
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
つきたての餅に砂糖を混ぜたきな粉をまぶした、シンプルながら風味豊かな餅菓子である。静岡市を中心とした中部地域に伝わり、安倍川という地名が冠されている。江戸時代から東海道の旅人に親しまれ、現在も安倍川橋周辺に店が集まる観光名物となっている。時季を問わず一年中食され、家庭ではおやつや軽食として手軽に作られるほか、日持ちする加工品は県外への土産としても重宝される。家庭では切り餅を焼いて湯にくぐらせる簡便な作法もあり、作り方に地域差や家の味がある。
由来・歴史
「安倍川もち」の名は県内を流れる安倍川に由来する。徳川家康が命名したという説と、東海道を旅する人々の間で安倍川の茶屋の名物として有名になったという説がある。江戸時代、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも登場し、東海道の名物として広く知られた。現在も安倍川橋のたもとには店が軒を連ね、中には200年の歴史を持つ老舗も存在する。
食べ方
つきたての餅に砂糖を混ぜたきな粉をまぶして食べる。切り餅を用いる場合は焼いた後、軽く湯にくぐらせてからきな粉をまぶす方法もある。時季を選ばず一年中食され、家庭ではおやつや軽食として作られ、日持ちする製品は土産物としても販売されている。
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産地
餅の名物

へそもち
中央をへこませた「へそ」の形が名前の由来。旧暦の十五夜・十三夜に、富士川以西の静岡県中・西部地域で新米で作られた月見団子。かつては子供たちが各戸を回ってもらい歩く風習もあった。

いももち
稲刈り後の労をねぎらう晩秋の味。里芋と米を炊き込んで丸め、生姜醤油で頬張る粘り気の強い郷土食。かさ増しの知恵から生まれた貴重な主食代わりの逸品である。

五平餅
神に捧げる「御幣」に形が似ることから名付けられた五平餅。木こりたちの携行食から発展し、中山道を境に醤油味と味噌味の文化圏が分かれる独特の食文化を持つ。

桜もち
1717年、隅田堤の桜の落ち葉を塩漬けにして餅を包んだのが始まり。長命寺門前で生まれた江戸の菓子は、花見客に大当たりし東京の名物となった。

飯餅
残り飯を水でといた小麦粉と混ぜて焼く、埼玉県内で呼び名が異なる農家の知恵料理。かつては田んぼまで持ち運べるお弁当代わりとして重宝された。

やきもち
小麦粉を丸めて焼いた「やきもち」は、群馬の粉食文化が生んだ郷土料理。囲炉裏で焼く姿は地域によって「おやき」「じり焼き」と呼び名も変わる。
静岡県の名物

切り干しいも
江戸時代、薩摩の遭難船を救った御前崎の大澤権右衛門がサツマイモをもたらしたことが発祥。天日で干す「煮切り干し法」が生み出した、甘さとやわらかさが際立つ保存食である。

がわ
味噌を溶かす際の「ガワガワ」という音が名前の由来。漁師が船上で作った冷やし味噌汁が、御前崎の夏の食卓を彩る名物となった。

筍のアラメ煮
かつて海岸に流れ着いた海藻を使った春の味。アラメの水揚げが途絶えても、他地域のものを使い今も食卓に並ぶ、静岡中部の知る人ぞ知る郷土料理。

金目の煮付け
伊豆半島の高級魚・地金目鯛を丸ごと甘辛く煮詰めた逸品。1本釣りで水揚げされる稲取キンメは脂の乗りが絶品で、ハレの日には姿煮で振る舞われる。

静岡おでん
駄菓子屋で1本から買える独特の食文化。黒いだしに青のりとだし粉を振りかける静岡おでんは、子どものおやつとして親しまれてきた。

金山寺味噌
調味料ではなくそのまま食べる「なめ味噌」の一種で、夏野菜を冬まで保存するため寺で生まれた発酵食品。お茶漬けや酒の肴として親しまれ、静岡県各地で作られている。