
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
自然薯をおろし金とすり鉢で練り上げ、だし汁と味噌・醤油で伸ばした粘り気のある汁物である。主に静岡県中部地域の山野に自生する自然薯を用い、西部・東部でも収穫される。秋から冬の収穫期に食され、正月2日に1年の健康を祈って食べる風習も残る。家庭により卵を加えたり味噌を省いたりと味付けに差異があり、現代でも静岡の食文化を代表する郷土料理として継承されている。
由来・歴史
東海道五十三次の宿場町・丸子(現・静岡市駿河区丸子地区)の名物として旅人に人気を博した。十返舎一九『東海道中膝栗毛』や歌川広重の浮世絵、松尾芭蕉の俳句「梅若菜 丸子の宿の とろろ汁」に登場し、江戸時代からスタミナ料理として知られた。
食べ方
すりおろした自然薯にだし汁と味噌・醤油を少しずつ加え、ねばりが出るまで練り伸ばす。麦飯にかけて海苔を散らして食べる。卵を入れるか否か、味噌を用いるか醤油のみとするかは地域や家庭で異なる。10月中旬から12月の収穫期に多く食べられ、年明け2日に健康祈願の食事とする地域もある。
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産地
汁物の名物

たら汁
富山県朝日町発祥の漁師の汁物。漁に出た男たちを温かく出迎えようと、女房たちが流木を集め大鍋を沸かして作ったのが始まり。現在は国道8号沿いに「たら汁街道」が形成されている。

げんげの味噌汁
「下の下の魚」と蔑まれた深海魚が、コラーゲン豊富な幻の高級魚へ。富山の漁村で密かに愛されてきたゲンゲの味噌汁は、鮮度保持技術の向上により今や県内外で注目を集める。

三日の団子汁
赤ちゃんを産んだ母親が産後三日目に食べる、上新粉の団子入り味噌汁。母乳がよく出るようにと、ずいきや野菜を入れて栄養をつける伝統的な料理である。

けんちん汁
鎌倉・建長寺で700年以上続く精進料理。落とした豆腐をくずして入れた逸話があり、野菜くずを無駄なく使う知恵が詰まった温かい汁物である。

しょっから汁
「しょっから」は小ぶりのムロアジを丸ごと塩漬け発酵させた魚醤で、アシタバとサトイモを加えて煮込む伊豆諸島の汁物。独特の臭いと濃厚な旨味が特徴で、くさやと並ぶ島の保存食文化を体現している。

柳川鍋/どじょう汁
江戸庶民の夏の滋養食「どじょう汁」には、生きたまま煮る「丸鍋」と骨抜きの「ぬき鍋」、卵とじの「柳川鍋」の3種類がある。1801年創業の「駒形どぜう」は、縁起をかついで四文字から三文字の店名に変えた老舗である。
静岡県の名物

水かけ菜の漬物
「水をかける」という名の由来通り、富士山の湧水を流して栽培される早春の特産野菜。明治時代に越後から伝わった漬物は、鉄道工事の労働者たちに広まった。

イルカの味噌煮
縄文時代から続く伊豆の伝統漁が生んだ、ごぼうと味噌で煮込む野性味あふれる郷土料理。鮮魚店で皿盛りされていたイルカ肉は、冬の日常食として家庭の味噌煮に変わった。
ふるさと納税染飯
「瀬戸の染飯」は戦国時代から東海道の茶屋で売られた携帯食で、十返舎一九『東海道中膝栗毛』にも登場する歴史ある名物。くちなしの実で黄色く染めたもち米を干して作り、旅人の足腰の疲れを取る薬効食として評判だった。
ふるさと納税山葵漬け
明治22年の静岡駅開業とともに売り出された駅弁発祥の名物。わさびの辛みと酒粕の甘みが絶妙に絡み、日常の食卓からお土産まで静岡人に長く愛されてきた。

サクラエビのかき揚げ
駿河湾の深海に群れるサクラエビを丸ごと揚げた、静岡県を代表する郷土料理。年間を通じて家庭の食卓や飲食店で親しまれ、丼や蕎麦のトッピングとしても幅広く食されている。

へそもち
中央をへこませた「へそ」の形が名前の由来。旧暦の十五夜・十三夜に、富士川以西の静岡県中・西部地域で新米で作られた月見団子。かつては子供たちが各戸を回ってもらい歩く風習もあった。