
静岡県
県庁所在地:静岡市
静岡の食は、駿河湾の海と富士山の麓という二つの恵みが織りなすものだ。生しらす丼は漁獲直後の朝しか味わえない鮮度が命で、サクラエビのかき揚げは深海の宝石を丸ごと揚げた豪快な一皿である。山側では安倍川もちや御厨そばが東海道の旅人を出迎え、これらはいずれも「通る人に何かを与える」土地柄の表れだ。
黒いだしに青のりを振る静岡おでんは、子どもが駄菓子屋で1本から買う独自の食文化として根付いた。こうした海の幸、山の幸、そして街道の往来が生んだ携行食が入り混じることで、静岡の食卓は他県にない厚みを持つ。
静岡県の定番名物
静岡県の名物一覧

生しらす丼
鮮度が命の「生しらす」は、漁獲直後の朝しか味わえない贅沢。駿河湾の豊かな恵みをそのまま丼にした、静岡が誇る海の宝石である。

サクラエビのかき揚げ
駿河湾の深海に群れるサクラエビを丸ごと揚げた、静岡県を代表する郷土料理。年間を通じて家庭の食卓や飲食店で親しまれ、丼や蕎麦のトッピングとしても幅広く食されている。

静岡おでん
駄菓子屋で1本から買える独特の食文化。黒いだしに青のりとだし粉を振りかける静岡おでんは、子どものおやつとして親しまれてきた。
ふるさと納税山葵漬け
明治22年の静岡駅開業とともに売り出された駅弁発祥の名物。わさびの辛みと酒粕の甘みが絶妙に絡み、日常の食卓からお土産まで静岡人に長く愛されてきた。

金目の煮付け
伊豆半島の高級魚・地金目鯛を丸ごと甘辛く煮詰めた逸品。1本釣りで水揚げされる稲取キンメは脂の乗りが絶品で、ハレの日には姿煮で振る舞われる。

鯖の箱寿司
1261年、日蓮上人をかくまった漁師が井桁の重箱で食を運んだことが由来。伊豆の祭りで配られる鯖の箱寿司は、地元の魚をほぐした「おぼろ」と煮物を酢飯に盛り込む豪快な郷土料理である。

切り干しいも
江戸時代、薩摩の遭難船を救った御前崎の大澤権右衛門がサツマイモをもたらしたことが発祥。天日で干す「煮切り干し法」が生み出した、甘さとやわらかさが際立つ保存食である。

黒はんぺんフライ
鯖や鰯の骨まで丸ごと練り込んだ灰色の練り物を揚げた、静岡県民のソウルフード。白いはんぺんとは別物の、魚のうまみが凝縮された香ばしいお惣菜である。

とろろ汁
松尾芭蕉の俳句にも詠まれた東海道の名物。自然薯をすりおろした粘り気のある汁を麦飯にかけ、旅の疲れを癒すスタミナ食として江戸時代から親しまれた。

ところてん
突き器で押し出した細長い形状が特徴的な伊豆のソウルフード。天草の日本一の産地である伊豆半島で、子どものおやつとして親しまれてきた。西伊豆のマクサは柔らかく、東伊豆のオオブサはしっかりとした食感になる。
ふるさと納税染飯
「瀬戸の染飯」は戦国時代から東海道の茶屋で売られた携帯食で、十返舎一九『東海道中膝栗毛』にも登場する歴史ある名物。くちなしの実で黄色く染めたもち米を干して作り、旅人の足腰の疲れを取る薬効食として評判だった。

安倍川もち
徳川家康が命名したという伝説もある、静岡を代表する餅菓子。安倍川橋のたもとには200年の老舗も軒を連ね、今も旅人を出迎える。

沖あがり
「沖から上がった」漁師が漁の反省会で味わった鍋料理。駿河湾産の生桜エビを豆腐・葉ねぎとすき焼き風に煮込み、酒の肴として親しまれた漁師めしである。

折戸なすの田楽
「一富士、二鷹、三茄子」の縁起物として徳川家康も愛した、濃厚な甘みが特徴の在来種茄子を田楽で味わう。明治以降途絶えたが、平成17年に種子から復活を遂げた貴重な郷土料理である。

水かけ菜の漬物
「水をかける」という名の由来通り、富士山の湧水を流して栽培される早春の特産野菜。明治時代に越後から伝わった漬物は、鉄道工事の労働者たちに広まった。

なまり節と白玉葱のサラダ
全国シェア51%の静岡県産「なまり節」を、刺身のように薄く切ってサラダに。明治時代に知多半島から伝わった浜松の白玉葱と合わせ、旬の味をシンプルに味わう郷土料理である。

まご茶漬け
「まごまごしないで早く喰え」という漁師の言葉が名前の由来。鮮度抜群のアジを叩いて熱いお茶をかける、伊豆半島の漁師めしが家庭の味に。

落花生なます
炒った落花生をすりつぶして加えることで、酢の物が苦手な人にも食べやすいまろやかな味わいに。静岡県東部の正月の定番「紅白なます」は、落花生のこくがあとをひく郷土の知恵である。

たまごふわふわ
江戸時代の宿場町・袋井で朝食として出された「たまごふわふわ」。卵とだし汁だけで作る泡のような不思議な食感が、現代に復活した。

げんなり寿司
巨大な押し寿司を食べると「げんなり」疲れることから名付けられた、伊豆稲取の縁起物。キンメダイの紅白おぼろを山と盛り、祝い事に親戚へ配る豪快なハレ料理である。

がわ
味噌を溶かす際の「ガワガワ」という音が名前の由来。漁師が船上で作った冷やし味噌汁が、御前崎の夏の食卓を彩る名物となった。

へそもち
中央をへこませた「へそ」の形が名前の由来。旧暦の十五夜・十三夜に、富士川以西の静岡県中・西部地域で新米で作られた月見団子。かつては子供たちが各戸を回ってもらい歩く風習もあった。

ぼくめし
「ぼくめし」の名は太い杭「木杭(ぼっくい)」に由来し、売り物にならなかった太いウナギを養鰻場のまかない飯として食べ始めたのが始まりである。吉田町の家庭で親しまれた混ぜごはんは、近年のウナギ高騰で作られる機会が減っている。

筍のアラメ煮
かつて海岸に流れ着いた海藻を使った春の味。アラメの水揚げが途絶えても、他地域のものを使い今も食卓に並ぶ、静岡中部の知る人ぞ知る郷土料理。

おざく
「ざくざく切る」という名前の由来が示す通り、野菜を大雑把に切って煮込む静岡の郷土料理。結婚式や葬式、祭りなど人が集まる場で隣近所が畑の野菜を持ち寄って作った、コミュニティの絆を体現する汁物である。

御厨そば
山芋を練り込んだ喉ごしの良いそばに、鶏ガラの風味豊かなつゆをかけて食べる。御殿場市御厨地域の農家が水を使わずに打った素朴な味わいが、大みそかや正月の客人をもてなす名物料理となった。

金山寺味噌
調味料ではなくそのまま食べる「なめ味噌」の一種で、夏野菜を冬まで保存するため寺で生まれた発酵食品。お茶漬けや酒の肴として親しまれ、静岡県各地で作られている。

イルカの味噌煮
縄文時代から続く伊豆の伝統漁が生んだ、ごぼうと味噌で煮込む野性味あふれる郷土料理。鮮魚店で皿盛りされていたイルカ肉は、冬の日常食として家庭の味噌煮に変わった。
カテゴリ
静岡県の食文化
静岡県の食文化を形作る大きな要因は、日本最深の湾である駿河湾と、富士山を中心とした山岳地帯という対照的な地形にある。駿河湾は深海が近接するため、サクラエビや生しらす、金目鯛など水深の異なる魚介が豊富に水揚げされる。一方、富士山の湧水は「水かけ菜」などの栽培に利用され、清らかな水が山葵の名産地を育てた。
歴史的には東海道の宿場町が多く設けられ、江戸と京都を結ぶ街道沿いに旅人をもてなす食が発達した。染飯は戦国時代から茶屋で売られた携行食であり、とろろ汁は松尾芭蕉の俳句にも詠まれた東海道の名物である。明治期には鉄道が開通し、山葵漬けは駅弁として売り出されるなど、交通の発展とともに食文化は近代化された。
海沿いでは漁師の生活から生まれた料理が多い。まご茶漬けは「まごまごしないで早く喰え」という漁師の言葉が名前の由来とされる。沖あがりは漁の反省会で味わった鍋料理である。こうした漁師めしは、鮮度の良い魚を素早く調理する知恵と、共同体で囲む食の文化を今に伝えている。
よくある質問
- 静岡でお土産にぴったりの名物は?
- 山葵漬けは駅弁発祥の名物で、日常の食卓から贈り物まで幅広く親しまれている。真空パックされたものも多く、持ち運びしやすい。
- 静岡の子どもがおやつに食べる名物は?
- 黒はんぺんフライは魚のうまみが凝縮された静岡県民のソウルフードだ。揚げたてを串に刺して食べる姿は、地元の子どもの定番のおやつである。
- 春にしか味わえない静岡の名物は?
- サクラエビのかき揚げは春が旬の駿河湾の宝石だ。丸ごと揚げたかき揚げは、丼や蕎麦のトッピングとしても楽しめる。
- 通販でお取り寄せできる静岡の名物は?
- 切り干しいもは天日で干した甘さが際立つ保存食だ。御前崎の歴史ある製法で作られ、通年お取り寄せできる郷土の味である。