
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
えびみそ汁は、シバエビを殻ごとミキサーにかけた濃厚なだしが特徴の味噌汁である。白味噌と豆腐を合わせ、米のとぎ汁を使って煮込む。主な伝承地域は香川県三豊市豊中町で、瀬戸内海の豊かな海産物を背景に、小エビを活用した漁村の知恵が息づく。毎年秋の「どぶろく祭り」で宇賀神社の神事の後、参加者に振る舞われてきた。家庭では焦げないよう弱火で20分煮るなど、手間をかける伝統的な作り方が守られている。
由来・歴史
瀬戸内海で豊富に獲れるシバエビを「小エビ」として活用した漁村の料理が起源である。三豊市豊中町の宇賀神社では、約300年前からどぶろく醸造の許可を受け、古式製法を受け継いできた。四国で唯一のどぶろく製造神社として知られ、3月には伊勢神宮へ献納も行う。秋祭りの神事後にどぶろくとともにえびみそ汁が供される伝統は、五穀豊穣への感謝と地域の結びつきを象徴している。
食べ方
シバエビは頭尾を取り除き塩水で洗い、殻ごと米のとぎ汁とともにミキサーにかける。鍋に残りのとぎ汁を入れ火にかけ、エビを加えて混ぜながら煮立たせ、白味噌を溶き入れ20分ほど弱火で煮る。さいの目切りの豆腐を加え、焦げないよう注意しながら煮込み、器に盛ってねぎを散らす。秋の「どぶろく祭り」で宇賀神社の神事後に、どぶろくとともに振る舞われる。
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産地
汁物の名物

がんちゃ汁
石臼でカニを粉々に搗くという荒々しい伝統製法から生まれる、ふわふわと浮かぶカニの身が特徴の汁物。モクズガニの全身を余すところなく味わう鳥取の知恵料理である。

がん汁
「がん」はカニ汁が訛った呼び名。殻ごとすりつぶしたツガニのたんぱく質がふわふわと浮かび上がる、大分県宇佐市の知られざる名物料理である。

呉汁
浄土真宗の最大行事「報恩講」にふるまわれる精進料理。すりつぶした大豆を味噌汁に溶かした、ふわふわの食感と豊かなたんぱく質が特徴の温かい汁物である。

どんこ汁
「大きな口から入って小さな尻から出にくい」縁起魚ドンコを、えびす講の日に神棚に吊るして食べる風習がある。宮城県気仙沼地方の冬の味覚で、味噌と相性の良い濃厚な肝が魅力の郷土料理である。

どんがら汁/寒鱈汁
「どんがら」はあらを指す言葉。寒ダラの頭から尻尾まですべて余さず使い、肝や白子でコクを出す漁師発祥の鍋料理。本来はねぎを入れず岩のりだけを添えるのが本格派だ。

泥亀汁
ごまが泥、なすが亀の甲羅に見えるという遊び心ある命名。近江商人が夏の栄養補給として愛した滋賀県の伝統味噌汁。
香川県の名物

はげ団子
「はげ」は半夏の節目と、あんがまだらにつく様子の両方が由来。香川の農繁期を乗り切るため、新麦の香り豊かなだんごで半日の休息をとる知恵が詰まった郷土菓子である。

いもたこ
子孫繁栄を願う縁起物として正月や婚礼に供された、瀬戸内海のタコと香川の里芋の煮付け。海と里の幸を組み合わせたシンプルながら滋味深い郷土料理である。

いりこ飯
漁獲から30分で煮沸される伊吹島の新鮮ないりこを使い、濃厚な出汁で炊き上げる香川の炊き込みごはん。瀬戸内海の恵みを丸ごと味わう郷土料理である。

どじょう汁
酒に酔って動きが止まったドジョウを鍋に入れるという独特の下処理が特徴。香川県の田植え後の集落行事で、男性が大釜を振るった夏のごちそうである。

ばらずし
全国有数の塩の生産地で塩づくりの労働者に好まれた甘い味付けが特徴。江戸時代から続く宇多津町独自の「ばらずし」は、砂糖が入手しやすかった港町の歴史が色濃く残る郷土料理である。

あんもち雑煮
砂糖が貴重だった時代、年に一度の正月にだけ味わえた特別な甘味。白味噌の風味とあん入り餅の組み合わせは、讃岐の食文化が生んだ贅沢な一椀である。