
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
がん汁は、大分県宇佐市の河川に生息する大型カニ「ツガニ」を殻ごとすりつぶし、醤油風味で仕立てた汁物である。殻をこして煮立てると、カニのたんぱく質がふわふわとしたかたまりになって浮かび、澄んだ旨味のある汁が完成する。宇佐市は国東半島の付け根に位置し、駅館川を中心とした河川でツガニ漁が盛んな地域である。8月中旬の漁解禁後から秋から冬にかけて産卵期を迎えたカニが美味とされ、季節のごちそうとして近隣に振る舞われることもあった。家庭によっては高菜を加えてカニのたんぱく質を「とめる」工夫があり、現代では石臼に代わりミキサーなどを使う家庭が一般的となっている。
由来・歴史
がん汁の名称は「カニ汁」が訛って「ガニ汁」と呼ばれ、徐々に「がん汁」へと変化したとされる。宇佐市は全国4万余社の八幡社の総本宮・宇佐神宮がある地で、ツガニは駅館川などで漁獲される名産であった。生きたカニを殻ごとすりつぶすという独特の調理法は、そのままでは食べづらいツガニを味わうために考案されたと伝わる。昭和中期までは一般家庭でもよく作られていたが、ツガニの生息数減少と手間のかかる製法から、現在は一部地域を除き家庭で作られることは減少している。
食べ方
生きたツガニを殻ごとすりつぶし、殻をこしてから塩を入れ煮立てる。たんぱく質がふわふわと浮かび上がり汁が澄んだら、高菜を加えてカニのだしを「とめ」、最後に塩または醤油で味を整える。ツガニ独特の香りが気になる場合はしょうがを加える。8月中旬の漁解禁後から冬にかけて食べられ、産卵期を迎えた秋から冬のカニが特に美味とされる。昔は石臼で潰していたが、現在はミキサーやフードプロセッサーが一般的である。
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産地
汁物の名物

呉汁
浄土真宗の最大行事「報恩講」にふるまわれる精進料理。すりつぶした大豆を味噌汁に溶かした、ふわふわの食感と豊かなたんぱく質が特徴の温かい汁物である。

呉汁
「呉」とは大豆を水に浸してすりつぶしたもの。宮城県で古くから親しまれる大豆の「呉汁」は、畑の肉と呼ばれる大豆の栄養を丸ごと摂れる、冬場の体を温める郷土料理である。

具だくさん味噌汁
「味噌は医者いらず」の言葉通り、長野県民の活力源として一日一杯が欠かせない具だくさん味噌汁。すいとんを入れた「ひんのべ・とっちゃなげ」など、地域ごとの呼び名も豊富である。

がんちゃ汁
石臼でカニを粉々に搗くという荒々しい伝統製法から生まれる、ふわふわと浮かぶカニの身が特徴の汁物。モクズガニの全身を余すところなく味わう鳥取の知恵料理である。

えびみそ汁
香川県三豊市の「どぶろく祭り」で振る舞われる神事の味噌汁。シバエビを丸ごとミキサーにかけた濃厚な汁は、300年続く古式醸造のどぶろくとともに供される。

どんこ汁
「大きな口から入って小さな尻から出にくい」縁起魚ドンコを、えびす講の日に神棚に吊るして食べる風習がある。宮城県気仙沼地方の冬の味覚で、味噌と相性の良い濃厚な肝が魅力の郷土料理である。
大分県の名物

ごまだし
漁師の妻が出汁の手間を省くために生まれたという大分県佐伯市の伝統調味料。焼いたエソとごま、みりんを混ぜた保存の利く「ごまだし」は、かけうどんとしてファーストフード感覚で親しまれている。

鮑腸
戦国大名・大友宗麟がアワビ好きのあまり、家臣の献上した細長い麺を「鮑の腸」と呼んで気に入ったことが名の由来。2m以上に手延べする大分の麺料理で、お盆や祭りのもてなしに振る舞われた。

ひゅうが丼
風が「ヒューヒュー」吹く船上でも火を使わず食べられるよう生まれた漁師飯。マグロを甘めのごま醤油だれに漬け、卵黄のコクで仕上げる大分県津久見市の名物料理である。

だんご汁
球状ではなく薄く帯状に引き伸ばした「だんご」が特徴。米不足の時代に主食代わりとして親しまれ、今も大分のソウルフードとして愛される。

あゆうるか
「うるか」とは塩辛のことで、大分県ではアユの内臓だけを使った「にがうるか」が主流。独特の苦味・渋味を好む人が多く、昔から腹痛時に重宝された発酵食品である。

頭料理
海に遠い内陸の竹田市で、めったに手に入らない貴重な魚を「頭以外」全部使い切るために生まれた知恵の料理。エラやアゴ、内臓まで豪快に盛り付け、三杯酢でさっぱりと味わう。