
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
セタシジミの貝殻を昆布出汁で開き、味噌で味付けした汁物料理である。琵琶湖にのみ生息する固有種セタシジミは、ヤマトシジミに比べ殻が大きく肉厚で、身にコクがあるのが特徴だ。主な伝承地域は滋賀県で、琵琶湖の浅瀬から水深10m弱にかけて漁獲される。3月から4月の春先、産卵を控えた「寒シジミ」が旬とされ、漁師の間ではこの時期の味が特に珍重されてきた。家庭では一晩砂出ししたシジミを昆布だしで煮開き、味噌を溶き入れてねぎを添えるのが基本だが、しぐれ煮やしじみ飯などの別調理も存在する。昭和40年代までは日常的に食されていたが、砂地の減少など環境悪化により収穫量が激減し、現在は季節限定の特別な味となっている。
由来・歴史
「しじみ汁」は琵琶湖固有種セタシジミを使った滋賀県の郷土料理である。セタシジミは日本の在来3種(ヤマトシジミ、マシジミ、セタシジミ)の一つで、昭和40年頃までは琵琶湖に多く生息し、しじみ汁やしぐれ煮、しじみ飯が日常的に食べられていた。しかし砂地の減少など環境悪化により生息場所が変化し、収穫量は激減している。
食べ方
セタシジミは一晩砂出しして砂を吐かせ、昆布でとっただし汁に入れて加熱し、貝の殻が開いたら味噌を溶き入れて一煮立ちさせ、きざみねぎを添えて食べる。3月から4月の春先が漁獲時期で旬を迎えるが、冬場はヤマトシジミを使えば通年食すことも可能である。
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産地
汁物の名物

しじみ汁
「シジミは水からヒトクラ」——宍道湖の漁師が伝える、一瞬の火入れで引き出す極上の旨味。日本屈指の漁獲量を誇る大粒のヤマトシジミを、出雲の家庭で日常的に味わう郷土の味噌汁である。

塩くじら汁
山形の夏を乗り切る伝統のスタミナ汁。塩漬けのくじら脂身と新じゃが、旬の野菜を煮込み、暑さに備えてきた内陸の知恵が詰まる。

たちの味噌汁/スケソウダラの白子の味噌汁
「たち」とはタラの白子の北海道方言。丸ごと入れた味噌汁は、武士に「切腹を連想させない縁起の良い食べ物」として喜ばれた歴史を持つ。

せんべい汁
平成になって「せんべい汁」の名が定着した観光発の郷土料理。戦前の農家の保存食が、八戸市の観光PRで全国に名を知られる地域おこしの立役者となった。

石花汁
熱した石を投入すると湯気が花のように舞い上がる、今治市大島の石切り場発祥の保温鍋。米のとぎ汁を使う知恵と、職人の賄い食としての歴史が息づく。

さつま汁
闘鶏で負けた鶏をその場で調理したのが始まりという、鹿児島の武士の食文化が息づく具だくさんの味噌汁。鶏の出汁が染み出した滋味深い一杯は、今も冬の定番として親しまれている。
滋賀県の名物

しょいめし
「わっしょい」の掛け声から名づけられたか、あるいは「しょうゆめし」が訛ったか。高島市新旭地域の伝統的な醤油炊き込みご飯で、神事「湯立て」に由来する独特の炊き方が特徴である。

豆腐田楽
白い袴に色の上着を着けた田楽法師の姿に似たことから名付けられた。串に刺した豆腐にねぎ味噌を塗って炙る滋賀の伝統料理で、寺院の多い土地で精進料理として発展した。

打ち豆汁
雪深い湖北地域で冬に欠かせない「打ち豆汁」。大豆を木づちで花型に潰して乾燥させた打ち豆を、かぶや里芋と共に煮込む味噌汁で、お寺の報恩講ではお講汁として振る舞われる。

鯖の棒ずし
「鯖街道」の名残を今に伝える棒状の押し寿司。大津や長浜の曳山祭りのご馳走として欠かせず、寒い季節に味わう伝統の味である。

鯖そうめん
「五月見舞い」で嫁ぎ先に贈られた焼きサバが、農繁期の簡単なごちそうとして生まれた。湖北地域の春の味覚として、長浜の曳山まつりでも振る舞われる名物料理である。

近江牛の味噌漬
江戸時代に彦根藩が将軍家へ献上した「反本丸」が原型。薬用として始まった近江牛の味噌漬は、国内最古のブランド牛を白味噌に漬け込む贅沢な郷土料理へと発展した。