
写真出典:農林水産省「うちの郷土料理」
紹介
「なまぐさこうこ」は、春に塩漬けにしたイワシ(しょっからいわし)を煮詰めた汁で、12月に収穫した大根を1か月ほど漬け込んだ漬物である。イワシ90匹に対し一升の塩を用いる濃厚な塩分と、煮出したイワシのうま味が大根に染み込み、独特の風味を生む。主な伝承地域は新潟市西蒲区角田浜地区で、日本海に面した漁村であり、かつては4〜5月にイワシが大量に獲れた。お正月にはどの家庭でも食べる定番の味であり、日常食としても親しまれた。家庭ごとに「しょっからいわし」の熟成具合や大根の切り方が異なり、現在はイワシの漁獲量減少により作られる機会が減っている。
由来・歴史
「なまぐさ」の名は、塩漬けイワシの独特な香気に由来するとされる。新潟市角田浜地区に伝わるこの漁村の知恵は、春の豊漁期に獲れたイワシを塩漬けで長期保存し、冬の野菜と結びつけて食料を確保する生活文化から生まれた。かつては囲炉裏を囲んで食べる風習もあり、漬け汁を再利用して白菜や大根の「とうば漬け」を作る工夫も見られた。
食べ方
地元では生きたイワシを購入し、エラと内臓を取り除いて塩漬けにした「しょっからいわし」を各家庭で仕込む。これを大きな鍋で約70度に加熱し、ドロドロだった質感がさらさらの液体になるまで煮詰め、その汁で大根を1か月漬け込む。薄く切ってそのまま食べる。お正月の定番として必ず食卓に並び、日常食としても重宝された。
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産地
新潟県の名物

煮菜
明治初期に中国から渡来した体菜を塩漬けにし、打ち豆と共に煮込む新潟の冬の定番。雪に閉ざされる土地ならではの保存食の知恵が詰まった家庭料理である。

のっぺ
雪深い新潟で鍋ごと雪に埋め保存した「冷やしのっぺ」の名残が残る、里芋のぬめりでとろみをつけた煮物料理。正月や婚礼の席に欠かせない母から子へ伝わる味。

佐渡の煮しめ
トビウオの「あご出汁」でじっくり煮込む、汁が残らないほど味を含ませた佐渡の「おふくろの味」。各家の畑の野菜を具にし、季節ごとに味付けが変わる島の祭り料理の主役である。

身欠きにしんの糀漬け
北前船が運んだ北海道の「身欠きニシン」を、新潟の糀文化で再構築した発酵保存食。甘酒の甘みと塩気が絡む、お正月の贅沢な酒の肴である。

車麩の煮物
ドーナツ型の独特な形状が名の由来。室町時代に中国から伝来し、北前船で新潟に渡った加工技術が生んだ、一週間近くかけて仕上げる手間ひまのかかる伝統食材である。

くじら汁
北前船が運んだ西日本の塩クジラが、新潟の山間地まで届いたスタミナ食。なすとゆうがおを煮込んだ味噌仕立てで、真夏の暑さを乗り切る知恵が詰まる。