
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
あじの丸ずしは、豊後水道で育った脂ののりが良いアジを丸ごと使った寿司である。中骨・はらわた・目玉を取り除き背開きにした魚を塩と酢でしめ、酢飯を詰めて赤しそを巻く。大分県佐伯市は九州最大の面積を持ち、リアス式海岸と豊後水道の恵みで350種以上の魚介が水揚げされる水産業地域である。祝いの席やお祭りごとの際に食べられ、お祝い日を前に大量に作るのが慣例だった。酢加減は家庭によって異なり、押し箱で重しをして半日置くなどの工夫も見られるが、手間がかかるため一般家庭での製作は減少し、地元飲食店で伝承されている。
由来・歴史
佐伯市は豊後水道によって水産業が支えられ、2007年にアジが「市の魚」に認定されたほど親しまれてきた。黒潮と瀬戸内海からの寒流がぶつかり合う豊後水道は魚のエサに恵まれ、脂ののりと味が良いアジが大量に水揚げされる。この豊富なアジを保存食として活用する発想から、梅酢漬けにし赤しそを巻いた丸ずしが生まれた。
食べ方
新鮮なアジを背開きにし塩と酢でしめ、酢飯を詰めて赤しそを巻く。頭から尻尾まですべて食べられ、すぐ食べるより置いて味を馴染ませると美味しい。押し箱に並べ蓋をして上から重しをし、半日置くこともある。年間を通じてアジが獲れるが、祝いの席やお祭りごとに作られ、お祝いの日を前に大量に調理するのが慣例であった。
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産地
寿司の名物

鮎寿司
釣瓶鮨(つるべずし)の名で歌舞伎『義経千本桜』にも登場した、吉野の天然アユを使った姿ずし。室町時代に生まれた「なまなれずし」の技法が現代に受け継がれる。

ばらずし
全国有数の塩の生産地で塩づくりの労働者に好まれた甘い味付けが特徴。江戸時代から続く宇多津町独自の「ばらずし」は、砂糖が入手しやすかった港町の歴史が色濃く残る郷土料理である。

ばらずし
「バラバラ」と散らすことから名付けられた丹後のばらずしは、鯖街道の歴史が生んだ祝いの華やかな寿司。地元スーパーには他地域では見られない特大サバ缶が並ぶ独特の食文化である。

あぶらげずし/いなりずし
歌舞伎『助六』にちなむ「助六」発祥の地でもあり、豊川稲荷の門前町では江戸時代後半から参拝客に振る舞われてきた。油揚げの甘辛い味付けと酢飯の組み合わせが、愛知県内で今日も幅広く親しまれている郷土のすしである。

大村寿司/大村寿し
室町時代、領地奪還を祝うため領民が作った「勝ち戦の寿司」。食器不足を補うため浅い木箱に詰め、兵士は脇差しで切り分けて食べたという逸話が残る大村市の祝い料理である。

押し寿司(もろぶた寿司)
室町時代の武将・大村純伊の凱旋を祝って生まれたとされる押し寿司。浅い木箱「もろぶた」を使い、シャリで具を挟む形が武士の精神を反映するという独自の伝承も残る。
大分県の名物

あみめし
豊前海の波打ち際がピンク色に染まる秋、水揚げされるオキアミを干して佃煮風に炊き込んだごはんが「あみめし」である。昔は醤油漬けの干しアミを混ぜるだけの素朴な食べ方だったが、今は県北の代表的郷土料理として学校給食にも採用されている。

頭料理
海に遠い内陸の竹田市で、めったに手に入らない貴重な魚を「頭以外」全部使い切るために生まれた知恵の料理。エラやアゴ、内臓まで豪快に盛り付け、三杯酢でさっぱりと味わう。

あゆうるか
「うるか」とは塩辛のことで、大分県ではアユの内臓だけを使った「にがうるか」が主流。独特の苦味・渋味を好む人が多く、昔から腹痛時に重宝された発酵食品である。

あいまぜ
具材と豆腐の両方に味付けして混ぜ合わせることから「あいまぜ」の名がついた、大分県竹田市久住地区の郷土料理。白和えに似るが山菜や干ししいたけをたっぷり使い、砂糖を贅沢に使ったごちそうとして親しまれた。

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

がん汁
「がん」はカニ汁が訛った呼び名。殻ごとすりつぶしたツガニのたんぱく質がふわふわと浮かび上がる、大分県宇佐市の知られざる名物料理である。