
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
盆汁は、大豆・ごぼう・なす・人参・かぼちゃ・油揚げ・十六ささげ・ずいきなど7種類以上の夏の旬の野菜をぎっしり入れた具だくさんの味噌汁である。カツオ節や煮干しの出汁を使わず、油揚げがうま味の核を担う独特の仕立てが特徴で、野菜の煮物のような食感と味わいを持つ。主に中南勢食文化圏と東紀州食文化圏に伝承され、特に松阪市北東部では十六ささげを「盆ささげ」と呼び、盆の時期にちょうど食べ頃を迎えることから欠かせない具材となっている。お盆の「朝の3日間」や「14日か15日の昼」「16日の朝」など家庭によって時期は異なるが、精霊さんに供えて家族で分かち合う習わしがある。地域や家ごとに具材の組み合わせや呼び名が変わり、尾鷲市須賀利では「はちはい」「ひゅうが汁」など別名で親しまれ、現代でもお盆の食卓を彩る伝統的な味として受け継がれている。
由来・歴史
江戸時代1813年に記された「松坂風俗記」には、ごぼう・なす・かんぴょう・大豆などをごまごまと入れた汁物の記述があり、これが盆汁の起源と見られる。禅宗の精進料理の流れを汲み、お盆の殺生禁止の教えから肉・魚を避け、かつ出汁も使わない代わりに具材の多さで味を立てる知恵が生まれた。松阪市北東部では十六ささげを「盆ささげ」と呼び盆の定番とし、7種類の具材から「七色汁」の別名も生まれた。
食べ方
夏の旬の野菜を適当な大きさに切り、湯で煮て最後に味噌を溶き入れる。カツオ節や煮干しの出汁は一切使わず、油揚げがうま味を担う。お盆の「朝の3日間」や「14日か15日の昼」「16日の朝」など、家庭によって時期は異なるが、精霊さんに供えて家族みんなでいただくのが習わしである。東紀州の尾鷲市須賀利では食べる日によって具材や名前が変わり、豆腐入りの「はちはい」やかんぴょう入りの「ひゅうが汁」など、地域の創意が光る。
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産地
汁物の名物
ふるさと納税豚汁
鹿児島県の豚汁は、全国1位の飼育頭数を誇るかごしま黒豚と、甘みの強い麦味噌が決め手。江戸時代に琉球から伝来した黒豚と、薩摩藩独特の食文化が生んだ、体の芯から温まる郷土料理である。

だご汁
熊本弁で「だんご」を意味する「だご」が名の由来。国道57号線沿いには「だご汁街道」と呼ばれる店舗群があり、地元では農作業の合間に親しまれる腹持ちの良い郷土料理である。

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

ヒージャー汁
山羊の強い臭みをよもぎと苦菜で包み込む、沖縄の「薬膳鍋」。「ヒージャーグスイ」と呼ばれ傷の回復薬として珍重されてきた、好き嫌いが分かれる名物料理である。

牛汁
王朝時代に牛の屠殺が禁じられた沖縄で、特別な存在として伝わる牛肉の滋養食。鮮やかな黄色の島ニンジン「チデークニ」が入る冬の風物詩である。

イカスミ汁
口が真っ黒になる「お歯黒汁」として知られるイカスミ汁は、アオリイカの墨と苦菜のほろ苦さが織りなす唯一無二の味わい。沖縄では「サギグスイ(下げ薬)」として古くから健康食として重宝されてきた。
三重県の名物

茶粥
「おかいさん」の愛称で親しまれる茶粥は、聖武天皇の時代から続く歴史ある郷土料理。伊賀では三食とも茶粥とたくあんで過ごしたという節約食が、今も夏は冷やして味わわれる。

ちゃつ
朱漆塗りの木製皿「楪子(ちゃつ)」に盛られた精進料理が名前の由来。醤油を使わず白く仕上げる、三重県北勢地域の甘酸っぱい郷土料理である。

ふき俵
田の神に供える13個の「ふき俵」は、ふきの葉で豆ごはんを俵型に包んだ三重県の知恵の結晶。手を洗わず食べられ、食べ終われば葉は自然に還る。

あらめ巻き
伊勢神宮に献上されてきた高級海藻「アラメ」を、旬の魚で巻いた三重県の伝統料理。正月には欠かせないごちそうとして、伊勢志摩の各家庭で受け継がれている。

あいまぜ
葬式料理の端材を活用した「組みもの」がルーツの郷土料理。凍りこんにゃくの肉のような食感と、やや甘めの合わせ酢が特徴的。正月や法事に再び姿を現す、三重県の味の記憶。

あほだき
「あほなことしてるなぁ」が名前の由来ともいわれる、古たくあんを再生する三重県の知恵料理。塩分を抜いて醤油で炊き直す贅沢な調理法から「大名炊き」の別名も持つ。