
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
鹿児島県の豚汁は、かごしま黒豚の豚肉と大根、人参、里芋、こんにゃく、厚揚げなどを、だし汁で煮込み甘みの強い麦味噌で味付けした汁物料理である。主な伝承地域は鹿児島県全域で、全国1位の豚飼育頭数と温暖な気候に育まれた麦味噌生産という、県を代表する二大産物が背景にある。年間を通して食べられるが、特に冬場は体を温めるためにつくる機会が増える。家庭によって具材はさまざまで、残り野菜を活用するなどアレンジも自由であり、現代でも日常の食卓に欠かせない家庭的な料理として親しまれている。
由来・歴史
鹿児島県の豚肉消費の歴史は、江戸時代の薩摩藩に遡る。仏教による獣肉食の禁忌が主流だった当時、薩摩藩では豚やイノシシ、鹿が常食とされていた。これは江戸と遠距離であったこと、また琉球貿易を通じて海外文化の影響を受けたことによると考えられている。かごしま黒豚の祖先は、薩摩の名武将・島津家久が琉球から導入したものといわれ、明治時代にイギリスのバークシャー種と交配して改良された。一時は白豚に押される時期もあったが、柔らかく旨味の強い黒豚の振興により現在のブランドが確立された。
食べ方
豚肉と大根、人参、里芋などの具材を食べやすい大きさにカットし、だし汁で煮込む。火が通って柔らかくなったら麦味噌を入れ、器に取り分けたら小口切りのねぎや千切りのしょうがを添えて食べる。豚肉以外の具材は家庭によってさまざまで、残りの野菜などでも代用できる。年間を通して食べられるが、特に冬場は体を温めるためにつくる機会が増える。
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産地
汁物の名物

だご汁
熊本弁で「だんご」を意味する「だご」が名の由来。国道57号線沿いには「だご汁街道」と呼ばれる店舗群があり、地元では農作業の合間に親しまれる腹持ちの良い郷土料理である。

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

どじょう汁
酒に酔って動きが止まったドジョウを鍋に入れるという独特の下処理が特徴。香川県の田植え後の集落行事で、男性が大釜を振るった夏のごちそうである。

盆汁
お盆に殺生を避けて作られた精進料理がルーツ。カツオ節も煮干しも使わないのに、油揚げと7種類の夏野菜が織りなす深いうま味が特徴の三重県の盆汁。

ヒージャー汁
山羊の強い臭みをよもぎと苦菜で包み込む、沖縄の「薬膳鍋」。「ヒージャーグスイ」と呼ばれ傷の回復薬として珍重されてきた、好き嫌いが分かれる名物料理である。

牛汁
王朝時代に牛の屠殺が禁じられた沖縄で、特別な存在として伝わる牛肉の滋養食。鮮やかな黄色の島ニンジン「チデークニ」が入る冬の風物詩である。
鹿児島県の名物

豚味噌
黒い島豚を丸ごと活用する知恵が生んだ保存食。味噌と豚肉に落花生・カツオ節を合わせ、ごはんやおにぎりの具として幅広く親しまれる。

ふくれ菓子
「ふくれ菓子」は重曹でふっくら膨らませた鹿児島の蒸し菓子で、「黒糖地獄」と呼ばれた過酷な歴史の中で生まれた黒糖文化の象徴である。温かいうちはふんわり、冷めるともっちりと食感が変化する。

がね
カニに似た形から名付けられた鹿児島のさつまいも揚げ。甘めの衣に太めの千切り野菜を絡め、冠婚葬祭から日常のおやつまで幅広く親しまれている。

豚骨野菜
別名「ウァンフィネヤッセ」は奄美方言で「豚・骨・野菜」を意味する。黒い島豚の骨付き肉とツワブキ、コシャマンなどを大鍋で煮込む、大晦日から正月にかけて欠かせない年越し料理である。

ぶり大根
「鰤王」「ぶり大将」などブランド化された鹿児島の養殖ブリと、煮崩れしにくい桜島大根を組み合わせた冬の定番。縁起物として正月にも重宝された。

あくまき
灰汁で煮たもち米を竹の皮で包んだ鹿児島の戦陣食。島津義弘が関ヶ原の陣に携行したと伝わり、男子の健やかな成長を願う端午の節句の定番である。