
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
深海魚ゲンゲをぶつ切りにして味噌汁にした郷土料理である。全身が分厚いゼラチン質で覆われ、水分を多く含む白く透明な細長い魚体は、和風だしと味噌で煮ると格別なうま味を出す。主な伝承地域は富山市・射水市・魚津市の日本海側漁村で、甘エビ漁の副産物として水揚げされる背景がある。9月から翌年5月の漁期にかけて主に食べられ、漁村の家庭でこっそりと作られてきた。近年は鮮度保持技術の向上により県内全域へ流通し、家庭ごとの味付けの違いやさまざまな調理法が生まれ、現代では「幻魚」として高級魚の地位を確立している。
由来・歴史
ゲンゲは水深に生息する甘エビ漁で混じる「やっかいもの」であり、グロテスクな見た目から30年前までは「下の下の魚」と蔑視されていた。しかしコラーゲンの豊富さと身のおいしさが見出され、鮮度保持技術の向上もあって人気が急上昇。専用漁がないためめったに出会えない「幻魚(ゲンゲ)」と記されるようになった。石川県では「ゲンゲンボウ」、福井県では「ミズベコ」と呼ばれ、北陸各地で親しまれている。
食べ方
頭と内臓を取り除き水洗いしてぶつ切りにしたゲンゲを、沸騰した和風だしで煮る。火が通ったら火を止めて味噌を溶き入れ、刻んだねぎを加えてさっと温め直す。ゲンゲのうま味が詰まった汁が格別である。9月から翌年5月の漁期に作られ、近年は港町にとどまらず県内広域で食されるようになった。
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産地
汁物の名物

すったて汁
「どぶ汁」の異名を持つ白川村の名物。豆腐作りの過程で生まれた大豆の搾りかすを使った汁物が、世界遺産の合掌造り集落でハレの日に供されてきた。

つぎ汁
「きったて」と呼ばれる専用の容器から、箸で混ぜながらお椀に次いで回る独特の供し方が名の由来。辛みと甘みが絶妙に調和した、郡上市明宝寒水地区でしか味わえない希少なお吸い物である。

たら汁
富山県朝日町発祥の漁師の汁物。漁に出た男たちを温かく出迎えようと、女房たちが流木を集め大鍋を沸かして作ったのが始まり。現在は国道8号沿いに「たら汁街道」が形成されている。

とろろ汁
松尾芭蕉の俳句にも詠まれた東海道の名物。自然薯をすりおろした粘り気のある汁を麦飯にかけ、旅の疲れを癒すスタミナ食として江戸時代から親しまれた。

けんちん汁
鎌倉・建長寺で700年以上続く精進料理。落とした豆腐をくずして入れた逸話があり、野菜くずを無駄なく使う知恵が詰まった温かい汁物である。
富山県の名物

三日の団子汁
赤ちゃんを産んだ母親が産後三日目に食べる、上新粉の団子入り味噌汁。母乳がよく出るようにと、ずいきや野菜を入れて栄養をつける伝統的な料理である。

つぼ煮
立山信仰の宿坊で振る舞われた精進料理が、朱塗りの「つぼ椀」に盛られたことで名付けられた。春に摘んだ山菜くごみを干して保存し、一年中味わえる具だくさんの煮物である。

酢ずき
里芋の葉柄を酢漬けにした富山の伝統的な酢の物。赤ずいきの鮮やかな発色が美しく、産後の女性に食べさせる風習も残る。シャキシャキとした歯ごたえが夏の食卓を彩る。

すり身揚げ
富山湾の新鮮な魚のすり身を揚げた一品。氷見市では「ととぼち揚げ」と呼ばれ、おでんや鍋の具材としても親しまれる。外カリ中ふわの食感が子供から大人まで好まれる。

白えび素干だしのそうめん
富山湾の宝石・シロエビの素干しを使った贅沢な出汁が、江戸時代から続く伝統の大門素麺と出会う。清流庄川の水と冬の寒風が生んだコシ強い麺に、海の恵みが凝縮した夏の味覚である。
ふるさと納税みょうが寿司
鮮やかなピンク色の「小佐波みょうが」とマスを合わせた富山の伝統寿司。かつては茶わんに盛るちらし型が主流だったが、笹包みの押し寿司として生まれ変わり、ハレの日以外も親しまれるお土産に。