域の伝統的な醤油炊き込みご飯で、神事「湯立て」に由来する独特の炊き方が特徴である。

しじみ汁
琵琶湖固有種「セタシジミ」の殻がふっくら開くと、濃厚な出汁が広がる。昭和40年代までは日常の味だったが、環境悪化で激減し、今や春の贅沢となっている滋賀の滋味。

鯖の棒ずし
「鯖街道」の名残を今に伝える棒状の押し寿司。大津や長浜の曳山祭りのご馳走として欠かせず、寒い季節に味わう伝統の味である。